伊藤典夫のレビュー一覧
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カート・ヴォネガット・ジュニアの代表作のひとつ。
広島に原子爆弾が落ちた日、アメリカの重要人物たちの様子を記録した書物となるはずだった「世界が終末をむかえた日」。その執筆にとりかかった主人公ジョーナは、いまや禁断のボコノン教徒。一方、いまは亡きフィーリクス・ハニカー博士とは、原子爆弾の”父”のひとりにして、”アイス・ナイン”の発明者。
ジョーナは、ハニカー博士の様子を記録すべく、博士の息子や上司、その他大勢にインタビューを試みるうちに、奇妙な孤島に降り立つことになります。そこはプエルト・リコ沖のサン・ロレンゾ島。ボコノン教に魅せられたこの島で過ごす奇天烈な日々は、誰も予想しない運命へ彼をいざないます…
独特の諦観的世界観、ユーモアな章立てに言葉運び、ナンセンスギャグ。おおよそ感じるヴォネガットの魅力は、もちろんそれだけでは言い表せませんが、本書で見出した彼の作品の魅力は、「肩の力を抜いて読めること」。
真面目で堅苦しい言葉が連なるSFに刺激され、人が殺され謎を解明するミステリーにどきどきし、ヒューマンドラマに心揺さぶられる読書生活のなかで、こういった趣向の作品は、実は貴重な存在(とはいえ、まだ彼の作品は3冊目ですが…)。なにか教訓めいた言葉を追うことも忘れて本書を読み進められたことも、これに起因するのかも。
さてさて、表題の「猫のゆりかご(Cat's cradle)」とは、装丁にも示されるとおり、あやとりのこと。なぜこの表題がつけられたのでしょうね? -
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この間読んだ本(図書室の魔法だったかな)でベタ褒めしていたので読んでみました。あやとりって猫のゆりかごっていうんですね。初めて知りました。
何冊かこの方の本は読みましたがひねくれている感じが読みにくい。大嘘なんだけど原子爆弾という兵器があり、それを取り扱う科学者や政治家にモラルが欠けていたらどうなるのか、というようなお話だったと思います。考えさせられますね。
この方の書かれる世界は宗教が結構大きく絡んできて面倒くさいというか面白いというか。きっと多くの現代日本人にとってさほど日常的に大きな容量を割いていないであろう宗教、信心というものが話しの中枢に据えられているので個人的にはだから?と言いたいような事柄が物凄い重要事項だったり。その辺りは読んでいて全然響かないなあ、と思います。
主人公は見た目だけで超絶美女の女の子を心から愛していると勘違いしたり、世界の終わりに義憤は感じるものの特に何をする訳でもないのであまり好きになれるタイプではありませんでした。ところどころ面白いなあと思う所はありますがボコノン教?だったかな?にはあまり入信したいとは思えないな。わかったようなことを言って人をけむに巻く詐欺師みたいな教祖だなあ、と信心のない自分は胡散臭く読んでしまいました。 -
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2001、2010、2061に続く4作目です。少なくとも2001年宇宙の旅を読むか映画を観ていないと楽しさ半減ですから先にそちらをどうぞ。
以下ネタバレあり。
1000年後の未来。先行種族により接近を禁止されたエウロパを除いて人類は太陽系をほぼ支配しています。テクノロジーは進化し、言葉とやメンタルも変化しています。2001でハルにより宇宙に放出されたプールが土星付近で発見され蘇生されたことで、21世紀と31世紀の世界の違いが際立ちます。
やがてモノリスに取り込まれたハルとボーマンにより、人類が先行種族により「除草」されるかもしれない可能性が示唆されます。人類はモノリスを消失させ、先行種族からの支配/保護から離脱することにします。先行種族がモノリス破壊を知り、再び太陽系にやってくるまでの後1000年の時間を確保しました。作者が生きてれば続編ができたかもしれませんね。 -
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13編収録の短編集。
有名な「たんぽぽ娘」はヤングらしいロマンチックさあふれる作品。未来から来た少女に恋をした妻を持つ男の恋模様を描いた短編で、結末の鮮やかさにはため息が漏れます。
そのほかでは「河を下る旅」もおススメ!二人の男女が出会いによって希望を持ち、再生していく姿、そしてこちらもラストに息が漏れます。
「エミリーと不滅の詩人たち」は詩人のアンドロイドの管理をする学芸員の話。詩人たちのアンドロイドでは採算が取れない、ということでアンドロイドは破棄され、新型自動車の展示スペースにされそうになり…
誰も不幸せにならないオチのつけ方が見事なだけでなく、未来の技術への希望を文学で表現するSF作家だからこそ書けた短編であり、そしてその二つをどちらも肯定する結末を書けたのだと思います。
「11世紀エネルギー補給ステーションのロマンス」は読み始めたときはハードSFかと思いきや、読み終えるころにはおとぎ話に様変わりしているという、ある意味ビックリの短編。こんな話を書けるのはやっぱりヤングだけだと思います。
ただ一方で設定が複雑な短編もいくつかあり、そうした作品は世界観がいまひとつ理解しきれず、結局後半に収録されている短編の多くがななめ読みになってしまったのが残念なところ。翻訳ものもそこそこ慣れてきたつもりだったのですが、まだまだ足りないのかなあ。 -
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全13編の短編集。作者の作品は初読。『ビブリア古書堂』シリーズで取り上げられたことがきっかけで手に取る。表紙の装丁も好み。作品の雰囲気を如実に表す。ロマンティックでハッピーエンドの話がほとんどである。大筋は王道と言ってしまえばそれまでだが、SF的要素が加わり面白い。短編であるため、気軽に読める。あとがきによると、作者の長編はイマイチなようである。訳者は日本と関わりのある作品の邦訳に意欲を示しているようなので、そちらに期待したい。
『たんぽぽ娘』『荒寥の地より』『第一次火星ミッション』『11世紀エネルギー補給ステーションのロマンス』が特に印象的だった。最後の作品は、ありふれた童話がまさかのSF化していて意表を突かれた。こういうアレンジもありだろう。 -
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短い章の連続なので読みやすいかと思います。スケールの大きなSF作品。
いやぁ、カート・ボネガット・ジュニアの本を読むのは二度目です。
「タイタンの妖女」以来です。
「タイタン」はなかなか、良い意味でキテレツな感じだったけど、
今作もそんな感がありながら、2頁とか3頁だとかで一章が構成されている
からなのか、テンポが良いです。グターっとした感じがない。
それでいて、内容がある。いや、ないのかな。ボコノン教っていう
オリジナルな宗教が出てきて、その専門用語みたいなのが
小学生が作ったような言葉のように思えてくるようなおかしさがあります。
まぁ、かいつまむと、面白かったってことです。しょうゆうこと。