伊藤典夫のレビュー一覧
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原題 2001 : A SPACE ODYSSEY
D'où venons-nous ?
モノリスに与えられた〝きっかけ〟により、
Que sommes-nous ?
道具を駆使することで世界のあり様を変え、
Où allons-nous ?
ヤペタスを通って似合の玩具を手に入れる。
HAL(アルファベット順で一文字ずらすとIBM)9000の反乱は、人が作り出した道具に人が除外されるという、進歩の昏迷に息苦しくなります。
相対性理論(光より速くは移動できない)が足枷となって知的な存在との邂逅はないでしょうし、宇宙で孤立していることに変わりはないですね。
それじゃつまんないなぁ、となると存在として飛躍するしかないわけで、モノリスを作った存在に導かれる300万年の長い旅、になったのかな…
ゴーギャンの絵にも超越者?が描かれてますね。
49年前のアレシボメッセージに返事こないかな。
Dieser alte Heilige hat in seinem Wälde noch nichts davon getötet. -
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「2001年宇宙の旅」といえば、スタンリー・キューブリックの映画で有名ですが、その原作者(というか小説版)がビッグ3、アーサー・C・クラークであることは、たぶん知ってる人は知っている。本書は、映画版「2001年宇宙の旅」を下地にした続編です。なぜ映画版と記載したかというと、原作と映画版では舞台が違うんですね。原作は目的地が土星であるのに対して、映画版は木星。ということで、本書では木星を舞台に話が展開していくことになります。
素晴らしい作品の続編、かつ、特にその続編が当初計画されていなかった場合においては、どうしても続編自体が蛇足と思われたり、一作目と比較されて下にみられる印象があります。ところがどっこい、本書は一作目をうまいこと補完しつつ、この宇宙に対して新たな示唆を与える内容で、とても興奮に満ちた作品でした。序盤〜中盤は、ただ物語が進捗していく感じですが、終盤に繰り広げられるスペクタルは想像力を刺激されます。
しかし、なんか人間に対してすごいドライな印象を受ける結末でしたね。その辺は続編以降で明らかになるのかな?ただ、続編以降の評価がよろしくなく、なんとなく先に言及した蛇足感のある内容でないことを祈るばかり。。。笑 -
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再読
2026.3.27
言葉で表せない戦争という惨劇の前でただ立ち尽くしてしまう感覚
繰り返される「そういうものだ」 この後には「と言うしかない」と続くのではないか
ラスト付近のこの言葉は無力な個人が、それでも生きていくための祈りだと思う
「神よ願わくばわたしに変えることのできない物事を受け入れる落ち着きと、変えることのできる物事を変える勇気と、その違いを見分ける知恵をさずけたまえ」
2022.11.12
人間の自由意志を否定したくなるほどの大量の死をもたらす戦争をトラルファマドール星人式の世界認識で追体験する。彼ら曰く全ては同時に存在しており、死は一時的なものなのである。 -
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ネタバレ映画2001年宇宙の旅を製作50周年記念上映で視聴しており、帰りに本書を書店で購入して帰って以来積んでいたがようやく消化。アーサー・C・クラークは地球幼年期の終わりを途中まで読んだ程度。
本書と映画の関係がいまいち掴みきれていなかったが、どうやら原作でもノベライズ化でもなく制作は同時進行だった模様。途中までは足並み揃えていたが……ということらしい。訳者あとがきに試写会に参加したレイ・ブラッドベリの逸話が載っており、ちょっとクスッとした。
映画が観念的すぎてよくわからなかった……と消化不良に陥る人は多いのではないかと思うが、本書はかなり丁寧にさまざまな事柄が説明されているため読後はスッキリする。ただ映画版は語ることが少ないために自由な解釈ができその余白が不思議な魅力となっているので、しっかりと設定が語られる本書とはあまり相容れないようにも思える。相互補完的に読むよりも、あくまでも各々の創作者が同じお題で自由に創造したらどうなる、くらいの気持ちで読むと丁度いい気がする。
