福井晴敏のレビュー一覧
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敵艦にも勝利しウェーク島へ向かう道中で訪れた8月6日。原爆投下の瞬間の人々の描写が詳細でとても恐ろしかった。まず体が燃えて衝撃波が訪れ死に至るなんて知らなかった。
聞いてはいけない話を盗み聞きしてしまい物音を立ててしまうという、使い古されたベタな展開もあるが、読み進めるうちに伊507の乗員たちがどんどん好きになっていく。特にフリッツがかっこいい。ストーリーの構成要員の一つとしてではなく、登場人物を好きになるのは久しぶり。全4巻と長いけれど、その分着実に心を掴まれていく。
敗戦はわかりきった事実として横たわっているが、歴史に名を残さない戦艦の行く末が救われたものであるように、と願って止まない。 -
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本巻では第4章を収める。遂に広島・長崎への相次ぐ原爆が投下された。従来の戦争の概念を完全に覆すほどの破壊力、たった一つの爆弾で都市を丸ごと一つ吹き飛ばす威力を持つ史上最悪の兵器と言ってもよい。そもそも7月にポツダム宣言を受諾していればこの惨事は起きなかったのだが、軍部はその時点での受け入れを拒否。その時にアメリカから言われた通り「迅速かつ十分な壊滅」をもたらす新型兵器が落とされた。もはや戦争の継続が困難なのは誰の目にも明らかなのに、どこに拘っていたのか。恐らくは天皇の統帥権、いわゆる国体の護持といったところか。無条件にポツダム宣言を受諾すれば、それは失われる。その結果、多くの命が犠牲となった。
戦争とは何を守るために、何を犠牲にするのか。その先に待っているものは何か。自分が犠牲になってでも他の人を守るという使命、それが軍人としての矜持か。それとも他人を犠牲にしてでも国を守ることが第一優先か。 -
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本巻は第2章・第3章を収めている。
私はこの小説が原作となった映画「ローレライ」を見ていないが、潜水艦の構造などはやはり映像で見たほうが分かりやすいかなと感じる。文章からは緊迫感や戦闘シーンなどは読み取れるのだが、いかんせん細かいところになるとイメージがわきにくい。挿絵でもあればまた少し違うのかもしれないが。
本編を読むと、誰のための何のための戦争だったのだろうかと改めて思う。戦争責任とはそもそもどういったもので、誰が負うのか?それがただ巻き込まれた国民が負うべきものなのか?
ただ、この第二次世界大戦の引き金になったナチスの台頭には、第一次大戦で莫大な賠償金を課した側にも遠因があるようにも思う。
本巻は戦争責任について考えさせられた。 -
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《いそかぜ》の叛乱が本格的に始まる下巻。
『このミサイルの弾頭は通常とは異なる』
…つまりGUSOH(米軍が秘密裏に開発したバイオ兵器。気化する事で猛毒となる液体)を積んでいる事を明言し、
辺野古から始まった日・米・そして北朝鮮の思惑を全て公開せよ、
と日本政府に迫る宮津艦長とホン・ヨンファを筆頭とした叛乱グループ。
梶本総理を中心に、警察、公安、そして自衛隊の隠密組織であるダイスで構成された緊急対策会議では
この期に及んでも尚、自身の組織の権益のみを考えた無意味な話し合いが為されていた。
そんな中ダイスの渥美は、《いそかぜ》にまだダイス工作員の如月行と先任伍長の仙石が残って戦っている事、
そして艦底に穴が開いている事を知り、突入作戦を考案する。
しかし、ホン・ヨンファはことごとく日本政府の対応を読みきり、被害者は増える一方となる。
残された時間はあとわずかとなり、日本政府は遂に『Tプラス』による《いそかぜ》の消滅を決定した。。。
