福井晴敏のレビュー一覧

  • 終戦のローレライ(4)

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    手に汗握る戦闘シーンは具体的に書き込まれ、いちど読み始めたら止まりません。ただ、潜水艦の主砲でB29を撃墜するシーンなど、大事なところで「おいおい」と思う所もありますが。
    征人とパウラの掛け合いはラノベ的で、全体的な物語の雰囲気から少し浮いています。よく言えば、史実を思わせる程の緊張感の狭間に差し込まれた清涼剤。エンタメ小説として支持される理由のひとつでしょう。
    戦後60年程を駆け足で振り返る終章を蛇足と捉える意見もあります。しかし、終章によって本書は他の戦記物、SF、エンタメ小説と性質を異にしたと思います。
    わたしのような21世紀になって成人した人間は、戦後史を現在の視点から遡って見ざるを得

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    2017年05月01日
  • Twelve Y.O.

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    国家間の戦略や陰謀がひしめく壮大なスケール感に、ああ、福井晴敏を読んでいるのだなと思う。軍事戦闘用語等理解できない言葉は数多あるのだが、それを頭の片隅におかせながら臨場感を誘う筆力は流石である。人は、壮大な複雑な政治戦略の歯車に呑み込まれ、一つでしかなくなりながら、歯車を形作るもの、歯車の動きを変化させるものでもあるのだ。利害欲望や自己保身によって形骸化された組織をあらゆる場面で糾弾しながらも、人の心の真実や叫び、愛に生きてしまうロマンチシズムに心動かされずにはいられない。

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    2017年01月11日
  • 機動戦士ガンダムUC バンデシネ(12)

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    丁寧で有無を言わさぬ描写(リディを笑ったりするヒマもない)はもちろんのこと、「劇画・ガンダムUC」といった具合のオリジナルエピソードが説得力と必要性をもって立ち上がる。

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    2016年09月20日
  • 機動戦士ガンダムUC10 虹の彼方に(下)

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    ガンダムユニコーンは素晴らしい作品だと思う。ファースト~逆襲のシャアをきちんと押さえ、新しい設定もうまく組み込みながら、古くからのファンも、新しいファンもどちらも納得させるクオリティーの高いストーリーに仕上がった。
    「ラプラスの箱」の正体も、許容範囲というか、うまく説明したと思う。
    そしてやっぱり、フロンタルの圧倒的な強さ、カリスマ性にガンダムファンとして胸が高鳴った。
    アンジェロはフロンタルと共に逝くことを選んだのだろう。
    美しい青年の将来を嘆く気持ちもあるが、彼は彼なりに自分の命を全うしたのだと、つらいばかりの人生だったが、最後は心安らかであったのだと思いたい。

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    2016年06月23日
  • 機動戦士ガンダムUC バンデシネ(10)

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    キャンドルとカークスの脇役のような2人をこうも丁寧に描くとは。オリジナルのエピソードが増えて演出の切れ味が格段に増した。親しみやすさの減ってきた絵柄も、内容には合っているのかも。

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    2016年06月12日
  • 川の深さは

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    元マル暴刑事が主人公。傷ついた少年を介抱したことからとてつもない大きな事に巻き込まれていく。読みながらにスケールの大きな映画を観てるような気がしてきた。オウム事件をベースにしながらも、その背景にある国家間の思惑などが妙に説得力があって面白かった。アクションシーンも中々いい。最後は少し切ないけどその余韻が良かった。

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    2016年05月08日
  • 機動戦士ガンダムUC11 不死鳥狩り

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    二転三転する理と情の社会派ミステリと、リリカルなSFスペクタクル。ガンダム世界を、ニュータイプを自在にエンターテイメントの中で描いてしまう作者に脱帽。OVA・ゲーム派生のメカに形を与える2作とも、過去の映像作品に小説で戦ったUCらしい気がする。

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    2016年05月08日
  • 人類資金I

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    ネタバレ

    まだ全然、事件は起こってないし、これからの物語なんだけど、これだけは言える。

    面白かった!!

    というか、この本、ずいぶん前に出ている本だと思うんですけど。
    「アベノミクスは失敗し……」
    とか書かれてて、この本って予言書?? ってかなりびっくりもさせられました。
    いやまあ、失敗するだろうっていうのは想像つかなくもなかったし、私もきっとそうなるだろうって予想できていたので、当たり前といえば当たり前なんですけど、それを堂々と物語に組み込んでしまうのって作家さんとして、結構勇気が必要だと思うんですけど、それをやってのけたのがすごいなあ……と。
    終わってる現実じゃなくて、これから始める現実を物語に投

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    2016年03月07日
  • 亡国のイージス(下)

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    下巻のために上巻がある感じ。
    暗くはないけど、重い。
    でも、日本人の特性がよく出ていると思う。
    これで感動しちゃ負けだと思うんだけど、やっぱり最後はこういう収め方になるんだろうなと。

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    2016年02月13日
  • 人類資金I

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    戦後日銀から盗まれた金塊。それは、戦後の企業勃興のために使われる資金となる。通称、M資金。表舞台には出ず、様々な噂、憶測を呼ぶ資金。
    現在、そんなM資金を巡る詐欺で生活する詐欺師真舟雄一の下に、世界を救うためにM資金を盗んで下さい、との依頼が入る…。