内容的には、前半はややゆったり話が進行するものの、有名なHALの反乱が始まる中盤から後半にかけて物語は一気に加速する。アーサー・C・クラークは個人的にかなり言葉を尽くして状況や設定を説明してくれる作家だなという感想があり(そしてわかりやすい言葉であまりにも全て説明してくれるため壮大なスケールの物語が逆にチャチに感じられるときがある)、HALの「心情」までもが丁寧に描写されている。その結果、ボーマンによるHALの「殺害」描写はより生々しく感じた。
宇宙船そのものになる知的生命体(のちにそこからも解脱)であったり、「(向こうは)星でいっぱいだ!」というセリフであったり、あの作品の元ネタはこれかと膝を打つ機会がたびたびあった。往年の名作を読む楽しみのひとつだなと思う。
訳者あとがきにあったボーマンの代わりにHALが人類代表としてスターゲートに辿り着いたらどうなっていただろうと考えるのも面白い。一方で本書を読んで何よりも心に残ったのは、HALとの死闘や偉大すぎる知的生命体ではなく、骨格のデリケートな宇宙世代の人類のことだった。続編に期待したい。 -
ネタバレ 購入済み
焚書の広まったディストピア
米国のSF巨匠レイ・ブラッドベリ氏の作品。
本が禁制品となり、本を焼く職業である"昇火士"のモンターグが主人公。
本を焼く立場である彼だが、とある少女クラリスの出会いからモンターグに心境の変化が生まれる。
単純な情報統制としての焚書だけでなく、人に処理できない量の情報の氾濫など、
現代にも通じるテーマも含まれたディストピア物の傑作の一つ。 -
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ネタバレ甚だ奇っ怪な小説。
まえがき
「本書には真実はいっさいない。」「〈フォーマ〉を生きるよるべとしなさい。それはあなたを (略) 幸福な人間にする。」(p4)
※フォーマ=無害な非真実
これがこの物語を端的に表している。
ジョークやユーモアが私たちを豊かにしてくれる。
中身は荒唐無稽の極み。
「世界が終末をむかえた日」について、謎の宗教・ボコノン教徒の男、自称ジョーナが語る。その述懐が人を食ったような、あまりにもヘン。
原爆研究者、フォーニクス・ハニカー博士が開発した究極兵器‘アイス・ナイン’を巡り、カリブの小国サン・ロレンゾ共和国を舞台に破茶滅茶が巻き起こる。
世の中に意味が無いものがあっても良いではないか。私はそんな風に捉えたが、無理して意味を求めなくても良いように思うのであまり考えないようにする。
猛烈に好きな作品。
23刷
2021.2.8 -
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ビブリア古書堂で「たんぽぽ娘」を知り、井上一夫訳の「たんぽぽ娘」を読み、この本を手に取った。
「特別急行がおくれた日」
「河を下る旅」
「エミリーと不滅の詩人たち」
「神風」
「たんぽぽ娘」
「荒寥の地より」
「主従問題」
「第一次火星ミッション」
「失われし時のかたみ」
「最後の地球人、愛を求めて彷徨す」
「11世紀エネルギー補給ステーションのロマンス」
「スターファインダー」
「ジャンヌの弓」
以上13の短編が収められている。
目的はやはり「たんぽぽ娘」にあった。
本書の訳者は以前読んだものと違い、伊藤典夫氏である。
翻訳者が違うと、やはりどこか質感が変わるもので、私は伊藤訳の方が好きだ。
細かい表現がわかりやすいし、ロマンチックな場面はより素敵だと思う。
「おとといは兎を見たわ、きのうは鹿、今日はあなた」という表現も伊藤訳だ。
ストーリーはすでに知っていたのではあるが、何度読んでもいいものだと思う。
他の作品はどうだったかというと、「たんぽぽ娘」に負けない作品ばかりだった。
嘘偽りなく、本当にどの作品もよかった。
その中であえて挙げるならばと思っても、「河を下る旅」、「神風」、「主従問題」、「ジャンヌの弓」と絞りきれない状態だ。
世界観と情景描写はとにかくわたしをわくわくさせるし、物語からは切なさと安らぎの両方を感じられる。
それでいて、二番煎じにはならない。
これだけの物語をこんな文章で書けるのなら、さぞ執筆活動は楽しかったことと思う。
死の前日まで次回作の準備をしていたというのも、それが理由の一つではないだろうか。
とにかく他の作品を読みたい。
しかし、4つの長編と200の短編のうち、日本で翻訳された作品はそう多くはない。
あとがきによると、伊藤氏は次のヤングの短編集を計画しているようだが、彼もすでにご高齢である。
…私は英語ができない。
もし英語を読むことができれば、いくつかの作品は手に入る。
「たんぽぽ娘」の原文を味わうこともできる。
さて、どうするか。 -
