【感想・ネタバレ】華氏451度〔新訳版〕のレビュー

あらすじ

華氏451度──この温度で書物の紙は引火し、そして燃える。451と刻印されたヘルメットをかぶり、昇火器の炎で隠匿されていた書物を焼き尽くす男たち。モンターグも自らの仕事に誇りを持つ、そうした昇火士(ファイアマン)のひとりだった。だがある晩、風変わりな少女とであってから、彼の人生は劇的に変わってゆく……本が忌むべき禁制品となった未来を舞台に、SF界きっての抒情詩人が現代文明を鋭く風刺した不朽の名作、新訳で登場!/掲出の書影は底本のものです

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

映像音楽、科学技術の発達による考えることなく人々が楽しく暮らしている世界。人は激しい音楽と映像に浸かることで外からの刺激のみで内側から何も生み出さなくなり。

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2025年11月09日

Posted by ブクログ

『《川の左右に生命の樹ありて十二種の實を結び、その實は月毎に生じ、その樹の葉は諸國の民を醫すなり》 そうだ、これを昼まで大事にとっておこう。昼のために… 街に着いたときのために。』

名著、として知られるこの物語。
本を燃やす男がある1人の少女と出会い…という触りの部分だけ知っていましたが、長年読んでいませんでした。
何故か?だって、難しそうだから…。何十年も前の作品だし、きっと長々と1人の男の内省をダラダラ書き綴った読みにくい小説なんだろうなと思いつつ読み始めると…

おもしろ!!!!!!!!!!!!
いや、めちゃくちゃ面白いんかい。
自らが住む環境、国、自分を取り巻く様々な事に疑問を感じ始めたモンターグ。何故人々は本を燃やし、娯楽を享受するだけの退屈な日々を甘んじて受け入れているのか?目の前の世界や人々に関心を向け積極的にそれらに関わろうとするクラリスの存在はそんな彼の中で大きくなっていきます。
無駄な文章が一行もなく、人物の感情描写が鮮やかで美しい。1ページ1ページに強いパンチラインがあるかのように、心にバスバス刺さる文章ばかり。
人は何故、本を読むのか?本を制限された人類はどうなってしまうのか?その恐ろしさをまざまざと見せつけられました。
描写しすぎない所もまたクールだなと感じます。ベイティーは何故、書物からあれだけの引用をスラスラと出来たのか。元々は読書家で、何かの拍子に焚書を楽しむ側に堕ちてしまったのか。ベイティーという姿は焚書を続けることを選んだモンターグのもう一つの未来の姿かもしれません。読んだ後も想像が止まりません。
フェーバーは、モンターグは、これからの世界にどう関わり、どう知識を伝えていくのか。それらの描写が無いということは、作者が私たち自身に向けた警告をこの作品でしている様に感じ取れます。
スリリングかつ洗練された素晴らしい作品でした。
(ちなみに、本作品は聖書からの引用や他の作品からの引用、難しい言い回しが多かったので、素直にスマホで調べながらゆっくり読み進めました。そのお陰で読み切れたので、分からない部分があれば検索しましょう。)

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2025年10月13日

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50年代の小説だが、娯楽に対する変化や著者が想像した未来が今の現実にも通じる部分を発見し面白かった。(短い娯楽が好まれ、本のような長い娯楽は好まれない)

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2025年09月30日

Posted by ブクログ

なんとなく焚書をテーマにした本ということだけ知っていた読む前は、巨大な陰謀によって本が禁止された世界の話だと思っていた。実際は、大衆が娯楽を求めていった結果として本=知識が忌避されるという、ある意味もっと恐ろしいディストピアを描いた物語だった。
月並みな表現だが、現代に通じるものを感じた。「反知性主義」という言葉が巷で流行っているが、現代のSNS社会、スマホを手放せない人ショート動画で時間を浪費する人…思い当たる節がたくさんある。もっと本を読み、考え、苦しむべきだと考えさせられる本だった。

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2025年09月25日

Posted by ブクログ

1953年刊行のSF小説ですが、今読んでも古く感じません。
焚書により知識を封じられ、考えることを禁じられた世界の出来事です。
我々もインターネットやAIによって、権力者から情報操作をされているのではないかと恐れます。

