現代の国際政治、世界経済、軍事力のバランスを特徴づけてきた立役者は半導体である。では、いったいどのようにして、私たちの世界は100京個のトランジスタと替えのきかない一握りの企業によって特徴づけられるようになったのか?が本書のテーマである。
1945年に真空管を用いて初期の電子計算機が作られてから
...続きを読む現在に至るまでの、各国政府や企業、技術者達による、半導体生産に関する熾烈な競争の歴史を知ることができる本だと感じた。
この本を読んで、半導体を使ったコンピューターががアメリカで生まれた経緯や、技術の発展に日本が果たした役割、半導体製造のオフショアリングによるアジア諸国の台頭、半導体製造の技術や装置がたった数社に集中している状況など、半導体に関する非常に入り組んだ複雑なサプライチェーンの成立過程などを知ることができた。
そして、単なる半導体に関わる製品の権利による経済的なことだけでなく、『半導体戦争』というタイトルが示す通り、半導体戦略は国家間の安全保障や国防などの分野にも密接に関係しているということがわかった。