新川帆立のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ドラマ化もされた人気小説「競争の番人」のシリーズ第2弾
主人公の公正取引委員会の審査官の白熊楓は、九州事務所へ転勤になり
慣れない地方都市での公取の業務、パワハラ、中央への妬み、人員不足に苦労する日々
同僚の常盤 恭太郎は、いい加減だけどイケメンでスマートな、内偵業務のエース
一緒に呉服業界の調査を始める
カルテルの可能性から本局第六審査長(通称ダイロク)のメンバーたちも博多に駆けつけての捜査となり呉服業界の闇にメスを入れようと奔走する
暴力団や政治家も絡む闇の解決はできるのか?
白熊の恋の相手は、内定のエース常磐かクールエリート小勝負か
テンポよく小気味よく楽しく読めた続編で満足でした
第3弾でないかな?ドラマ化もしてほしいな -
Posted by ブクログ
301ページ
1,550円
9月25日〜9月26日
本局から九州事務所に異動になった公取委の白熊は、パワハラ気味な古賀と、約束を守らない常盤、自分に本局への不満をぶつけてくる石山とうまくやれずに、相変わらず忙しい日々を過ごしていた。呉服屋関係の不正返品を調べるうちに、町の小さな呉服屋、梶原呉服に脅迫状が届いていた。調査を進めるもののうまくいかず、梶原が何者かに殺されてしまう。本局と合同で調査を進めることになり、懐かしのメンバーと働くが、白熊のは、本局に手柄を横取りされるような気がして、モヤモヤする。以前のパートナー小勝負にも、常盤には気をつけろとよくわからないアドバイスをもらい、常盤に傾いていた心にブレーキをかける。調査を進めるうちに、調査対象者から殴られたり、銃撃されたりと危険なことに巻き込まれながらも、小勝負が事件の本質を見抜く。
専門的すぎて、呉服屋さんなどのメーカーの名前もたくさん出てきて、店の名前はよく覚えないまま、流し読みした。登場人物は、キャラがしっかり立っていたので、誰が誰だかかろうじてわかり、戻り読みすることはなかった。小勝負とのこれからが気になる。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2022年の同名単行本の文庫化で、特殊な戸籍にまつわる5話
先祖調査を業としている邑楽風子のもとに持ち込まれた依頼と、風子が自分の出自を調べる話で、近代戸籍の範囲の調査だけで、私が依頼を受けている過去帳や宗門人別帳を使わないのはちょっと残念。
1)幽霊戸籍
111才になる曾祖父の最高齢表彰をすると町役場から通知があったので、曾祖父を探して欲しいという依頼は、死亡届が出されない幽霊戸籍だとわかり、おまけにその戸籍をめぐって昔も今も他人になりすました事件が判明する。
でも、戸籍係の職員が他人になって転職するというのはちょっと設定としてどうかなぁ。
2)棄児戸籍
中学生の少女が父方の先祖を調べたいと来た。戸籍から出身地をたとり、訪問した家の亡父は中学生の祖父の従兄弟だが、その写真は少女にそっくりで、少女は両親に似ていない自分の出自に疑問を持っていたので安心した。
風子が実は捨て子で、姓名は役場の戸籍係がつけたもの、というということが明かされる。
3)焼失戸籍
小学生の息子が、紙を二つ折りにして咥えて呪文を唱える発作を起こすようになって、先祖の祟りだと言われたという相談があり、先祖を調べに岩手へ行くと火事で一家のほとんどが死に、残った子も行方不明になっていた。
憑(つき)祈祷をしてもらうと、「火事、死体、キョンちゃん恨んでねえ」という男の声が聞こえ、その声の主が曾祖父でハッケと呼ばれる占いをしていて、息子の発作と同じ所作、呪文を唱えていたという。
風子と同行者も、キョンちゃんの家で座敷童を目撃し、曾祖父の霊が息子に降りて、キョンちゃんに伝えたかったのだとわかり、息子の発作もなくなってめでたしめでたし。・・裏表紙の「新たなハードボイルド小説」ってなんだかなぁ。
4)無戸籍
出産の費用が払えずに出生証明書をもらえなかったため無戸籍で、学校にも行けず、定職にも就けない男性からの戸籍取得の依頼を受け、産院を突き止めて出生証明書を入手し裁判所に申し立てたが、実は戸籍のある弟が兄になりすまそうという悪企みだと判明。
5)棄民戸籍
風子を探しているという男性がいて群馬県へ向かうが、面会して自分の親ではないと分かる。しかし、直後知らない男たちに襲撃されて、父親が日系ブラジル人のマテウス・オガタというギャングだったとわかる。さらに資料館で自分と瓜二つの女性の写真を見つけて、母親が玉城カメといい、沖縄へ行ったことを知って、風子は沖縄へ向かうと、すでに病死していた。
母親は沖縄からブラジルに移住した一家に生まれ、終戦近くだったため日本国籍がなく、特例で日本に来たものの帰れなくなってオガタと知り合い、子供を産んだもののオガタはいなくなり、「棄民は戸籍を取得できないが、棄児なら取得できる」から娘の将来のために捨てたのだという。風子はショックを受けるが、自分の出自がわかって、これからも先祖探偵を続けようと思う。
最後は母親と似ていることに気づいてほろりとする場面もあるけれど、『元彼の遺言状』の著者の作品としては理不尽さに納得ができない。
巻末に同じ東大法学部出の辻堂ゆめとの対談があって、辻堂ファンとしてはお得感はある。 -
Posted by ブクログ
公正取引委員会の女性審査官の葛藤と成長を描くお仕事ミステリー。シリーズ1作目。
