【感想・ネタバレ】半導体戦争―――世界最重要テクノロジーをめぐる国家間の攻防のレビュー

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Posted by ブクログ

ここまで重要な半導体に対してなぜ今まで無知だったのか!と気付かさせる良書。
半導体をめぐる世界情勢の理解、投資で話題の半導体の今後を見据える上でも、必読だと思います。

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2024年05月06日

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2024.4.19、TSMCの四半期決算が発表され過去最高の増収増益決算であった。売り上げは四分の1を占めるアップル向けスマホからエヌビデアなど生成AI向けサーバー需要(24年10%前半から28年までに20%以上に)の高単価先端品に移行中でAMD・メタなどからも広く受託生産を増やしている。最先端の2nm品は25年量産を目指し開発中で台湾で2拠点、米アリゾナで3工場建設中、「先端パッケージング」も台湾で増産・・・『日経新聞』の当日の記事である。
この決算発表の日、この本を読み終えた。
『半導体有事』に続いて面白く読めた。
半導体は人類の未来を左右するキーファクターだ。
序章に書いてある、「典型的なチップは日本企業が保有するイギリス拠点の企業アームの設計図を使い、カルフォルニア州とイスラエルの技術者チームによって、アメリカ製の設計ソフトウェアを用いて設計される。完成した設計は超高純度のシリコン・ウェハーや特殊なガスを日本から購入している台湾の工場へと送られる。その設計は原子数個分の厚さしかない材料のエッチング、成膜、測定が可能な世界一精密な装置を用いてシリコンへと刻み込まれる。こうした装置を生産しているのは主に5社で1社がオランダ、1社が日本、3社がカルフォルニアの企業だ。その装置がなければ先進的な半導体を製造することは基本的に不可能だ。製造が終わると半導体はたいてい東南アジアでパッケージングとテストが行われ次に中国へと送られて携帯電話やコンピュータへと組み立てられる。」、半導体サプライチェーンのあらましである。     
又、「台湾製のチップは毎年世界の新たな計算能力の37%を生み出している。2社の韓国企業は世界のメモリ・チップの44%を生産している。オランダのASMLという企業は最先端の半導体の製造に欠かせない極端紫外線リソグラフィー装置を100%製造している。それと比べるとOPECの産油量の世界シェアなどとたんに色褪せて見えてくる。」とも書いている。
世界経済における半導体産業の重要性と開発競争の凄まじさ、地政学的駆け引きと日本メーカー復活の可能性など歴史や技術的細部もさらに掘り下げる。

ATTベル研究所のウイリアム・ショックレーが真空管を凌ぐトランジスタを発明し半導体研究所をパロアルトに設立することが口火を切る。テキサスインスツルメント社(TI)のジャック・ギルビーが半導体集積回路を発明する。ショックレーのもとを離れた「8人の反逆者」がフェアチャイルドセミコンダクター社(FT)を立ち上げシリコンバレーの始祖となる。
ベンチャーキャピタルのセコイアを創業するクライナー・パーキンスもその一人である。
ロバート・ノイスがジーン・ハーニーとメサ型(台形)をプレーナー型(平板)にして複数の電子部品をまとめる集積回路を作りそれを他の電子部品と結合してシリコンチップに統合する。ゴードン・ムーアらがその集積回路をNASAのアポロ計画や軍用ミサイル開発用に技術開発を進める。フォトリソグラフィという工程で配線をプリントし集積度・性能を向上させ「ムーアの法則」といわれる集積化の指数関数的進化が始まる。FT社のアンデイ・グローブやTI社のモーリス・チャン(TSMC創業者)らが集積化を進め、購買者を宇宙開発・軍用から民間の大衆市場向けに転換する。
「金持ちになりたい」をエネルギー源としたエリート達の凄まじい競争が展開される。
大型コンピュータ時代のIBM、PCのIntelとMicrosoft、スマホのARMとAppleとTSMC、AIのNvidea等々人や企業の多彩なビッグネームが次々と登場し、スタンフォード大学やMITも人材供給や技術開発のバックグラウンドになる。シリコンバレー発のドキュメンタリーパノラマは興奮ものだ。

