伊藤典夫のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ物語は、人類誕生期に現れた黒い石板「モノリス」とヒトザルが邂逅する場面から始まる。モノリスとの接触を契機に、ヒトザルは骨を武器として扱いはじめ、知性の芽生えを得る。その進化の延長線上で、数百万年後の人類は再び月面でモノリスを発見する。そこから土星(映画では木星)方向へ発せられた信号を追うべく、人工知能HAL9000を搭載した宇宙船ディスカバリー号が旅立つ。しかしHALは機密保持と任務遂行の矛盾に耐えきれず暴走し、乗組員と対立する。生き残ったボーマンは土星の衛星で巨大モノリスと接触し、人類を超えた存在(スターチャイルド)へと変容していく。
本書は、映画と小説がほぼ同時進行で制作された珍しい作品であり、一般的な「原作→映画化」という順序ではなく、互いに影響を与えながら制作された。小説は科学的描写が緻密で背景描写も豊富だが、それでも理解しきれないまま読まされる印象も強く、それでも続編が気になる余韻は残る。
一方、映画はさらに抽象度が高く、象徴性が前面に出る。特にスターチャイルドへ至る描写は理解というより「受け取るしかない映像体験」に近く、ストーリーとしては小説以上に掴みにくかった。HALの裏切りや、最後の変容の流れは、特に意味がつかみづらい印象。
著者の名言「十分に高度な科学技術は魔法と区別できない」があるが、映画は魔法すぎた。
個人的には映画→小説の順番で触れていれば評価は変わったかもしれないが、小説→映画の順だと「なんじゃそりゃ」感が勝ってしまった。小説版は続編があるので小説はまた読むかもしれない。 -
Posted by ブクログ
数年前に宇宙モノを読んでみたくて手に取ったものの挫折した為、オーディブルにて再チャレンジ。
今読んでも当時期待していた宇宙モノとは大部分が違っていたなと感じた。なんせ未知と邂逅しても何ひとつ分からないまま終わってしまうのだ。そうだったのかというカタルシスもないまま、一体何だったのだろうと煙に巻かれた感じがある。
唯一面白かったのはHALとの攻防だった。やけに自身の正当性を説いて譲らないAIとのやりとりがつい最近自分の身の上にも起こっていたからだ。軽く腹を立ててやれやれとプロンプトを閉じ、何なら履歴から削除して終えたやり取り。自分はそれで済んだ。だがHALとのこのやり取りはどうだろう。地球から遠く離れた宇宙の深淵で命を握られた状態で一対一で対峙しなければならない状況。空恐ろしさを感じずにはいられない。本作は半世紀あまりも前に未来を空想して描かれた内容でその多くが現実とは乖離しているのにも関わらず、そこだけ妙に親近感を覚えたのが強く印象に残った。 -
Posted by ブクログ
本作品を知ったきっかけはビブリア古書堂事件手帖。
同名タイトルの栞子さんの本棚で『たんぽぽ娘』一度読んでいるがロバート・F・ヤングの他の作品も読んでみたいと思い手に取った。
『たんぽぽ娘』が面白かったので他の作品もきっと素晴らしいものが多いだろうと期待を胸に宝箱を開けるような気持ちで本を開いたのだが思っていたのと少し違っていた。
というのも『たんぽぽ娘』の持つ物語の雰囲気と他の作品がちょっと違う感じだからかな。
『たんぽぽ娘』は甘くて切なく余韻が残る読後感があり、情景描写やあの有名な「おとといは兎を見たわ、きのうは鹿、今日はあなた」という詩のような世界観が他の作品からは感じられなかった。というより世界観や設定が複雑な作品がいくつかみられた。(あくまでも私見です)
おそらく、そういった作風が日本人の琴線に触れたのかな。
『たんぽぽ娘』以外で良かった作品は
『河を下る旅』『神風』『ジャンヌの弓』『エミリーと不滅の詩人たち』『荒涼の地より』
なかでも『ジャンヌの弓』が面白かった。
タイトルからも分かるようにジャンヌダルクをモチーフにしたSFロマンス。
不思議な声に導かれたり、不思議な力を使えたりとファンタジー要素もあってSF盤ジャンヌダルクとでもいったような内容。
史実と違いハッピーエンドで終わるのがいい。
最後の矢はキューピットの矢?
