新川帆立のレビュー一覧

  • 先祖探偵

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    着眼点が良い。人物描写もストーリーも丁寧で楽しめた。棄民と棄児のことも勉強になったし、戸籍について新しく学べたことも多かった。続編も期待する。

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    2024年08月12日
  • 先祖探偵

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    おもしろい1冊です。
    先祖を調査してくれる探偵さんのお話。
    依頼人の先祖を調査しているうちに、自分の先祖を明らかにすることになっていくわけですが、そこは帆立さんですから、グッと引き込まれざるを得ない表現力と展開になっています。
    自分の先祖はどんなだろうとつい思いながら読み終わりました。

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    2024年08月01日
  • 剣持麗子のワンナイト推理

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    キャラを立たせるのが上手なので(悪人ですら人間臭さや可愛げが感じられる)短編という、あまり説明にページを割けず手っ取り早く進めないといけない形でも綺麗におさまっている。必然的に謎はコンパクトになるのでそこは人それぞれの好みだろう。タイトルからして「ワンナイト推理」とうたっているのだから事件もサクサク進む。ちゃんと巻末に「作中に登場する法律論は、一部、誇張や省略を含みます」と書いてあるのだからご都合主義や越権行為もわかったうえでやっているし。
    剣持麗子というキャラクターのファンになれれば楽しめる小説。私は次回作も楽しみにしている。

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    2024年07月07日
  • 競争の番人 内偵の王子

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    競争の番人の第2段。
    1作目では、固い固い性格の男性が相棒だったが、今回は真逆の性格の男性が相棒。しかし、そこに1作目の相棒が絡んで、、。
    この後どうなる?帆立さん、3作目、あるよね?あるよね?

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    2024年06月30日
  • 競争の番人 内偵の王子

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    ネタバレ

    競争の番人、続編。さらに続編が出そうで嬉しい。白熊さんが九州に異動になってからのお話。正直、登場人物が多くてこんがらがっちゃうとこも。地方と本局。福岡がそんなに暴力団がはびこっている地だとは知らなかった。まぁフィクションではあるけど。屋台とかいかにもだしなぁ。そしてまた着物業界がこんなにも問屋問屋になっていたとは。そりゃ衰退していくわ。最後の常盤の件、当然ながら人間悪いところもあればいいところもある。まさに、私も今、その渦中にいる。しかし、石山君といい、皆一生懸命仕事に取り組んでてえらいわ。

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    2024年06月24日
  • 競争の番人 内偵の王子

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    福岡のうどんが食べたくなった。カルテルと暴力団の世界が想像を超えていた。小勝負とのやり取りをもう少し見たかったな。

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    2024年06月22日
  • 先祖探偵

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    主人公の邑楽風子(おうらふうこ)は、依頼人の先祖を探す探偵。
    小さい頃に母に捨てられて、新しい名前をもらい施設で育ち母を探している。
    覚えているのは「母が名前も住んでいるところも全て忘れなさい」と言ったことのみ。
    風子の行う先祖を探す探偵の仕事とは?風子は母と出会えるのか?
    短編5話で構成されてそのうち1話は風子自身の話を描いた読みやすい作品。

    ここのところ新川帆立さんを読みつけていますが、
    これまでになくこれまでで一番取材や調査を感じた作品で
    なかなか面白かったです
    シリーズ化されそうな?ドラマ化されそうな?気配です♪

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    2024年06月19日
  • 競争の番人 内偵の王子

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    ドラマ化もされた人気小説「競争の番人」のシリーズ第2弾
    主人公の公正取引委員会の審査官の白熊楓は、九州事務所へ転勤になり
    慣れない地方都市での公取の業務、パワハラ、中央への妬み、人員不足に苦労する日々
    同僚の常盤 恭太郎は、いい加減だけどイケメンでスマートな、内偵業務のエース
    一緒に呉服業界の調査を始める
    カルテルの可能性から本局第六審査長(通称ダイロク)のメンバーたちも博多に駆けつけての捜査となり呉服業界の闇にメスを入れようと奔走する
    暴力団や政治家も絡む闇の解決はできるのか?
    白熊の恋の相手は、内定のエース常磐かクールエリート小勝負か

