真山仁のレビュー一覧
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「虚像」と書いて「メディア」と読ませる本書はあるジャーナリズムあるいはテレビの役割とはなんなのか。あるいはその根底にある日本人の在り方とはなんなのか。小説の体をとっているが、その中身は当時の、あるいは現代においてもメディアにたいするあるいは我々に対する問いかけである。
面白きゃいい、視聴率を取れればよいといった風潮に支配されているテレビお笑い界と、政府やスポンサーの顔を観ながら買い取りニュースを配信する報道局。そこには人の温かさや笑いが人々を幸せな気持ちにさせるような真の笑いや、政界あるいは産業界からも中立独立し、国民に対し真実を伝え続ける第四の権力としてのジャーナリズムとしての気概は残っていないのか?
そこに気骨のあるものが現れても、うまく立ち回れないと途端に左遷されてしまう。結果、無難なお笑いや報道記事が蔓延していくという構造的な問題を抱える放送業界にあって、風見や黒岩は異端児である。
その異端児としての活躍と、業界に巣くうグレーな世界とのやりとりを真山仁独特の語り口とスピード感でドライブしていく。官界の中でも正義心を持ち、お役所仕事をこなしつつも正義感を持って仕事に踏み込もうとする官僚もまた存在する。
本書でも何度も外の力によるテレビ局の在り方が捻じ曲げられる場面が出てくる。しかし最後の最後で少しだけやり返すような、小さくガッツポーズするようなシーンが存在する。そこで一矢報いるあるいはそこから未来が広がっていくという光を感じることができ、これこそが真山仁の真骨頂だと再認識するのだ。 -
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ネタバレ「コラプティオ」とはラテン語で「疑獄」を意味するとのこと。本書真山仁の『コラプティオ』は原発を取り上げて3.11以降をイメージした物語である。しかも、ポピュリズムやカリスマが生まれる土壌と、登場人物にそこに楔を打たせることで、真山仁は読者あるいは国民に対し、政治への関心と、今何をなすべきなのか?問うていると思わせる。
「福一」が発生したことで、これまで週刊誌で連載していた内容を変更して書籍として発表したとのこと。作者としても原発あるいは政治をこれまで以上に強く意識するきっかけであった。そして、本書を通じ、改めて読者に対して問題意識を投げかけたのではないだろうか。
今の日本では、ヒトラーのような国民を煽動して取り込んでいくという手法は通じない、ということを断言できるだろうか?政治への無関心の蔓延とそこを突いたV字回復的な煽動手法は簡単に国民を熱狂に包み込んでしまうのではないか。現時点ではだいぶ過去のものとなりつつあるが、民主党への政権移行時にはそうやってなにかの期待感が高まったようにも見える。
現在は、異なる意味で閉塞感と安倍一強時代が継続しているが、これが崩れた次の次にまた歴史は繰り返されるような気がする。3.11が薄れてきた今こそ本書が本当に伝えたかったことの一つである煽動政治への恐れを思い返すべきなのだ。 -
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最初の130ページを読む限りは、貴子がビーナスの役員としての成長物語、金色屋の女将を解任したあたりまでは完全な旅館再生物語かと思いきや、一気にスパイ小説っぽくなっていった。
特に下巻になると、ますます加速する。迫る中国共産党の不気味な影。
あっさり人が死にすぎ。
モニカの最初の威勢の良さはどこへやらで、しだいにキャラが落ちぶれていく。
美麗が記憶を取り戻すたびに冷酷になるのだけど、最後のオチはやっぱり意味不明。
将陽明はなぜ消されたのか、どのようにして捕まったのか、なぜ鷲津にこだわっていたのかは謎のままで、他のハゲタカシリーズに比べるとなんともすっきりしない終わりかた。
でも読んでる間ページをめくる手が止まらず、次へ次へと読み進めたくなる構想力はさすがだ。 -
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日本の技術を海外(アメリカ)に供与するという意味での売国か。
アメリカの持つ技術力もものすごいものだと思いますし、投下される予算の大きさにも驚くが、技術立国を目指してきた日本において、半導体、原子力、宇宙開発というものが世界を引っ張っていけるほどの技術力を持っているというのは素晴らしい話。
脈々と日本を骨抜きにする為に仕掛けられたものに対抗する為には、元凶にたどり着かなければならない。
個人的には日本の宇宙開発というものをあまり良く知らなかった。