技術や人、国の政策や企業の戦略についての徹底した調査と研究をふまえて、正確・冷静な描写で読み手を引き込む表現は絶妙で滑らかな翻訳も手伝いノンフィクションでありながら本格的な科学冒険小説を読んでいるようだ。
急速で不可逆なデジタル社会の進展下、最も重要で本質的な心臓部品である半導体にフォーカスし、将来の社会を洞察するための価値ある一冊であった。
クリス・ミラーのこの作品を五つ星の評価とした。

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2024年04月21日

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ライフラインが石油から半導体に変わりつつあり、故に世界の勢力図も不安定になり国家間の争いも段々と表面化してきているように思います。

世界で起きている国家間の争いを半導体の視点でみるとまた違った見え方ができるのではと思いました。

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2024年04月06日

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クリス・ミラー著の半導体関連のビジネス書。本書はビジネス書として圧倒的な人気を誇っており、加えて、自身が春から半導体関連メーカーで働くため、読まない理由はなかった。本書は戦後から現在に至るまでの半導体の歴史を一冊にまとめた書籍である。産業の中心の米国目線で物語が書かれているため、日本のビジネス書にはない新鮮な目線で楽しみことができた。例えば、日本が米国から半導体の覇権を奪った1980年台では、日本国内では賞賛や歓喜といった喜ばしさ一色の記され方をされると思うが、本書では日本をかなり目の敵にしていて面白かった。本書が素晴らしい理由は圧倒的な文献引用数にあるといえる。そのため、なぜ出来事や発展衰退が起こったかが、あまり専門知識を有さない私にも非常に分かりやすく理解できた。また、現在起こっている半導体バブルの原因も、ただ漠然と記事を読むだけでは決して理解できない理由も、本書を通じて多少理解ができるようになった。このように、様々な分野のインプットを行うことで、世の中の流れの解像度高くなることは非常に会館であり、死ぬまで続けていきたいと再確認した。さらに、本書を通じて半導体や技術の歴史やトレンドに加えて、地政学に対する関心が非常に強くなった。メーカー就職する前に読んでいて本当に良かった思わせる1冊だった。

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2024年03月02日

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熊本にTSMCが、北海道・千歳にはラピダスがやってきて、地元経済は活気に満ちているとのこと。自動運転車やスマホの進化もバンドあってこそ。サプライチェーンにおいて半導体はチョークポイントになっているーー。かつて半導体で世界を支配したとされた日本の地方や日々の生活でいま起きていることと、世界がつながる視点、視野、視座を持ちたいと思い読んだ。文字通り「半導体戦争」が起きていることを理解できるよい本でした。先に書いておくと、「2030半導体の地政学」(太田泰彦著、日本経済新聞出版)と併読すると、いっそう理解が深まるのでお勧めです。

個々のエピソードがとても面白い。アメリカ、ソ連、日本、韓国、台湾、ヨーロッパ、中国それぞれの覇権争いと棲み分け、起業家や大企業内部の破壊者といった個人の革新性と野心を通じたドラマがテンポよく展開される。いくら名経営者でもアンディ・グローブの下では働きたくないなあ、モリス・チャンはお釈迦様みたい変化の激しい業界で長く君臨できる強かさは恐ろしい、などなど感情移入しながら読めるのもこの本のおもしろさ。

アメリカの半導体産業の浮き沈みはジェットコースターのよう。そしてその裏側には冷戦、ベトナム戦争、湾岸戦争とつねに戦争があった。いまのウクライナ戦争やイスラエル・ハマス衝突もそうなのだろう。そして、米中新冷戦と呼ばれる状況もしかり。なので半導体戦争なのだ。

日本の話題については日本の専門メディアで読んだからディテールがやや物足りないのはやむなしとして、アメリカから見るとそうだったのかと気付かされる。東芝のおかれた状況、NANDの無念などは日本の関係者に示唆が多い。

