福井晴敏のレビュー一覧
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手に汗握る戦闘シーンは具体的に書き込まれ、いちど読み始めたら止まりません。ただ、潜水艦の主砲でB29を撃墜するシーンなど、大事なところで「おいおい」と思う所もありますが。
征人とパウラの掛け合いはラノベ的で、全体的な物語の雰囲気から少し浮いています。よく言えば、史実を思わせる程の緊張感の狭間に差し込まれた清涼剤。エンタメ小説として支持される理由のひとつでしょう。
戦後60年程を駆け足で振り返る終章を蛇足と捉える意見もあります。しかし、終章によって本書は他の戦記物、SF、エンタメ小説と性質を異にしたと思います。
わたしのような21世紀になって成人した人間は、戦後史を現在の視点から遡って見ざるを得 -
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ガンダムユニコーンは素晴らしい作品だと思う。ファースト~逆襲のシャアをきちんと押さえ、新しい設定もうまく組み込みながら、古くからのファンも、新しいファンもどちらも納得させるクオリティーの高いストーリーに仕上がった。
「ラプラスの箱」の正体も、許容範囲というか、うまく説明したと思う。
そしてやっぱり、フロンタルの圧倒的な強さ、カリスマ性にガンダムファンとして胸が高鳴った。
アンジェロはフロンタルと共に逝くことを選んだのだろう。
美しい青年の将来を嘆く気持ちもあるが、彼は彼なりに自分の命を全うしたのだと、つらいばかりの人生だったが、最後は心安らかであったのだと思いたい。 -
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ネタバレまだ全然、事件は起こってないし、これからの物語なんだけど、これだけは言える。
面白かった!!
というか、この本、ずいぶん前に出ている本だと思うんですけど。
「アベノミクスは失敗し……」
とか書かれてて、この本って予言書?? ってかなりびっくりもさせられました。
いやまあ、失敗するだろうっていうのは想像つかなくもなかったし、私もきっとそうなるだろうって予想できていたので、当たり前といえば当たり前なんですけど、それを堂々と物語に組み込んでしまうのって作家さんとして、結構勇気が必要だと思うんですけど、それをやってのけたのがすごいなあ……と。
終わってる現実じゃなくて、これから始める現実を物語に投 -
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ネタバレ作者の執念で書きあげた感がある。最後まで読んで初めて救いが得られるので、長編で経済新聞の様な話が長々と続いて辛い人にはつらいかもしれないが、是非、最後まで読んでいただきたい。作者お得意でもはやお約束になった感のあるスマートで何でもできる主人公となってもおかしくない若者そっちのけで中年おじさん頑張るという話は痛快。ただし、詐欺師のトリックが出来過ぎなのは、よくありたいという人が本来もっている善意がテーマだからであって、綱渡りの様なトリックは人の善意に基づく助けがあって初めて成り立ったと考え、余計な突っ込みはやめた方がよい。ここで語られた未来が我々の未来であってほしいと切に願う。
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長かった。最後まで読んだが長かった。
結構面白かった。映画を見たせいか、真舟のセリフが佐藤浩市の声と立ち居振る舞いで脳内再生されたし、鵠沼もオダギリジョーの声と顔を連想させた。
他の人は映画の中での印象がなかったせいか、そんなことはなかったが。
仕手戦を仕掛けながら船で移動するのは面白い。
最近の相場ではこんな話が中々ないので、面白かった。
経済を話の中心に据えたのだから金融で一勝負しかけるのはアリだし、しかもそれが引っ掛けというシナリオがよくできている。
真舟のキャラがまた良くできていて、この人物を主役にしたからこそ面白い話になったのだと思う。
むしろ暢人いらなくね?囚われのお姫様かってい -
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ネタバレ福井晴敏によるM資金にまつわる長編第7弾にして最終巻。
囚われの身となった暢人を助けるため、真舟と美由紀、石が行動を起こす。その端緒がディスカバリーオイルというボロ株を使ってカペラの注目を高めることだった。
まさしく、最終巻にふさわしく、これまで登場してきた主要な登場人物がそれぞれに果たすべき役割を果たしていく。その結末はややもすれば希望を持てなくなりそうな世の中に差す一筋の光明のような印象を与える。
個人的には終章は蛇足のような気がするが、未来へ希望を持たせるという意味で作者の気持ちを表しているのかもしれない。
亡国のイージスや終戦のローレライのような冒険活劇ではないが、手に汗握る展開も散り