が、地球レベルで物事を考える上で宇宙は切っても切れない。お金はとんでもないくらいかかるのであろうが、もう少し興味をもつようにしなければ。
そのような事業(公共といっていいか?)には利権が絡むのは当然と理解。
政治家が絡むとたいていそう。
宇宙開発に勤しむ人々と政治家、検事、フィクサーが並行して書かれており、展開についていくのが大変ではあるが、エンターテイメント要素を含み、ストーリーを盛り上げていく。
ラストはもう一捻りというか、もう少し突っ込んだところまで展開してほしい。
続きが気になって仕方がない。 -
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ハゲタカIVとサブタイトルのつく本書は、リーマンショックに代表されるアメリカあるいは世界金融恐慌を題材にした幕である。
サブプライムローンの破綻に端を発した一連の金融破綻、危機の頂点が2008年9月15日のリーマンブラーザーズの破綻である。一連の金融恐慌の原因を本書では人間の強欲(GREED)に求めている。
そして、日本のハゲタカファンドがアメリカの象徴を買いたたくという構図をぶち上げながら、その結末は現場の人間を信頼する、それこそが最も収益の向上をもたらし、ハゲタカファンド=事業再生して売却するオーナーに価値をもたらすというストーリーを提示するのだ。
真山仁のハゲタカシリーズは、そういったわけで益々その構成に磨きがかかり、あちらこちらにストーリの伏線をはりつつ、最後はなんだかキラリと朝陽が光るような展開で幕を閉じる。それは鷲津のストーリーのとおりにコトが進み、少々出来過ぎた感するある。痛快このうえないのは確かなのだが、読後に振り返ると、なんというか勧善懲悪的な単純さというジェットコースターに運ばれてしまったという感がないわけではないのだ。
たまには鷲津も儲けるが痛い思いもして、それが次の大きなディールに結びつく、なんて展開も「ハゲタカ」らしいのでは?というのは単なる一ハゲタカファンの戯言なのかもしれない。 -
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またまた会社の方に貸して頂いた。
不良債権を抱えた銀行や企業の債権を安く買い叩き、手中に収めた企業を再生し利益をあげる、バルチャービジネス。これをハゲタカと呼ぶらしい。
お仕事小説で、私には難しく感じられるのだが、これが実に面白い。
バブル崩壊前後、自分は中高生だったが本書に書かれている数々の事件で記憶に残っているところも多い。フィクションだが、バブル崩壊後の日本を思い出す。
登場人物それぞれの個性も非常に良い。
読み始めるとつい時間を忘れて読書をしてしまう。
上巻だけでもかなりおもしろかったが、
下巻ではどんな展開が待っているのだろう??? -
Posted by ブクログ
応援教師を主人公に、東日本大震災の被災地の子供たちや地元の人々との交流を描いた著者が、本書では新聞記者を主人公にそえた。
記者魂の塊のようなベテラン記者が、東日本大震災の現地雪を志願する。彼は、阪神淡路大震災の時に書いた記事で深い傷を負い、その克服のために取材を敢行する。
一人称で書かれており、他社とのスクープを巡る戦いや本社幹部との確執など、記者版ハードボイルドの感。
冒頭から続く被災地の壮絶な様子に加え、被災者の心情を克明に描写できるのは、著者自身が阪神淡路大震災を経験している所以か。
被災地での過酷な取材活動が続くが、中盤から俄然ミステリー性を帯びてくる。新人記者を救助する際に犠牲になった、地元の人々からも尊敬される僧侶が過去の凶悪事件と関係があるのでは、と。
周囲の反対を押し切り、関係者と軋轢を起こしながら、主人公は真相を追い求める。彼は殺人犯なのか、それとも・・・
やがて、衝撃的な真相が明らかにされる。
新聞記者とはどうあるべきか、そして、人はなぜ過ちを犯すのか、を問う、挑戦作。
著者は、読書の醍醐味を十二分に味合わせてくれる。 -
Posted by ブクログ
経済ものの作家という著者のイメージから、この作品には意外感があった。
しかし、著者が阪神淡路大震災で被災していると知り、彼にとっては書くべき作品であったと、納得。
東日本大震災で被災した小学校へ、阪神淡路大震災で妻子を失くした主人公が、応援教師として赴任。彼は、関西人のノリで子供たちの本音を引き出し、被災地の抱えるさまざまな問題に取り組んでゆく。読んでいて爽快感を覚えると言ってしまったら、被災者に対して不適切発言になるだろうか。
3.11から7年が過ぎ、当事者以外はややもすると、過去の出来事との思いに至りがちになる。
そんな時、折に触れてこの作品を読み返すのもいいだろう。
続編の『海は見えているか』も、続けて読んでみたい。