あとがきにR・F・ヤングが戦後駐留軍として日本に来ていたのには驚いた。『神風』はその時に着想した作品なのかな。
これはフォロワーさんから教えて貰ったんだけど『たんぽぽ娘』ずーっと絶版で古書価かなりやばかったみたい。
ビブリア古書堂効果で復刊になったらしいよ。
こうやって手軽に読めるのも栞子さんのおかげかな?本の力は凄いなと改めて思った。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ「キャット・クレイドル」の名は、宇宙船の名として知った。『宇宙英雄物語』の最終話にぽっと出てきたキャラの愛機だ。ぽっと出のキャラだが紅龍を逮捕するなどの活躍をしており、もっと活躍する予定のキャラだったらしいことがおまけページに書かれている。
別の機会に同名の小説作品が存在することを知った。
本を手に取るまで『タイタンの妖女』の著者の作品であることを知らなかった。知ってしまえば期待は爆上がり。クールに虚無を積み重ねていく語り口調はパラニュークや『パルプ・フィクション』を思わせるもので、発表順からすれば影響を与えたかもしれない側となる。
短いエピソードの連なりで物語は構成されている。外堀が少しずつ埋められていくような、完成図が見えないジグソーパズルが全体像を想像させないまま次第に出来上がっていくような。読んでいる最中はとても幸せだった。
しかし、どうにも期待をかけすぎたようだ。美しいクライマックスであるとは思える。しかし、完璧な結末とは思えない。 -
Posted by ブクログ
『So it goes.(そういうものだ)』の連発に嫌気が差した。せめて『Let it be.(あるがままに、そのままに)』にしてくれ!(笑)
爆撃自体による被害は広島・長崎の原爆や東京大空襲を上回ると言われるドレスデン爆撃を中心にした物語。事実をそのまま小説にしたのでは余りにも悲惨な話になってしまうので、今までの作者の作品群を絡めた、ちょっとコミカルなSF仕立ての物語になっている。ただ、どうなのか(!?) 舞台が目まぐるしく変わるので、自分には読み辛い小説だった。
巻末の解説にもあるが、放射能による後遺症は被爆者のみならず、その子孫にも及ぶ事もある。被害の大小を比べるものではないが「広島を上回る」は不適切な表現。1969年の作品で核兵器の恐ろしさを作者が知らない筈はない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ映画は何度か途中で挫折したせいで、一応最後まで目を通したはずだが内容はほとんど覚えていない、くらいのインプットで今回読んでみた。
この小説と映画は同時進行で制作、今のメディアミックスの形で作られていたということを、前書きで初めて知って驚いた。1960年代といえば米ソの宇宙開発競争真っ只中。そんな中、製作されたこの作品は、すごい熱量で迎えられたのだろう。
本の半分くらいまではなかなか話が進まないが、第四部でボーマン船長が出てきてからストーリーが急速に展開していく。個人的に一番印象に残ったのは人工知能HALの殺害シーン。人工知能を『殺害』と表現するのはなんだか可笑しな気がするが、まるで人間を解体していくかのように機械をこじ開けて、HALが段々と知性を失っていく様子がの描写された一連のシーンに圧倒された。
ボーマンが土星に向かった後のモノリスとの接触の後は、「え、これで終わり?」感が強い。人間ではない何かになってしまったのはいいが、何をするんだろう…。
シリーズであるとは知っているので、続編を読もうかと迷っている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【あらすじ】
本を法律で禁止された世界。本を燃やす〈昇火士〉のモンターグはある日の仕事終わりにクラリスという少女に出会い、世界のおかしさに気づいていく。
【感想】
冒頭はノリノリで本を燃やしていたモンターグだけど本当はそうじゃなかったんだよね。だから自宅の空調機のグリルに本を隠し持っていたし、後々モンターグの助けとなる老人、フェーバー教授と出会っていたけど報告してなかった。