◇
正義感が強く、考えるよりまず身体が動くという体育会系気質の白熊楓。
公取委審査官として1本立ちすべき5年目だったが、公共工事の談合疑惑で事情聴取した参考人に自殺されてしまう。
責任を取る形で楓の指導係を解かれた上司の遠山は昇進が絶望的に。楓も次年度から九州事務所への異動を打診され、それまでの期間は風見キャップのチームに入り桃園の下につくよう命じられた。
新チームで楓とペアを組むことになったのが東大・ハーバード出身のキャリアという期待の星、小勝負勉だ。
情に囚われがちな楓に対し、合理的で理屈優先の小勝負。そんな対照的な2人が挑むのはウェディング業界のカルテル疑惑である。
ひと癖もふた癖もあるカルテルの首魁を相手に調査・内偵に出向いた楓と小勝負だったが……。( 第1章「弱くても戦え」) ※全6章。
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お仕事小説であり成長物語でありミステリーでもある。盛りだくさんの非常にエンタメ性の高い作品でした。このあたりはさすがノリにノッている新川帆立さんで、どんどん読み進めさせる出来栄えになっています。
作品の肝は主人公の白熊楓の不器用さにあります。大学卒業まで空手に打ち込む青春を送っただけあって、楓はあまりスレていません。そして責任感が強く純粋で真っ直ぐ。しかもお人好しで情に脆い。
だから合理的で理屈っぽく個人主義の小勝負ですら、楓を放っておけないのです。2作目の『内偵の王子』で明らかになりますが、楓の損な性分は小勝負の母親とそっくりなのでした。
だから小勝負は、イラつきつつも楓をフォローせずにはいられません。このあたりの人物設定はうまいと思いました。
ポジション的に考えて、これからも小勝負の登場シーンは多いでしょうし、その魅力も十分描かれもするでしょう。
次作の『内偵の王子』でも小勝負は少ない登場シーンながら見事に存在感を放っています。
個人的には小勝負よりも、有能な諜報部員のような桃園さんの活躍をもっと見たいと思いました。
桃園さんは本作でもその片鱗を見せてくれてはいたけれど、まったく物足りない。例えば楓と2人で内偵に行く話なんておもしろそう。
シリーズはまだまだ続く ( そうなって欲しい! ) でしょうから、楓以外の人物にもスポットを当てた話を挿入していって欲しいと思います。
それにしても公正取引委員会の弱小ぶりがよくわかりました。
何と言ってもその地味さからくる存在感の小ささと立場の弱さ。公安同様に、調査や内偵、摘発が主業務であるのに公安ほどの権限は与えられていない。
そんな気の毒としか言いようのない役所です。
現代は経済中心の資本主義社会。公取委の存在意義はますます大きくなると思います。
この作品で公取委に関心が集まり、その体制の見直しに繋がればいいのになどと、夢のようなことを考えたりしました。 -
Posted by ブクログ
戸籍を辿って先祖についての調査を行うというちょっと変わった探偵業を営む女性を描いた連作短編ミステリー。
◇
邑楽風子は児童養護施設育ちだ。5歳のとき母に捨てられたからで、施設を出てからはたった独りで生きてきた。
26歳で先祖調べの事務所を開いた。
戸籍を辿ってクライアントの先祖を調査する仕事で、戸籍についての知識も当然ながら身につけている。必要とあらば現地に飛んで聞き込みもするが、風子ひとりで事足りるので人づきあいの苦手な風子には向いていると言える。
けれど風子がこの仕事を選んだ本当の理由は、自身のルーツや母の行方を調べるため。そして何より自分が捨てられた事情を知りたかったからだ。
ある日、風子らしい人間を探している人物がいるという情報が、他の探偵からもたらされ……。
( 第1話「 幽霊戸籍と町おこし」) ※全5話。
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無戸籍問題をモチーフにした別の作品を先日も読んだばかりだけれど、無戸籍となる原因は多種多様であることと、本人にとってはひどく深刻な問題であることはよくわかりました。
作者の新川さんが法律家としての目でこの問題を捉えて物語を構築していったためか、コミカルな部分や和やかな部分があったにも関わらず、全体的に暗く鈍重な空気をまとった作品になっていたと思います。
その点で、新川さんの他の作品とは趣を異にしており、それはそれで新鮮な感じがして楽しめたし、重くとも社会性のあるテーマを提示してくれているのもよかった。
印象に残ったのは、風子を置き去りにする時に母親が言い聞かせた「自分の名前も住んでいるところも全て忘れろ」ということば。これは強烈でした。
実の娘を捨てざるを得ない状況に加えて、名前も含めたそれまでの人生全てを捨てるよう命じる母親の心情は察して余りあります。
さらに、その言いつけを頑なに守った5歳の子どもの健気さと、守ったがために母親のことはおろか自分の本名まで記憶から消し去ってしまったという風子の悲劇。痛々しくてことばもないほどでした。
これらは風子が戸籍を持てるための代償なのだけれど、無戸籍とはさほどに深刻で大きな問題であるということがわかる、象徴的な描写でした。
戸籍制度を持つ国は、日本のほかには中国と台湾があるばかりだそうです。
国籍があり住民票がある。なのに、さらにその上にある戸籍制度。何のためのものなのか。考える時期に来ている気がします。