新川帆立のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
東大卒の元弁護士さんだから、エッセイも論文みたいな文章かと思ってましたが、とっても気さくでお茶目なお姉さんでした。面白くて一気読みです。
ヨーロッパ滞在編、偏愛編、小説修行編の3部のどれも作者の知的好奇心が先導して、知らない世界にどんどん引っ張ってくれる。自分の足りてない頭には、とってもプラス要素なんですけど、出会ったお気に入りの腕時計の話をするのに、時計の起源から語られるとは思わなかった_(:3」∠)_
「遥かなる著者近影」は、驚きと同時に綺麗に2度見してしまった(笑)
『二つ隣のビーチチェアに寝転がっている女の人が分厚い本を一生懸命読んでいた。その姿を見ていると、気持ちがすっと軽くなった。世界中に人間がいて、みんな、面白いコンテンツを求めている。面白いものを嫌がる人はいない。-クルーズ船から見た海-』
どんどん新作出てるので、続けて頑張って読みたい。
2024.12 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【要約】主人公である探偵・邑楽風子(おうらふうこ)のもとに舞い込んで来る依頼と絡み合い、彼女自身のルーツが明らかになってきます。
【感想】
読んでいるうちに、自分の戸籍や先祖を想像してしまった。どんな先祖だったのか。想像するだけでもなんだかワクワクした。物語の序盤の馬場という男は、先祖が武田家に仕えていたと言い張っていた。風子と同じで面倒な客が来たと私も思ったが、今なら馬場という男の気持ちが少しわかる気がする。たぶん、自分には驚くような功績を残した先祖はいないと思うけれど、実際に調べてもらったら少し期待をしてしまうのだろう。どんな先祖であっても自分たちの代まで繋いでくれたことこそが大きな功績であるのかもしれない。自分が本にハマるきっかけをくれた素敵な本でした。
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Posted by ブクログ
文春文庫のアンソロは面白い!
前作の「神様の罠」が好きだったので今回も購入。
新川帆立「ヤツデの家」
初読みだったけど読みやすかった。アンソロの最初のとっかかりに最適。内容も好みで二回読んだ。
結城真一郎「大代行時代」
こちらもまた初読み作者だったけど面白かった。ありえそうな話だ。
こういう新入社員おるおる~。最後のオチもよかった。
米澤穂信「供米」
この話を読めただけで大収穫です。大好き米澤穂信。愛してる米澤穂信。
3ヶ月ぶりに本を読んだんだけど、2023年最後にこのお話を読めてよかった。やっぱ本読むの大好きだ。
最初読み始めたときは「うわっ苦手な歴史ものだ!」と若干引いたものの、あれよあれよと読み進められた。文章がうますぎる。途中まではどういう話なのよと不思議に思っていたけれど、最後の奥さんとの会話で鳥肌。ああああそういうことだったの!?慌てて読み直し。もう大好きすぎる……。見事でした。
あとはそんなに心に残りませんでした。
斜線堂有紀「妻貝朋希を誰も知らない」
なんとなく彼の正体がわかっていたので特に心に響かず。
てかこれを読んでなにを思うべきなのだろうか。
中山七里「ハングマン」
これなんかのスピンオフ?
そろそろ中山七里だからといって買うのはやめそうです。
有栖川有栖「ミステリ作家とその弟子」
ウサギとカメについての着眼点は面白かったし、なるほどと思った。
でも肝心のオチがわかりきっていたので、うーんって感じ。 -
Posted by ブクログ
公正取引委員会の女性審査官の活躍を描くお仕事ミステリー。シリーズ2作目。
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公取委審査官6年目の白熊楓。新年度を迎え九州事務所へ異動を命じられた。
深く考えることなく着任した白熊だが、東京本局とはまったく違う地方勤務の難しさに直面する。
まず、楓が配属された部署が前任者の離職が相次ぐといういわくのあるところ。けれどそこは、内偵のエースと言われる常盤審査官が在籍する、支局の中枢とも言える部署でもあった。
地域性なのか東京本局とは違う雰囲気に戸惑うものの、持ち前のファイトと真面目さで呉服業界の内偵に乗り出す楓だったが……。
( 第1章「地方事務所」)※全6章。
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「必要悪」の是非。なかなか大きなテーマでした。そのテーマに沿って2つの面から描かれています。
1つは談合やカルテル等の企業連合による不正。
本作でも白熊をはじめ公取委の面々が摘発に乗り出していたように、現実社会でも毎年のようにどこかが摘発され誰かが逮捕され謝罪会見が行われます。なのに、一向にこの不正はなくなりません。
効率的に利益を上げることこそ正義だと企業が考えている限り、この不当な取引制限は必要悪であると捉えるからでしょう。
「盗っ人にも3分の理」の類ですが、実社会でまかり通っているのを見ると、暗澹たる気持ちになります。
もう1つは、悪を倒す手段として悪を用いる、いわゆる「毒を以て毒を制す」やり方。必殺仕事人等のダークヒーローが思い浮かびます。
本作でも、九州の地方財閥の御曹司で公取委九州事務所審査官の常盤がまさにそうで、地元の暴力団の力を削ぐ手段として不正(というか犯罪)に手を染めていました。
常盤の思いはわかります。先ほどの企業論理よりも共感しやすい。ただ、自分の暗躍の障害になりそうな白熊を色仕掛で籠絡しようとするなど言語道断でサイコパスのニオイさえする。
この常盤。稀代の人誑しであり好悪両面を併せ持つ複雑な男でしたが、魅力的な登場人物でもありました。
だからクライマックスを飾る常盤と小勝負の対決には、ルパン対ホームズを見るようで痺れてしまいました。
常盤という人物を作り出した時点で、本作は傑作たる資格を得たのではないかと思います。
重厚な筋立て。二転三転する展開。そして転部に当たる第5章のはじめに箸休めのように挿まれる小勝負視点の話。その構成の巧みさに唸ってしまいました。
まったく見事なミステリーでした。