浅倉秋成のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
特殊設定ミステリにパッケージングされたYA
限定的な「嘘を見破る能力」を手に入れた主人公が、高校で起きた連続自殺事件の真相に迫る。
この事件が別の能力者による他殺であり、その犯人が学校内にいると確信する主人公。正体不明の能力を持つ犯人探しと、自分が殺されるかもしれない恐怖。読んでいてハラハラしっぱなしだ。
また、本作のテーマがスクールカーストによる同調圧力であることが徐々に明かされていく。
「全員が仲のいい最高のクラス」というスローガンによる欺瞞に胸が痛くなる。
これによって、終盤に犯人と対峙するときに、ミステリとしての構造がハウダニットからホワイダニットに綺麗に転換していく。
また、中盤に出てくる「富国強兵ゲーム」の長セリフは圧巻。本作のスクールカーストの構造を2ページ半に渡って言語化してくれる。
読後感はとてもしんどい。
非常にヒリヒリとした、胸にグサグサと刺さる青春ミステリだ。 -
Posted by ブクログ
5話の短編集。
「そうだ、デスゲームを作ろう」デスゲームを作る側の視点が新鮮で面白かったです。今度からデスゲームを観るときは、主催者の苦労に思いを馳せます。
「行列のできるクロワッサン」自分もどちらかといえば主人公と同じく行列に興味のないタイプなので共感しました。ただ同調圧力にも弱いから自分ならすぐに屈しそう。
「花嫁がもどらない」Perfumeのレーザービームが出てくる小説を初めて読みました。この話が一番怖かった。
「ファーストが裏切った」タイトルから、どういうこと?と思いながら引き込まれるように読みました。紛うことなくファーストが裏切ってました。いやよくこんな話思いつくな。実際起きそうで起きなさそうで、起きるかもしれないお話。
「完全なる命名」一番好きなお話。にやにやしながら読んでました。この主人公はめちゃくちゃ良いお父さんだと思う。
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Posted by ブクログ
日常に転がっている違和感や異常性を煮詰めて濃縮させたような短編が5編収録されている短編集。
どの物語も、現実的なテーマがふっと非現実的な方向に入り込んでいったり、逆に非現実的なことが真面目に現実的に進んでいったりしていて、現実と非現実の境界線ってすごく曖昧で、地続きなものなのかもしれないなと思わされる。
そんな現実と非現実の間をスルッと通過していく感じが、クセになる楽しさだった。
楽しい話はないのだけれど、皮肉やブラックユーモアを多数散りばめられていたこともあって、不思議と読後感はどれも悪くなく面白く読むことができた。
浅倉さんの作品は長編のミステリーを2作品ほど読んだことがあったけれど、短編集を読むのは今回が初めて。
ミステリー以外のジャンルの作品の魅力を感じることができ、今後も浅倉さんのこういった短編を読めるのが楽しみだなと感じた。 -
Posted by ブクログ
とにかくヘンな小説を
そんな依頼に応えた短編5編
ジャーロ掲載作品
いずれも秀作で、ラストまで読むと奇妙な納得をする。
ここで崩されるのは常識ではなく良識ですね。むしろ彼らは、自分なりの常識を守ろうとするあまり、判断や倫理を切り崩していく。
その倒錯が、ブラックなナンセンスとなります。
⒈ そうだ、デスゲームを作ろう
冴えない男の発想がそのまま暴走する。
筒井康隆を思わせる、軽さと逸脱。
⒉ 行列のできるクロワッサン
行列という形式だけが肥大化。
小松左京「牛の首」を思い出した。
⒊ 花嫁は戻らない
原因を探した末に、結婚式そのものの異物感。
接点はないのだけど 裸の王様を思い出した。
⒋ ファーストが裏切った
ルールの信頼が崩壊する不条理。
⒌ 完全なる命名
自由なはずの命名の 錯乱。
オチが ヨシエリさんの原麻希より。
すっごく新しい“ヘン”が少し懐かしさがありました。
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Posted by ブクログ
「全員が仲のいい最高のクラス」で起きた連続自殺。主人公は、幼馴染みの同級生から信じがたい話を打ち明けられる。「自殺なんかじゃない。みんなあいつに殺されたの」“他人を自殺させる力”を使った証明不可能な罪を暴いていくお話。
タイトルだけで手に取ってみましたが、思ったよりドロドロした感じはない青春ミステリーという感覚でした。「あ、こういう方向なんだ」と思う瞬間があるのですが、それと思春期特有の心の揺らぎが絶妙にマッチして一気に読み切りました。
設定が凝っているのでもう少し事細かに書いて欲しい気持ちもある一方で、最後の終わり方がすごく潔く、素敵で良かったという気持ちもあるんですよねぇ。