伊藤典夫のレビュー一覧

  • 猫のゆりかご

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    SF。
    ボコノン教という宗教を中心とした終末SF。
    登場人物は変な人ばかり。ボコノン教もおかしな宗教。ストーリーも荒唐無稽。
    とにかく奇妙な作品だが、地味に感動できて、印象的なセリフも多い。
    ヴォネガットの著作の中でも、かなり好きな作品。

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    2022年11月18日
  • 2001年宇宙の旅〔決定版〕

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    ネタバレ

    昔、映画をみた記憶はほとんどなかったけれど、読んでいくうちに思い出してきた。HALのところは結末を知っていても読むのが怖かった。絶対に味方と思っている存在が敵になったのに、冷静に対処して、最後には許せてしまうのが凄い。

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    2022年08月26日
  • 2001年宇宙の旅〔決定版〕

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    映画を見た後に読書。
    いちいち描写というか想像力が緻密で雄大でした。
    テンポも良くて、この訳した方の高い文章力も相まって非常に良かったです。
    ここまでのSFの展開は巨匠ならでは、と思います。
    AIの反乱
    地球外生命体
    生命の進化の極地
    どれか1つでも頭がパンクしそうなテーマを見事にまとめていたと思います。

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    2022年07月18日
  • スローターハウス5

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    ドレスデン無差別爆撃の話。


    ビリーが第二次大戦における米軍爆撃機隊の活躍する深夜映画を逆向きに観て、負傷者と死者を乗せた穴だらけの爆撃機が逆向きに飛び立ってゆき、爆弾や銃弾を吸い込み、新品に戻り、軍需工場で解体され、鉱物になり、それをだれにも見つからない地中深く埋める、という一連の映画逆再生のシーンが切ない。




    p. 33大量殺戮を語る理性的な言葉など何ひとつないからなのだ。


    p. 44死んだものは、この特定の瞬間には好ましからぬ状態にあるが、ほかの多くの瞬間には、良好な状態にあるのだ。いまでは、私自身、誰かが死んだと言う話を聞くと、ただ肩をすくめ、トラルファマドール星人が死人に

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    2022年03月12日
  • 2010年宇宙の旅〔新版〕

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    2001年宇宙の旅の続編(ただし小説版ではなく映画版の設定を引き継いでいる。)

    ソ連国籍のレオーノフ号に、アメリカ組のフロイドら3人がソ連宇宙飛行士たちと同乗し、2001年に乗員を失ったアメリカ船ディスカバリー号を回収することを目的に木星へ向かう。
    フロイドらはディスカバリー号の回収を行いつつ、木星軌道に浮かぶ、前作から謎に包まれていた物体モノリスに接近し、その調査に挑む中、モノリスが驚くべき行動にでる。


    文系人間の私にはちんぷんかんぷんの内容が多く、かつ人名が紛らわしいの何ので追いつくのに必死でした。ですが理屈はわからなくても情景が目に浮かぶ描写で楽しみ、モノリスの行動に度肝を脱ぎ、主

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    2022年02月23日
  • 猫のゆりかご

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    ヴォネガット長編3冊目は『猫のゆりかご』
    出だしからしてヴォネガット節がきいている笑

    本書には真実はいっさいない。
    「<フォーマ>*を生きるよるべとしなさい。それはあなたを、勇敢で、親切で、健康で、幸福な人間にする」 ー『ボコノンの書』第一の書第五節
    * 無害な非真実

    そうだよねえ...いやそうなんだよ....
    話はシニカルでユーモアたっぷりだったが、個人的には読んだことある長編他二作(タイタンの妖女、スローターハウス5)の方が好きだったかなあ
    さて次は短編集の2を読む

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    2021年10月09日
  • スローターハウス5

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    ネタバレ

    栞を使わずに7日間かけて読んだ。栞を使わないので次にすでに読み終わった場所を読んでいることもあった。題名がピチカートファイブみたいでいいですよね。かっこいい。今思いついたけどプレオー∞の夜明けとも似てる気がする。あれも戦争の話だ。
    戦争の話なんだよな。小説の存在するひとつの意味として後世に伝えるっていうのがあるとおもっている。僕がこれを読んで、ドレスデン爆撃について知ることができた。それはほんとうに大事なことだった気がする。

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    2021年09月29日
  • 猫のゆりかご

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    「猫のゆりかご」ってなんだろう。

    マザー・グースの詩に
    「風が吹くと、ゆりかご揺れる、ゆりかご揺れて赤ちゃん落ちる、落ちると...」(思い出したまま)
    という恐いのがある。

    読み始めてすぐに謎はとける、がその後の展開に怖ろしい予感。
    世界が終末をむかえるのか。

    短い文章の章立て。勿論シニカル。さびが効いている。
    たたみかけて大団円に。まるでSFXの画面を観ているよう。

    「専制」「大統領」「とりまき」「兵士」「科学者」「金持」「多くの貧困者」「カルト宗教」「カリスマ教主」「アメリカ」「ジャーナリズム」

    と、キーワードを上げるだけで現代と酷似している。1960年代に書かれたSFだのに。

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    2021年09月14日
  • スローターハウス5

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    普通、物語のはじまりが思い出からだったり、思い出がはさまれたりすると情緒がただようのである。が、この小説は「けいれん的時間旅行者」という思い出の進行、なんとも読者は不思議な気持ちにさせられる。

    主人公ビリー・ピルグリムは現在、過去、未来を行ったり来たりしている「けいれん的時間旅行者」。そうなったのは戦争に召集され、襲撃を受け敗退、逃げ出した森の中で死ぬ思いをした時。