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2025年09月21日

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YouTubeとかLINEとかでなんとか昼間はやり過ごせるとして、
夜です、ポカーン…壁と私しか部屋にいませーん…みたいな時に、ふと思い出す一作
好きなので線を引いてずっと引き出しに入れてある。

別に華氏451度になれって訳じゃないけれど、
私は別に人付き合いもチャンネル登録してる人の動画も、本当に好きなものなんて何もないんだった、って思い出すことができるね。あいつらが好きじゃないって気がつくのってポカーンとしてる夜だけだからね。。

本の大事さを説いている本だとは私は思っていなくて、
私だけが華氏451度なんじゃなくて、
皆の中に華氏451度はあったりなかったりするんだよねーと思う。

皆の脳と心の脂肪の下にある肉に少し触れるような、とても好きな感覚が味わえる作品ですね!

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2025年09月10日

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最高!1984 、未来世紀ブラジルもよろしく体制側の犬が体制の矛盾に気づくのが常なのかぁと少し切なくなってしまいます。
その世界に居ないと分からない事もあるのかな?

ps賽目さんの解説がわかりやすかったので何言ってんの?と言う人はyoutubeで観てみても良いかもです。

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2025年08月31日

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気持ち古めでSFだから読みずらいと警戒してたけどなんてことなかった。

確かに詩的な部分は所々よく分からないのがあったけれど、ストーリーの展開が現代の小説と遜色ないから拒否反応が出なかった。SFだから『ラウンジ』『巻貝』『猟犬』といった固有の物をイメージしずらいっていう問題もある。
それを差し置いても小説の意味や価値とかをもはや著者レイ・ブラッドベリの立場から語ってくれてて凄く感動した。
名言も多い。
「救いに向けて自分のできることをしなさい。そうすれば、たとえ、溺れようとも、少なくとも岸に向かっていると自覚して死んでいける」
薬を服用しながら学校に通っている今の私に刺さりました。
小説は確かに無意味な知識やフィクションを語るただの虚構なのかもしれないが、時に人を感動させてくれると思わせてくれた。

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2025年07月28日

ネタバレ 購入済み

焚書の広まったディストピア

米国のSF巨匠レイ・ブラッドベリ氏の作品。
本が禁制品となり、本を焼く職業である"昇火士"のモンターグが主人公。
本を焼く立場である彼だが、とある少女クラリスの出会いからモンターグに心境の変化が生まれる。
単純な情報統制としての焚書だけでなく、人に処理できない量の情報の氾濫など、
現代にも通じるテーマも含まれたディストピア物の傑作の一つ。

#深い #タメになる #ダーク

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2021年09月10日

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最初はなかなかシーンの映像が浮かばず、話に入り込めなかった。ただ、どの時点からかはわからないが、どんどん画が浮かぶようになって、どんどん読み進められた。
読書を楽しめる幸せをより一層噛み締めた。

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2025年11月10日

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1953に書かれたディストピア小説

本を焼く仕事のファイアマン
本を読むのは法律違反

物事がどう起こるかではなく、なぜ起こるかを知りたがっていた。

事実については話さない。事実の意味こそ話す。私はここに座っている。だから自分が生きているとわかるのだ。

必要なものは、ひとつめは情報の本質。そしてふたつめは余暇、考える時間。3つめは、最初の二つの相互作用から学んだことにもとづいて行動を起こすための正当な理由。

テレビは「現実」だ。即時性があり、広がりもある。こう考えろと指示してがなりたてる。あまりに早く結論に持ち込んでしまうので、反論する暇もない。
テレビは人を望み通りの形に育てあげてしまう。
「真実」になり、「真実」として存在してしまう。

本は「ちょっと待っていなさい」と閉じてしまえる。

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2025年11月10日

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ネタバレ

「書物を燃やして、いろんな考えを制限する」という仕事に誇りを持っていた主人公の隣に引っ越してきた少女が、主人公の考えを変えさせていくというのが大まかな流れで、この少女の出現がこの小説のキーだと思っています。
 消火士ではなく、昇火士という名前でちょっと笑っちゃいました。思いっきりのディストピアの世界観の中でのストーリーで面白く読ませていただきました。1953年にこの小説が発表されて70年以上経ちますけど、昔からよくこういう考えを思いつくよなってつくづく感じます。

