感情タグBEST3
Posted by ブクログ
こちらは国内の推理小説。「亡国のイージス」や「終戦のローレライ」の福井さんによるもの。これまでの小説と同様、大きな組織の理不尽な意向に左右される個人を描いている。個人と言ってもスパイや潜入捜査官のような、一般市民とは言い難い職業だが、映画に出てくる特殊な人々というよりは、同時に母親だったり、友人同士だったりという点でとても感情移入できる。読み進めていくと動揺させられるし泣かされる。一途な思いは強いということを改めて感じた一冊。
Posted by ブクログ
分厚いので、長編大作かと勘違いして購入しましたが、とある機関を軸にした短編オムニバス形式でした。
普段あまり短編は読まないのですが、この作品はグイグイ引っ張り込まれていきました。
どの話も「人間ストーリー」という感じで、とある機関に関わるそれぞれの人の人生と心情を綴った物語ですが、どれもちょっと切なくジーンとくる物語です。
Posted by ブクログ
福井晴敏さんが短編を書いてるとは思いませんでした。
この短編集は読みやすいです。
時系列としては、他の市ヶ谷シリーズ(ダイスシリーズ?)とは別になりますが、これも読んどいて後悔はない作品です。
文庫本を見て、福井晴敏さんの作品がどれも長くてとっつきにくそうだなぁと思ったら、この短編集を読んでみるといいと思います。
Posted by ブクログ
読んだつもりで読んでなかった!わああどの話も胸を打たれる…。相変わらずしれっと泣かせに来るのが憎いです。好き!どの話でももれなく泣きそうになったけど、最後の短編でもう駄目だった。木村の正体とその後のあれこれでもう… もう…っ!うわあん!好き!!!
Posted by ブクログ
GW、高知に行った返す刀で博多の実家へ。その車中の友がこの本で。
防衛庁治安情報局に繋がる仕事をしているしていた人たちを取り巻く6つの物語。
凛として生きた女性の半生を滲まし哀しい「畳算」。
登場人物それぞれの母や父として持つ全く違う生き様が一つに繋がる「媽媽」と「断ち切る」。
しかし、何と行ってもこの本の白眉は「920を待ちながら」。緊迫感に溢れてもうドキドキ。
組織の一員として汚れ仕事に手を染めながら、疑問を持ち、悩み、割り切りながら生きている一方で、『己の所作振舞に自信と尊厳を持ち、身に合った幸福を追って生きて行けるのが人』との一線に踏みとどまるべく自己との闘いを続ける人たちへの尊敬と愛情が、いずれの作品にも底にあって切ない。
Posted by ブクログ
愛する男を待ち続ける女、隠居した天才的スリ、タクシー運転手として働きながら機が満ちるのを待った工作員。心に傷を持ちながら、独り誇りを抱き続けた者たちの消せない染み。あきらめることを知らない6つの魂が、薄明の世界に鮮烈な軌跡を刻む。著者が織り成す切なく熱い人間讃歌、人生を戦うすべての者へ。
Posted by ブクログ
ジョーカーゲームシリーズを読んだ後だったので、諜報活動的な記述があるとちょっと大丈夫かと思ってしまうのは、ファンタジーに染まりすぎてしまっているからかな。
それはさておき、物語自体はなかなか面白かった。
最後に出てくる、木村こと如月もいいですね。一応、前日談風で。
自衛隊というか防衛相も裏で色々活躍?しているんだろうかね。
Posted by ブクログ
安定の福井晴敏。興奮しきりに一気読み。
冒頭、子供を怒鳴り付ける遣り手(らしい)会社員が主人公と知り、“いつもの福井ワールド”とはちょいと違うのかな?……と一瞬がっかりしたけれど、それも文字通り一瞬だけだったという(笑)
福井ワールド、最高。
“人の親”としての執念で自分に課した宿願を果たす強い女性を描いた『経ち切る』と、
途中“もしや?”と思いつつ最後に“やっぱり”とニンマリさせられる“アイツ”の登場が強烈な印象を刻んでくれた『920を待ちながら』の2本は、もう、格好よすぎ!
