集団とはさまざまなかスタイルがあるけれど、一人だけやけに悪目立ちしているような、常に浮いているような人と、そうでない複数人とで構成されることがある。その一人が、会話の発端を担うようなポジションであれば、その集団はうまくいく。そうでない場合は、複数人側の連携プレイにより、その一人の悪目立ちが浮き彫りにされ、あたかもツッコミ待ちの天然ボケというキャラを設定されてしまうことがある。バラエティ番組で観るバービーは、どちらかといえば後者に近い人だという印象があった。
バラエティでの立ち振る舞いに悩んでいた芸人バービーの心情は、第二章に綴られる。バービーという概念をつくるため、キャラの因数分解を繰り返し、客観的にイメージを振り返り、キャラクターとしての精度を上げてきたのだそう。個人としての自分と、表に出るための自分。いくつかの「役」を自覚したうえで、「たくさんの仮面を持つことは、いろいろな人の考えに寄り添えること、様々な角度の視点を持つこと。それを踏まえて取捨選択していった幹となる自分は、以前より濃くなっていると思うのだ。」と語るやわらかな視点を読み、バラエティでのバービー像がどんどん崩れていく。
なにより語り手としての視点に共感できるエッセイ本だと思った。語られる内容は、人それぞれ、これまで生きてきた人生やそこで培った処世術・価値観によるものだから、わかったり、正直わからなかったりする。だけど、全十章から成るこれらの本音は、「いまの自分がいちばんいい」「そしてこれからはもっとよくなる」「そのためにいまどのように行動できるだろう?」という問いかけをしてくれる。私のお気に入りは、第五章「勝手にマリッジブルー」と、第十章「酒に飲まれていたころから夢を実現するまで」のふたつの本音。読者によってお気に入りの章は異なるだろう。
全体を通して問題提起してくれる方向性に共感できる(本当に言いたい内容はサブタイトルに隠れている)。バービーの書く文章もおもしろい。だがこの本は「あーおもしろかった」と閉じたあとも、考えることをやめさせてはくれない。この本が導きたいその先は、バービーの本音にふれた読者それぞれが、自分の本音と向き合い行動していくことなのではないか。まるで会話のキャッチボールのように。これからもなんでも話せる親友のような存在として、いま暮らしている日常に違和感を感じたときには、この本を開くだろう。