福井晴敏のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
福井晴敏さんの本です。
福井さんの書く登場人物ってみんなどこか不器用で、憎めない人が多いんですよね。
ローレライの登場人物も、川の深さの登場人物も、亡国の人達も。
どこか人間らしい歪みと人臭い感情と、泥臭い思いと、不器用な憎めない人々。
それぞれに理由があり、それぞれに思いがある。
それを本当にちゃんと描いているから、本当に作品が面白いんでしょうが。
この作品もそんな人々が沢山出てきます。
朋希も一功も三佳も恵理ももちろん、並河なんて本当にそこら辺にいそうなおっさんだし。
場所は新潟。
波の花が舞う岸壁から物語は始まります。
静かなその場面からは想像も出来ないほど、物語は段々緊張の色を帯びていくわけですが、
作者の福井さんも言われていた様に、
映画化は不可能だと思えるぐらい、ありえない事件や光景ばかりがこれでもかと言わんばかりに起こります。
いやー、うん映画化は本当に無理だわ、あれは(笑)
CGでも何でも出来ない事ないだろうけれど、あの世界観はちょっとベタなCGで表されたら、・・・・福井ファンから暴動起きかねないかな・・・(を)
この物語の主人公は、福井晴敏の作品に出てくる、DAISシリーズといってもいいかな、その一員である、丹原朋希が公安の脂身、並河警部補とテロリストに立ち向かって行く・・・とこう書いちゃ身も蓋も無いんだけど、大筋じゃ間違ってはいないかな。
この主人公の、朋希は、本当に不器用で、暗くて、ナーバスで、
オマエは渡哲也かっ!
と突っ込みたくなるぐらいの不器用さ加減なんですが、
これが福井さんの手に掛かるとこれでもかというぐらい可愛い。
ぶきっちょで不器用な男もここまでくるとダメ男の典型なんだけど、
それを補って余りある魅力は、本当に書き方が上手いんだろうなと思います。
武器の説明や、組織の説明や、建物の説明が多く、状況の説明がともすれば長くなりがちな小説で、
ちょっとした仕草でその人となりを表す手腕は福井さん、さすが!と思うほど。
この上巻はまだまだ触りの巻ですが、十分面白いです。
映画に出来ない情景や、その話の展開も面白いけれど、
それを抜きにしても、キャラクターの一人一人が凄く魅力的なこの作品。
本屋で、ふと見かけたら是非読んで見てください。
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Posted by ブクログ
「あなたの目の前に川が流れています。深さはどれくらいあるでしょう? 1、足首まで。2、膝まで。3、腰まで。4、肩まで」
これはあなたの情熱度を計るテストで、足首までと答えた人は、あまり情熱のない人。
膝までは、あるにはあるけどいつも理性の方が先に立つ人。
腰までは、なんにでも精力的で一生懸命やる人。
肩までと答えた人は、情熱過多、暴走注意、とな。
そしてこの物語の主人公は何の躊躇もなく「肩まで」と答える2人。
『Twelve.Y.O』に先立つ福井晴敏、既に熱い熱い。
一貫して語るべきテーマに対し、ただ声高にそれを語るだけでなく、男と男、男と女それぞれを描いて深く、そして何よりも《アポトーシス》が走り出した中での市ヶ谷の攻防は圧倒的迫力。
私ゃ、足首までと答える淡白な人間だけど、それでもこういう世界に共鳴するだけの思いは、ある、つもり。