伊藤典夫のレビュー一覧
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ネタバレ
●死圏
○あらすじ
成層圏の外側に霊界があって死者がたむろしているとしたら、の世界。
アメリカが核をソ連に命中させるため、命中したことを確認するために成層圏の外側にUFOを飛ばしたことで、その霊界は発見される。
○キャラは何を欲しているか。
UFOに載った人は、死んだ妻を欲している。打ち上げ計画の最高責任者は、核をソ連に打ち込むことを欲している。計画に参加した科学者は、計画に対して自分が完璧な技術力を発揮したという事実を欲していて(つまり計画の成功)、途中からは霊界の存在の解明を欲している。
○感想
霊界の存在をどうやって博士たちに信じさせるか、のところが面白かった。傍にいる死者が誰で住所がどこ、って情報だけだと事前に調べたんだろで疑えるけど、博士とその親しい人にしか知り得ない事実を博士と親しい死者から聞き出し伝えるというのは、確かに綺麗な暴露だった。
●ジョリーロジャー号の航海
めちゃくちゃいい。俺の置かれてる状況と似てて、自分を重ねてみてた。
20歳くらいから35歳くらいまで戦争に従軍してた人が主人公で、戦闘が大好きだった。で、一般人の友達もいないし、日常に戻った時にやりたいこともなかった。で、いざ戦争が終わってみると、自分は価値のない人間だと自覚してしまう。若い男女の会食にお邪魔することになった時は、自分が芸術とかの話に混ざれなくて、それを気の毒に思った人から戦争の経験談の話を振られるけど、要領の得ない話を延々としてしまい場を盛り下げてしまう、これで俺はもう無理だ...価値のない人間だ...となる。まあでも最終的には、親友のジョージがホームタウンで聖者として尊敬されてるのをみて、自信を取り戻す。自分には価値があるんだと。
やっぱり僕も人と上手く話せなくて、会食やら何やらが終わった後に「もう無理だ...」という経験を幾度となくしてきたから、あるあるとして面白く読めた。最後自信を取り戻すまで描いてハッピーエンドにしてくれてありがとう。俺は果たして自信を取り戻せるのか。人との間で何かの承認を受けるしかない、と思ってる。 -
Posted by ブクログ
作者が戦時中に体験した事実に基づいた半自伝的SF小説。戦争をはじめとする、作者が直面した目を覆いたくなるほど辛い体験の数々。そこから目を逸らすのではなく、「そういうものだ」と受け止め、それでも楽しかった瞬間を思い出して(あるいは、その瞬間を訪れて)前を向いて歩んでいきたい。そんなメッセージを感じる、とても素晴らしい作品だと感じました。
最近「歌われなかった海賊へ」を読んだばかりだったこともあり、精神的にキツいところもあったのですが、別の視点から戦争を知ることができたことは、貴重な読書体験がでした。
SF作品として見ると、小松左京「果しなき流れの果に」や、今敏の映画「千年女優」に近いかもしれません。異なる時代を旅しながら人生を見つめ直す面白さは独特の味があり、タイムトラベルものとして非常に優れた作品だと思います。
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ネタバレ昔、映画を観て内容よくわからなかった…となっていた作品。読んでみるとこれまで自分が触れてきた小説やゲームなどの作品のなかに2001年の影響があるなと感じられたのは面白かったし、内容について自分なりにこうなんかあぁなんかと考えることができたので良かった!
個人的に印象深いのがTMA•1が〈月を見るもの〉に最初に与えた豊かな暮らしへの羨望という所だった。道具を使う知性とかがヒトザルを人へと押し進めたものっていうのはなんとなく想像しやすかったけど、意志や心といった精神性はこれまで見過ごしてきたなと感じた。道具を用いるのにもそこに至る動機がなければ何も得られない。明確な目的を持ってはじめて道具に用途が産まれる。人間性と道具やテクノロジーの関係性について思わず考えてしまいました。
今やスマホやパソコンといったインターネットの恩恵をただ享受するのではなくそこになぜそれが必要なのかを問う感情が必要なんじゃないかと、稲田さんの『映画を早送りで観る人たち』を読んだあとだからか考えてしまう。
p94でiPadみたいな機器を使っているときのフロイドの独白「無限に移り変わる情報の流れをニュース衛生から吸収しているだけで、一生が過ぎてしまうだろう」も何やら響いてくる。
道具に使われるのではなく、道具を使う側に回る。ハルとの戦いのシーンはハルのもつ目的意識を人であるボーマンが奪い返すことで人間性の再帰をはかるシーンに自分は思えた。
解説や他の人の感想を見ていろいろな考え方ができる可能性を秘めていてこの本はさながらTMA•2みたいだなと思って少しニヤニヤしました。 -
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ネタバレSFを読みたい夏だった…(もう9月)
読みたい本(アンドロイドは電気羊の夢を見るか?)がまだ手に入らないので、積んでいたこれを読むことにしたのだった。以前2061年まで読んだが、ちょっと疲れたのでこれだけ残しておいて、気が向いたら読むことにしていたのをやっと読めた。2061年はレビューを2016年に書いているね…長い間積んでしまったね…ようやく会えたねプール…
一応、フランク・プールが主人公というのは読む前から知ってて、だから3001年ではボーマンとプールが再会するだろう、してくれという希望を持って読み始めて、そこだけを目指して読み進めた本であった。
よかった。それだけで高評価。