読んでてハラハラした。モンターグに変わるきっかけを与えたクラリスとのバディで何か始まるかと思いきや、ある日車に轢かれて死んだと妻のミルドレッドからあっさり言われて終わりだし、フェーバー教授と再会して今度こそこのバディでなんとかし始めるかと思いきや色々とモンターグが耐えきれなくて(妻のミルドレッド含め皆が刺激的な娯楽に麻痺して考えることをやめてるのでモンターグがウワーッてなる気持ちはわかる)仕舞いに自宅は燃やされ、〈昇火士〉のベイティー隊長を殺して逃げ回る羽目に。これどう着地するんだ…と思ってたら、都市部でおたずね者となり渡り鳥労働者として漂泊するフェーバー教授の仲間にモンターグが合流したところで話は終わってしまう。
でも現実だって世の中を変えようとしたってすぐには変えられないし、最後、モンターグたちは川を上流に向かって歩き始めるんだけど、これが世界が葬り尽くそうとした〈本〉、先人が蓄積してきた知と記憶を辿り始めたことのメタファーだとしたら。フェーバー教授の仲間の台詞的にも希望をもたせる終わり方のような気がする。
以下、フェーバー教授の仲間の台詞
↓
「昔、キリストより前の時代だが、不死鳥という愚かな鳥がいた。(…)その鳥は、自分を焼くたびに灰のなかから飛びだしてくる。まったくおなじ姿で、ふたたび生まれてくるんだ。われわれも似たようなもので、おなじことを何度も何度もくりかえしているが、われわれにはひとつ、不死鳥が持ちえなかった美点がある。われわれは、自分がいまどんな愚行を演じたか知っているという点だ。われわれは過去一千年のあいだにどんな愚行を重ねてきたか知っているのだから、それをつねに心に留めておけば、いつかは火葬用の積み薪をつくって、そのなかに飛びこむなどという行為を止めることができるはずだ。(…)」
今こうしている間にも戦争や虐殺が世界各地で起きている。ミルドレッドらのように娯楽に目を眩ませ考えることを放棄してしまわぬようにしたい。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ好きだなというお話と意味がわからないお話が顕著すぎた。読み終えることが目的になってしまいよくわからない作品がたくさんあった…。
・特別急行がおくれた日
あまりよく分からなかった。列車を動かしている人たちは実は列車のパーツ、擬人化みたいな話?
・河を下る旅
各々自殺した男女が、(夢の中?意識朦朧としてしいる中)河を下る中で出会い、恋に落ち、やっぱり生きたいと思うお話し。幻想的で好きだった。
・エミリーと不滅の詩人たち
アンドロイドの詩人家たちを愛する博物館勤務の女性のお話。これも好きだった。
・神風
ちょっとこれもよく分からなかったけど、昔の「お国のために死ぬ」みたいなお話し。自国の男性と敵国の女性がそれぞれ捨て身で突っ込むが、その中で出会うお話。
・たんぽぽ娘
表題のお話。他の女性には見向きもしないくらいの愛妻家の男性が、山で出会った未来から来たという女性と恋に落ちるが、それは現在の妻の若い頃であったというお話し。ちょっと違うけど、「今会いに行きます」に似ているところがあってとても好きなお話しだった。
・荒廖の地より
このお話も温かくて好きなお話だった
放浪者のローンを、裕福とは言えない心優しい家族が、寝るところを貸してあげたり食事を出してあげたり手を貸してあげる。そのお礼にとローンは働き、お金を入れたり暖炉を買い換えたり、家族とローンは次第にかげかえのない存在になっていく。仕事をクビになったタイミングで、ローンは出ていくという。家族としては、いてもらいたかったが。
ここまで書いたけどあらすじ書くの難しかったので単語で思い出せるように記録。
タイムトラベラー ある地点で忽然と消える 数年後家を建てた 地面から出土品 ちょうどローンが消えたあたり 手紙や靴下や洋服が中に入っている
・主従問題
町単位で売りに出された物件の積算にいく主人公。そこで出会った女性と犬。家から繋がる異世界。
・第一次火星ミッション
よく分からなかった。
・最後の地球人、愛を求めて彷徨す
よく分からなかった。
・11世紀エネルギー補給ステーションのロマンス
よく分からなかった。
・スターファインダー
二つの神経をもつくじらを助ける話
・ジャンヌの弓
冒頭が死ぬほど読みづらい。
2人の声が聞こえる女性。潜入捜査に向かわされる男性。復讐。ハッピーエンド?