伊藤典夫のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
実は私たちは、本を燃やされてもなんともない社会に生きているのではないか。
レイ・ブラッドベリのSF小説『華氏451度』を読んで、そんな感覚を抱きました。
描かれる世界は、書物を所有するだけで重罪となる社会。
本を焼くことを任務とする昇火士が、家々に押しかけては蔵書を焼き払う。
それによって社会の秩序は保たれる。
誰もが、「こんな世界、ディストピアだ」と感じると思います。
ただ、現代に生きる私たちも、そんなに変わらないのではないでしょうか。
本に触れなくても困らず、失ってもさして心が痛まない。
ブラッドベリは、「書物を軽視する社会」そのものをディストピアだと示したのだと思います。
救 -
Posted by ブクログ
映画を見てから本書を読み始めたため、イメージがある状態で読み進めることができた。内容は一部異なるが、映画より小説版の方が好み。映画ではシュールに感じていた点が本著では丁寧な文体で描かれており、より深く物語に入り込むことができた。逆に小説だけだと世界観に戸惑ってしまったかも。小説だけで理解が難しかった方は映画見るのもおすすめ。
様々な名著からの引用が巧みに用いられており、巻末の引用まとめの数を見て驚き。またあとがき記載されていたが新訳にあたり、消火士→昇火士とした点が見事な訳で素晴らしい。
今はTVはもちろん、スマホの利用が当たり前になった時代で、改めて本のあり方を感じさせてくれる一冊だった -
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Posted by ブクログ
中々、クセのある小説である。
冷戦期の核戦争をメタファーとした物語であるはずだから、コミカルに語られているのであれば嫌悪感しかないのではと思いながら読み始める。だが、いきなりそのクセに絡めとられてしまう。
語り手は、原爆を開発した科学者についての本『世界が終末をむかえた日』を書こうと考えた。世界が終末をむかえた日というのは、広島に原子爆弾が落とされた日のこと。その日、世界はどのようであったのか。
調査の中で、科学者が「氷よりも高温でも溶けない新物質(アイスナイン)」を開発していたことを知る。地球上のすべての水を凍らせかねない、究極の兵器。語り手はその調査の過程で、カリブ海の小国にたどり着 -
Posted by ブクログ
風景描写に関して、わかりづらさがあります。
モンターグの心風景なのか、実際の風景なのか曖昧になる部分があります。言い回しなんかは海外小説独特なものがあるので、はっきりいうと読みづらいです。エンタメ小説というよりは、もっと文学的。
「情報」がテーマです。
ベイティーとモンターグの掛け合い部分が1番好きです。
本は何も言ってないぞ!
この一言が痺れますね。数々の意味を持ったベイティーだからこそ言える名台詞です。
ジョージオーウェルの1984年を予言の書と言われるのと同様に、この本も予言の書です。
圧縮された情報、おしゃべりな壁。
思い当たる節にギクリとしました。 -
Posted by ブクログ
本作品を知ったきっかけはビブリア古書堂事件手帖。
同名タイトルの栞子さんの本棚で『たんぽぽ娘』一度読んでいるがロバート・F・ヤングの他の作品も読んでみたいと思い手に取った。
『たんぽぽ娘』が面白かったので他の作品もきっと素晴らしいものが多いだろうと期待を胸に宝箱を開けるような気持ちで本を開いたのだが思っていたのと少し違っていた。
というのも『たんぽぽ娘』の持つ物語の雰囲気と他の作品がちょっと違う感じだからかな。
『たんぽぽ娘』は甘くて切なく余韻が残る読後感があり、情景描写やあの有名な「おとといは兎を見たわ、きのうは鹿、今日はあなた」という詩のような世界観が他の作品からは感じられなかった。