千葉敏生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「デザイン思考」といえば、まずはこれを読むべきなのかもしれないと思いつつ、なんだか読みにくい感じがあった。今回、「アップデート版」がでたのを機に読んでみた。
う〜ん、やっぱ読みにくい感じはあるな。
事例はたくさんあるが、もう少し詳しく説明してほしい感じが残って、具体的というよりやや抽象的なコンセプトを読んでいる感じになってしまう。
とはいえ、何冊か、デザイン思考の具体的なツールの本は読んでいたので、なんとなくわからなくはない。
この本のよいところは、デザイン思考やり方がどんなものかがわかるというより、その姿勢というか、思考の方向性をしかっりと伝えようとしていることかな?
つまり、デザイン思考といっても決まった代表ツールがあるわけではなく、思考のあり方を変えるものということなんだろうな。
思考のあり方の一番大事なポイントは「人間中心」ということなのかな?
そこを原点に、個々の製品やサービスのデザインを考えるということに限定せず、より大きなシステムのなかでの顧客経験というか、人間の経験をデザインし直していくこと。
いろいろなデザインの行き着く大きなシステムは、持続可能な社会ということになるわけで、それを人間を中心に置くことで具体的にシステムを変革していこうというチャレンジ。
これはある意味、システム思考とも相性がよさそうだし、学習する組織などとの親和性も高い感じもする。
というわけで、デザイン思考の位置付けみたいなのがよくわかったのは、大きな収穫なのだが、やはりもうちょっと具体的なhow toも欲しかった気もして、個人的な満足度としては普通かな?
きっといい本なんだとは思うのだが。。。。 -
Posted by ブクログ
イノベーションとデザインのコンサルティングをしている著者による、創造的な発想とその実現についての話。ハーバード的な教育に基づく内容。実例もあってわかりやすい。学術的な理論を重視するのではなく、結局は、セミナーやブレーンストーミングを通じてやり方を身に着け、小さな成功を積み重ねることによって自信を持たせるということだと思う。
「クリエイティブ・コンフィデンスには、欠かせない要素が2つあります。斬新なアイデアを思いつく人間生来の能力と、アイデアを行動に変える自信です」p1
「(「天才的な想像力の持ち主は失敗しない」というのは誤り)モーツァルトのような芸術家から、ダーウィンのような科学者まで、天才的な想像力の持ち主は、失敗の数も多い。ただ、失敗したからといって、それを挑戦をやめる口実にしないというだけだ。「天才的ひらめき」が訪れるのは、ほかの人よりも成功率が高いからではない。単に、挑戦する回数が多いだけなのだ」p66
「(ケン・ロビンソン卿)本来、教育というシステムは、私たちの生まれ持つ能力を伸ばし、私たちを世界で成功させるためにあるはずだ。ところが実際には、あまりにも多くの学生が教育によって才能や能力を抑えつけられ、学習意欲を失っているのだ」p88
「創造性を手に入れるには、人と比べるのをやめるのが1つの方法なのだ。人と同調すること、他人の成功に追いつくことばかり考えていては、創造活動に付きものであるリスクを冒し、道を開拓することはできないだろう」p91
「イノベーションの火種になるのは、飽くなき知的好奇心、楽観主義、最終的な成功のために何度も失敗することを受け入れる能力、懸命に働く意欲、アイデアだけでなく行動を重視する考え方なのだ」p111
「組織、共同体、国家が繁栄するためには、行動を起こし、すばやいイノベーション・サイクルを開始し、なるべく早く実践から教訓を学ぶべきだ。そうすれば、ライバルたちがスタートラインでぐずぐずしているあいだに、全力疾走できるのだ」p166
「コダックは、20世紀に大成功した化学薬品主体の事業にこだわるあまり、21世紀のデジタル世界への投資を怠った。コダックが経営破綻という結果を迎えたのは、情報不足のせいではない。洞察を有効な行動へ変えられなかったからだ」p173
「(陶芸教室)教師は、クラスを2つに分けた。作品の質に基づいて成績をつけるクラスと、作品の量に基づいて成績をつけるクラスだ。「質」で評価される学生は、完璧な陶芸作品を作り上げるために全身全霊を注いだ。一方、「量」で評価される学生は、毎回ノンストップでろくろを回し続けた。そして、この実験の結果はもうおわかりだろう。学生たちの直観とは裏腹に、優秀な作品を作ったのは「量」で評価される学生たちばかりだった」p176
「準備が整う前に、アイデアを世に放つべし。まだ開発作業が残っていても、現実の世界での市場テストは貴重な洞察の源になりうるのだ」p204
「分析的な頭脳の持ち主は、たいてい行動を二の次にしてしまいます。しかし、何かに興奮したら、とにかく行動を起こすことが重要です」p208 -
Posted by ブクログ
反脆いという概念って何だろ?と手にとってみた。冒頭、「衝撃を利益に変えるものがある。変動性、ランダム性、無秩序、ストレスにさらされると成長・繁栄する。そして、冒険、リスク、不確実性を愛する。」って、ドラゴンボールの孫悟空みたいなものかと。
