新川帆立のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ初めての新川帆立さん。
不穏なタイトルと、少年院から出所した少年Aが殺された。一緒に院で過ごした少年Bが被害者遺族に密告したせいで。誰が少年Bなのか!といったあらすじに興味を惹かれて読んでみました。
インタビュー形式で少しずつ6人の関係が明らかになっていく。みんな怪しくなってくる。
終盤明かされていく真実に読み進める手が止まらなくなりました。そして、自分に当てはめて考えざるを得ない内容。
もし自分が被害者遺族になった時。復讐したいと思わず居られるのか。復讐以外の気持ちの納め方とは。当事者にならないと見つからない答え。面白かったです。 -
Posted by ブクログ
タイトルが不穏で、あまり気が進まずのいたものの、新川帆立さんならきっと読ませてくれると思い手に。
贖罪と復讐の物語と謳っている。
「少年による犯罪をどう捉えるべきか。罪を償うとはどういうことか。」と序章に書かれているように、読みながら自分自身の少年犯罪に対する思いが揺れ動き、まさしく考えさせられる物語だった…
罪を犯す少年は、元々何らかの障害を抱えていたり社会的弱者であることが多いというイメージがある。
少年院などの更生施設が、そういった非行少年達の更生のために社会的な経験の場として機能しているということを改めて知る。
もし、彼らが幼い頃から規則正しい生活や暖かい保護者や友人との交流の機会 -
Posted by ブクログ
我が子が殺されたら。
私もこの母親と同じように犯人を殺してやりたいと思う。それはなんでだろう?って考えると、きっと、私は我が子を奪われて絶望している、我が子は生きる筈だった人生を奪われているのに、犯人がのうのうと生きていて、あまつさえ幸せになろうとしているのが許せないから。
ただ、犯人を殺しても我が子は返ってこない。
もし、犯人が少年院で、罰として酷い拷問受ける、我が子と同じくらい苦しみを受ける、となったら満足かな、と考えた。
でもこれって目には目をな思考ですよね。
きれいごとじゃ済まない。
この本の結論にはおーっと思わされるけど、自分ごとになったら…同じように考えられる自信は無いなあ。 -
Posted by ブクログ
“お嬢”の異名をとる与党の女性議員の自殺から始まる大逆転政治ミステリ。
ライバルである野党の議員、その若き政策秘書、政治記者、そしてママさん市議会議員、四人の女性の目線から描く政界の物語。
折しも日本初の女性総理が誕生したとはいえ、令和の世の中になっても女性が政治の世界で活躍することの難しさ、その仕組みが描かれる。実力や努力ではどうしようもない部分。おじさんたちの旧態依然とした価値観と、男社会を守ろうとする絶対的な結束力はどこの世界にもあるからよくわかる。
男の失敗は個人のもので、女の失敗は女全体のものにすり替えられる歯痒さ。
その分厚い壁に四人の女性が協力して風穴を開けていく姿が爽快!
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Posted by ブクログ
事故で頸髄損傷し四肢麻痺となった女性が弁護士を目指して司法試験を受け、艱難辛苦を乗り越えて弁護士として生きるまでの物語。彼女が手紙として自らの軌跡を綴る形で描かれる。
主人公のひまりがとにかくパワフル。泣く暇があったら一歩でも前進する。悩んでいないわけではないのだが(時々そう書いてあるので)悩んだり泣いたりする具体的な描写はほとんどない。それよりも彼女は先に進む方法を考えるし、そのために最大限の努力をする。
彼女が自ら言うように、事故がなければ彼女が弁護士を目指すことはなかっただろう。ハンディを配慮されるどころか除外され、受験すらできないところから取り組み、自らの力で突破する彼女に、ただただ圧