浅倉秋成のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
映画化で話題になっていたので、もっとわかりやすいエンタメ寄りの作品かと思っていたが、想像以上に鬼気迫る物語だった。
身に覚えのない炎上に巻き込まれていく怖さ、SNSで一気に追い詰められていく息苦しさがかなりリアル。ネット上の言葉が暴走していく怖さだけでなく、その中で父親として、社会人としてどう振る舞うべきなのかという葛藤も描かれていて、単なる炎上ミステリーでは終わらない重さがあった。
勢いで読ませるエンタメ性がありながら、浅倉さんらしい緻密な構成もしっかり感じられる。登場人物の見え方や出来事の意味が少しずつ変わっていき、最後に向かって物語が組み上がっていく感覚が面白い。
正直、初読では終盤の結末をうまく理解しきれなかった部分もあったが、再読してようやく腑に落ちた。読み返すことで仕掛けの細かさにも気づける作品だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレSFは好んで読まないけれど、やはりこの人の本は面白い。
完全な悪人は居なくて(殺人はやはり許されない。壇優里は罰を受けるべきだが)、いわゆるスクールカースト上位のやつも、犯人の壇も良かれと思ってやった。
主人公:垣内友弘も仲の良いクラスがウザくて、全員嫌いにだったし、思春期の一人になりたいような、誰かと仲良くしなきゃと焦る気持ちを思い出した。
タイトルに納得感のある感情の機微。
最後、犯人を殺さなかった主人公はよくやった。美月も嘘をつかず主人公の力になると言ってくれて少しホッとした。
主人公は恐らく苦学生。家の狭さや機能不全の家庭の様子が特にリアル。きっと家族のことも嫌いではなさそうなので、自立し家族にちゃんと感謝できるようになるといいなと思う。
受取人の能力の生かし方も上手。 -
Posted by ブクログ
一気に読み終えた。
ストーリーの構成や文章も読みやすく、
ページをめくる手が止まらない。
「全員が仲のいい最高のクラス」を目指す取り組み。
たまになら良いかもしれないが、
これを毎週強制されるのは、
自分だったら正直かなりしんどい・・・。
作中に「いじめ」は描かれていない。
それなのに学生特有の閉塞感や生きづらさ、
価値観のズレが克明に描写されており、
胸が締め付けられるような感覚になった。
ミステリーとしては犯人の目星が
比較的早い段階でつく構成。
しかし「他人を自殺させる力」とは一体何なのか、
その正体を推理していく過程にこそ
この物語のおもしろさが詰まっている。
単なる特殊設定ミステリの枠に収まらない、
「教室」という歪な空間を鋭く切り取った傑作。 -
Posted by ブクログ
本選びに悩む10代に送るアンソロジーということで、ターゲット的には若年層向けっぽいけど、誰が読んでも楽しむことができると思った。
今回は四作品が収録されていて、どの作家さんも割と有名。まあだからこそ買ったわけだけど、内容も良かったです。
特によかったのが織守きょうやさんの「彼と彼女の穴」という作品。織守さんといえばホラーのイメージがあって、今作も恋愛といいつつもミステリー&ホラーテイストでなかなかいい味が出ていた。
物語のあらすじとしては、主人公はたびたび不思議な夢をみるようになる。夢の中ではひとつの穴があって、その傍に誰かが立っている。そんななか、主人公は一人の少女に出会って付き合うことになる。
穴、というちょっと不気味な連想と、恋愛というハッピーな雰囲気のギャップが面白い。
普通に読んでいくと、まあまあなバッドエンドを予想してしまうわけだけど、ラストは、、という展開もよかった。
文量はやや少なめで、かつ内容的にもとても読みやすい。読書初心者の人でも気負わずに読み切れるいい作品だと思った。というわけで⭐︎三つ。