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2025年10月21日

Posted by ブクログ

★4.5。
書かれた時代はマッカーシズムの時代。
ということは2025年の今、ある意味同じような状況になっていることからして、傑作が生まれ、人々の意識の偏りが何らかの形で是正されていくような。
それくらいのインパクトのあるお話、そして焚書とかタイパとか、いつの時代・場所でもあまり人間の発想と問題意識はあんまり変わらないんだなぁとある意味感慨深くもあり。

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2025年10月13日

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ネタバレ

今から70年ほど前に書かれた未来の形なので、レトロな未来感はあるけど、それはおいといて面白い。中盤まではファイヤマンとしての生活、社会構造や価値観の掘り下げなので、現代の物語構成に慣れてる人からするとテンポが遅すぎるし、序盤に出てきた少女の後半の影響を期待してしまうかも、そして後半に出てきた老人達や本の記録についてのところは、斬新だし面白いけど、その設定も説明的で少々活かしきれてない気もする(あの結末としては重要ではある)。エンタメ性は低く全体的には退屈なのだけど、そんなこと別にいいや。というくらい哲学、思想、設定がとても面白い。あと、好き期待は分かれるあろうけど地の文の力は圧倒的にすごい。本が読める社会で良かったなぁと思う。

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2025年10月09日

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初めてディストピア小説を読んだ。50年以上前の作品とは思えない斬新さがあった。でも暫くこういうのは読みたくないかも。

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2025年09月22日

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タイトルの「451」がようやく覚えられました。
ずっと「華氏ホニャララ度」と言ってたんです…

今、読書が生活のメインになっていて、昔は読みにくいと思った文体でも、割とさらさら…これもその1冊。さらに、ハヤカワは、今フォントが大きく、加えて字体も見やすい…ヘビーな読書好きにはありがたいです。

そして、話は、SFと言うには現実的な話で、でも、書かれた時期(70年以上前!)を考えると、レイ・ブラッドベリの凄さに感服してしまう。
静脈認証的な表現のシーンもあったり。

冒頭に近い部分での、妻の薬物過剰摂取による救急搬送シーンにも、軽く動揺してしまった。
当時は戦後10年以内ですが、それにかかわらず、薬物過剰摂取問題は起こっていた。自殺未遂ではない。過剰摂取。
そして、妻とは、もう気もちが離れていた。

クラリスは、印象的だけれども、ベイティーやフェーバーのような強烈さはないまま、消えてしまった。でも、それが役割なんだろう。

価値観が、時代で真逆に振れてしまった時や、その時の国家の体制に賛同できなかった時どうするか…はっきり抗うか、深く潜行するか…難しい。
モンターグも人を殺してしまった…
でも、モンターグも感じたとおり、ベイティー隊長は、モンターグに自分を殺してほしかったんだと思う。たぶん、本を焼く部署の責任者なのに、焼くことが辛くなってしまい…悲しい。

モンターグの身代わりに選ばれた人も、やり切れない。あの、世間にアピールするだけの大捕物劇も、今もありそうで(というより、あると確信している)、こわい。
そして、集団ヒステリーの恐ろしさも感じました。

イヤホン的なものが、巻貝や銃弾と表現され、ああそのとおり。

そして、たとえ本は焼かれ尽くしても、人々の脳内に言葉がある限り、また本は、復活する。
ちなみに、コミックは焼かれないみたいでしたね。
テレビ礼賛で。

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2025年09月04日

Posted by ブクログ

本を所有することが禁止された世界で、本の取り締まりをしている主人公が反体制側に付くまでが書かれた内容。
タイトルは紙が燃える温度らしいが、洒落ている。

検閲やプロパガンダといった情報統制に関する内容で、現代にも通じるところがある内容に感じる。最近だとSNS規制みたいな話もちらほら出るので、こんな世界にはなってほしくないなと思った。

言い回しがなかなか独特かつ長いので上滑りして認識しづらい。私には向いていない文章だと思った。

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2025年08月30日

Posted by ブクログ

話のテンポがあまりよくないのだけど、文章や表現がSFぽくない綺麗さで新鮮だった。設定が秀逸でした。現在はまさにこの本のディストピアな世界のようです。

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2025年08月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今年の夏は、なぜかSFを読んでみたい!と思い立ち。

今まで海外文学はほとんど読んだことがなく、
さらにSFというジャンルを受け入れられるのか、
不安はありましたが、
逆に訳わからないものを欲してる!となり。

YouTubeでSF作品を中心に読んでる方が紹介していた一冊です。

面白かったです!

