浅倉秋成のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
・著者のパワーに振り回される一冊。パワーが強い系の作品が好きな方におすすめします!
・著者の作品は、大どんでん返しがあるミステリーが有名だが、全く違った一面を見ることができた。
「そうだ、デスゲームをはじめよう」
・行き過ぎたカスハラに対する報復がデスゲームを主催すること。
・『報復したい』に心血を注ぎすぎている。努力の方向性間違ってないか。とツッコミを入れたくなる。
・ギャグなのか本気なのか分からないところも面白い。
「行列のできるクロワッサン」
・真面目。行列ができているってだけで並びたくなる真面目さ。
・仲間の裏切り、子どもを悲しませる、悩みの多いこと。
・行列に並ぶために装備を購入する -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった。阿部寛ピッタリじゃん。
SNSにおける成りすましというテーマは極めて現代的なのに、ミステリー的な趣向は古き良き新本格であった(別にあの作家が先鞭をつけたわけでもなさそうだが) 。伏線はこの手のものにしては少ないし、映画化しているという前情報も目眩しになって見破れる人はかなり少数なのではないか。
わざわざ阿部寛に成りすましてまで貶めるほどの動機があったとは思えない上に、連続殺人の動機も深くまでは書かれていない。幼い頃からそういう奴だったと納得するしかない。
誰もが陥る他責思考「俺ではない」は魔法の考え方だが、ときには他者への鋭利な刃物になるということを再認識すべきなのでしょう。おお -
Posted by ブクログ
あらすじを読んで気になっていたものを読んだ。すごく現代のネットというものが現れていたと思う。たびたび入る「リアルタイム検索」で、細かいことを知らない第三者たちが真偽のわからない情報や少ない情報から自分勝手な投稿をしていて、でもそれは、わざと嘘を流していない人は純粋に自分が思ったことを書いているだけで、それが本当に気持ち悪いと思った。それと同時に、自分の信念を曲げない人というのは、立派な人かもしれないけれど人のことを見れていない、わかっていないこともある、ということがすごく伝わってきた。
読み終わってみて、小説トリックに感動した。読んでいる間は気が付かないのに、読み返してみるとそうなっているのが -
Posted by ブクログ
大手不動産会社に勤める山縣泰介。
ある日、いきなり泰介のSNSと思われるツイートから、殺人事件ではないかと騒ぎが始まる。
泰介はネットにも疎く、SNSなんてやっていない。
そのため、自分が犯人のわけがないと余裕でいたが、ネットの世界はあっという間に騒ぎが拡がり、会社にもいられなくなる。
挙げ句には、警察が逮捕しないなら、泰介を自らの手で処罰すると言い出す者が出で来る始末。
なぜ、泰介もそこで逃げてしまうのか…
ネット世界の怖さと作者の巧みな仕掛けで、後半思わず手が止まる…?
前半、泰介にイライラして、なかなか読み進められなかったけど、読み終わればなんというか、読み応えはあったのかな。
202 -
Posted by ブクログ
日常の「当たり前」を細かく刻んで、じっくり炒める。香ばしく立ちのぼるのは、常識の裏に隠れた“奇妙な旨み”。
浅倉秋成さんといえば、緻密な構成と心理戦が光る『六人の嘘つきな大学生』を思い浮かべる方も多いと思います。ですが本作『まず良識をみじん切りにします』は、それとはまったく異なる味わいの短編集。日常の中に潜む小さな違和感や人間の可笑しさを、軽妙な筆致で描き出しています。
特に印象に残ったのは、「子どもの名前をつける」エピソード。どこか現実離れした設定なのに、読んでいるうちに「ありそうだな」と思わせる説得力があるのが浅倉さんらしいところです。ユーモアと風刺が絶妙に混ざり合っていて、クスッと笑 -
Posted by ブクログ
ネタバレSNS上では、匿名になる分、強気になる人がたくさんいる。「自分は関係ない」、「自分は悪くない」という立場になり言葉を投げてくる。読んでいる時は、こういうこと書く人、たくさんいるよなーと、特に違和感も感じずに当たり前の光景として捉えて読んでいた。それが振り返ってみると、なかなか自分も現代のSNSの社会に染まっている気がして怖かった。
最後にざっと伏線回収されたが、イマイチ物足りなさを感じた。書き方の時系列的な叙述トリックのある作品はいくつも読んできたが、「うわ、やられた」というよりは、そんなのありかよ〜ってどこか腑に落ちない感じ。でも、読みやすく、自分が勝手に騙されていたところがあるのも事実。