千葉敏生のレビュー一覧
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ひょっとすると、バイブルになるかもしれない書。世の中論理的に判っていることは少なくて、ほとんどは実践的に体系つけられてきた。論理的なシステムは論理が破綻したら脆く(脆弱)、論理が破綻しても壊れないぐらい強いもの(頑強)を対義語と考える人が多いが、本当の対義語は論理が破綻したとき(ブラックスワンがが舞い降りた時)さらに飛躍する(反脆弱)システムを指す。ブラックマンデーで儲かった人たちこそ反脆弱である。ある予想に対して実際は非対称な分布を持つものを探し(ほとんどがそうだ!正規分布なんてそれほどない)確率は低いが 論理学者が思っているほどは低くない事象に賭ける(もちろん全額ではなく、一部)と将来安泰
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名著『ブラック・スワン』で「一度発生すればカタストロフィをもたらすが、人間には決して予測できない」事象を「ブラック・スワン」と名付け、不確実性の高い世界を予測・コントロールしたいという人間の取り組みがムダであることを暴いた著者が、その後に実際に発生した2つのブラック・スワンである、リーマンショックと東日本大震災による福島原発問題を踏まえながら、不確実な世界を生き延びるための唯一の考え方・方法論をまとめたのが本作となる。
上巻では、本書のキーコンセプトである反脆弱性という概念の説明と、半脆弱性を持つことがブラック・スワンのような事象に対する唯一の対策であることを示しながら、その具体的な考え方が -
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物理と情報理論から経済社会構造の枠組みを探るアイディア。
エントロピーが増大していく中で、なぜ経済や社会が発展しているのか。それは物理的に安定した個体ができる環境で、個体が非平衡的運動を様々に生じさせるような温度環境(地球のような)がある。そこに情報が蓄えられ、さらに様々な個体が生じる。そしてそれらを促すような計算が出来る主体(分子、生物)が生じることが前提条件。
さらに経済社会を生み出すには人、社会のネットワークが情報をより多く保持し、計算していかないと複雑な個体を生み出すこと8できない。車を生み出すには多くに人のネットワークとそこに蓄積されるノウハウが必要。これは人を集めたからといって生じ -
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『THE SINGULARITY IS NEAR』の著者レイ・カーツワイル氏のことを、タレブ氏は「対極にある」(要は「嫌い」)と言っているが、私は両者とも大好きで現代を象徴する思想家であり実践家だと思う。タレブ氏は連続性を断絶させる不確実性を「ブラック・スワン」という概念を以って説明してみせたが、本書ではさらに昇華し、「反脆弱性」という新語を用いて非線形におけるダウンサイドとアップサイドの非対称性を見事に解き明かす。
タレブ氏の発言はやや棘があり誤った認識も見受けられるが、無責任で言いっぱなしのエージェンシーたちへの痛烈な批判は痛快だ。ダウンサイドが限定的かつオプション性がありアップサイドが -
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[多様な顔,統合された人格]世界で最も影響力のある人物とも言われるロシアのプーチン大統領を,6つのペルソナ(人格・仮面の意)を持つ人物として読み解こうと試みた大作。現代ロシアを考察する上で,欧米においては非常に高く評価されている作品でもあります。著者は,トランプ政権下で米NSCのロシア・欧州上級部長に任命されたフィオナ・ヒルとブルッキングス研究所のシニア・フェローを務めたクリフォード・G・ガディ。訳者は,濱野大道と千葉敏生。原題は,『Mr. Putin: Operative in the Kremlin』。
非常に実証的かつ体系的にまとめられているプーチン大統領理解のための必読書といった感の -
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変わりたくても変えられないという経験を人は皆、何回かしているのではないだろうか。「分かるとできるは違う」とか、「マインドとロジック」が必要とか、変えられない理由、変わるための方法として様々なコメントやアドアイスを耳にしたこともあるだろう。
しかし、それらを聞いて「それなら本当に変われそう!」と思ったことは、どのくらいあるだろうか?実際に変われただろうか?その答えがNoである人こそ、本書を読むべき人かもしれない。
本書では心理学実験や様々なケーススタディをもとに、どうすれば変われるかについて具体的な行動指針が明示されている。また、感情を「象」に、理性を「象使い」に例え、説明も分かりやすい。 -