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ネタバレロバート・F・ヤングが送るSF短編集。全体的にハッピーエンドが多くロマンチックな作品が多い。
「特別急行が遅れた日」
SFでよくある「小さな世界」の短篇。そのネタ自体はオチまで読まずとも察しのつく読者は多いだろう。日常的な日々の中のちょっとした変化と、被造物がこの階層からなる小さな世界とその創造主を意識した所で短篇は終わる。変化はまさに神のいたずらであり、いつもと変わりない日々が固定されているのはゾットするのを通り越して諦観にも似た気持ちを抱いてしまう。
「河を下る旅」
表題作を除けば個人的にはこれが一番面白かった。謎の河下り。薄々その理由に気がついているがそこから目を背けている男女。とどのつまりは三途の川であり、河の上での会話、土手にある宿で泊まっての身の上話などが走馬灯として繋がっていく。途中の自殺の途中であることが分かってからの文字通り急流のようなストーリー展開が見どころである。最後は自殺をきっかけとして二人は運命の出会いを果たすわけだが、ホッとすると同時に非常に美しい終わりであった。最も短篇らしい短篇であり、完成度は高い。
「エミリーと不滅の詩人たち」
詩を読むアンドロイドとそれに魅せられた補助学芸員の話。詩を読むアンドロイドという設定が素晴らしく、そうした芸術は必要とされず、より分かりやすいものほうが喜ばれるという苦悩はとても生々しく嫌というほど理解できる。詩人のアンドロイドを救う方法が、展示物の車に乗車させるという解決策はとてもミラクルで、まさに博物館で働く人間らしい企画とアイデアの勝利であろう。余談だが、「詩の世界の空が落ちてきた」や「エミリーも詩人たちと同じ船に乗っている」などの訳文が雰囲気とあっていてとてもいい。染み渡る一本である。
「たんぽぽ娘」
流石の表題作というだけあって素晴らしいSF短篇である。突然丘の上に現れたタイムトラベラーだと名乗る若い女。そんな彼女に恋をしてしまい、逢瀬を重ねる主人公。彼の知らない不安を目に浮かべる妻。三者三様の思惑が絡み合った恋の物語で、丘の上に現れた若い女の正体が、彼の妻の若い頃だというオチが素晴らしく、まさしく時を超えたラブストーリーである。昔に会っていたからこそ、その日その瞬間に恋に落ちることを妻は知っており、その恋が本物であることを証明するために若い時の主人公と会って結婚する……しかし主人公がその日に恋に落ちることは、すでに決定された未来であり、そこから先のことは分からない。妻の長年の不安の正体が明らかになると同時に、主人公の恋も成就するというアクロバティックなアイディアであり、これはもう思いついたもの勝ちだろう。
「第一次火星ミッション」
子どもの頃のバローズ的世界観の空想的な火星の旅。大人になって宇宙飛行士になり、本物の火星に行くと、そこで子どもの頃になくしたナイフが落ちてあり、それをそっと埋め直す。子どもの想像力は無限であり、ひよっとしたら現実も捻じ曲げてしまう力があるのかもしれない。
だいたい印象に残ったのはこの三篇で、全体的に読みやすい短編集だった。えげつない結末やソリッドな作品はほぼ皆無だが、センチメンタルなアイディアが冴え渡っており、有名作品と言うだけあって一読の価値のある作品集である。 -
Posted by ブクログ
カッコいい小説てえのを知りきゃ、エリスンを読みな。
まず、タイトルがいい。「『悔い改めよ,ハーレクィン」とチクタクマンは言った」。時間を守れない奴っているわな。それがハーレクインであり、ハーラン・エリスンなのであるが、そいつのせいで超管理社会を管理するチクタクマンまで調子が狂ってしまう話。
「俺には口がない,それでも俺は叫ぶ」。遠未来、AIによって慰み者にされる人類。タイトル通りの話。
「北緯38度54分、 西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中」、これも実に凝ったタイトルだが、『SFマガジン』初出時に読んだときには、ランゲルハンス島がおなかのなかにあるなんてことも知らなかった。
「死の鳥」は『SFマガジン』初出時に読んでいたのに気づいたのは、アーブーの話を読んだとき。「死の鳥」は創世記の神が狂っていて、蛇が実は人類の味方だという話をおよそ25万年のスケールで描いたもの。しかも、「これはテストだ。そのつもりで。」で始まるテストの文章やらテクストは多重化している。その中にエリスン自身が愛犬アーブーを安楽死させる挿話がはいっているのだが、これだけ何だかものすごくよく覚えていた。安楽死を獣医にまかせようとすると、「知らない連中のところにおいていかないでくれ」とアーブーの目が語る。なぜ、GODの反対はDOGなのか。
そのほか。エリスンを読みな。