千葉敏生のレビュー一覧
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数学の辿ってきた軌跡を辿り、数学と世界の関係を考える。思慮に満ちた楽しい本だった。
問いを得て想像力と可能性を広げることで心が豊かになる、という教訓的な締め方も個人的に好きだった。
↓以下、この本を読んで考えた私見。
数学は人類の発明であり、世界について知るための有効な道具である。自然に則した認識的な公理に端を発して演繹的に厳密に組み上げられていく数学のプロセスと、対称性をもち秩序に満ちた世界との相性が非常によいために、数学の導く世界と実世界が高い精度で一致する。ただし、数学が表すのは世界のごく一部であり、数学や言語では表せないがゆえに私たちには認識できないものが世界には限りなく溢れている -
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クリエイティブ・マインドセット 想像力・好奇心・勇気が目覚める驚異の思考法
著:デイヴィッド・ケリー , トム・ケリー
訳:千葉 敏生
創造力に対する自信(クリエイティブ・コンフィデンス)とは、「自分には周囲の世界を変える力がある」という信念を指している。別の言い方をすれば、自分のしようと思っていることを実現できるという確信である。そして、自分の創造力を信じることこそ、イノベーションの「核心」をなすものである。
こうした自信は筋肉のようなものであり、努力や経験次第で、強くしたり鍛えたりできる。創造性は、新しいアイデア、解決策、アプローチを生み出すために発揮できる。そして、誰もがその力を使え -
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原題Chip War、(2022年10月刊)。
鉄鋼と石油(と愛国心教育)が20世紀80年代までの軍事の要だったように、チップには一般語で「木っ端≒つまらないもの」の意味があるが縦横10mmぐらいの半導体チップは21世紀の世界支配の要となっている。
65年提唱のムーアの法則「年間2倍」提唱の見事な長期的実現(途中から「2年で2倍」)。回路は三次元となり線幅2nm加工には超紫外線が必要となっている。
中国が世界の覇権国になるには進歩の速いチップ技術で最先端となる必要がある。それは軍事でもAIなど最新の応用に決定的な基幹技術で、早い話が半導体供給を大量生産廉売で押さえれば、産業の生死を押さえ -
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2024.4.19、TSMCの四半期決算が発表され過去最高の増収増益決算であった。売り上げは四分の1を占めるアップル向けスマホからエヌビデアなど生成AI向けサーバー需要(24年10%前半から28年までに20%以上に)の高単価先端品に移行中でAMD・メタなどからも広く受託生産を増やしている。最先端の2nm品は25年量産を目指し開発中で台湾で2拠点、米アリゾナで3工場建設中、「先端パッケージング」も台湾で増産・・・『日経新聞』の当日の記事である。
この決算発表の日、この本を読み終えた。
『半導体有事』に続いて面白く読めた。
半導体は人類の未来を左右するキーファクターだ。
序章に書いてある、「典型的 -
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クリス・ミラー著の半導体関連のビジネス書。本書はビジネス書として圧倒的な人気を誇っており、加えて、自身が春から半導体関連メーカーで働くため、読まない理由はなかった。本書は戦後から現在に至るまでの半導体の歴史を一冊にまとめた書籍である。産業の中心の米国目線で物語が書かれているため、日本のビジネス書にはない新鮮な目線で楽しみことができた。例えば、日本が米国から半導体の覇権を奪った1980年台では、日本国内では賞賛や歓喜といった喜ばしさ一色の記され方をされると思うが、本書では日本をかなり目の敵にしていて面白かった。本書が素晴らしい理由は圧倒的な文献引用数にあるといえる。そのため、なぜ出来事や発展衰退
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現代の国際政治、世界経済、軍事力のバランスを特徴づけてきた立役者は半導体である。では、いったいどのようにして、私たちの世界は100京個のトランジスタと替えのきかない一握りの企業によって特徴づけられるようになったのか?が本書のテーマである。
1945年に真空管を用いて初期の電子計算機が作られてから現在に至るまでの、各国政府や企業、技術者達による、半導体生産に関する熾烈な競争の歴史を知ることができる本だと感じた。
この本を読んで、半導体を使ったコンピューターががアメリカで生まれた経緯や、技術の発展に日本が果たした役割、半導体製造のオフショアリングによるアジア諸国の台頭、半導体製造の技術や装 -
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ネタバレ半導体の、短い歴史の濃密な物語を、足早に駆け抜ける。その様を雑だと当初は感じたが、読み終えて今、焦点がどこに定められていたかを知った今ではそう思わない。現在の世界情勢、具体的には米中摩擦を語るためだったのだ。
中国は半導体供給を台湾に大きく依存している。半導体製造は容易ではない。何千億ドルを投入して最先端を目指し、数年後に半導体製造を実現したとしても、そのときにはすでに最先端でなくなっている公算が非常に大きい。この投資に見合わないと競争をやめたかつてのメーカーは自前工場を持たず設計のみを行うファブレス企業へと転身した。半導体の能力の差が兵器の差になる。ロシアがウクライナで使用している兵器は無 -
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MITの「メディアラボらしい」本でした。仮にこの本の著者がわからず読んでも、「メディアラボ」の人が書いたのでは?と思わせるような臭いを発していました。本書は通常の経済成長・経済発展理論の本とは全く異なり、経済学、物理学、情報学のような複数の分野にまたがる非常に興味深い視野を提供してくれています。あえて経済学との関係で言えば、ヒダルゴ氏も述べているように、産業連関表を確立した経済学者ワシリー・レオンチェフのエッセンスを持っていると言えるかもしれません。経済発展理論の正統派(ソロー、ローマー、ルーカスの流れ)は、マクロの集計値(GDP等)を使って経済成長を説明しようとしますが、レオンチェフの産業連