海外のYouTubeチャンネルで概要を見ましたが、
それでも私は楽しめました。

本を持つ、本を読むことが禁じられた世界。
人々はテレビかラジオを聞き、
娯楽を与えられ続け、考えることを放棄している。

そんな世界で主人公のモンターグは昇火士として、
家屋と本を丸ごと焼き払う仕事をしている。

妻のミルドレッドとのやり取りは徒労と侘しさを感じるし、クラリスとのやり取りはもう少し深掘りして欲しかったです(一瞬すぎて)

悩み思考することで、
自分自身を取り戻していく。
そこには大きな犠牲もあって。

最初は全く理解できなかったらどうしようかと思いましたが、全然大丈夫でした!
これが1953年の作品だなんて驚きです。

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2025年08月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本が見つかると燃やされるディストピアの話

巻貝ってワイヤレスイヤホンのこと…
リビングの家族たちって4面ではないにしてもプロジェクターのこと?
なんだか現実と似通ってきていて怖くなった。

P91 ベイティーがしゃべりまくっているところをもう一度読み直したい。
ダイジェストとかショート動画とか面白くてつい見てしまうけど、確かに深く考えないから記憶に残らない。
好きな本が映画化されても気に入らないのは個人的に大事だと思うところが省略されてしまうからかもしれない。
こんな講義をされて昇火士に疑問を抱いている人が納得できるだろうか。全く逆でベイティはモンターグを煽っているように感じた。ベイティこそがそういうことを抱えている人だったのではないか。だから最終的に死にたがっているとモンターグも、感じたのかもしれない。隊長までなったらどうにもならない葛藤とかあったのかもしれないし。そもそもこの人が身近で一番本を読んでそうな人物だった。

P142 フェーバーが必要なものの話をしているところも。
情報の本質、消化時間、行動の正当な理由。

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2025年07月09日

Posted by ブクログ

映像やドラマ、上っ面だけのエンタメに満たされ、みなが深く考えることのなくなってしまった世界。考えるもととなる書物――諸悪の根源――をこの世から消し去るのが「正義」とされる社会。そうした近未来社会を、ひとりのファイアマンの視点から描く。
発表は1953年。アメリカでは、あのマッカーシズムの嵐が吹き荒れていた。テレビも一般家庭に普及しつつあった。さらには全面的な核戦争の脅威もあった。そうした時代状況を背景にした作品として読める。少なくとも、ブラッドベリの憂慮はそこにあった (必ずしも反知性主義や全体主義のことまでは考えていないように思う)。
まず新版の伊藤典夫訳で読み通した。次に比較のため、旧版の宇野利泰訳を、最後は原書を読んだ。宇野訳は思ったほど悪くなかった(読みやすかった)。期待していた伊藤の新訳は、意外にも、ケアレスな誤訳があちこちに見られた。firemanも、思案の末「昇火士」と訳しているが、そのまま「ファイアマン」でよかったのでは。

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2025年05月04日

Posted by ブクログ

本が忌むべき禁制品となった未来が舞台のSF小説
爆弾で書物を吹き飛ばした主人公の手にとまった一冊の本を、白い鳩に見立てた描写が秀逸。
迫害や暴力に屈しなかった老女の行く末には思わずためいきが漏れた。
世界観はともかく、表現がかなり独特なので好き嫌いは分かれるだろうなといった所感。

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2025年10月22日

Posted by ブクログ

風景描写に関して、わかりづらさがあります。
モンターグの心風景なのか、実際の風景なのか曖昧になる部分があります。言い回しなんかは海外小説独特なものがあるので、はっきりいうと読みづらいです。エンタメ小説というよりは、もっと文学的。
「情報」がテーマです。

ベイティーとモンターグの掛け合い部分が1番好きです。

本は何も言ってないぞ!

