千葉敏生のレビュー一覧
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いわゆる「半導体戦争」というと、米中対立のことをイメージする。スマートフォンやAI、軍事機器などの中核を担うのが半導体だからだ。中国のHuaweiなどへの高性能半導体の輸出規制や、米国製装置を使った製造の禁止などは記憶に新しい。そうした攻防の中で、台湾TSMC(世界最大の半導体受託製造企業)の存在も一気に有名になった。遡って日本とアメリカの半導体摩擦。国同士の半導体戦争というとこれ位のイメージだが、本書はそれらを網羅する。
また、軍事・安全保障における半導体の戦略的重要性について。AIやミサイル誘導、監視システムなど、最先端兵器の性能は半導体に依存している。国家安全保障の観点からも、自国で半 -
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とても興味深い内容だった。
数学は力になるなと感じた。
秘密結社「TEN」
10の数式
「データ」「モデル」「ナンセンス」
第1章 賭けの数式 ギャンブルに勝つ
P(本命の勝利)=1/1 + αxβ
xはたとえばオッズが3/2(日本のけいばなどなら2.5倍)
αとβはパラメータでデフォルトは1.0、ここをまずはβは1.2とかにしてαを1.1とかにして最適なパラメータを探索する手法を「ロジスティック回帰」という
1発で当てはまることはなく、細かくテストし少しだけの優位点を見極める
A/Bテストもこれ
第2章 判断の数式 状況を正しく理解する
P(MID) = P(DIM) ・ P(M) / -
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戦略物資と捉えられるようになった半導体の歴史・情勢に関する本。面白かったです。
半導体の発明から始まり、ロシア・中国・台湾・日本等の時代毎のプレーヤーがテクノロジーに対してどのような動きをしていたかがよくわかります。また、半導体業界が、非常に多くのキーテクノロジーの寄せ集めで構成されていることが理解でき、それらを統合して現在の台湾TSMCのポジションが形成されていることも述べられています。
近年の半導体装置の精密さは、これまでの企業、ならびに、その国の政府の後押しによって成し遂げられたものであり、シンガポールや台湾のにおいては相当程度の覚悟を決めて大きな投資をしてきました。将来の覇権を獲得する -
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分析よりも意思決定のプロセスの方が6倍も重要。
バイアスを弱める4つの方法
1.選択肢を広げる(Widen)。視野の狭窄によって選択肢を見逃してしまうのを防ぐ
今ある選択肢に集中している間は、他の選択肢には気が付かない。「~べきか否か」形式の意思決定は52%が失敗している。選択肢が2つ以上ある意思決定は32%しか失敗していない。機会費用とは、ある意思決定をした際に断念しなければならないものを指す。同じ時間とお金で手に入れることができる次善のものを考える。自分の成功事例を意思決定のプレイリストとして記録すると、新しいアイディアが刺激される。
2.仮説の現実性を確かめる(Reality)。確証 -
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ネタバレロシアのプーチン大統領がなぜウクライナを侵攻したのか?その理由の一端を説明している本。
しかし、プーチン大統領個人を分析するだけでは、現在のロシアの行動をすべて説明はできまい。実際には、ロシアがいくら独裁国家といえど、プーチン大統領個人だけで重要な政策決定を勝手に下せるとは思えないので、この本だけでウクライナ侵攻含めたロシアの行動の背景すべては説明できないだろう。
だからといって、最高権力者である大統領の頭の中を理解することの重要性はもちろん薄れない。
筆者はハーバード大で博士号を取得する程の明晰な頭脳を持つ、フィオナ・ヒル女史。本書の刊行は2024年2月24日以前のことである。今回の侵攻 -
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ゲーデルとアインシュタインのエピソードが面白い。
数学的対象が実在するかどうかについては断片的に書かれすぎてていまいち頭に残らない向きもある。海中で生きるクラゲのように外界から連続的な刺激しか受けない生き物に離散的な自然数の概念が生じうるか?という問題は一考の価値がある。ただ、人間が感覚する外界も突き詰めれば連続的なものしかないのでは? 前景と背景を区別する境界を認知して1つ2つと離散的に対象を数えられる能力は自明ではなく、そんな能力が自然に発生しうるのは何故かと考えると、やはり自然数は何らかの意味で自然にあるんじゃないかとも思えてくる。 -
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多くの具体的事例を挙げ、反脆弱性の持つ強みを様々な角度から述べている。一言で表現するのはのは難しいが、何となく全体を通じて受け取ったメッセージは「将来において絶対なんてものは絶対ない」ということだろうか。
時には失敗もするし、不運にも遭うだろうし、しかし時には受け流しつつ、また時にはその経験から学び以前よりも強く成長する、といった臨機応変さや柔軟な思考が大切であることを理解した。
著者の軽妙な語り口が個人的には読みやすく、また分野を問わず豊富な知識には驚かされる。
一点もし要望するとすれば、全体としてもう少しコンパクトにできるかも?という部分。
多数の事例は理解が深め易い一方で、冗長感も出 -
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ネタバレ【ハードウェアの中身】
あらためて、私たちは無形のサービスではなく、物理的な資源やモノがあって初めて生活が成り立っているのだと考える。
この本の原題『Chip War: The Fight for the World's Most Critical Technology 』で、チップという形で人間が発明した半導体という技術作品が、いかに私たちの生活品の中に組み込まれていて、その半導体の技術の発展と普及が、地政学的な展開上に成り立っていることを示している。
例えば今現在私たちが使用しているスマートフォンの製造には、様々な国をまたぐサプライチェーンから成り立っていることは、「グロ