    テンポよく小気味よく楽しく読めた続編で満足でした
    第3弾でないかな?ドラマ化もしてほしいな

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    2024年06月07日
  • 禁断の罠

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    ネタバレ

    6人の作家によるアンソロジー。
    それぞれ個性豊かで良かった。
    斜線堂有紀氏の動画と宝石強盗に殺人事件を絡めた聞き取りによる作品が面白かった。

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    2024年05月28日
  • 禁断の罠

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    読んで良かった。アンソロジーだから、読んだことのない作家の作品も気軽に読めるし、と手を出してほんとに良かった。
    どれも、趣向が違うし、雰囲気もそれぞれだけど、とっても面白い。
    トリックの面白さというより、人の面白さ。
    しばらくしたら、また読もう。

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    2024年05月06日
  • 禁断の罠

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    6人のミステリ作家のアンソロジー。
    どれも面白かったけど、ワタシにとってお初の中山七里さんの話が後引く面白さ。シリーズモノの一編だけど、違和感なく読めて、シリーズを最初から読みたくなった。
    なんか豪華な一冊でした。

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    2024年04月28日
  • 禁断の罠

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    めっちゃ面白い、長編作家って短編もすごい!当たり前なんだけど、改めて凄さがわかった。
    時事的な内容も多く、世相を切ったシュールなオチ。
    短編だから展開も早くすぐに話に引き込まれる、とても読みやすかった。

    長編で創り上げる世界観とはまた違い、あれだけの展開をこんな短編にギュッと詰め込みしっかりオチつけるなんて天才だと思う。
    文章力って短編の方がより力量が問われるのではと感じた。

    読んだことのない作家に触れる良い機会にもなりました。

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    2024年04月02日
  • 競争の番人 内偵の王子

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    301ページ
    1,550円
    9月25日〜9月26日

    本局から九州事務所に異動になった公取委の白熊は、パワハラ気味な古賀と、約束を守らない常盤、自分に本局への不満をぶつけてくる石山とうまくやれずに、相変わらず忙しい日々を過ごしていた。呉服屋関係の不正返品を調べるうちに、町の小さな呉服屋、梶原呉服に脅迫状が届いていた。調査を進めるもののうまくいかず、梶原が何者かに殺されてしまう。本局と合同で調査を進めることになり、懐かしのメンバーと働くが、白熊のは、本局に手柄を横取りされるような気がして、モヤモヤする。以前のパートナー小勝負にも、常盤には気をつけろとよくわからないアドバイスをもらい、常盤に傾いていた心にブレーキをかける。調査を進めるうちに、調査対象者から殴られたり、銃撃されたりと危険なことに巻き込まれながらも、小勝負が事件の本質を見抜く。

    専門的すぎて、呉服屋さんなどのメーカーの名前もたくさん出てきて、店の名前はよく覚えないまま、流し読みした。登場人物は、キャラがしっかり立っていたので、誰が誰だかかろうじてわかり、戻り読みすることはなかった。小勝負とのこれからが気になる。

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    2024年03月25日
  • 先祖探偵

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    ネタバレ

    2022年の同名単行本の文庫化で、特殊な戸籍にまつわる5話

    先祖調査を業としている邑楽風子のもとに持ち込まれた依頼と、風子が自分の出自を調べる話で、近代戸籍の範囲の調査だけで、私が依頼を受けている過去帳や宗門人別帳を使わないのはちょっと残念。

    1)幽霊戸籍
     111才になる曾祖父の最高齢表彰をすると町役場から通知があったので、曾祖父を探して欲しいという依頼は、死亡届が出されない幽霊戸籍だとわかり、おまけにその戸籍をめぐって昔も今も他人になりすました事件が判明する。
     でも、戸籍係の職員が他人になって転職するというのはちょっと設定としてどうかなぁ。

    2)棄児戸籍
     中学生の少女が父方の先祖を調べたいと来た。戸籍から出身地をたとり、訪問した家の亡父は中学生の祖父の従兄弟だが、その写真は少女にそっくりで、少女は両親に似ていない自分の出自に疑問を持っていたので安心した。
     風子が実は捨て子で、姓名は役場の戸籍係がつけたもの、というということが明かされる。

    3)焼失戸籍
     小学生の息子が、紙を二つ折りにして咥えて呪文を唱える発作を起こすようになって、先祖の祟りだと言われたという相談があり、先祖を調べに岩手へ行くと火事で一家のほとんどが死に、残った子も行方不明になっていた。
     憑(つき)祈祷をしてもらうと、「火事、死体、キョンちゃん恨んでねえ」という男の声が聞こえ、その声の主が曾祖父でハッケと呼ばれる占いをしていて、息子の発作と同じ所作、呪文を唱えていたという。
     風子と同行者も、キョンちゃんの家で座敷童を目撃し、曾祖父の霊が息子に降りて、キョンちゃんに伝えたかったのだとわかり、息子の発作もなくなってめでたしめでたし。・・裏表紙の「新たなハードボイルド小説」ってなんだかなぁ。