モノリスは人類がどうこうできるものじゃないというのを1000年先の未来でも貫いて欲しかったが、人類を超越してしまっているボーマンが介入したから仕方ないかな。
ハルとボーマンは、二人ともすごく大事にされたキャラクターなんやろなとは思ったが、最後はもう少し救いが欲しかったな。
ところでフロイドはどうなったん? -
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8月上旬に読んだ。
原爆の父であるとされるハニカー博士の投下当日の様子、こども達からの証言や関係者をめぐる旅から始まる前半
“本書に真実はいっさいない”と目次の前に明言されていることを忘れて、この時期に「たまたまー”定められたとおり”とボコノンならいうだろう」手元にやってきたこの本を読み、
原爆開発側の国の視点にも触れるつもりになりページをめくっていった。
「もしあなたの人生が、それほど筋のとおった理由もないのに、どこかの誰かの人生とからみあってきたら、その人はおそらくあなたの〈カラース〉の一因だろう」などと、最もらしい教義を散りばめてボコノン教の世界、謎の島サン・ロレンゾに読みながら連れ去られて行く。
「真っ赤な嘘」とされるボコノンなりの真実にまんまと目が離せなくなっていく。
私は日本人で、英語圏の人がゲラゲラ笑うような部分は全くわからない。どちらかといえば、”壮大なズシーン”という展開をついにきたなと受け止めたり、真っ赤な嘘だ、笑ってくれといいたげなストーリーにも根底に流れる真実に考え込んだりする。
真剣に読んでいるこちらからすると、
猫なんていないし、ゆりかごもないんだ
うそっぱちだー
といわれ
なんだか色々複雑なことを考えて心に留めておきたいんだけど、結局なんでもなかったのか?ただ奇天烈な展開におもしろかったなぁ!とスッキリしておけばいいのか、感想がまとまらない。
ひとつ、シニカルとかユーモアって自分にはまだまだ掴みにくく理解しにくいものなんだと痛感した。 -
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2001年宇宙の旅の続編(ただし小説版ではなく映画版の設定を引き継いでいる。)
ソ連国籍のレオーノフ号に、アメリカ組のフロイドら3人がソ連宇宙飛行士たちと同乗し、2001年に乗員を失ったアメリカ船ディスカバリー号を回収することを目的に木星へ向かう。
フロイドらはディスカバリー号の回収を行いつつ、木星軌道に浮かぶ、前作から謎に包まれていた物体モノリスに接近し、その調査に挑む中、モノリスが驚くべき行動にでる。
文系人間の私にはちんぷんかんぷんの内容が多く、かつ人名が紛らわしいの何ので追いつくのに必死でした。ですが理屈はわからなくても情景が目に浮かぶ描写で楽しみ、モノリスの行動に度肝を脱ぎ、主人公たちの関係性やたわいもないやりとりにほっこりし、上っ面だけですが十分に楽しめた作品です。
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Posted by ブクログ
「猫のゆりかご」ってなんだろう。
マザー・グースの詩に
「風が吹くと、ゆりかご揺れる、ゆりかご揺れて赤ちゃん落ちる、落ちると...」(思い出したまま)
という恐いのがある。
読み始めてすぐに謎はとける、がその後の展開に怖ろしい予感。
世界が終末をむかえるのか。
短い文章の章立て。勿論シニカル。さびが効いている。
たたみかけて大団円に。まるでSFXの画面を観ているよう。
「専制」「大統領」「とりまき」「兵士」「科学者」「金持」「多くの貧困者」「カルト宗教」「カリスマ教主」「アメリカ」「ジャーナリズム」
と、キーワードを上げるだけで現代と酷似している。1960年代に書かれたSFだのに。
ちなみにあの頃は映画「渚にて」とか小松左京の「日本沈没」があってはやったけど。
これは普遍性があると思う。「ソ連」が出てくるのは時代性。
あーあ、相も変わらずの変らない世界よ!
『フォーマ=無害な真実を生きるよるべとしなさい。…』と作者はフィクションの宗教『ボコノン教』の聖書に語らせる。
つまり、「うそからまことがでる」と。
でも、そんな哲学よりもユーモアと展開の面白さを愛でよう。
カリブ海に浮かぶ孤島の断崖絶壁に建つお城にいざなわれて。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かったけど、謎が多いまま。
2001年宇宙の旅は、原作と映画が後の方でずれたため、映画の内容に合わせて少し書き換えられている。
土星だったのが木星に。などなど。
9年前に土星(設定が今回木星へ変更)の調査に行った宇宙飛行士たちの中でボーマンだけが、星がいっぱいという言葉の後いなくなった。
今回は宇宙船ディスカバリーを探しにいくことと、ボーマンはいったいどうなったかの調査のため旅立つ。
ハルを復活させたけど、覚えてなかった。
今回のハルはちゃんと仕事をしていた。
フロイド博士だけが、ボーマンの意識と接触し、早くここから去った方がいいと忠告される。
なんとか、みんなを説得させたが、帰還初期にとんでもないものをみる。
木星がザガートカ(モノリス操作する意識?)によって消滅?めっちゃ小さくなった後、生まれ変わり大きくなり太陽になった。
地球にとって太陽が2つに。
しかも、夜が短くなった?ようだ。
エピローグで、エウロパ人について書かれていた。
ボーマン意識からのメッセージ(ハルが伝える)には、エウロパだけには降りるなと。
エウロパ人からも、地球人がいるかわかってないようで、何やら光(宇宙船)が移動していると思っている。
何か他のものがいると思っている。