★4つ、9ポイント。
2014.11.19.了。
※短編集とはいえ内容が内容だし、表紙の装丁は、イラストではなく“いつもの”系統で揃えて欲しかったな。
Posted by ブクログ
自省、忸怩した思い、など内面との会話が多いが、それでいて市ヶ谷、赤坂関連の裏切り、政治、内部事情に関連した殺人が描かれている。自分の好みとして、あまり内省が多くあると飽きる。
Posted by ブクログ
初めて読んだ福井晴敏作品
いまできる最善のこと
畳算
サクラ
妈妈
断ち切る
920を待ちながら
畳算を読み終えたあと、しばらく呆然としてしまいました。一つ一つの作品から感じられる登場人物の存在感は胸が苦しくなるほどです。
地味な作品でささやかだけど、読む内に心に染み入ってくる作品でした。
Posted by ブクログ
この人短編も書けるんですね。。。
って、そんなのはどうでもよくて。
今作も「市ヶ谷」が出てきますが、今までとは違って、「女の人」の物語が多い気がします。
「あるべき国防の姿」みたいなものは今までと変わらず見せられている気がしますが、それ以上に今回は「人として」の部分が大きかったと思います。
Posted by ブクログ
久しぶりの福井晴敏。
相変わらず、腹の底に重いものがたまる。
今回は短編集なだけに、6通りの重いもの
がたまる気がする。
「潔さ」とか「姿勢」とか。
重くなってため息と一緒に吐き出すものは
何なんだろね。「畳算」と「断ち切る」が
よかった。
Posted by ブクログ
ステイン:Stain・・・不実、汚れ、汚点
6つの不実の人生の中にそれぞれの正義を見出す物語だ。防衛庁情報局という非公開組織に属し国家の安全のため諜報活動、ハードオプションを行う工作員達が何を思って活動をしているのか非常に熱い物語だ。
工作員から身を引き新しい生活に入りながらも北朝鮮の工作員に命を狙われながらも過去の不実をぬぐうため一瞬の正義に生きる最初の短編「いまできる最善のこと」がこの短編集の全てを語っていると思う。
工作員ってことはそもそも国家正義のためでもきれい事だけで済むわけがない。だからステインだ。そこに漂う後ろ暗さとは裏腹にいやだからこそ正義を貫く勇気が必要だという力強いメッセージが清清しい。そして熱い!
「生きる」ってことです。
Posted by ブクログ
6編の短編集だった。
「いまできる最善のこと」:特に印象なし
「畳算」:お婆さんがかっこよかった
「サクラ」:馬肉とかかっていたとは・・
「媽媽」:次の断ち切るにも実は続くのだが、お母さん情報員の苦悩が見える
「断ち切る」:元断切氏のお爺さんのがいつの間にか市ヶ谷の作戦に巻き込まれていく。非常に面白かった。
「920を待ちながら」:如月行の名前が出てきたのでつながりを感じたし、面白かった。
Posted by ブクログ
市ヶ谷諜報部員として働いた過去を持つ人間、現在も働く人間達の6つの短編集。誰もが矛盾と虚しさを抱えながらも、任務の中に自らの信念を見いだしながら日々を生きているような印象がとても強く残った。謀略、駆け引き、暗殺…闇の中で非人間的な任務をこなす彼らもやっぱり悩み苦しむ人間なんだとも想えた。実際にこんな組織と関わり合いたくはないけれど(苦笑)最後の短編で「亡国のイージス」の行が出てきたのがちょっと嬉しかったな…
Posted by ブクログ
福井作品は『亡国のイージス』をきっかけに読むようになりました。この6つの短編もテーマは一貫して人と人との絆に重点を置いており、力強い文章と相まって感動させられ、さらには読後清涼感も味わえる。大藪春彦賞を取った作家というのはこういう作品を書くのか?と、良い意味で戸惑わされた。大藪さんが生きていたら何と言うのだろう?
Posted by ブクログ
福井晴敏といえば、なんと言っても、「イージス」と「ローレライ」。本当に面白い小説だった。本書は、その福井晴敏の短編小説集。自衛隊傘下の諜報機関で働く、あるいは、その活動に巻き込まれていった人たちが主人公。6話構成。「イージス」や「ローレライ」のような、超長編小説ばかりではなく、この人は短編もうまいものだな、と思った。
Posted by ブクログ
かなり久々の福井晴敏!
面白かった。
VIVANTよろしく、諜報活動にかかわる短編6編。
この独特の語り口は短編でも福井晴敏さんですね。
■いまできる最善のこと
退役した男と見ず知らずの子供
山中で追い詰められていきます。
まさに、いまできる最善のことを尽くす
■畳算
愛する男を待ち続ける女の悲哀
■サクラ
19歳ながらもSOF上がりの少女との組み合わせ
任務の裏側にあったものとは..
ちょっと暖かい気持ちで終わる物語
■媽媽
次作の前編?