    4)無戸籍
     出産の費用が払えずに出生証明書をもらえなかったため無戸籍で、学校にも行けず、定職にも就けない男性からの戸籍取得の依頼を受け、産院を突き止めて出生証明書を入手し裁判所に申し立てたが、実は戸籍のある弟が兄になりすまそうという悪企みだと判明。

    5)棄民戸籍
     風子を探しているという男性がいて群馬県へ向かうが、面会して自分の親ではないと分かる。しかし、直後知らない男たちに襲撃されて、父親が日系ブラジル人のマテウス・オガタというギャングだったとわかる。さらに資料館で自分と瓜二つの女性の写真を見つけて、母親が玉城カメといい、沖縄へ行ったことを知って、風子は沖縄へ向かうと、すでに病死していた。
     母親は沖縄からブラジルに移住した一家に生まれ、終戦近くだったため日本国籍がなく、特例で日本に来たものの帰れなくなってオガタと知り合い、子供を産んだもののオガタはいなくなり、「棄民は戸籍を取得できないが、棄児なら取得できる」から娘の将来のために捨てたのだという。風子はショックを受けるが、自分の出自がわかって、これからも先祖探偵を続けようと思う。
     最後は母親と似ていることに気づいてほろりとする場面もあるけれど、『元彼の遺言状』の著者の作品としては理不尽さに納得ができない。

     巻末に同じ東大法学部出の辻堂ゆめとの対談があって、辻堂ファンとしてはお得感はある。

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    2024年03月08日
  • 先祖探偵

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    ネタバレ

    新川帆立は読んで失敗はない。
    文章に、1991年生まれとは思えない狡猾さを感じる。年齢の割に経験値が高くて、うまいなぁと感心する。
    また今回はグルメ的な要素もあり、へぇーそんな郷土銘菓があるのかと興味を持った。
    以前NHKで放送していた『ハムラアキラ〜世界で最も不運な探偵〜』にモチーフが似ている気がして、ヒロインはシシドカフカをイメージして読んだ。

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    2024年03月02日
  • 先祖探偵

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    先祖を探す、つまり家系をさかのぼる探偵のお話。戸籍を取得したり、郷土資料に当たったり、ともすれば地味なお話になりがちなテーマだと思いますが、主人公自身の親探しを軸に、依頼人毎の様々な事情も絡めながら作品を彩ってますね。
    情に流されず、それでいてクールすぎない。いい塩梅の主人公だと思います。

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    2024年02月25日
  • 禁断の罠

    購入済み

    全体的に割と面白かった、印象に残るような話はとくになかったけど、がっかりという感じは全然しなかった。

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    2024年02月20日
  • 倒産続きの彼女

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    主人公チェンジ!高飛車で才能も金も彼氏も美貌も何でも持っている剣持麗子から、普通の頑張り屋でコンプレックスいっぱいの美馬玉子へ。連続殺『法人』事件って何?と思っていたら、実際に殺人事件が起きて、どこに闇があるのやら、誰が関与しているのやら。そして、最後はかなりやばい展開になって、剣持麗子の大立ち回りもあり、大事に至らず一件落着(玉子の気持ちもすっきり)。次作では玉子の友人、美法の活躍を期待。天然な古川君にもいい味出してほしい。

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    2026年01月12日
  • 競争の番人

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     公正取引委員会の女性審査官の葛藤と成長を描くお仕事ミステリー。シリーズ1作目。
              ◇
     正義感が強く、考えるよりまず身体が動くという体育会系気質の白熊楓。
     公取委審査官として1本立ちすべき5年目だったが、公共工事の談合疑惑で事情聴取した参考人に自殺されてしまう。
     責任を取る形で楓の指導係を解かれた上司の遠山は昇進が絶望的に。楓も次年度から九州事務所への異動を打診され、それまでの期間は風見キャップのチームに入り桃園の下につくよう命じられた。

     新チームで楓とペアを組むことになったのが東大・ハーバード出身のキャリアという期待の星、小勝負勉だ。
     情に囚われがちな楓に対し、合理的で理屈優先の小勝負。そんな対照的な2人が挑むのはウェディング業界のカルテル疑惑である。
     ひと癖もふた癖もあるカルテルの首魁を相手に調査・内偵に出向いた楓と小勝負だったが……。( 第1章「弱くても戦え」) ※全6章。