「第1部の反脆さとは」、「第2部 現代性と、反脆さの否定」、「第3部 予測無用の世界観」と、例えば進化、例えば歴史、例えば医療と、他にも様々なエピソードを用いて、反脆い状況の説明と素晴らしさが書かれている。本の半分くらいまでは、これは、良い本なんじゃないか?という期待のもと読み進めたが、後半から、自説に対する批判的な人への攻撃的な物言い(たぶん、デブのトニーは筆者の事なんだろう)が鼻に付く。そして、どんどん、株の取引をやった人なら知っているであろうオプション取引のロングポジションが筆者の思考のベースにあって、前半のエピソードは、それを展開した物なんだなと思ってしまい、反脆いの概念が筆者が言うように分からなくなってしまった… 情報の非対称性の連呼とか、トレーダー目線丸出しに思えるのだ。
この本やエピソードのそれぞれは成る程と思ったのは、これまでの既成事実を疑ってみる視点。ただ、反脆いというのかそれは?と。
概念理解なんてどうでも良くて、うまいことやれや!って言うのが、デブのトニーのスタイルなんだし、まあ、読んだ人が、良いとこどり出来れば筆者の主張の通りなんだろう。
筆者は、ナシーム・ニコラス・タレブ氏で、肩書きは、哲学者と名乗っている模様。もとはトレーダー。
文書から滲み出る自己中心的な性格から、編集者のアドバイスも聞かなかったんだろうし、翻訳者も大変だったんだろうと推察されます。
善か悪か、右か左か、白か黒かみたいな概念がベースになっていると、一旦悪い方に倒れたんだけど、結果、良い方向になった的な、ダイナミックな概念として”反脆い”という言葉で定義してエピソード満載にしたところがこの本の価値?
この「反脆い」、日本語だと、「雨降って地固まる」、「転ばぬ先の杖」、「七転び八起き」などいくつもの表現があるように思える。
下巻に入り始めたが、同じ事を他の章で書いてるから読まなくて良いと筆者が言う第5部は、エピソードを読んでみると、それって運動量の考え方だと自明すぎない?と思ったり、なんか違和感あったけど、ページ数も上巻より少ないので、一応最後まで読んでみるつもり。
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Posted by ブクログ
ネタバレ「麻薬カルテルのボスとグローバル企業のCEOが考えることはよく似ている」という発想が面白い。たしかに、サプライチェーン、人材獲得、オフショアリング、ネット販売など、リアル産業と裏産業には共通点らしきものが見える。
その上で、著者は、現在各国が採る麻薬対策、特に供給面、具体的には生産国や経由・密輸国への対策よりも、需要面、つまり消費国における啓蒙や更生プログラムに資金を投じたり、、場合によっては麻薬の合法化など消費面の規制の枠組みを見直した方がずっと効果的であるとする。これも経済学的なアプローチとして興味深い。
麻薬問題に対する正しい政策が何なのか、答えは容易には見出せないが、経済学の視点から解くとどうなるかについて、鮮やかに描いてみせている。 -
Posted by ブクログ
本来、情報は物理的なものだ。ボルツマンの原子やその運動エネルギーと同じくらい、物理的な意味を持つのだ。確かに、情報は触れない。固体でも液体でもない。情報の粒子があるわけでもない。それでも、同じく固有の粒子を持たない運動や温度と同じくらい物理的なものだ。情報は実体を持たないが、いつでも物理的に具象化されている。情報はモノではない。むしろ、物理的なモノの「配列」、つまり物理的秩序といえる。p19
経済とは、人々が知識やノウハウを蓄積して物理的秩序(つまり製品)を生み出し、知識やノウハウ、ひいては情報をいっそう蓄積していく能力を増強するためのシステムなのである。p35
人間はコミュニケーションのためだけではなく、お互いの能力を増強するために情報を具象化する。そのために、モノを通じて、知識、ノウハウ、想像力の実用的用途を利用できるようにするわけだ。p108
知識やノウハウの広がりは、国家のモノ作り能力の差につながる。そしてモノ作り能力の差とは、実際には情報を成長させる能力の差のことなのだ。p172
21世紀を迎えた時点で、私たちは5つの要素で経済成長を理解するようになったー物的資本、人的資本、社会関係資本(これには社会制度も含まれる)、土地(鉱物資源、気候、海洋アクセスなどの地理的要因も含まれる)、労働(つまり人々)である。p198
ひとりが具象化できる知識やノウハウんの最大量のことを1パーソンバイトと呼んだ。
パーソンバイト理論は、ある経済活動の複雑さと、その経済活動の実行に必要な社会的ネットワークや職業的ネットワークの規模とのあいだに関係があることを示している。より多くの知識やノウハウが必要な活動を実行するには、それだけ巨大なネットワークが必要になる。この関係から、地球上の産業の構造と発展が説明できる。パーソンバイト理論は、次のことを示唆している。①単純な経済活動ほど多くの場所で見られる。②複雑な経済活動を実行できるのは多様化した経済だけである。③国々は関連する製品へと多様化していく。④長期的に見ると、ある地域の所得水準はその経済の複雑性の度合いへと近づいていく。経済複雑性は、ある地域が生産し輸出する製品の構成を調べることで近似できる。製品やその地域に知識やノウハウが存在することを物語るからだ。p231