いがらしみきおのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレいがらしみきおと言えば、四コマギャグ漫画の『ぼのぼの』が有名
ですが、その一方で、最近映画化されて一部で話題になっている
『かむろば村へ』や、震災をまたいで描き継がれた『I(アイ)』に
象徴される、壮大なテーマの、かなり哲学的な内容の長編漫画も描
いています(どちらも素晴らしい作品なので、是非、ご一読を)。
今回おすすめする『今日を歩く』は、四コマでも長編でもないエッ
セイ的なスタイルの短編漫画集で、日々の散歩をテーマにしたもの
です。収められた十三話は、哲学的なのだけど、どこか笑える、不
思議な魅力に満ちた作品ばかり。作者自身が、散歩しながら何を見、
何を感じ、何を考えたか、が淡々と描かれています。
散歩が日課になっているという作者は、歩いていると自分を感じる
ことができる、と「あとがき」で書いています。本当にそうだなぁ
と思います。人は自分を感じるためにも、もっと自分の足を使って、
歩かないといけないんですよね。歩くしかなかった100年前までの
ほうが、よほど自分のことをきちんと感じている人が多かったので
はないか。そんなことを改めて考えさせられます。
最近の我が家のレジャーと言えば、もっぱら山歩き。山では余計な
雑念が消え、歩くことに集中できるので、雑念だらけの自分には、
街歩きよりも良いようです。歩いている時は、なにか考えているよ
うで、なにも考えておらず、ただ眺め、聞き、感じています。ほと
んど座禅や瞑想に近い状態だと思いますが、これが実に心地よく、
自分の調律になるので、定期的に山に行きたくなるのです。散歩に
いかないと落ち着かないという作者も、きっと同じ感じなのではな
いかと想像します。
歩くことの価値を見直させてくれる一冊です。
是非、読んでみて下さい。
=====================================================
▽ 心に残った文章達(本書からの引用文)
=====================================================
家族や友人が死ぬたびに どこかいつもとちがうものを
探したりするが、なにも変わったものはない。
誰か死ぬと、その人だけがいなくなる。
思えばこの頃は私も家族も絶不調だった。
娘は就活に翻弄され、嫁さんは自分に翻弄され、
私はなにに翻弄されているのかさえわからなかった。
歩くのは簡単だ。ただ歩けばいい。
ひさしぶりだとハナが出る。そしたらハナをかめばいい。
景色を見ながら、なにも考えずに、
なにか考えながら、歩けばいいのだ。
アドレナリンなのか、エンドルフィンなのか、血液なのか、
なんなのかわからない。
なんなのか わからないものが 満ちて来る。
激しいものではない 微かなものでもない。
強いものではない 弱いものでもない。
そういうものが満ちて来るのだ。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●[2]編集後記
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
八歳の娘の頭にシラミがわきました。
シラミがわくなんて、よほど不潔な暮らしをしているようで恥ずか
しくなりましたが、調べてみたら、不潔かどうかとはあまり関係な
い模様。シラミなんて過去のものかと思っていましたが、薬局の人
に聞いたら、現代でもポピュラーで、子どもの世界では、定期的に
流行しているそうです。子どもはくっつき合って遊ぶから、集団で
感染しちゃうんですね。
娘と一緒の布団に入っている自分にも、きっとシラミがいるのでは
なんて考え出すと、途端に頭がかゆくなってくるから不思議。まぁ、
すっかり髪が薄くなっていて、隠れるところがないような頭には、
シラミもつかないと思いますが、一応、娘用に買ってきた駆除用の
シャンプーで洗っておきました。
暖かくなり、バリカンで五分刈りにしようと思っていた矢先だった
ので、三歳の息子は駆除も兼ねて頭を刈ってしまいますが、さすが
に娘は丸刈りにするわけにもいかず(幼稚園までは丸刈りだった彼
女は、それがトラウマになり、もう頭を切らせてくれませんw)、
髪の毛に産み付けられた頑固なシラミの卵と格闘しています。
フケのような白いものが点々と髪の毛にこびりついていたら、要注
意。シラミの卵の可能性があるので、確認してみて下さい。大人に
も感染するようです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ第1巻が起承転結の『起』なら、今巻は正に『承』。メインは『のろろ祭り』。話の本題・核に入ってきたなと。。祭りで発生するトラブルの中で、街に元々住んでいた人々と移住してきた人達の間での微妙な心理の変化が刻々と描かれていて、あっと言う間に読み終えてしまった。後半には新たな人物や問題も発生して次巻さらに期待大。
それ以上に面白かったのはが、付属の書き下ろし短編『浜辺』。『のろろ祭り』の過去にまつわる物語だそう。まさにオレの好きなモヤモヤの残る感じのお話。読んだ感想は、こういう事ってあるよな〜って。世の中どこか違った方向に向かっていても、多数の人がそれに疑問を抱かずに、その空気のままその方向に突っ走る感じ。何か新しい事象・風が起これば、有無を言わず手のひら返して右から左に皆で流れてゆく感じ。そして、そんなに時間も経たずに、すぐに忘れられていく感じ。今の世の中に蔓延っている風潮を絶妙に皮肉っているなと感じました。 -
Posted by ブクログ
20年ぶりくらいに第1巻から通読する機会があって。
なんて事。登場人物たちは、成長していたのです。
シマリスくんは、ただ面白おかしく毎日を過ごすことができなくなっているし、アライグマ君はご近所さんの様子を気にして情報収集しているし、ぼのぼのでさえ、ツッコミを入れることができるまでに精神が大人になっていたのでした。
この36巻は、ぼのぼのたちが暮らしている森のシンボルツリー「クモモの木」がだんだん枯れていく話を中心に、年老いた両親の介護(作中では看病と書いてありますが、私には介護という気がした)に悩むシマリスくん、シマリスくんとぼのぼの、ぼのぼのとアライグマ君のやりとりが描かれています。
シマリスくんは介護がいつまで続くのか悩み、両親の体調の好不調で一喜一憂し、時に自分を責め、痛々しいほど頑張っています。
そして、あるひ、父親に「治してくれなくていいんだよ」と言われ、張りつめていた気持ちが緩み、涙をこぼしてしまったのでした。このシーンは、圧巻です。
この先どうなるんだろう、という漠然とした不安、その不安を既に見抜いていた父親。
もちろん、何気ない一言で傷つけてしまうこともあるけど、父親はいつも、シマリスくんを心配してくれていたんだな、と思ったらたまらなくなった。
何度も何度も読んだ。