福井晴敏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
改めて思う。
福井氏は人間性がすばらしい。個人を見る目、個人と個人の触れあい方を見る目、
そして世の中全体を判断する力、過去を冷静に・謙虚に見つめる力、
未来に対する問題意識、未来を前向きに見る意識、
そのどれもがなかなか他では味わえないほどの感動を持って、伝わってくる。
それから忘れられがちだが、文章テクニックもかなり高度だと思う。
特に「亡国のイージス」以降の作品は、言葉の選び方と文章の作り方が絶品だ。
そして何よりも魅力的なのが、構成。
特に、それぞれの人生の幕の閉じ方が、いつもすごくよい。
さて。
福井晴敏氏「Op.ローズダスト」
この作品は本当にとてもとてもとても大好きで、
だか -
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Posted by ブクログ
ネタバレ福井作品はどれも本当に尊敬していて心から愛している。
特にこの作品は文章も読みやすく、構成も分かりやすくスリリングで、
非常に完成度が高いと思う。
人物像が類型にも感じられる点、
ストーリーが「いくらなんでも強引」とも思える点など、
いろいろ気にもなる。
ただ現実離れしているくらいのほうが、
思いっきり物語を味わえるのではないか。
それに緻密な描写、圧倒的な文章量が、
フィクションでしかない世界に大きなリアリティを与えている。
そして福井氏ならではの、
血が通った熱くて、強く優しいメッセージ性。
これに惚れて、わたしは福井作品に心酔している。
登場人物がどれだけ日本をバカにしてても、
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Posted by ブクログ
震災から1年経った今、是非読んでもらいたい作品。
文章の中には、戦後社会の歴史と現状に対する深い洞察に溢れている。
それを全肯定、というわけではないんだけど、全体としては鋭い洞察であると思うし、読者としても心に留めるべきだと思う。
「『未来』の対になる言葉は、おそらく『将来』」。本文中のこういった言葉が、非常に印象に残った。
最後に示されるものの具体的な内容は陳腐といえば陳腐だろうけど、現在の社会を深く分析し、「未来」を示すことの重要性も提示しているこの作品は、なるべく多くの人に読んで欲しいし、特に僕達若い世代には強く勧めたい。
福井さん、文章が少し柔らかくなった? -
Posted by ブクログ
ネタバレ福井さんの小説は好きなので、ほとんど読んでいる。震災を題材にした小説という事で気合を入れて読み始めた。
この本をこの時期に読んでおいて良かったと思う。
早めに購入して置いてあったので、もう少し早く読めば良かったかもしれない。
福井さんの作品だといつも舞台はどこか自分たちとは少しかけ離れた感じの事が多かったけれど、今回はごく普通の家庭のお父さん、野田が主人公だ。自分の父の仕事が元防衛省だったのが少し特殊ではあるけれど、しっかり者の妻と難しい年頃の息子、娘が登場する。
自分が震災後どうだったか?そんな事を省みながら読み進めた。とても辛くなるような場面もある。
読みながら、野田の家庭の動きを追い -
Posted by ブクログ
ネタバレ最初にハードカバーでこの本を見たとき、胸が震えた。
文庫本になって、美しい装丁を手にしたとき、充分な重みを感じた。
でも読み終えたいま、その短さが心惜しい。
文庫本295ページの小説が、決して短いわけはないのだが、
従来の福井作品と比べると短編のようにすら感じる。
(短編集の「6ステイン」と比べたら長いはずなんだけど。
・・・とりあえず、今度また「6ステイン」も読もう 笑)
短編に感じるほど、この作品は大変読みやすい。
多くの人が関心を持たざるを得ないテーマをかかげ、
多くの人の心に伝わる正確な言葉で、
多くの人に共感を得やすいストーリーを語り、
多くの人へ向けたメッセージでラストシーンは -
Posted by ブクログ
”小説”なんだけれど、実際にあってもおかしくはない。
震災後の日本に住む人が持つ不安と恐れと希望。
特に子供たちの思いはどうなんだろう。我が家の子供たちは、同居はしているけれどもう立派?な大人なので、通り一遍の感想を言い合っただけで心に持ってしまった傷を明らかにするようなことはなかった。
傷ついてしまった息子と父親の助けを借りながら立ち上がろうとするお父さん。ボランティアに行った先での出来事が生々しくせまってきます。
泣けました。そして希望ももらえた。
子供たちに示すことの出来る未来へのビジョンを持たない自分はホントにその他大勢なんだなと思う。息子のために学校で皆を前に未来への希望を熱く語った -
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Posted by ブクログ
一冊ごとに何かしらハッとさせられるシーンが存在する物語。
今回は現代の日本の姿がジオン共和国に投影されていることに気がついてハッとなった。
ジオン共和国の兵士の鬱屈はまさに某タモ神のソレだったと思う。
ミネバのジオン兵に対する一喝はオタメゴトでしかないのは分かるが
だからといってそれらの事象を切り捨ててるのは、むしろ楽な方への逃げのような気がした。
バナージの「みんなのため」という青臭くも直感的な叫びは
ジュドーを彷彿させるもので心地よかった。
フロンタルの現実路線は彼がシャアではないことの証明だろうと思う。
じゃあ、彼は一体ナニモノ?
人間なのかい?
次で終わり? -
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