見えてくる軸としても、民と官、自由と責任、リアルとバーチャル、ボーダレスエコノミーと経済安全保障、ファーストペンギンとキャズム、製品開発とルールづくり、などさまざま。一気に読めたけど、傍に置いてまた開きたいおきたい一冊。もう少し各社のランキングや地図入りの資料があると理解は深まるのだが、それは似た半導体本に豊富だったりするので、先の2030ーなどと一緒に読めばよいかもです。

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2024年02月03日

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現代の国際政治、世界経済、軍事力のバランスを特徴づけてきた立役者は半導体である。では、いったいどのようにして、私たちの世界は100京個のトランジスタと替えのきかない一握りの企業によって特徴づけられるようになったのか?が本書のテーマである。

 1945年に真空管を用いて初期の電子計算機が作られてから現在に至るまでの、各国政府や企業、技術者達による、半導体生産に関する熾烈な競争の歴史を知ることができる本だと感じた。

 この本を読んで、半導体を使ったコンピューターががアメリカで生まれた経緯や、技術の発展に日本が果たした役割、半導体製造のオフショアリングによるアジア諸国の台頭、半導体製造の技術や装置がたった数社に集中している状況など、半導体に関する非常に入り組んだ複雑なサプライチェーンの成立過程などを知ることができた。

 そして、単なる半導体に関わる製品の権利による経済的なことだけでなく、『半導体戦争』というタイトルが示す通り、半導体戦略は国家間の安全保障や国防などの分野にも密接に関係しているということがわかった。

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2024年02月01日

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半導体がこんなに世界情勢と密接だったとは。

何が議論になってたのかが、よくわかる、ものすごく勉強になる本でした

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2024年01月22日

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ネタバレ

半導体の、短い歴史の濃密な物語を、足早に駆け抜ける。その様を雑だと当初は感じたが、読み終えて今、焦点がどこに定められていたかを知った今ではそう思わない。現在の世界情勢、具体的には米中摩擦を語るためだったのだ。

中国は半導体供給を台湾に大きく依存している。半導体製造は容易ではない。何千億ドルを投入して数年後に半導体製造を可能にしたとしても、数年後には最先端でなくなっている公算が非常に大きい。この投資に見合わないと競争をやめたかつてのメーカーは自前工場を持たず設計のみを行うファブレス企業へと転身した。半導体の能力の差が兵器の差になる。ロシアがウクライナで使用している兵器は無誘導である率が高くなっているらしく、食洗機に使用するような半導体も兵器への転用が図られているという。
軍事においても半導体に非常に依存している状況において、それでもなお台湾有事は起こり得ると、著者はいう。ロシアのようなカッコ悪いことになった場合、半導体の供給なしで継戦することになるリスクを飲めば。

フランク・ハーバートはデューンでこんなカンジなコトを言った。「人間は水と酸素に中毒している。もうひとつくらい増えてもかまうまい」
現実の人類が罹患したかもしれない新たな中毒の名は半導体かもしれない。

アメリカもまた自前で最先端の半導体を製造することはできず、台湾有事が発生した場合、中国と同程度のリスクを負うことになる。

グローバル化というのはパックス・アメリカーナにおいては良い感じに働くが、世界革命やアナーキズムに天秤が傾くと途端にリスクとなる。

カネでいろいろと解決を図ろうとして自前をやめると、有事に大問題になりえるとわかっていても、やはりカネが大切なのでなにもしないというのは身近な例がいくつもあって、人は状況や歴史に学べないということを身に沁みて知る。

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2023年12月29日

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時系列で書かれていたのでとても分かり易かった。
また、今の世界情勢や日本の立ち位置がどの様に
形成されたかが私のような素人でも理解出来る内容だった。

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2023年12月11日

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面白い。およそ500ページを読ませる読ませる。タイトルに全く偽りなく、半導体の世界は既に起こっている戦争と言っても良いのかもしれない。そしてそれは今を生きるすべての人に影響するし、本質的にそこに関わることのできる国家も企業もごく僅かしかいない(そして日本の影響力はゼロではないけど薄い)ことに驚かされる。

Intel ceoパット・ゲルシンガーの言葉として
「石油の埋蔵場所は神が決めた。だが、工場の建設場所はわれわれ自身で決められる」という言葉が引かれている。p450

