福井晴敏のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
古本で購入。上下巻。
本棚整理にあわせて再読。
国家に“殺された”息子の仇を討とうとする自衛官によるイージス艦の反乱に、アメリカが作り出した新型兵器と北朝鮮の精鋭工作員が絡み合う舞台仕掛け、そこに福井晴敏お得意の「バディ」モノのアクションが加われば、一級のエンターテインメント小説ができあがり。
ミステリー仕立ての序盤からハリウッド映画さながらの大ドンパチが始まる後半のクライマックスまで、ズンズン読ませる。
作品としては後のものになる『終戦のローレライ』と通じるのは、主人公のひとり、先任伍長の仙石のこの言葉。
「生き甲斐だよ。生きててよかったって思うことだよ。それがあるから人間、生きていけ -
Posted by ブクログ
全4巻。
本棚整理にあわせて再読。
ドイツからもたらされた潜水艦「伊507」とそれに搭載された特殊兵器「ローレライ」めぐる陰謀と戦いを描いた小説。
戦史モノと言うよりはSFに近いが、エンターテインメント作品としてよくできてる。
南方戦線で地獄と人の本性を見たことから「あるべき終戦の形」「国歌としての切腹」をめざす男、それを生きる人々を無視した頭でっかちのくだらない思い込みと反発する少年と伊507の乗員たち。
『亡国のイージス』同様、暑苦しいまでにアツい福井節が炸裂している。
「『甲斐』を見つけろ。そのために生きて、そして死ね」
これもまた『亡国のイージス』と通じるテーマ。
「何のために生 -
Posted by ブクログ
今年読んだ中では一番でした。しかし、長い、文字多い。。。
そして専門用語のオンパレード。
海上自衛隊に少し詳しくなりました(^^;
SF物なのかな?と思ってなかなか手を出さずにいたのだけど、読まず嫌いでした。
6000度の光熱でしか無効化できず、1リットルで、東京を全滅させる脅威の化学兵器「GUSOH」を積んだ「いそかぜ」をどう止めるのか。
「いそかぜ」艦長の宮津、北朝鮮工作員ヨンファ 対 仙石曹長と如月行の行方は。。。
読後もとても良かった。
戦争はない方がいいに決まっている。
しかし、攻めて来られたら?今の技術では、先制攻撃で終わってしまう。
それでいいのか?
よく考 -
Posted by ブクログ
福井晴敏 著「小説・震災後」を読みました。
東日本大震災後、東京に住む平凡なサラリーマンの家庭が舞台。原発事故を経て、希望を失い心の闇にとらわれてしまう息子。その息子に希望を取り戻すためにあがいていく家族。そして、祖父・父・息子の三世代が紡ぐ「未来の物語」が語られていく。
フィクションでありつつも、そこに描かれている世界はまさに現実の世界、現実の家族であり、自分の家族や子供たちのことを考えずには読めませんでした。
あの震災後、どの家庭でも今の生活のあり方やこれからのことをそれまで以上に考えずにはいられなかったと思います。
そこに、未来や希望を見つけることは大変なことで -
Posted by ブクログ
ついに、福井晴敏著「オペレーション ローズダスト(下巻)」を読み終わりました。
かつての仲間だったテロリストチームと命を賭けて闘う防衛省の特殊工作員の活躍を描いた最終巻。恐怖の戦場と化した東京をはたして救うことができるのか、いやが上にも盛り上がるクライマックスでした。
臨海副都心の特殊な構造をうまく巧妙に利用した予告テロ、それを阻止しようと、立ち上がった主人公たちでしたが、防衛省と警察庁との確執など、敵がテロだけでない状況の中、最後まであきらめずに闘う姿は涙を誘わずにはいられません。
そんな主人公たちの闘いを通して、まわりの世界が少しずつ変わり、未来の日本がほんの少しでも明る -
Posted by ブクログ
福井晴敏著「オペレーション ローズダスト(上)」を読みました。
待ちに待った作品なので、楽しみながらこの大作を読み味わいました。
防衛省の特殊部隊の主人公が連続爆弾テロに立ち向かうアクション巨編です。
しかも、この主人公と爆弾テロのリーダーには、過去の深い因縁があり、この戦いはある意味運命付けられていたものでした。
スリル満点のアクションと世界の情勢や政治の裏舞台などが描き込まれ、小説の醍醐味を味わうことができます。
また、登場人物たちもそれぞれに過去を背負って今を生きている様子が表現されており、物語の世界観を作り上げています。
ただのアクション小説ではなく -
-
-
Posted by ブクログ
ネタバレ福井晴敏氏は正しいと思う。
福井氏に添って生きていきたい、という思いばかりが強くなる。
「国益という名の重石を抱え、救援の手をこまねく政府の無策
――組織の論理がもたらす感性の硬直が、臨界副都心に取り残された一万の人間を殺す。
助けようと思えば助けられない道理はないのに、
無名の他所を人間と捉えられない想像力の欠如、
なにごとも合理で量る感性の摩耗が人を殺す。」
と、世の中を冷静に見極めたうえで、
「個々人が指の先ほどの美徳を発揮すれば、
がんじがらめの世界が救われる余地はいくらでもある。」
というシーンへと発展させる。
この辺りの美しさが、たまらない。
それから主要メンバーの幕の引 -