伊藤典夫のレビュー一覧
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私が必要としていた言葉がたくさん見つかった。
今この瞬間も起きている愚かで不条理で納得のいかないことと、愛おしくて満ち足りた日々の一瞬一瞬を、どう共存させたらよいのか。どう考えれば納得いくのか。それは妥協のようにも聞こえるけれど、戦争体験者がもがき苦しみたどり着いた真理だと思う。決して諦めではなく、この瞬間を生きることに集中するということ。
「美しい瞬間をながめながら、われわれは永遠をついやす」
素晴らしい作品で、私のベスト10に入りました。
もう一度読もう、原書も読もう。
日本に生まれ育った自分としては、ドレスデン爆撃を広島の原爆と比較して語られることにモヤっとするけれど、伊藤典夫さん -
Posted by ブクログ
衝撃的。ぞわっとした。
火を消す「消防士」ではなく、火をつける「昇火士」。
本の所有者を見つけ、家ごと燃やす昇火士のモンターグは、近所に住む少女との会話から、本に興味を持ってしまう。
ディストピア感はジョージオーウェルの「1984」を彷彿とさせる。家にはラウンジと呼ばれる、四方の壁に映像や音楽が映る部屋があり、妻はひたすらそれを見て聞いて楽しむ。
そうやって思考力を奪われた人々。
世の中が加速し、映画、雑誌、本などは短く、すぐに結論が出るものになっていく。それにより思考も浅くなり、せっかち族が増えていく。
まるで予言のようだ。本や映画→テレビ→インターネット→YouTube→TikTok -
Posted by ブクログ
ネタバレ本を焼いて考えることを禁止して
刺激的な娯楽のみを与えることで
幸せを管理する
ただ国は戦争中で
国民はその事についてあまり考えることもなく
空から突然落とされた爆弾で死ぬ
現代とすごく重なってたくさん考えさせられた
ものを知らず
深く考えないことはほんとうに幸せなのか
配慮のいき過ぎで何も話せなくなってしまうことが本当に良いことなのか
前半と後半で炎の意味が奪うだけ、から与えることができる、になるのも印象的
モンターグは普通の人で
正しいことのためだったとしても
そりゃあ人なんか殺したくないよねってかわいそうだった
グレンジャーもフィーバーも言ってた
「正しい種類のあやまち」という -
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ネタバレ再読、2度目です。前回は宇野氏による旧訳の「早川SF全集13」を読みましたが、今回は伊藤氏による新訳版です。新訳の方が圧倒的に読みやすいと聞いていました。全体的にパキッとした気がします。なんせ前回はハヤカワSF全集とかいうぶっといのだったので…。
まず文章が綺麗。余計な説明0。それでいて頭にフッと画が浮かぶような人物描写。冒頭の「火を燃やすのは愉しかった。」は、旧版でも同じだったと思うんですが、圧倒的に美しい表現だと思います。人間の持つジレンマとか、楽なことに流される表現が上手なんです。2部でいきなりブチギレモンターグに変身するのは何度読んでも「もっと冷静じゃなかったかあんた」って思いますが -
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テッド・チャンの「あなたの人生の物語」を元にした映画「メッセージ」のヘプタポッドを思い出しながら読みました。
時間を、線形ではなく全体として一望するという感覚は、決定論や運命論的で自由意思の無い冷酷なイメージもありますが、この小説では一枚のペルシア絨毯の模様を、繰り返し愛おしく撫でる様な優しさを感じました。
この小説はSFなのか、妄想か、後遺症か。
過去、現在、未来様々な出来事を断片的につないだ
ユーモラスな雰囲気とコミカルさの奥に、そう書かざるを得なかった悲惨さと、嘘をつかない為に虚実織り交ぜて書かれた真摯さを強く感じました。
戦争や自然災害、病気、別離などの困難に直面した際に感じる「 -
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最初に出会ったのはペンギン版、“Cat’s cradle”。まずは書名に感嘆した。どうしたらこんなタイトルを思いつけるのか。
短いエピソードが127、その積み重ね。エピソード間の一瞬の空白が絶妙な効果を生み出している。インディアナ出身、コーネルで学び、ドイツにて戦争の悲惨さを体験し、一時期ゼネラル・エレクトリックにいたという経験も効いている。ウィットたっぷりの会話とひねりのきいた展開。そしてそれらを包むのがボコノン教だもの。
ジュニアの頃のヴォネガットの最高傑作。訳もいい。伊藤典夫、26歳の時の訳業。
(p.s. ボコマルという儀式、soul to soul ならぬsole to sole。ど -
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ネタバレ『スローターハウス・ファイブ』、または『子供十字軍』として知られる本作は、村上春樹が多大な影響を受けたことで知られるカート・ヴォネガット・ジュニアの代表作だということで手に取った。
はじめは「スローターハウス」を文字どおり「虐殺の館」と解釈し、大衆性の強いSFホラーを想像していだが、実際には、SF的装置を用いて、諧謔的に、しかし現実的に、戦争における人の死という主題を鮮明に浮かび上がらせていく作品だった。
主人公ビリー・ピルグリムは時系列に反して時空間を行き来するため、場面ごとの関連性は薄いように感じられるが、その脈絡の無さが、本作の主題を考えるうえでの中立的な視点を与えてくれている -
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謎多い作家コードウェイナー・スミスの人類補完機構シリーズを年代記風に並べた短編集(50年代から発表されておりエヴァンゲリオンとは全然関係ない)。古いSFマガジンで何かの短編を読んで衝撃を受けて以来虜になってししまった。
物語は第二次大戦のナチスの話から1万6千年先までの人類の趨勢が描かれています。戦争によって人類は絶滅しそうになるのですが、そこからの復活がなんとも皮肉が効いていて印象的です。非常なドライでもなくかといってベトベトウェットでもなく、その一歩引いた姿勢がかっこいい。ドイツ人以外の人類を殲滅するための人間狩猟機(メンシェンイェーガー)が何千年も経て文明が崩壊しマンショニャッガーとな -
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面白かった!
映画を数年に一度観ては、ああ、この歳でもまだ理解出来ない、とがっかりして、数十年前。でも、この本を読んで、ようやく意味がわかった!
以下興味深い文章、メモ。
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おたがいに大きな打撃を与えることができない。そのような非生産的な行為にかまけるほどの余分なエネルギーはなかった。
「新しい岩」が彼らの心を探り、、、トランス状態がとけた後、長い草の茎を引き抜き、不器用な手つきで結び目をつくる動作を始めた。
「月を見るもの」の石のハンマーがふりおろされ、イボイノシシを抹殺した
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電子新聞の見出しを見ていて、もうひとつ思い出されることがある。コミユニケーション手段が発達するにつ