この一言が痺れますね。数々の意味を持ったベイティーだからこそ言える名台詞です。

ジョージオーウェルの1984年を予言の書と言われるのと同様に、この本も予言の書です。

圧縮された情報、おしゃべりな壁。
思い当たる節にギクリとしました。

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2025年10月18日

Posted by ブクログ

起こってることはギリギリ理解できるものの自分の中でうまく想像できず、とにかく読むのに時間がかかって難しかった。あんまり合わなかったのかもしれない。
表現が詩的で美しいなーと思った。
読書初心者なので、苦手分野がわかって良かった。

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2025年10月16日

Posted by ブクログ

SNSが義務化されたかのような今日の世界。
自分自身、そのような世の中に疲労を感じ
本に助けを求めようとしたとき手にしたのが
この本でした。

ネット上にある情報は物事の表面にすぎず、
例えそれが嘘であっても、その情報が大衆にとって都合の良いものであれば真実へと変化してしまう。

メジャーなものが正、マイナーなものは誤
そんな世の中に、警鈴を鳴らす一冊。

現在社会にもがく私にとっては
本が私を助けてくれるに違いないと
思えるような本でした。

再読しようと思います。

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2025年10月09日

Posted by ブクログ

 悪事を働いた人がいるとメディアが取り上げるとき、なぜそのような行動に至ったのかという理由に迫りたがる。過激な内容の本やゲームを好んでいたとか、納得ができるような結論を急ぐ。それって、自分の理解できる範囲でしか受け入れることができないと言っているようなものじゃないかな。

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2025年08月05日

Posted by ブクログ

SF 1953年初版

まず表紙がかっこいい。黒地に赤い文字とタロットカードや花札を思わせるイラスト。
華氏451度って一体何度?と思わせる題名もセンスがあると思う!

53年に書かれたにしては、未来を予測しているような本だった。与えられ続ける視覚的な情報、言葉の情報。それらが絶え間なく流され、自分で考えて選択することを捨ててしまった人々。受け身で表面上は楽しそう。

まさに現代!忙しぶっているが実はほんとうにやりたいことをできていないわれわれへの痛烈な皮肉を感じる。この本の世界では、書物忌むべきものとして専門職の人に焼かれてしまうのだが、著者のレイブラッドベリは本が読まれない時代を予期していたんだろうか。このあとこの本の中の世界はどうなっていくんだろう。

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2025年08月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

初めは描写が独特すぎてついていけてなかったがどんどん読みやすくなっていった
たった1週間で人生が180°c変わってしまう話なので、その最中はスピード感があって続きが気になった。
クラリスは私と似ていると思った。しかしミリーの方も 私に似ていると思った。私は両方持っている現代人です笑
同じ30歳ということもあって主人公の雰囲気が私たちの世代と似てました。
現代人の私が見たら大して違和感はないが1950年代の人が当時読んでいたらもっと SF 小説 だったのだろう。最後は原爆が落とされたのかな?そこは1950年代の人ならでは なのかなと思った。

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2025年05月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初の方にさらっと伏線がまいてあるので、二回読みした。
ブラッドベリの誌的な表現でえぐい世界が描かれている。
今だって「巻貝」=ショート動画とかSNSに気をとられて本読まない人増えてるんじゃないか。

コンテンツではなく、本物から何かを感じ取るクラリスが最初の方で退場してしまって残念だった。

本はだめでソープドラマは良いのではなく、いろんなのがある世界がいいよね。

焚書の雰囲気は、台湾のゲーム「返校」でも生々しく扱われていたなあ。

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2025年05月25日

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職場の後輩に勧められた一冊!

