伊藤典夫のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
風景描写に関して、わかりづらさがあります。
モンターグの心風景なのか、実際の風景なのか曖昧になる部分があります。言い回しなんかは海外小説独特なものがあるので、はっきりいうと読みづらいです。エンタメ小説というよりは、もっと文学的。
「情報」がテーマです。
ベイティーとモンターグの掛け合い部分が1番好きです。
本は何も言ってないぞ!
この一言が痺れますね。数々の意味を持ったベイティーだからこそ言える名台詞です。
ジョージオーウェルの1984年を予言の書と言われるのと同様に、この本も予言の書です。
圧縮された情報、おしゃべりな壁。
思い当たる節にギクリとしました。 -
Posted by ブクログ
本作品を知ったきっかけはビブリア古書堂事件手帖。
同名タイトルの栞子さんの本棚で『たんぽぽ娘』一度読んでいるがロバート・F・ヤングの他の作品も読んでみたいと思い手に取った。
『たんぽぽ娘』が面白かったので他の作品もきっと素晴らしいものが多いだろうと期待を胸に宝箱を開けるような気持ちで本を開いたのだが思っていたのと少し違っていた。
というのも『たんぽぽ娘』の持つ物語の雰囲気と他の作品がちょっと違う感じだからかな。
『たんぽぽ娘』は甘くて切なく余韻が残る読後感があり、情景描写やあの有名な「おとといは兎を見たわ、きのうは鹿、今日はあなた」という詩のような世界観が他の作品からは感じられなかった。 -
Posted by ブクログ
SF 1953年初版
まず表紙がかっこいい。黒地に赤い文字とタロットカードや花札を思わせるイラスト。
華氏451度って一体何度?と思わせる題名もセンスがあると思う!
53年に書かれたにしては、未来を予測しているような本だった。与えられ続ける視覚的な情報、言葉の情報。それらが絶え間なく流され、自分で考えて選択することを捨ててしまった人々。受け身で表面上は楽しそう。
まさに現代!忙しぶっているが実はほんとうにやりたいことをできていないわれわれへの痛烈な皮肉を感じる。この本の世界では、書物忌むべきものとして専門職の人に焼かれてしまうのだが、著者のレイブラッドベリは本が読まれない時代を予期して -
Posted by ブクログ
ネタバレ「キャット・クレイドル」の名は、宇宙船の名として知った。『宇宙英雄物語』の最終話にぽっと出てきたキャラの愛機だ。ぽっと出のキャラだが紅龍を逮捕するなどの活躍をしており、もっと活躍する予定のキャラだったらしいことがおまけページに書かれている。
別の機会に同名の小説作品が存在することを知った。
本を手に取るまで『タイタンの妖女』の著者の作品であることを知らなかった。知ってしまえば期待は爆上がり。クールに虚無を積み重ねていく語り口調はパラニュークや『パルプ・フィクション』を思わせるもので、発表順からすれば影響を与えたかもしれない側となる。
短いエピソードの連なりで物語は構成されている。外堀が少し -
Posted by ブクログ
ネタバレ初めは描写が独特すぎてついていけてなかったがどんどん読みやすくなっていった
たった1週間で人生が180°c変わってしまう話なので、その最中はスピード感があって続きが気になった。
クラリスは私と似ていると思った。しかしミリーの方も 私に似ていると思った。私は両方持っている現代人です笑
同じ30歳ということもあって主人公の雰囲気が私たちの世代と似てました。
現代人の私が見たら大して違和感はないが1950年代の人が当時読んでいたらもっと SF 小説 だったのだろう。最後は原爆が落とされたのかな?そこは1950年代の人ならでは なのかなと思った。 -
Posted by ブクログ
職場の後輩に勧められた一冊!
本の存在は知っていたが、なかなか取る気にはなれなかった・・・
解説に書いてありましたが歴史的な焚書を行ったのは始皇帝とヒトラー(小さな焚書は度々あり)
近年というか、最近の20数年間 少年犯罪や猟奇犯罪が起きるとその犯人が見ていた漫画やゲームの残虐性が問いただされてきた。
わたしはこれ自体が現代版の焚書と華氏451度の世界の始まりではないかと考える。
メディアや政治家達は安易に結論を付けたがる、仮に人が犯罪を犯すまでの公式を
XY/16f(£;Φ17/C)
みたいなものであると仮定して『難しい』から簡易式として
A=X+Y
みたいな方が『解りやすい』をや -
Posted by ブクログ
『So it goes.(そういうものだ)』の連発に嫌気が差した。せめて『Let it be.(あるがままに、そのままに)』にしてくれ!(笑)
爆撃自体による被害は広島・長崎の原爆や東京大空襲を上回ると言われるドレスデン爆撃を中心にした物語。事実をそのまま小説にしたのでは余りにも悲惨な話になってしまうので、今までの作者の作品群を絡めた、ちょっとコミカルなSF仕立ての物語になっている。ただ、どうなのか(!?) 舞台が目まぐるしく変わるので、自分には読み辛い小説だった。
巻末の解説にもあるが、放射能による後遺症は被爆者のみならず、その子孫にも及ぶ事もある。被害の大小を比べるものではないが「 -
Posted by ブクログ
ネタバレ映画は何度か途中で挫折したせいで、一応最後まで目を通したはずだが内容はほとんど覚えていない、くらいのインプットで今回読んでみた。
この小説と映画は同時進行で制作、今のメディアミックスの形で作られていたということを、前書きで初めて知って驚いた。1960年代といえば米ソの宇宙開発競争真っ只中。そんな中、製作されたこの作品は、すごい熱量で迎えられたのだろう。
本の半分くらいまではなかなか話が進まないが、第四部でボーマン船長が出てきてからストーリーが急速に展開していく。個人的に一番印象に残ったのは人工知能HALの殺害シーン。人工知能を『殺害』と表現するのはなんだか可笑しな気がするが、まるで人間を解体 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【あらすじ】
本を法律で禁止された世界。本を燃やす〈昇火士〉のモンターグはある日の仕事終わりにクラリスという少女に出会い、世界のおかしさに気づいていく。
【感想】
冒頭はノリノリで本を燃やしていたモンターグだけど本当はそうじゃなかったんだよね。だから自宅の空調機のグリルに本を隠し持っていたし、後々モンターグの助けとなる老人、フェーバー教授と出会っていたけど報告してなかった。
しかしハラハラしたな〜〜モンターグに変わるきっかけを与えたクラリスとのバディで何か始まるかと思いきや、ある日車に轢かれて死んだと妻のミルドレッドからあっさり言われて終わりだし、フェーバー教授と再会して今度こそこのバディ