    物語はそこからスタート。ロッキード事件やリーマンショックなど、過去に実際起きた出来事を絡めながら進むストーリー。虚実織り混ざっており、どこまでがフィクションなのか分からなくなる。全7巻であり、非常に長い小説であるけれども、本当にある話なのかもとドキドキしながら読めた小説だった。

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    2016年01月10日
  • 川の深さは

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    初めましての作家さん。
    処女作で、このレベルの高さは何ですか??
    ある事件をきっかけに警察をやめて、
    グータラ警備員をきめこんでいた主人公の桃山剛。
    そこに飛び込んできたのが葵と保。
    その出会いによって桃山の世界は一変する。
    そこから物凄い勢いで物語はばく進します。
    いつでもどこでも緊張が居座っていて、展開が早い。
    権力、陰謀、裏切り、策略、報復、理不尽で無情で
    密度の濃い人間ドラマに何度も泣きそうになる。
    戦闘シーンですら、ウルウルしてしまう。
    最後の余韻の残し方も最高でした。

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    2015年10月25日
  • 終戦のローレライ(1)

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    ローレライとはなんなのか、背後に隠された事実が少しずつ明るみになる一方、肝心な部分は後半になるまで出てこないもどかしさはあるが、読ませる文章でぐいぐい進んでしまう、混成部隊による潜水艦メンバー一人一人も魅力的

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    2015年10月25日
  • 亡国のイージス(上)

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    ノンフィクションだと言われても納得してしまうくらい説得力のあるストーリー展開で、下巻よラストが本当に気持ちよい!大藪春彦賞、日本冒険小説協会大賞、日本推理作家協会賞のトリプル受賞作

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    2015年10月25日
  • Twelve Y.O.

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    川の深さはと亡国のイージスの中間に位置するシリーズ2作目、戦闘機での空中戦の描写がリアルでスリリング、内容もそこまで重くなく一気に読める、江戸川乱歩賞

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    2015年10月25日
  • 人類資金VII

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    詐欺師の主人公が、資本主義社会のルールを操る組織と「M資金」を巡る話。

    資本主義に異を唱え、資本共生主義を主張する本でもある。本を読む事の最も楽しい事の1つに、「新しい世界を見る」と言うことがあると思う。本書は当に、新しい世界の息吹を感じる本で、主人公の詐欺師としての技量もさることながら、新世界の想像を見ると言うことにも興奮を覚えた。今の社会に閉塞感を感じる若い人にも多く読んでほしい作品だとお思う。
    最後の一文でうるっときた。

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    2015年09月08日
  • 人類資金VII

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    ネタバレ

    作者の執念で書きあげた感がある。最後まで読んで初めて救いが得られるので、長編で経済新聞の様な話が長々と続いて辛い人にはつらいかもしれないが、是非、最後まで読んでいただきたい。作者お得意でもはやお約束になった感のあるスマートで何でもできる主人公となってもおかしくない若者そっちのけで中年おじさん頑張るという話は痛快。ただし、詐欺師のトリックが出来過ぎなのは、よくありたいという人が本来もっている善意がテーマだからであって、綱渡りの様なトリックは人の善意に基づく助けがあって初めて成り立ったと考え、余計な突っ込みはやめた方がよい。ここで語られた未来が我々の未来であってほしいと切に願う。

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    2015年08月23日
  • 人類資金VII

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    長かった。最後まで読んだが長かった。
    結構面白かった。映画を見たせいか、真舟のセリフが佐藤浩市の声と立ち居振る舞いで脳内再生されたし、鵠沼もオダギリジョーの声と顔を連想させた。
    他の人は映画の中での印象がなかったせいか、そんなことはなかったが。

    仕手戦を仕掛けながら船で移動するのは面白い。
    最近の相場ではこんな話が中々ないので、面白かった。
    経済を話の中心に据えたのだから金融で一勝負しかけるのはアリだし、しかもそれが引っ掛けというシナリオがよくできている。
    真舟のキャラがまた良くできていて、この人物を主役にしたからこそ面白い話になったのだと思う。
    むしろ暢人いらなくね?囚われのお姫様かってい

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    2015年08月22日
  • 人類資金VII

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    ネタバレ

    福井晴敏によるM資金にまつわる長編第7弾にして最終巻。
    囚われの身となった暢人を助けるため、真舟と美由紀、石が行動を起こす。その端緒がディスカバリーオイルというボロ株を使ってカペラの注目を高めることだった。
    まさしく、最終巻にふさわしく、これまで登場してきた主要な登場人物がそれぞれに果たすべき役割を果たしていく。その結末はややもすれば希望を持てなくなりそうな世の中に差す一筋の光明のような印象を与える。
    個人的には終章は蛇足のような気がするが、未来へ希望を持たせるという意味で作者の気持ちを表しているのかもしれない。
    亡国のイージスや終戦のローレライのような冒険活劇ではないが、手に汗握る展開も散り

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    2015年08月22日
  • 人類資金VII

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    M資金、お金に使われずにお金を使うことはとても難しい。未来に希望を繋ぐ形で使うことは特に。変化は目に見える状態では起こらず、微々たるものでしかない。世界の人類の希望を繋ぐ形になる事を信じるしかないかも知れない。人として優れた社会を残せることを信じたい。

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    2015年08月14日
  • 機動戦士ガンダムUC バンデシネ(13)

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    再び宇宙に戻ったバナージ。
    ネオジオン軍とのかりそめの共闘は何を生み出すのか?
    そして地球に残された大きな増悪は暴走を始める。

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    2015年07月09日