    そこから過去に行くのだが、その過去が現在や未来へ続き、また現在へ戻るという複雑な経過。夢かうつつかまぼろしかということになるのだが…。

    過去現在未来は一瞬、一生は一瞬。つまり、中国のことわざ「一炊の夢」、だから一瞬一瞬を大切

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    2021年09月13日
  • たんぽぽ娘

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    ネタバレ

    安心して読めるSF。皮肉ではない。
    どこか暗い背景を持ち、不穏な雰囲気が漂うが、結末は…安心します。

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    2021年06月30日
  • スローターハウス5

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    著者が体験したドレスデン爆撃がテーマ。スローターハウスとは食肉処理場のことで、旧日本語版タイトルは『屠殺場5号』となっていた。ヴォネガットらしくユーモアは散りばめられているが、決して楽しく明るい物語ではない。戦争という殺戮について語るためにはこのような形にならざるを得なかったのだろう。1章はこの本を書いた舞台裏のような話になっており、全体を読み終えた後に読み返してみるとより一層胸に来るものがある。「大量殺戮を語る理性的な言葉など何ひとつないからなのだ。」

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    2021年04月04日
  • 死の鳥

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    読中は圧倒的な悪夢におぼれるよう、読後は切ない寂寥感が残る。
    創世記をSF的別視点で書いた「死の鳥」、永遠に地獄が続く「おれには口がない」、文明の進歩を自問する「ジェフティは五つ」。
    重くて短編集の感じがしない。

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    2021年02月09日
  • 2010年宇宙の旅〔新版〕

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    ネタバレ

    面白かったけど、謎が多いまま。

    2001年宇宙の旅は、原作と映画が後の方でずれたため、映画の内容に合わせて少し書き換えられている。
    土星だったのが木星に。などなど。

    9年前に土星(設定が今回木星へ変更)の調査に行った宇宙飛行士たちの中でボーマンだけが、星がいっぱいという言葉の後いなくなった。
    今回は宇宙船ディスカバリーを探しにいくことと、ボーマンはいったいどうなったかの調査のため旅立つ。

    ハルを復活させたけど、覚えてなかった。
    今回のハルはちゃんと仕事をしていた。

    フロイド博士だけが、ボーマンの意識と接触し、早くここから去った方がいいと忠告される。

    なんとか、みんなを説得させたが、帰

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    2021年02月07日
  • 2001年宇宙の旅〔決定版〕

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    ネタバレ

    HALの反乱みたいな話は知っていたのでそこが主眼かと思ったら全然違った。強いAIが完成したらこんな感じかな…というのも違和感なく楽しめた。
    生命の在り方、人智を超えた生命、みたいなテーマもとても面白い。安っぽくない答えが素敵。
    ただラストはなんか決めきれなくて難解になっちゃった感じ。読者に委ねたのかなぁっていう。もう少しパキッとしてくれたほうが好み。

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    2020年11月16日
  • 歌おう、感電するほどの喜びを!〔新版〕

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    失われたものへの郷愁、失われるものへの愛惜、人間存在というものの滑稽さへの優しい眼差し、それらを深い叙情で包み込んだ、ブラッドベリの幻想短編小説集。『明日の子供』『ニコラス・ニックルビーの友はわが友』などがお気に入り。

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    2020年10月05日
  • スローターハウス5

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    1945年2月。捕虜としてドレスデンにいたカート・ヴォネガットは、連合国軍によるドレスデン爆撃を目の当たりにした。長年その体験を小説にしようと考えてきた彼は、ビリー・ピルグリムという男を創造する。ビリーは同じくドレスデン爆撃を生き残ったが、帰国後にトラルファマドール星人に捕まって以来〈けいれん的時間旅行者〉となって、過去・未来の区別なくランダムに時空を飛び回ることになった。PTSDに悩まされる帰還兵の心理をSFに落とし込んだ反戦小説。


    あからさまに兵士のトラウマからくるフラッシュバックを題材にした作品なので、「SF…?」と疑問符を浮かべながら読んでしまったけど、本文中に「二人とも人生の意味

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    2020年09月13日
  • 猫のゆりかご

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    広島の原爆…ボコノン教…世界の終わり…
    最後のほうはハチャメチャです。わたしは前半のほうがおもしろかった。いや、しかしシニカル。でもユーモラスティック。

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    2020年08月29日
  • 猫のゆりかご

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    読み進めるにつれ、独特の表現や登場人物に不思議と引き込まれる作品だった。世界の終末…いつか来てしまうのだろうか。

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    2020年03月12日
  • 無常の月 ザ・ベスト・オブ・ラリイ・ニーヴン

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    SFマガジン700収録の一遍がいいな、と思ったので。
    まずは短編集から。
    数々の賞を取られた作家さんなのに、ちゃんと読むのは初。

    SFマガジン700収録の『ホール・マン』はこちらにも収録。
    結果、この一冊の中で一番好きなのは『ホール・マン』だった。
    静かで、クールで、ちゃんとSF。
    ファンタジーじゃなく。
    というのが素敵。

    全体として3種類くらいにタイプ分けできるかなーと思う。

    まずは、ああ、これがSFってものだな、というタイプ。
    異星人とか宇宙とか。
    軽く読めるしこれを(私が好きな)ハードSFと呼んでいいものかは悩むけど、ちゃんとしている。
    ちゃんとしているというのは、ファンタジーじゃ

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    2020年02月15日
  • 猫のゆりかご

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    筒井康隆の名短編「あるいは酒でいっぱいの海」(1977年)を思い出したが、「猫のゆりかご」(1963年)の方が元祖なのか。

    書かれて50年を経過した作品とはにわかに信じがたい。半世紀経とうが、1世紀経とうが、ヴォネガットの人を食った作風を凌駕する書き方は、そうそう生まれるわけがない、か。

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    2019年08月25日