就職の最終グループディスカッションで、採用する一人を学生達自身で選ばせるお話
成長著しいベンチャーIT企業「スピラリンクス」
最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、グループディスカッションに臨むこと
場合によっては全員を採用する事も有り得る
メンバー達は全員で合格するため順調にスピラリンクスの分析を行うが、突如課題の変更を告げるメールが届く
震災の煽りを受け、採用人数が一人になったため、グループディスカッションの課題は、六人の中から一人の内定者を決めること
それまで仲間意識を持っていた六人はお互いにライバルになる
内定を賭けたディスカッションが始まった後、室内に封筒が発見される
その中にはそれぞれ宛の封筒が入っており、とある人物は開けたところ、メンバーの一人を名指しで人殺しであるという告発文と証拠となる画像が入っていた
他の封筒の内容は何か?封筒を用意した犯人は誰か?犯人の目的は?
無事、犯人は特定されたかに見えるが、果たして本当に犯人だったのか?
彼ら彼女らの嘘と本当の姿とは?
就職活動における欺瞞
全くの嘘ではないものの、誇張された内容が横行するプロフィール
逆に、企業側の採用する能力に対する疑問
六人の概略
波多野 祥吾:立教大学 経済学部 経済政策学科 調整力に長けた参謀タイプ
九賀 蒼太:慶應大学 総合政策学部 総合政策学 イケメンで有能
袴田 亮:明治大学 国際日本学部 国際日本学科 元野球部の体育会系 脳筋的な印象を与えるが、場の雰囲気を変える気遣いもできる
矢代 つばさ:お茶水女子大学 文教育学部 グローバル文化学環 海外経験も豊富で、様々な社会問題にも取り組んでいる
森久保 公彦(22)一橋大学 社会学部 社会学科 情報収集・分析能力に長けている
嶌 衣織:早稲田大学 文学部 社会学科 洞察力と人を見る目がある
就職活動を描いた小説だと、石田衣良の「シューカツ!」を思い浮かべる
あっちもあっちで就活生の虚飾にまみれた姿を描いていたけど
この作品はもっと複雑な仕掛けがされてある
浅倉秋成だしなー という謎の信頼感があったので
どれだけ悪そうな人が出てきても何か事情があるんだろうなーと思って読んでしまう
鬼平犯科帳でも語られておるように、
善人と思える人物が悪行に手を染めたり、逆に悪人と呼ばれる盗賊たちが人間味あふれる義理堅い一面を見せたりすることが多くある
ある一つの行動を取ってみても、それが誰かにとって悪行に思えても、他の誰かのための善行である場合もある
その行動を起こした理由まで掘り下げないと、真意はわからないですよね
はやり伏線の名手だけあって、序盤から中盤にかけての仕込みが凄い
その仕掛けが多段になってひっくり返してくる構図が凄い
そして、余計な情報はなく、意味ありげに提示されていた情報は全てストーリーに関わってきているところも凄い
ただ、タクシーを拾うときに、セダンタイプを見送ってスライド式の方を選ぶという描写の意図が、素直にそんな理由があるのだろうなーと思ってしまい
タクシー会社のブランドなんて気にしなかった
都会に住んでないので、伏線を張られるにしても読者の知識が求められるのだなぁ……
あと、「犯人」に関しては、ある程度の怪しさは中盤まで読んで感じていた
証拠の手に入れやすさ、証拠を入手した人物を探られた歳の足のつきやすさ
そして何より、ストーリーとして成立する開封の順番になっているあたりで、自作自演という疑いは持ってしまう
ただ、その時点で動機はわからなかたけどね
それにしても、就職活動かー
まぁ、そんなもの、ある意味で運でしかないというのは社会人になれば自ずと知れる
優秀・無能、採用・不採用という組み合わせで考えたら
優秀な人を取りこぼす、無能を採用するという事態は往々にしてありえるわけで
優秀であれば人事の人が採用してくれるというのは幻想であるのは自明
他の会社は知らないけど、うちの会社の人事という組織の目的は、とにかく人を確保するのが第一であり
ある程度の質は求められるものの、採用された人を育てるのは配属先という風潮がある
ステラリンクのような会社はわからないけど
人材不足の中小企業なんてそんなもんだと思うよ
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成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。それは、「六人の中から一人の内定者を決める」こと。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルになった。内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒を空けると「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。彼ら六人の嘘と罪とは。そして「犯人」の目的とは――。
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