非常に多くの人達が血を流す小説である。
特に“フライフィッシュ”作戦失敗における被害は悲惨の一言だ。
更に艦内においても銃撃戦が繰り広げられ、北朝鮮の工作員も叛乱に加担した海上自衛隊の幹部達も、
次々と銃弾に倒れる。
ヨンファは言う。「これは戦争なのだと言っているだろう」と。
そうした中で獅子奮迅の活躍を見せるのが如月行と仙石の2人だ。
行の鍛え抜かれた洞察力や行動力に、仙石の《いそかぜ》に対する知識と熱い魂が加わり、
叛乱グループは彼らを始末する事が出来ない。
この2人とヨンファの妹・ジョンヒとの戦いは手に汗握る展開であり、読み応え抜群。
それにしても、『GUSOU』のオチ(?というか真相)には脱力させられた。
本気でアメリカという国家を憎みそうになった程だ。
(つまり小説にそれぐらのめり込んでいた、という事)
妙な国益の為に多くの人間の命が失われ、危機に晒された。
最終的に、現場(《いそかぜ》や対策本部)にいる殆どの人物は「自らの意思を貫く」という、
純粋で根本的な考えで行動する事になったのだが、
それすらも米国に鼻で笑われているようで腹立たしくなるのである。
…というように、非常に読ませる小説だった。
重厚で難解。しかし手に汗握るし続きが気になって読み進める手が止まらない。受賞も頷ける。
映画ではわからなかった詳細なプロットがこの小説に奥行きを与えていると感じた。4.5点。
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Posted by ブクログ
ネタバレいやぁ〜面白かった。
オウム真理教の地下鉄サリン事件や、松本サリン事件、坂本弁護士一家殺人事件などを彷彿させる宗教団体の事件に、ランボーを彷彿させる戦闘劇、警察組織内部のゴタゴタに政治、ヤクザの登場にミステリーの要素、しかも純愛など、とにかく盛り沢山の作品。
ここまで詰め込んだのに、きっちりと物語の筋は通り、男の生き様を描いた作品ってかっこよすぎ。
主人公?の桃山は元マル暴の無骨な警備員。
引退してから、まともな生活を送っておらず、巻き込まれていくとんでもない事件には体力や知力、銃の腕前など不安な要素もあるが、そこはもう1人のメインキャラである保がしっかりとカバーする。
この保が愚直なまでに真っ直ぐな青年で、命をかけて葵を守り抜く。
なぜならそれが保の任務だから。
幼少期に不幸な環境で育った保は同年代の少年とは全く異質の存在だが、とにかくかっこいい。
かっこいいと言えば、桃山が刑事時代から付き合いがあり、組の人間でありながらも桃山を助ける金谷も義理堅く、ある意味で聡明でもある。
そんな真っ直ぐに生きる男たちと、ヒロインである葵に涼子が相まってテロ事件に見せかけた国の闇を暴き出す。
東京のど真ん中で世界最強の攻撃ヘリ「アパッチ」が火をふき、日本海では日本が誇る最新鋭のイージス艦とも交戦
するとんでもない内容だが、とにかく男性陣がかっこよすぎ。
説明
内容紹介
命をかけて守るべき人が君にはいるだろうか。「彼女を守る。それがおれの任務だ」傷だらけで、追手から逃げ延びてきた少年。彼の中に忘れていた熱いたぎりを見た元警官は、少年を匿(かくま)い、底なしの川に引き込まれてゆく。やがて浮かび上がる敵の正体。風化しかけた地下鉄テロ事件の真相が教える、この国の暗部とは。出版界の話題を独占した必涙の処女作。(講談社文庫)
今、最も熱い作家・福井晴敏の感動的原点! 世界を敵に回して、少女を守りぬこうとする少年。その姿にかつての自分を感じた警備員は、彼を匿うことにした。そして、物語は「地下鉄テロ」の真実へと向う……
内容(「BOOK」データベースより)
「彼女を守る。それがおれの任務だ」傷だらけで、追手から逃げ延びてきた少年。彼の中に忘れていた熱いたぎりを見た元警官は、少年を匿い、底なしの川に引き込まれてゆく。やがて浮かび上がる敵の正体。風化しかけた地下鉄テロ事件の真相が教える、この国の暗部とは。出版界の話題を独占した必涙の処女作。