本の存在は知っていたが、なかなか取る気にはなれなかった・・・

解説に書いてありましたが歴史的な焚書を行ったのは始皇帝とヒトラー(小さな焚書は度々あり)



近年というか、最近の20数年間 少年犯罪や猟奇犯罪が起きるとその犯人が見ていた漫画やゲームの残虐性が問いただされてきた。
わたしはこれ自体が現代版の焚書と華氏451度の世界の始まりではないかと考える。
メディアや政治家達は安易に結論を付けたがる、仮に人が犯罪を犯すまでの公式を
XY/16f(£;Φ17/C)
みたいなものであると仮定して『難しい』から簡易式として
A=X+Y
みたいな方が『解りやすい』をやっており、そもそもがその簡易式が正しいかという検証が行われてきた形跡がない。

ひとの心や人格は漫画やゲームに単純に支配形成される物では無い事と、先ずは 生活環境と人間関係の方が人格形成に影響が大きいかもしれないが家族のプライバシー等も考慮して直接触れてはいけないと言う風潮自体が問題がある事だと思う。

何を言いたいかと言うと、小説や漫画を沢山読んだ所で、人としての優しさや残酷さと言うものは身に付かず、只々 語彙が増えていくと言う事を、本を読まない人達が議論するのでは無く、本を読む人達を中心とした議論が大切なのでは無いかと思う・・・

何れにしても、本を読まない人達への配慮と偏見等により本書のような世界に到達しない事を祈ります。

近未来の世界で本を所持する事が犯罪とされており、建物の非可燃化が進んだせいで廃業に追いやられた消防士達が昇火士として、人と本を焼いていた!?
主人公のモンターグは昇火士としての自分の生活等に疑問を持ちはじめており、とある少女との出会いが彼の世界を揺るがしはじめていく・・・

本書が70年以上も前に出版されていた事に驚きです。

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2025年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【あらすじ】
本を法律で禁止された世界。本を燃やす〈昇火士〉のモンターグはある日の仕事終わりにクラリスという少女に出会い、世界のおかしさに気づいていく。

【感想】
冒頭はノリノリで本を燃やしていたモンターグだけど本当はそうじゃなかったんだよね。だから自宅の空調機のグリルに本を隠し持っていたし、後々モンターグの助けとなる老人、フェーバー教授と出会っていたけど報告してなかった。

しかしハラハラしたな〜〜モンターグに変わるきっかけを与えたクラリスとのバディで何か始まるかと思いきや、ある日車に轢かれて死んだと妻のミルドレッドからあっさり言われて終わりだし、フェーバー教授と再会して今度こそこのバディでなんとかし始めるかと思いきや色々とモンターグが耐えきれなくて(妻のミルドレッド含め皆が刺激的な娯楽に麻痺して考えることをやめてるのでモンターグがウワーッてなる気持ちはわかる)仕舞いに自宅は燃やされ、〈昇火士〉のベイティー隊長を殺して逃げ回る羽目に。これどう着地するんだ…と思ってたら、都市部でおたずね者となり渡り鳥労働者として漂泊するフェーバー教授の仲間にモンターグが合流したところで話は終わってしまう。

でも現実だって世の中を変えようとしたってすぐには変えられないし、最後、モンターグたちは川を上流に向かって歩き始めるんだけど、これが世界が葬り尽くそうとした〈本〉、先人が蓄積してきた知と記憶を辿り始めたことを示しているとしたら。フェーバー教授の仲間の台詞的にも希望をもたせる終わり方のような気がする。

以下、フェーバー教授の仲間の台詞

「昔、キリストより前の時代だが、不死鳥という愚かな鳥がいた。(…)その鳥は、自分を焼くたびに灰のなかから飛びだしてくる。まったくおなじ姿で、ふたたび生まれてくるんだ。われわれも似たようなもので、おなじことを何度も何度もくりかえしているが、われわれにはひとつ、不死鳥が持ちえなかった美点がある。われわれは、自分がいまどんな愚行を演じたか知っているという点だ。われわれは過去一千年のあいだにどんな愚行を重ねてきたか知っているのだから、それをつねに心に留めておけば、いつかは火葬用の積み薪をつくって、そのなかに飛びこむなどという行為を止めることができるはずだ。(…)」

今こうしている間にも戦争や虐殺が世界各地で起きている。ミルドレッドらのように娯楽に目を眩ませ考えることを放棄してしまわぬようにしたい。

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2025年06月22日

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