          * * * * *

     お仕事小説であり成長物語でありミステリーでもある。盛りだくさんの非常にエンタメ性の高い作品でした。このあたりはさすがノリにノッている新川帆立さんで、どんどん読み進めさせる出来栄えになっています。

     作品の肝は主人公の白熊楓の不器用さにあります。大学卒業まで空手に打ち込む青春を送っただけあって、楓はあまりスレていません。そして責任感が強く純粋で真っ直ぐ。しかもお人好しで情に脆い。

     だから合理的で理屈っぽく個人主義の小勝負ですら、楓を放っておけないのです。2作目の『内偵の王子』で明らかになりますが、楓の損な性分は小勝負の母親とそっくりなのでした。
     だから小勝負は、イラつきつつも楓をフォローせずにはいられません。このあたりの人物設定はうまいと思いました。

     ポジション的に考えて、これからも小勝負の登場シーンは多いでしょうし、その魅力も十分描かれもするでしょう。
     次作の『内偵の王子』でも小勝負は少ない登場シーンながら見事に存在感を放っています。

     個人的には小勝負よりも、有能な諜報部員のような桃園さんの活躍をもっと見たいと思いました。
     桃園さんは本作でもその片鱗を見せてくれてはいたけれど、まったく物足りない。例えば楓と2人で内偵に行く話なんておもしろそう。

     シリーズはまだまだ続く ( そうなって欲しい! ) でしょうから、楓以外の人物にもスポットを当てた話を挿入していって欲しいと思います。

     それにしても公正取引委員会の弱小ぶりがよくわかりました。
     何と言ってもその地味さからくる存在感の小ささと立場の弱さ。公安同様に、調査や内偵、摘発が主業務であるのに公安ほどの権限は与えられていない。
     そんな気の毒としか言いようのない役所です。

     現代は経済中心の資本主義社会。公取委の存在意義はますます大きくなると思います。
     この作品で公取委に関心が集まり、その体制の見直しに繋がればいいのになどと、夢のようなことを考えたりしました。

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    2023年07月02日
  • 先祖探偵

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     戸籍を辿って先祖についての調査を行うというちょっと変わった探偵業を営む女性を描いた連作短編ミステリー。
              ◇
     邑楽風子は児童養護施設育ちだ。5歳のとき母に捨てられたからで、施設を出てからはたった独りで生きてきた。

     26歳で先祖調べの事務所を開いた。
     戸籍を辿ってクライアントの先祖を調査する仕事で、戸籍についての知識も当然ながら身につけている。必要とあらば現地に飛んで聞き込みもするが、風子ひとりで事足りるので人づきあいの苦手な風子には向いていると言える。 

     けれど風子がこの仕事を選んだ本当の理由は、自身のルーツや母の行方を調べるため。そして何より自分が捨てられた事情を知りたかったからだ。

     ある日、風子らしい人間を探している人物がいるという情報が、他の探偵からもたらされ……。
    ( 第1話「 幽霊戸籍と町おこし」) ※全5話。

          * * * * *

     無戸籍問題をモチーフにした別の作品を先日も読んだばかりだけれど、無戸籍となる原因は多種多様であることと、本人にとってはひどく深刻な問題であることはよくわかりました。

     作者の新川さんが法律家としての目でこの問題を捉えて物語を構築していったためか、コミカルな部分や和やかな部分があったにも関わらず、全体的に暗く鈍重な空気をまとった作品になっていたと思います。

     その点で、新川さんの他の作品とは趣を異にしており、それはそれで新鮮な感じがして楽しめたし、重くとも社会性のあるテーマを提示してくれているのもよかった。


     印象に残ったのは、風子を置き去りにする時に母親が言い聞かせた「自分の名前も住んでいるところも全て忘れろ」ということば。これは強烈でした。

     実の娘を捨てざるを得ない状況に加えて、名前も含めたそれまでの人生全てを捨てるよう命じる母親の心情は察して余りあります。
     さらに、その言いつけを頑なに守った5歳の子どもの健気さと、守ったがために母親のことはおろか自分の本名まで記憶から消し去ってしまったという風子の悲劇。痛々しくてことばもないほどでした。
     
     これらは風子が戸籍を持てるための代償なのだけれど、無戸籍とはさほどに深刻で大きな問題であるということがわかる、象徴的な描写でした。

     戸籍制度を持つ国は、日本のほかには中国と台湾があるばかりだそうです。
     国籍があり住民票がある。なのに、さらにその上にある戸籍制度。何のためのものなのか。考える時期に来ている気がします。

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    2023年06月24日