とは言っても最先端の半導体を作るために必要な投資、それ以上に製造を行うための技術、進歩をリードするための開発投資を行うことのできる企業は片手に満たないし、既にIntel自身が最先端にいないことを踏まえるとこの言葉も余り当たっていないかもしれない。油田のように突然思いもしない場所で噴き出ることはないとしても、どこでも最先端の半導体工場が建てられるかと言えば、それが人智の範囲ではあるとしてもそうではないだろう。
中東の石油、台湾の半導体、いずれもアメリカの影が濃い。現状の偶然さで言ったら台湾の半導体の方が高いかもしれない。

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2023年09月24日

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ボリュームが多いが、半導体の歴史と力関係、構造などがストーリー込で楽しく読めるように構成されている良書。半導体産業について理解したいならこの本は絶対に読むべき。

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2023年09月01日

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日本の半導体産業がなぜ衰退したのか、よく分かった。なんだかんだ言っても米国の思惑の影響なんだね。しかし中国の目と鼻の先のTSMCよりは日本の方がまだ良かったのでは…。
中国も相当汚い手を使うけど米国も自国第一だから、悪どさはどっこいどっこい。
熊本にできるTSMCも何世代も前の技術らしいし、日本は台湾には当分追い付けなさそう。
技術立国なんて昔の話なんだね。

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2023年09月01日

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半導体の発明開発から、現在までの半導体産業の発展歴史を描いた本。
半導体製造の仕組みも書いているので、知らない人でもわかりやすい。

日本が1980年代末になぜ半導体で負けたのかも全てではないがわかる。
よく思い込まれているのは半導体協定だが、根本的な問題は日本そのものにある。

中国がどれほど不公正で執念を燃やしているか
今の半導体の供給状況がいかに危ない橋を渡っているかもわかる。

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2023年07月01日

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北海道にRapidus最先端半導体工場ができる!
半導体のイロハを勉強 半導体3部作+深田萌絵
勉強のテーマを頂くのは幸せ!
半導体の歴史=「ムーアの法則」を実現
IT化による情報化社会を実現した 第4次産業革命
生産性の上昇に加え、大きな社会変革を実現した
①インターネット・クラウド
②コンピュータ→PC→スマホ
③AI
§39EUVリソグラフィー 2ナノ半導体
 ①技術開発 ムーアの法則?
 ②用途開発 軍事用から?
§42対中国問題 
米国世界戦略 最先端分野では対中国封じ
①TSMC(中国に通じている?) ②サムソン
Rapidus 1986日米半導体協定1985プラザ合意とセット  
→米国世界戦略の転換 朝鮮戦争特需と同じ
ただし付加価値の低い組立作業は中国に依存
中国との全面戦争はない米国も多大な犠牲が見込まれる
「習近平の台湾統一」の顔を立てる

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2023年06月14日

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半導体は技術の大躍進である。が、それ以上に国際的戦争でもあり、その発端は本当の戦争だった。軍事がそのモチベーションになり、今や経済戦争の中心であり、サプライチェーンを国家的に考える要となっている。
それは現代では計算処理能力の向上と小型化が世界的な関心であるからと言っても過言ではない。

各国が自国での回帰を求めるのは、グローバル化からの回帰ではなく、台湾一国集中足らしめた歴史の結果であり近代政治の方針だった。

一つ、日本のソニーが行脚したかつてのグローバリゼーションは、アメリカで生産された半導体を日本ならではの方法で商品化し、逆輸入的に商売をした上手さではあったが、これが当時のアメリカとして、そしてこれからの日本としても他国からの半導体購入であったことが反省点であるのかは疑問符が残る。

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2023年05月21日

購入済み

歴史を振り返る事の重要性

半導体の誕生から、現在の勢力分布に至るまでの歴史が分かりやすく纏められていて、頭の中が整理できた。

#深い #タメになる

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2023年03月12日

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サムスン、ASML、東芝、エルピーダ、テキサスインスツルメンツ、インテル、エヌビディア、ファーウェイ、TSMC、、、
それぞれが、それぞれの国を背負って、半導体戦争を行っていた経緯が、克明に記されていて、とても興味深かった。
いま、TSMCとエヌビディアが天下を取る世界を、30年前に予測するのは、難しかっただろうなぁ。。

