伊藤典夫のレビュー一覧
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ネタバレ 購入済み
焚書の広まったディストピア
米国のSF巨匠レイ・ブラッドベリ氏の作品。
本が禁制品となり、本を焼く職業である"昇火士"のモンターグが主人公。
本を焼く立場である彼だが、とある少女クラリスの出会いからモンターグに心境の変化が生まれる。
単純な情報統制としての焚書だけでなく、人に処理できない量の情報の氾濫など、
現代にも通じるテーマも含まれたディストピア物の傑作の一つ。 -
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『タイタンの妖女』に引き続き、ヴォネガット二作目。こちらも私にたいへん刺さる作品で、これは作家読みするやつだな...という気持ち。笑い(というか朗らかさともいうべきか)もありながら、戦争をこう切り取るのかと、面白かった。実際に体験した人の感覚としてこういうのもあるのだろうというのが、しっとり伝わってきた。人生は不条理であることを、柔らかく受け止めるというか。そういうものなんだろうなあと、ひしひし。広島の記述には、む、と思ったけど、そこは訳者あとがきでケアされているので最後まで読んで落ち着いたし、やはり反射的にむと思う自分がいるんだなと認知したのもなかなかの体験だった。
そして私は最後の一文を、 -
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ネタバレ甚だ奇っ怪な小説。
まえがき
「本書には真実はいっさいない。」「〈フォーマ〉を生きるよるべとしなさい。それはあなたを (略) 幸福な人間にする。」(p4)
※フォーマ=無害な非真実
これがこの物語を端的に表している。
ジョークやユーモアが私たちを豊かにしてくれる。
中身は荒唐無稽の極み。
「世界が終末をむかえた日」について、謎の宗教・ボコノン教徒の男、自称ジョーナが語る。その述懐が人を食ったような、あまりにもヘン。
原爆研究者、フォーニクス・ハニカー博士が開発した究極兵器‘アイス・ナイン’を巡り、カリブの小国サン・ロレンゾ共和国を舞台に破茶滅茶が巻き起こる。
世の中に意味が無い -
Posted by ブクログ
ネタバレ2021/1/
モノリス 真っ黒な角ばった物体
ヘイウッド・フロイド博士
ジム・フォースター 連合ニューズ
ジミトリ ロシア天文学者
ロイ・マイクルズ 惑星物理学者
ラルフ・ハルボーゼン 南部地方の行政官
・ディスカバリー号
デイビッド・ボーマン 主席キャプテン
フランク・プール
ホワイトヘッド
カミンスキー
ハンター
ハル9000 AIコンピューター
TMA・1
すごーく有名なSFなのに、タイトルだけ知ってるだけ。
そこそこSF好きなのに、未読だし、映画も観たことない。
読み終わってから映画を観たい。
1977年に書かれ、1993年にクラークの序章が入った完全版収録。
映画より -
Posted by ブクログ
ビブリア古書堂で「たんぽぽ娘」を知り、井上一夫訳の「たんぽぽ娘」を読み、この本を手に取った。
「特別急行がおくれた日」
「河を下る旅」
「エミリーと不滅の詩人たち」
「神風」
「たんぽぽ娘」
「荒寥の地より」
「主従問題」
「第一次火星ミッション」
「失われし時のかたみ」
「最後の地球人、愛を求めて彷徨す」
「11世紀エネルギー補給ステーションのロマンス」
「スターファインダー」
「ジャンヌの弓」
以上13の短編が収められている。
目的はやはり「たんぽぽ娘」にあった。
本書の訳者は以前読んだものと違い、伊藤典夫氏である。
翻訳者が違うと、やはりどこか質感が変わるもので、私は伊藤訳の方が好き -
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ネタバレロバート・F・ヤングが送るSF短編集。全体的にハッピーエンドが多くロマンチックな作品が多い。
「特別急行が遅れた日」
SFでよくある「小さな世界」の短篇。そのネタ自体はオチまで読まずとも察しのつく読者は多いだろう。日常的な日々の中のちょっとした変化と、被造物がこの階層からなる小さな世界とその創造主を意識した所で短篇は終わる。変化はまさに神のいたずらであり、いつもと変わりない日々が固定されているのはゾットするのを通り越して諦観にも似た気持ちを抱いてしまう。
「河を下る旅」
表題作を除けば個人的にはこれが一番面白かった。謎の河下り。薄々その理由に気がついているがそこから目を背けている男女。とど -
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Posted by ブクログ
カッコいい小説てえのを知りきゃ、エリスンを読みな。
まず、タイトルがいい。「『悔い改めよ,ハーレクィン」とチクタクマンは言った」。時間を守れない奴っているわな。それがハーレクインであり、ハーラン・エリスンなのであるが、そいつのせいで超管理社会を管理するチクタクマンまで調子が狂ってしまう話。
「俺には口がない,それでも俺は叫ぶ」。遠未来、AIによって慰み者にされる人類。タイトル通りの話。
「北緯38度54分、 西経77度0分13秒 ランゲルハンス島沖を漂流中」、これも実に凝ったタイトルだが、『SFマガジン』初出時に読んだときには、ランゲルハンス島がおなかのなかにあるなんてことも知らなかっ -
Posted by ブクログ
SF。連作短編集。はじめての作家。
20世紀から130世紀にわたる未来史。時間的なスケール、世界観的なスケール、どちらも驚異的。
内容は、背表紙にあるように、「奇妙で美しく、グロテスクで可憐」。一言では表現出来ない、あらゆる魅力がある。
好きな作品は「マークエルフ」「昼下がりの女王」「ガスダブルの惑星より」「スズダル中佐の犯罪と栄光」。
以下、印象的な作品のメモ。
「第81Q戦争」
見世物としての戦争。森博嗣『スカイ・クロラ』に酷似。
「マーク・エルフ」
主人公カーロッタの生い立ちが素敵。マンショニャッガーがよいキャラ。
「昼下がりの女王」
前話から続く物語。後半はジュヌヴィーブ夫人代筆らし