千葉敏生のレビュー一覧
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面白い。
東ロンドンの貧しい家に生まれた著者は、類まれな数学の才能を武器にトレーダーとして成り上がっていく。
大金を稼いでいくのだが、その一方で虚無感が募っていく。
タイトルにあるようなトレーダーとして活躍していた時の葛藤や信念、責任感やプレッシャーなどに物語の焦点があたっているではなく、トレーダー時代を経た自分の人生がどのように変わっていったかを中心に描かれる自伝的な内容。
「欲望と幻想の市場」の様なトレーダーにとっての箴言などは軽め。
文章がサラサラしていて読みやすいのだが、その分状況説明があっさりしていて、わかりにくい部分もあるが、読み物としては面白かった。
世界の格差が広がり -
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正しく物事を判断するために、確立思考を身につけたいと考えていたが、人間は本質的には統計に強くない、ということが本書から分かった。少ない標本で誤った結論を導いたり、特定の選択肢を過大/過小評価してしまったりしている。引用も多いため、参考になる。
以下自分用メモ。
1. 指数関数的な成長を見つける。魔法の種は存在しないが、目の前のものが何年で2倍になるか(72の法則)は常に見極める必要あり。なお、本当は71or69が正確。
2 ギャンブルでは破産を防ぐことが重要。せっかく確率的に勝利が近づいていても、破産してしまうと勝負すらできない。なお、ギャンブルではハウスエッジ(胴元の取り分)の考慮が必 -
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半導体の歴史について、バリューチェーンと各国との関係性の観点から、アメリカを中心に俯瞰的に勉強できたと思います。
個人的に文章が冗長に感じ、基本的に各章の最初と最後の段落さえ読めば追っていけるような気がしました。ジャーナリズムというか、ドキュメンタリーチックなストーリー仕立てにしたかったのかもしれないのですが、あまり入り込めませんでした。
また、設計・装置・製造に関する各国のプレイヤーやアメリカ、中国、ソ連といった主要国の政策を知ることができましたが、技術的な構造については、本書からではイメージしにくく、別で技術補完したいなと思いました。 -
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効率的市場仮説の不完全性を補完する新しい考え方についての経済本。600ページの分厚さだけど、著者のポエムや昔話などもかなりのボリュームがあって、無味乾燥でお堅い学説といった雰囲気は無い。
金融市場は経済法則だけで動くものではなく、人間が進化の過程で獲得してきた特質によって生物学的に説明されるとしている。
どこまでの範囲を仮説と呼んでいるのか?事例紹介はあるけれど科学的根拠の裏付けがあるのか?など、不明点はいろいろあるけれど、考え方として面白いなと感じた。
■基本原理
・人間は常に合理的でも非合理的でもない。進化によって特徴づけられる気まぐれな存在である。
・人間の行動にはバイアスがある。 -
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交渉術の勉強、という事で興味をもって手に取った。実際の交渉をイメージしながら自らも思考を巡らせるという点で良かったのだが、だいぶ冗長である。著者が力説する典型的なパターンがあり、それは2者が貢献して獲得した成果物をどう分け合うか、という話が前提となるが「例えば、出資が多いほうが成果物を多めに貰う」という考え方は必ずしも正しいわけではない、という話。
ー まったく異なる役割を果たす当事者どうしの貢献度が等しいというのは、なかなか理解しづらい。だからこそ、会社や投資額などの規模の大きい側が、ふつうは交渉において多くの取り分を得るのだ。ほとんどの人は、貢献度は規模と比例しているので対等ではない、と -
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ネタバレ物価が上がるインフレと貨幣が下落するインフレ。
MV=PT交換方程式。トートロジー的方程式。
MMTが支持を集めたのはインフレが長く抑制されたから。財政支配を支持しているが、虚構の世界。
インフレの代償は表面化するまで時間がかかる。
マクロ経済刺激によって失業率を下げようとしても、インフレが加速するだけ=フィリップス曲線は幻想。
金融当局が財政を支配しないとインフレになるのは当然。
パンデミック、ウクライナ、ロックダウンによるサプライチェーンの毀損、によってインフレが起きた。だけなら戻る可能性もある。戦争の終結が物価の安定に繋がる。
巨大な政府支出がこの先、どこに収まるのか。
テイラール -
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ネタバレ風はろうそくの火を消すが、炎を燃え上がらせる。風は避けるのではなく利用する。
耐久性や頑健性ではなく、反脆いものは、耐えるだけでなく利用する。
リスクを計算するのではなく、利用する方法を学ぶ。
危機を生み出しているのは身銭を切らない人たち。
ブラックスワンは後で考えると、予測が可能だったかのように見える。まれなことは発生頻度は計算できない。
「ソビエト=ハーバード流の錯覚」=科学的知識の適合範囲を非科学的に過大評価する現象。
ホルミシス=少量の毒が効用を持つ=低容量の放射線が役に立つ場合がある。ホメオパシーとは違うもの。
過剰補償のメカニズム=くたくたになったら休むよりも別の運動をした方が