いま、ソフトバンクがARMを持っているわけで、エルピーダの技術や、周辺作業の厚みを考えたら、日本が、覇権を握ることも出来たのでは、、、と、少し残念にも思った。

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2024年05月03日

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ネタバレ

【ハードウェアの中身】
あらためて、私たちは無形のサービスではなく、物理的な資源やモノがあって初めて生活が成り立っているのだと考える。

この本の原題『Chip War: The Fight for the World's Most Critical Technology 』で、チップという形で人間が発明した半導体という技術作品が、いかに私たちの生活品の中に組み込まれていて、その半導体の技術の発展と普及が、地政学的な展開上に成り立っていることを示している。

例えば今現在私たちが使用しているスマートフォンの製造には、様々な国をまたぐサプライチェーンから成り立っていることは、「グローバル化」についての授業などでよく聞く話だけれど、

今回提示されているのは、半導体を必須とするこれらの生活用品は、東アジア、とくに台湾への依存が進んでいるということ。

一つの機器の製造が複雑化する分、サプライチェーンはグローバル化しつつも、中核となる部品においては、多角化ではなく一点集中、競争からの独占、といった現象が生じていること。

これを、特に筆者の国、アメリカの視点から、安全保障上のリスクとして警鐘を鳴らしている。

20世紀半ば、シリコンバレーの創設者とされる人々の手により発明されたこの技術は、当時の冷戦を背景に、一時は国防のための技術としても発展してきた。

半導体チップのチップ当たりのトランジスタ集積密度の指数関数的な増加を予測する「ムーアの法則」という言葉を生み出したのも、当時のシリコンバレー創設者たちであった。

その予測を実現する形で、今日私たちが使っている半導体チップは1平方センチメートル当たり100億個のトランジスタを搭載するものとなっていると知る。

つまり、半導体チップの微細化がムーアの法則に従って進んできた。

本書では、その過程で突破口を見出してきた個々人について、そして国家間の関係性の移り変わりについて、具体的な人物を紹介しながら論じられている。

当初は、アメリカとソ連間で繰り広げられた戦争は、

今日、米中間に主戦地を移している。

半導体サプライチェーンが、台湾という地政学的な要所を核として武器化していること、

これは米中関係にとどまらず、世界の国際秩序を揺るがすリスクを含んでいるものであり、日本は最も高リスクな関係上に位置していると考えざるを得ない。

インターネットやソフトな技術が注目されてきたIT革命だけれど、半導体の今を知ることで、本当に現実主義的な国際関係が見えてくる。

だからと言って自分に何ができるかと問われると答えられないけれど、

日々使っている技術が、常にあるものとは限らないこと、国際関係のバランスゲームは、私たちの普段の生活を簡単に揺るがしかねないものであることを教えてくれる

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2024年03月24日

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20世紀は石油資源を争い世界大戦となったが、21世紀は「半導体」が戦争に関連し戦争には最先端半導体が鍵となる。 地政学にも半導体は多いに関係する、台湾だ。アメリカをリーダーとする西側諸国はオフショアリングとフレンドショアリングにより友好国が半導体産業の肝を握っている。超大国となりつつある中国の台頭にアメリカは中国に対して半導体輸出規制を友好国でしHUAWEIを弱体化させ一歩先に速く行く戦略を取るが。中国は軍事力でも力を付け台湾海峡を制圧出来る力は有にある、中国は台湾のTSMCが欲しいのだ。

それが近年囁かれる一つの中国を肝にした、台湾侵攻の可能性。付け焼き刃の技術力では身に付かない先端半導体技術を中国が得られば中国は超大国アメリカに肩を並べて越す可能性が出てくる。 ロシアはウクライナに侵攻した、可能性はゼロではない。


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2024年01月29日

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半導体の歴史を概略でつかめる。
著者は若いアメリカ人なのでアメリカ中心の記述。半導体という産業の中心もまたアメリカだし。深掘り度はない。文献を取り寄せて読んで一冊にまとめましたくらいの感じ。