子供を持つ母親がAP。そういうパターンってあるの?
ターゲットが監視体制のなか戻ってきた理由..
それが故に母親のAPの気持ちが熱くなります。
■断ち切る
隠居した天才すり師との作戦
媽媽の話からの続きです。
作戦失敗と思いきやの真相
■920を待ちながら
タクシー運転手の工作員。その男と組むのが若き如月。
これは、いろんな意味で深い物語です。
6編の中で一番好き。
随分と昔の物語ですが、楽しめました。
Posted by ブクログ
国益という身勝手な理屈に振り回され、煮え湯を幾度も飲まされながらも、信念を曲げずに行動する人たち。
そんな人達の短編集。
最後の話以外は結構良かったんだが・・・
Posted by ブクログ
日本に本当にいるかわからない、日本の6人の諜報員の話。引退したにもかかわらず諜報活動時代に殺めてしまったスパイの兄に復讐される話、爆弾を預かった老婆のもとへ派遣される諜報員の話、普段は諜報活動をしない諜報員の冒険譚、産休明けの諜報員と犯罪者の交流、諜報員の復讐につきあわされる掏摸、諜報員の内通に巻き込まれ、親友を裏切ってしまった運び屋の話で構成。どれも骨太の短編なのだが、文体がとても重く、軽く読み飛ばして楽しみたかった僕には不適。緊迫感の描写が、あまりに重厚な語り口なので、あまり進みが良くなく最後までテンポを掴めなかった、そんな印象を受けた。
Posted by ブクログ
ほぼ、独立した6篇の小説からなる本作だが通奏低音のように流れる国家としての日本を取り巻く米ロ北や防衛の裏方である諜報の描き方が近似しているので、一つの作品のようにも思える。リアル社会での動きが全く表出してこない分野なので、著者の描く世界があまりに日常過ぎて怖い。
Posted by ブクログ
福井晴敏の短篇集。作者が好きな人には、様々な人間模様が描かれており、面白く読める本だと思う。と言いつつも、ほとんどがスパイがらみのストーリーであり、他の作品にも登場する人物だったりする。
個人的には、「残されたおばあさん」について書かれた物が好き。
Posted by ブクログ
『終戦のローレライ』『亡国のイージス』で世に名が知れた福井晴敏氏の短編小説集。長編での息が詰まるような追い込まれ感は短編故に軽めになっているが、さすが福井晴敏市ヶ谷(防衛省)に情報局があったらという設定をベースにした6つの物語それぞれなかなか面白く読めた。
最新作を聞いていないが、久しぶりに読みたくなったなあ。さすがでした。
Posted by ブクログ
大好きな福井晴敏ですが、これはいまいち。最後でちょっとニヤリとさせられたものの、短編集では魅力半減。やっぱり長〜いやつがいいなぁ。登場人物のデティールをしつこいくらい丹念に積み上げていくスタイルが好きです。
Posted by ブクログ
stain って「しみ」のこと。六つの短編集だが、いずれも時間を忘れるほど入り込んでしまう傑作。どういうふうに落とすんだろう? ってな興味とリアリティあふれる描写に引っ張られる。長編しか読んでいない作者だが、短編もしっかりと、むしろすっきりと書ける。驚いた。
架空の防衛庁情報局 DAIS の工作員たちが主人公。引退したおじさんの心意気が光る「いまできる最善のこと」、ばぁさんのすごさが天下一品の「畳算」、岬美由紀みたいな工作員「サクラ」、二部作の前編「媽媽」、後編「断ち切る」、亡国のイージスの如月登場!の「920を待ちながら」。どれもいい。
硬派だけれど暖かい
いい作品だ
Posted by ブクログ
自衛隊情報局のエージェントたちの短編作。一番すきなのは「媽媽」。子育てをしながら情報局の正局員に復帰した由美子。子どもと満足に向き合えない葛藤を持ちながら仕事に打ち込む。ある事件の関係者である在日中国人の男を捕らえる。背後にある大組織に迫る間もなく、CIAと防衛庁情報局の間に政治的取引があり、男はCIAの手に。由美子は情報局の非人間的な指示に落胆。家庭まで犠牲にしてすべき仕事なのかという疑問を持つ。由美子が出した答えは・・・。「媽媽」の後の「断ち切る」も良かったです。断ち切りの技を持つ元スリのおじいちゃんが巻き込まれた事件。その背後にはなんと・・・。スパイ物ならではの状況のどんでん返しがどの作にもあって短編とは思えない読み応えでした。