伊藤典夫のレビュー一覧
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ネタバレ読んでて何となく1984を思い出した。
全然ストーリーラインが違うものの、世の中で何かを考えたり大衆に向けた正解を鵜呑みにすること、答えが一つである世界の怖さを描いている気がしたため。
主人公が殺してしまった上司は死にたがっていたのか、彼は本に詳しく博識なのになぜ昇火士をしていたのか、という点が気になった。
昇火士をしている人が、本を燃やしつつ本を手放したくない人たちへ罪悪感を持つくだりで「皆一度はこうなる」といった旨の話があったから、本について考えてしまい、世の中の境界に疑問を持つ人が出やすい仕事なのかなと思った。
少女と出会って楽しいと思っていた主人公は、最初からもう世界の正解から外 -
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最初に出会ったのはペンギン版、“Cat’s cradle”。まずは書名に感嘆した。どうしたらこんなタイトルを思いつけるのか。
短いエピソードが127、その積み重ね。エピソード間の一瞬の空白が絶妙な効果を生み出している。インディアナ出身、コーネルで学び、ドイツにて戦争の悲惨さを体験し、一時期ゼネラル・エレクトリックにいたという経験も効いている。ウィットたっぷりの会話とひねりのきいた展開。そしてそれらを包むのがボコノン教だもの。
ジュニアの頃のヴォネガットの最高傑作。訳もいい。伊藤典夫、26歳の時の訳業。
(p.s. ボコマルという儀式、soul to soul ならぬsole to sole。ど -
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ネタバレハインリッヒ・ハイネがその著書「アルマンゾル」で「本が焼かれるところでは、いずれ人も焼かれるのです」と記し、1933年5月10日にフンボルト大学にあるベルリン・ベーベル広場でナチス学生が反ナチス的図書と勝手に決めつけた2万冊の本を山のように積んで焼き捨てた。日本は第2次世界大戦中に北京の精華大学でナチスの10倍である20万冊の本を焼いた。今も共和党州であるテネシー州の州都ナッシュビルで同じように焚書が行われたが、トランプ狂信者のMAGAが遅れた野蛮な南部で本を焼いている。そのような現代だからこそこの小説を読む意義がある。
違法とされた本が燃やされ、その本が隠されている家も燃やす未来で、主 -
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ネタバレ本を作ること、所有すること、読むことを禁止された世界の話。
本が禁止された世界で考えることをやめる人々の様子が事細かに描かれ、現代と似たものがあると思い、恐ろしさをおぼえました。
考えないから、本は悪だと疑いもせず、なぜダメなのかを知ろうとしない。
誰もがスマホを持ち、本を読む人が減った今、深く考えることが減ったように感じます。
「国民には穀物生産量1位を当てるクイズを出しておけ」とモンターグの上司の言葉がありました。
現代でもランキング形式のクイズ番組が増えたように感じます。
当たると嬉しいけれど、それがなぜ1位なのか実はあまりよくわかっていない、知っているだけということが多い。
本は -
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ネタバレ『スローターハウス・ファイブ』、または『子供十字軍』として知られる本作は、村上春樹が多大な影響を受けたことで知られるカート・ヴォネガット・ジュニアの代表作だということで手に取った。
はじめは「スローターハウス」を文字どおり「虐殺の館」と解釈し、大衆性の強いSFホラーを想像していだが、実際には、SF的装置を用いて、諧謔的に、しかし現実的に、戦争における人の死という主題を鮮明に浮かび上がらせていく作品だった。
主人公ビリー・ピルグリムは時系列に反して時空間を行き来するため、場面ごとの関連性は薄いように感じられるが、その脈絡の無さが、本作の主題を考えるうえでの中立的な視点を与えてくれている -
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『《川の左右に生命の樹ありて十二種の實を結び、その實は月毎に生じ、その樹の葉は諸國の民を醫すなり》 そうだ、これを昼まで大事にとっておこう。昼のために… 街に着いたときのために。』
名著、として知られるこの物語。
本を燃やす男がある1人の少女と出会い…という触りの部分だけ知っていましたが、長年読んでいませんでした。
何故か?だって、難しそうだから…。何十年も前の作品だし、きっと長々と1人の男の内省をダラダラ書き綴った読みにくい小説なんだろうなと思いつつ読み始めると…
おもしろ!!!!!!!!!!!!
いや、めちゃくちゃ面白いんかい。
自らが住む環境、国、自分を取り巻く様々な事に疑問を感じ始 -
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謎多い作家コードウェイナー・スミスの人類補完機構シリーズを年代記風に並べた短編集(50年代から発表されておりエヴァンゲリオンとは全然関係ない)。古いSFマガジンで何かの短編を読んで衝撃を受けて以来虜になってししまった。
物語は第二次大戦のナチスの話から1万6千年先までの人類の趨勢が描かれています。戦争によって人類は絶滅しそうになるのですが、そこからの復活がなんとも皮肉が効いていて印象的です。非常なドライでもなくかといってベトベトウェットでもなく、その一歩引いた姿勢がかっこいい。ドイツ人以外の人類を殲滅するための人間狩猟機(メンシェンイェーガー)が何千年も経て文明が崩壊しマンショニャッガーとな -
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面白かった!
映画を数年に一度観ては、ああ、この歳でもまだ理解出来ない、とがっかりして、数十年前。でも、この本を読んで、ようやく意味がわかった!
以下興味深い文章、メモ。
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おたがいに大きな打撃を与えることができない。そのような非生産的な行為にかまけるほどの余分なエネルギーはなかった。
「新しい岩」が彼らの心を探り、、、トランス状態がとけた後、長い草の茎を引き抜き、不器用な手つきで結び目をつくる動作を始めた。
「月を見るもの」の石のハンマーがふりおろされ、イボイノシシを抹殺した
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電子新聞の見出しを見ていて、もうひとつ思い出されることがある。コミユニケーション手段が発達するにつ -
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ごく稀に、ほんとうに元気…というよりも逆に追い込まれているのか、いまここに生きていることを実感するために、どう生きるか考えるために、生きること、死ぬことを描いた小説を、無性に読みたくなるときがある。(とても傲慢な感覚なので、言葉にするのがとても難しいです。ご不快に思われたら申し訳ありません。)
タイトルと、そのタイトルの由縁、戦争、捕虜、ドレスデン大空襲、それを描いたSF小説。
あらすじを読んで、このテーマがどう絡み合うのかがずっと疑問だった。ずっと読んでみたかったけれど、読むとくらってしまう性分なので怖気付いて敬遠していた。でもふと、読みたくなって手に取った。
戦争がはじまったとき、あ -
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