個々の企業の栄枯盛衰、一国の産業の興亡というのはやはり国際経済、一国の経済、金利、技術のトレンド、、時代の流れ、国際関係などが大きく影響するもの。

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●60年代~アメリカで半導体産業が勃興。軍事利用メイン。東南アジアに半導体工場が点在、冷戦で自由主義陣営につなぎとめるための工場と給与所得をアジア労働者に供与。
●70年代、ベトナム戦争で誘導弾デビュー、兵器に半導体。技術的優位=軍事的優位。米国の時代。ソ連は半導体開発競争についてはいけずコピー戦略へ=ずっと遅れ続けることを受け入れた。
●80年代~民需が爆発、日本の時代。米国は超インフレで高金利になり産業壊滅。日本は国家の後押し。貿易摩擦。自由貿易とはあくまでも米国というプラットフォームの上で成り立っているもの。それを忘れて傲慢になった日本。NOと言える日本。「西側につなぎとめるために利益を与えてきたが大きくなりすぎたようだな」米国は日本への対抗から新技術をオランダのASMLに供与、台湾、韓国へ投資。日本は凋落。
●90年代~韓国、そして台湾が台頭、アメリカの復活。より強力な国家の後押し。日本の補助金などかわいいものだった。パソコン需要が爆発。マイクロソフトとインテルが独占。
●2000年代~TSMC、、先端半導体量産を独占。キャッチアップが不可能な領域へ。半導体と安保の融合。中国追放。エヌビディア。

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2023年11月28日

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半導体の複雑なサプライチェーンと、そのような状態になった背景がドラマチックに描かれている。専門的な記載はわからない部分もあったが、ストーリー性があって最後まで面白かった。中国の台湾侵攻があったら世界は大変だ。

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2023年10月21日

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半導体産業の創生から現在までの興盛と攻防について。古い表現だが「産業の米」といわれる現代の最重要物資である半導体の歴史は読み応えがあって面白い。米国視点での著作物のため対敵国は、かつては日本、いまは中国となっている。しかしその戦いは政治面・産業面よりむしろ微細化・生産技術に対する科学と人間との戦争であったといえよう。いまやどの製品にも欠かせない半導体は高度な生産技術や多種多様な装置、複雑なサプライチェーンによって超グローバル工業品であり自然災害や人災、地政学等あらゆるリスクに影響を受ける存在となっている。それが転じて「武器化した相互依存」となり米中の一進一退の睨み合いという新たな軍事抗争の様相を呈している。こうした経緯を知るとTSMC工場の熊本誘致やラピダスの千歳工場建設などをより深く理解できる。

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2023年09月26日

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技術開設ものは多いが、社会的な背景と変遷についてここまでかかれた本は希少か。
国際的な技術分布と合わせて、この業界への興味をかき立てる、という点で貴重な一冊。

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2023年07月14日

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戦後からの半導体の歴史
台湾 アメリカ 日本 中国が話題の中心
ソニーの盛田さんのロビー活動の話題が多い

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2023年07月02日

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半導体の歴史が俯瞰できる良書。
ファウンドリーとして世界一の能力を持つTSMCの重要性と地理的な危うさをよく理解できた。