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進路に悩む大学生、ビジネスマン、重要な選択をしていかなければいけない大人に是非読んでほしい一冊です。
私達は重要な決定にも関わらず、雰囲気や自分の一時的な感情で決めたりしがちで、本当に最善の選択をしたのかと悔いが残ることもあります。
また、組織の行動の決定においても、声の大きい人の意見が通り、それが失敗することもあります。また、そういった意思決定のプロセスが派閥を生んで組織がうまく機能しなくなることもあるかもしれません。
この本を読めば、どのように最善の決定をしていけばよいのかがわかります。内容は体系的に書かれていて、例も多く分かりやすいです。内容が濃いので何回か読み直たいものです。
本当に有 -
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新聞の書評で見て非常に興味をそそられたので早速読んでみたのですが、やはり正解でした。
ダーウィン、ケルヴィン、ポーリング、ホイル、アインシュタインという5人の科学者について、主要な科学的業績のわかりやすい説明とともに、特にそれぞれの晩年彼らが陥った、結果として誤っていた自説に対する固執を描かれており、科学の勉強になると同時に、非常におもしろい人間ドラマにもなっています。
ただ、自身科学者である作者の一貫した立場は、たとえ結果としては誤っていた説であろうと、世界の有様について深く考えた大きな仮説というのものは、それ自体として大きな意義のあるものであり、世の中に対する影響力の小さな「正しい説」より -
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遺伝のメカニズムを勘違いしていたチャールズ・ダーウィン。地球の熱伝導率が一定だと決めつけて地球の年齢を大幅に間違えたウィリアム・トムソン(ケルヴィン卿)。DNAが三重らせんだと主張したライナス・ポーリング。宇宙は定常であると信じたフレッド・ホイル。宇宙定数を自ら否定したアルベルト・アインシュタイン。科学史にその名を残した偉人たちがその業績の裏でどのような間違いを犯し、なぜそのような間違いをしてしまったのかを追求したノンフィクション。
偉人もひとりの人間であり、その間違いもまた至極、人間的でした。特にポーリングのエピソードがなかなか面白く、彼はライバルたちを出し抜くために思いついた「DNAの三 -
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ローマ帝国の崩壊が崩壊した理由、産業革命後にテイラーが構築した「科学的管理法」の功罪、世界が注目した「トヨタ生産方式」、そしてICTの発達した現代に至るまでの組織コミュニケーションの構造とその変化を振り返り、ソーシャルメディアでおなじみのグラフ理論を使って強い紐帯である凝縮性、弱い紐帯である多様性について前提事項として解説する。
本題は従業員のコミュニケーションをIoT(ソシオメトリックバッチ)を用いて分析した結果で在宅勤務の生産性、専門家の発掘、創造性の発露などから病気の感染まで、働き方やコミュニケーションの調整を図ることで生産性や従業員の満足度の向上に繋がる要因を見つけられると説く。「ピ -
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『アイデアのちから』『スイッチ!』の作者の第三弾。
『アイデアのちから』ではどうやったら人を説得できるか、わかってもらえるためにはどう伝えたらよいか、がテーマだった。『スイッチ!』では、自分も含めてひとが、そして組織が今までの行動を変化させるための具体的なやり方はどういうものか、がテーマである。
そしてこの『決定力!』では、何をどう決めていったらいいか、何か決めるときにどういうふうにすればいいのか、をテーマに選んでいる。
自分の考えをひとに伝えるときのよい方法、が最初の本のテーマだった。が、伝えてわかってもらっても行動につながらない、何もかわらない、ということがあるわけで、そこで次の本では、変 -
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「象使い」=理性、「象 」=感情、「道すじ」=環境になぞらえて、どのようにして人の行動を変化させていくかを3つの観点から教えてくれる。
行動を変たり変化を起こすポイントは次の3つだ。
①象使いに方向を教える=明確な支持を与える。
②象にやる気を与える=相手の感情に訴えかける。
③道すじを与える=環境を変化させる。
理性の弱点は考え過ぎて空回りすること。
ブライトスポット=上手くいっている例を探す=解決策を探すこと。
変化を起こすには「大事な一歩の台本を書くことが重要」
目標は具体的な行動の目標として設定する。
行動が反射的になればなるほどセルフコントロールが不要になり疲れにくくなり行動を継続