真山仁のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
地熱発電を中心に動き回る、投資銀行での出世争いや企業買収、政治絡みの利権争い、そうした泥臭いところまで描かれた本作。
地熱発電の仕組みやその意義、一方で普及の難しさも理解ができ、また電力という人間にとって今や必要不可欠なエネルギーにまつわる様々な利権についても、全てではないものの記載がされており勉強になった。
電力は太陽光以外、水蒸気がタービンを動かすことで発電するという仕組みが共通している。火力や原子力、地熱、風力、いずれもエネルギーの始点は異なるものの、水蒸気がタービンを動かしている。
個人的には黒木亮と似ている作風ながら、端々の表現において、黒木亮の方が好きなため、個人的嗜好により -
Posted by ブクログ
大好きな作家な一人である真山さんの小説。
今回のテーマは、農業(と言ったらよいのか)。
小説内では、当初は農薬のマイナス面からスタートしていましたが、
途中でGMOの是非にまで、テーマが多岐に渡っていきます。
まさしく社会派小説。
真山さんの小説は、初期のころはハゲタカに代表されるように
ファイナンス寄りの小説だったように記憶していますが、
最近は社会の問題に鋭く切り込んで、
問題提起をするような小説にシフトチェンジしてきているのでしょうか。
エンタメとしてのアップ・ダウンは今一つだったのですが、
この小説を通じて、そこまで興味のなかった「食」という問題に関心を持つことができました。
後 -
Posted by ブクログ
久しぶりの真山さんの本。
検察の話とロケット工学の話、それぞれの話に主要な主人公がいて、
それぞれで進行していくというストーリー。
最初、出てくる人物が多くて、話に入り込めなかったのと、
検察の方のストーリーはミステリー調で、
続きが気になって仕方がなかった一方、
ロケット工学の方は、そこまで没頭できず。
最後にこの二つの話が交差するのかと思いきや、、、
ここから先はネタバレなので、この辺りで。
ちょっと最後の終わり方を単純化しすぎたかな、
もうヒト山描写してもよかったのかな、とは思いますが。
日本の政治や産業の闇に隠れた部分を
よくあぶり出してくれているかと思います。
真山さんのファン -
Posted by ブクログ
ネタバレ主人公、篠塚幹はアルツハイマー病のための治療薬フェニックス7を東北にある最先端の研究所で開発しているが、動物実験での課題がクリアできず、なかなか人間での治験に移行できないことに焦りを感じ始める。
その頃、同じ市内で認知症高齢者が失踪してから数ヶ月後に死体で発見される事件が連続し、遺体の状態などに疑問を感じた所轄の刑事は、後輩刑事と事件の真相究明に動き始める。
始めはミステリーかと思ったが、上巻の早いうちに、事件と主人公に何らか関係があることがわかってしまった。
事件の真相、治療薬の研究の行方、登場人物たちの心の葛藤が読みごたえを感じさせてくれるか、後半に期待。