千葉敏生のレビュー一覧
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交渉術の勉強、という事で興味をもって手に取った。実際の交渉をイメージしながら自らも思考を巡らせるという点で良かったのだが、だいぶ冗長である。著者が力説する典型的なパターンがあり、それは2者が貢献して獲得した成果物をどう分け合うか、という話が前提となるが「例えば、出資が多いほうが成果物を多めに貰う」という考え方は必ずしも正しいわけではない、という話。
ー まったく異なる役割を果たす当事者どうしの貢献度が等しいというのは、なかなか理解しづらい。だからこそ、会社や投資額などの規模の大きい側が、ふつうは交渉において多くの取り分を得るのだ。ほとんどの人は、貢献度は規模と比例しているので対等ではない、と -
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ネタバレ物価が上がるインフレと貨幣が下落するインフレ。
MV=PT交換方程式。トートロジー的方程式。
MMTが支持を集めたのはインフレが長く抑制されたから。財政支配を支持しているが、虚構の世界。
インフレの代償は表面化するまで時間がかかる。
マクロ経済刺激によって失業率を下げようとしても、インフレが加速するだけ=フィリップス曲線は幻想。
金融当局が財政を支配しないとインフレになるのは当然。
パンデミック、ウクライナ、ロックダウンによるサプライチェーンの毀損、によってインフレが起きた。だけなら戻る可能性もある。戦争の終結が物価の安定に繋がる。
巨大な政府支出がこの先、どこに収まるのか。
テイラール -
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ネタバレ風はろうそくの火を消すが、炎を燃え上がらせる。風は避けるのではなく利用する。
耐久性や頑健性ではなく、反脆いものは、耐えるだけでなく利用する。
リスクを計算するのではなく、利用する方法を学ぶ。
危機を生み出しているのは身銭を切らない人たち。
ブラックスワンは後で考えると、予測が可能だったかのように見える。まれなことは発生頻度は計算できない。
「ソビエト=ハーバード流の錯覚」=科学的知識の適合範囲を非科学的に過大評価する現象。
ホルミシス=少量の毒が効用を持つ=低容量の放射線が役に立つ場合がある。ホメオパシーとは違うもの。
過剰補償のメカニズム=くたくたになったら休むよりも別の運動をした方が -
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ネタバレギャンブルをネタに、数学の幅広い分野について語られる。
数学を扱ったポピュラー・サイエンスの本で、全く数式を使っていないことを売りにしている本が時々あるがかえって読みにくい。これぐらい(具体的な内容の数式がパラパラ出る程度)がバランスがよいように思う。
・パレートの法則が本当にすばらしいのは、そうしたパターンをグラフにプロットすると、べき乗分布に従うという点だ。つまり、分布の任意の部分が分布全体に対する自己相似性を示すという点で、フラクタルのようにふるまうのである。たとえば、全人口の20%が富の80%を保有しているとすると、その20%の富裕層のそのまた20%が富裕層の富の80%を保有している -
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確実に「意識」というものに迫り、解説してくれるのだが、一つ一つの言葉の定義が半端なままで展開される論説に揺さぶられ、時々、手ごたえを感じて言葉を握りしめる。手を開くと、そこに部分的な理解が得られているという読書。
明示的な知性と非明示的な知性。
心と意識は別。意識と覚醒も別。
ー 私たちの感じるものはすべて、私たちの内部の状態と対応している。内受容の仕組みにより、感じることに言葉の力が不要。血管や皮膚、内臓や内分泌腺、生殖器は、感情を生み出す宇宙だ。麻酔は心に作用するわけではないが、感知機能をブロックされると、心が機能し得ない。意識も同様。脳幹上部の前部が損傷を受けても、昏睡は生じないし、 -
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大好きなスタンフォードシリーズを久々に見かけたので思わず読んでしまいました。
人生デザインというタイトルでしたが、主に職場やキャリアについて書かれていました。
モチベーションをどのように保つのか、キャリアアップのためには何が必要なのかなどが書かれておりました。
私が印象に残ったのは社内政治の章です。自分には権限がないからといって諦めるのではなく、権限がなくとも自分の意見が通るためにどう操るのかということが大切だと述べています。私は操るといったことが得意ではないので「影響力を持つように爆速で出世する」もしくは「影響力のある人に絞ってプレゼンしにいく」と言うことなら実践できると思いました。
そのた -
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2024/1/12 読みたい
冒頭の表現がSNSで紹介されていて、とても面白い思考実験だと思ったので購入。
2024/2/19 読み終わった
「長期主義」という考え方についての本。長期主義について一言で言うと、「未来のために今いいことをしよう!」という考え方。この考え方がなぜ合理的なのかを全体に亘って解説している、という感じだった。
未来のためになることを、と言われて、そりゃそうだし、そうした方がいいと言う人がいるのはわかる。でも未来の不確実性の方が勝つんじゃないかなーと浅い感想。そもそも「良い」の定義が難しい。本の中では人類の滅亡を最悪のパターンの一つとして例示しているけど、それが悪いこと -
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お喋りな友人はいるだろうか。纏まらない会話を文字数制限無視して喋り倒し、聞いてもいないのに説明口調で話し続ける。勝手に脱線する。ボールキープし続けて、パスも出さないしキャッチボールもしない。自分の足下にボールを落とし、自ら拾って話し続けるのだ。知識もひけらかしたいのだろう、連鎖反応で注釈まで添えてくる。そんな人と会話すると、相槌さえも自殺行為になるから、ただただその場を切り上げる作戦に集中する。文字通り、我々は、そうした存在に時間と寿命を奪われている。
本著は、そうした存在を本に閉じ込めたような仕立てだ。読書に体力がいる。その疲労感により、重みのある読書だという錯覚を味わう事も可能だが、多く -
Posted by ブクログ
言いたい事は、分かる気もするが。
一つ抽象概念を打ち立て、これも当てはまる、こんな良い事がある、という創作本であり、こじ付けにも見えるので取り留めがない。「反脆弱性」という概念だが、ホルミシス反応とか、具体例でいうと、恐らくワクチン反応みたいな事だろうし、失敗は成功のもと、とか。他にも、心的外傷後成長、雑音が集中力を高めると言うような過剰補償、一定限度までであればストレスがプラスに働く効果とか。骨は一時的なストレスがかかると密度が高くなる。
そういう作用はあるだろうが、それらを抽象化させて反脆さ、と言われても。当てはまらない例も無数にあるが、それを無視してはあまり論理的な話ではないし、何だ