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2023年06月27日

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半導体チップの開発と発展の歴史がよくわかった。冷戦でのアメリカの勝利は旧来型兵器の質と量で優位になりつつも半導体技術で決定的に遅れをとったソ連への技術的競争優位が決め手になったこと、ベトナム戦争でハイテク化の萌芽が見られ湾岸戦争で世界が明確にハイテク兵器の脅威を感じ、中国が挑戦していることなど。
た、半導体チップの機能単位のアーキテクチャーであるIPの提供企業、IPの顧客でありチップの設計を行う設計企業(多くは自社では製造を行わないファブレス企業)、EUVリソグラフィ装置などの製造装置メーカー、半導体を製造するファウンドリ、などのサプライチェーンの構造の概略も理解できた。
そして、現状、半導体製造工程は世界中(ほぼ西側陣営)に存在する企業が重要な役割を担っており、最先端半導体を製造できるファウンドリはTSMC、サムスン、インテルだけで特にTSMCが世界の約4割を製造していること、EUVリソグラフィ装置ではオランダのASMLが唯一の製造者であるなど、これほどの重要物資の製造工程のいくつかの重要ポイントが恐ろしいほどに少数の企業に握られている。これを一から模倣したり再現するのはコストと労力の観点で事実上不可能であり、中国は表向きこの難事に挑戦しているように見えるが、実際は西側との決定的な対決を避けながら段階的にクリティカルポイントを押さえていこうとしている。
そのような中、台湾海峡の緊張は、世界を揺るがす問題であり、TSMCをはじめとする製造機能を防衛の手段として有効活用したい台湾と、これを手に入れたい中国、台湾一極集中から自国にクリティカルポイントを引き入れたい西側諸国、など思惑が絡み合っているという、半導体という重要物資を切り口にした世界の構図の見えかたに触れることができ、極めて興味深かった。
星4つ。

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2023年06月03日

Posted by ブクログ

面白いけど内容は難しい。
冒頭に用語集があったり読みやすさへの配慮はあるが、歴史やIT知識、国際情勢への理解がある人のほうがより一層楽しめる1冊。難しい箇所は読み飛ばしてしまったが、技術の奪い合いでスパイを紛れ込ませるも、実物を盗んだのに中身が難しすぎて技術まで真似できなかったエピソードなどただ箇条書きにするような本とは違って、登場人物に人間みもある(ただヒトもいっぱい出てくる…)。
株をやっている人にもオススメ。各国の誰しもが聞いたことのある有名企業の盛衰を辿ることができる。

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2024年03月03日

Posted by ブクログ

競争する気持ちはわからなくもないが、度を越しているように思う。あまったエネルギーを自国のためではなく、世界のために使おうというリーダーは出てこないものか。

安いだけの理由で、ファーウェイの製品は買えなくなる。

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2024年01月27日

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地政学的リスクの高いTSMCに、最先端の半導体がほぼ依存している事の危険性を、改めて認識させてくれる。
日本も国策で最新の半導体を作れる会社を作ろうとしているが、本当に巨額投資を続ける事が出来るのか、甚だ疑問だ。

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2023年12月25日

Posted by ブクログ

デバッキング(虫取り)の語源は、その当時の電子計算機はで使われていた真空管は電球のように白熱をしたため虫が寄ってきてしまい、それを取り除く行為から

半導体産業は3つのカテゴリーに分類できる
①「ロジック」と呼ばれるスマートフォン、コンピュータ、サーバを動かすプロセッサのこと

②「メモリ」と呼ばれる一時的な記憶を提供するDRAMと、長期的にデータを記憶するNAND「フラッシュ」のこと

③センサーなどのアナログチップや携帯などの無線周波数チップや、機器の電力消費を制御する半導体など

アナログチップはトランジスタの微細化が重要なのではなく、巧みな設計の方が重要な意味を持つ。
今日の最大のアナログチップメーカーはテキサス・インスツルメンツ。


半導体もやはり兵器利用から

日本はアメリカ企業が日本国内で販売できるチップの数に制限を課すなどの保護主義的な政策をとっていた

カーバー・ミードとリン・コンウェイがコンピュータプログラムによる半導体設計の自動化の道を開いた。
半導体界のグーテンベルク革命

アプライド・マテリアルズ=加工中のシリコン・ウェハー上に回路をエッチングする専門技術をもつ世界最大の半導体製造装置メーカー

エヌビディア=世界最大のグラフィクチップ(GPU)製造会社
エヌビディアが画期的だったのは、GPUを標準的なプログラミング言語でプログラミングできるソフトウェアを開発し、すべてのプログラマーがエヌビディアのチップを使えるようにした。

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2024年03月30日

Posted by ブクログ

真空管からトランジスタへ
フェアチャイルド アポロ計画用 誘導コンピューター
テキサスインスツルメンツ ミニットマンⅡ 誘導コンピューター

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2023年07月27日

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