浅倉秋成のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
浅倉秋成さんの本を読むのは、「俺ではない炎上」、「六人の嘘つきな大学生」、に続き三作目。
だいぶ違う味わいの短篇集。
単行本での掲載順と雑誌での発表順は違っていて、
発表順だと、以下。
・そうだ、デスゲームを作ろう
・ファーストが裏切った
・花嫁が戻らない
・行列のできるクロワッサン
・完全なる命名
「クロワッサン」は趣味に合わなかったが、他の作品はどれも面白く、発表順に楽しめた。
良識の膜が破れる瞬間とその後を描いた「ファーストが裏切った」が本書の主題を象徴しているように思った。デスゲームを作る発想には共感出来ずとも、この一塁手(鳥兜万次郎)の揺らぎには共感してしまう人が多いのではないだろうか。
「命名」は、子供の名前を考えたことがいる人ならば、誰でも「あるある」と思いそう。特に「変な渾名がつかないか」と音読み、訓読み、重箱読み、湯桶読み、のチェックはしっかりやったことを思い出した。 -
Posted by ブクログ
着眼点がとにかくおもしろい。
最初の1話目のタイトルなんて、「そうだ、デスゲームを作ろう」ってww
そうだ、京都へ行こう、くらいの気軽さでデスゲーム作りが始まるんだから、独特の着眼点で描かれていてとても楽しめた!
ただ、人間の醜悪さというか、負の感情を良い意味で微細に表現されており、私にとってはそこらへんを読むのが苦しかった。でも、好きな人には好きだろうなと思う。
オチは?オチは?早く!!といった感じでページをめくるのがとまらい。
でもやっぱり負の部分が大半を占めており、花嫁が閉じこもる話で途中挫折。
着眼点がおもしろいし、ストーリー展開もおもしろいからいつか再読できれば良いな。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「家族」というあり方に向き合う話。
自分本位に生きていくことが肯定される結末だったのは、多様性を良しとされる時代ならではなのかな。
一応ハッピーエンド的に描かれているから周にとっては納得のいく選択のように描かれてはいるけど釈然としない。そう思ってしまう原因は、周の立場が"親子"から"夫婦"に変化しているから、かな。夫婦はあくまでも他人同士だから自分本位でも何でも互いに納得さえしてりゃいいけど、親子や兄弟も同じ土俵で捉えるのかは疑問に思う。解散のお焚き上げによって真にケリがつけられるのは父と母だけであって、3人の子供は両親のケリに付き合わされてるだけに思う。ただ子供たち本人も納得してケリをつけることができているのは大人になっていたからってだけで、夫婦のように親子や兄弟の関係性にまで解散することはできていないんじゃないだろうか。そこにきて新郎である周がハッピーエンド如く新たなる一歩を踏み出しているのは、周自身が"夫婦"の立場になったから。夫婦の立場では解散できた事例が実の両親であるのだから困ったら解散すりゃいいわけで。でも自分が子供のときに被った臭い物には蓋をしたまま見て見ぬふり、もしくはそれすらも家族の多様性と割り切るのか。はたまた周の子供にも大人になったら解散に付き合わせるのだろうか。
それぞれの立場において、気安く一様に多様性を謳うのはどうなんだろうか…と思ってしまう今日この頃。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「6人の~」が面白かったので、てっきりこれも普通のミステリーかと思ったらまさかの能力もの。調べてみたらこの作者の作品はほとんどが能力ものだそうで。能力ものも嫌いじゃないけど、普通のミステリーと思って読んでいただけにちょっとビックリ。
途中まではそこそこ面白かったんだけど、ラストがね…。一人で三人も殺した犯人をどうするかについて、三人掛かりであれこれ工作して事故死に見せかけて殺そうという結論に至る。ミステリーの結末として最悪やろ(まぁ結局実行したものの最後は未遂に終わるんだけど)。せっかく便利な能力があるんやから、痛めつけて治して、痛めつけて治してを気が済むまで繰り返せばよかったのに。
ただ自分も主人公や犯人と同じで基本的には一人でいたい派なので大いに共感はできた。毎週放課後に強制的に他クラスと合同でレクリエーションなんて勝手なルールを作られたんじゃ憂うつで仕方ない。社会人で言えば半強制的な部署内での飲み会とかになるんだろうか。別に仲良くもなりたくない奴らと飲んでも時間と金の無駄。コロナでなくなってラッキーと思ってたら、また復活してきやがった。同じようなことは『教室』だけで起きているわけじゃない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ私が好きな作家さんばっかり…!
個人的にかなーり豪華なアンソロジーだったので、とても楽しく読むことができた。
「かわうそをかぶる」「あなたに見合う神さまを」が特に好きだったかなぁ。
「かわうそをかぶる」 浅倉秋成
ゆゆはイサナだったってことだよね?
犯人を仕掛けたのはゆゆだったってことだよね?
きゅーきゅー言っててこわ。
「まぶしさと悪意」 大前粟生
悪口コメントのミームってすごい発想。
「霊感インテグレーション」 新名智
ややムズ。シンプルにシステム理解が追いつかないだけっていう。
デマに踊らされた人間が、嘘を信じて人を殺しちゃうの、現代でもありそうで怖いね。
「ヤリモク」 結城真一郎
殺害目的がやばい。
そして最後の1文もやばい。
真意がわかったときに、そういうことかーーーとなる。どんでん返し系。おもしろい。
「あなたに見合う神さまを」 佐原ひかり
一番好きだったお話。
権藤さん、とてもいいキャラ!!!大好きだ。
途中で出てきたるりちゃんと若尾の話とか、父親の話はなんなんだろうと思ったけど、人を支配したり幸福を妨げるという暴力を、いろいろな形でとってくる奴らだったんだろうか。
それに対して自分の好きなものを好きという、自分が信じるもの・拠り所にするものを自由に決める権藤さんはかっこよく映っただろうなぁ。
嘘がちらばる世界のなかで、対照的に真実が光る。
「タイムシートを吹かせ」 石田夏穂
やっちゃダメだけどレジェンドがうざすぎてもはや良いと思う。
最後のオチが気持ちよくて好き。
「君がため春の野に」 杉井光
『世界でいちばん透きとおった物語』のスピンオフ!
ほろりとする結末がステキ。