あらすじ
華氏451度──この温度で書物の紙は引火し、そして燃える。451と刻印されたヘルメットをかぶり、昇火器の炎で隠匿されていた書物を焼き尽くす男たち。モンターグも自らの仕事に誇りを持つ、そうした昇火士(ファイアマン)のひとりだった。だがある晩、風変わりな少女とであってから、彼の人生は劇的に変わってゆく……本が忌むべき禁制品となった未来を舞台に、SF界きっての抒情詩人が現代文明を鋭く風刺した不朽の名作、新訳で登場!/掲出の書影は底本のものです
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
素晴らしい本当に
折り目をつけて繰り返し噛み締めたくなるようなフレーズが頻出する
時代に逆らって本を読みたがる全ての現代人たちに捧げたい
1950年代においてもこの状況を危惧していたレイ・ブラッドベリ
現実にはもっとシームレスに、緩やかだが確実に、この未来へと進んでいっていることだろう
写本の時代から、印刷が生まれ、大衆化が進み、映像が生まれ、手軽さが重視される
脳みそで咀嚼することを忘れ、他人が消化したものを噛まずに飲み込んでいる我々は、何か大切なことを忘れてしまっている気がする
じゃあ、一体全体何が大切だったんだろう
それをこの物語を読みながら考える、読んだあと考える、そして死ぬまで考え続けたいな
ベイティーが激烈に印象的な人物だった
「さあ、やれるものならやってみろ、この安受け売りの文学かぶれめ、引き金を引いてみろ」
Posted by ブクログ
衝撃的。ぞわっとした。
火を消す「消防士」ではなく、火をつける「昇火士」。
本の所有者を見つけ、家ごと燃やす昇火士のモンターグは、近所に住む少女との会話から、本に興味を持ってしまう。
ディストピア感はジョージオーウェルの「1984」を彷彿とさせる。家にはラウンジと呼ばれる、四方の壁に映像や音楽が映る部屋があり、妻はひたすらそれを見て聞いて楽しむ。
そうやって思考力を奪われた人々。
世の中が加速し、映画、雑誌、本などは短く、すぐに結論が出るものになっていく。それにより思考も浅くなり、せっかち族が増えていく。
まるで予言のようだ。本や映画→テレビ→インターネット→YouTube→TikTok。もはや1分も我慢できない現代人。当時からその傾向は始まっていたのか。
メタファーが多用されていて、いま何のことを語っているのか、現実なのか白昼夢なのか、熟読しないとわからないシーンが多い。読み込むと確かに美しい。でも難しい。
Posted by ブクログ
本を焼いて考えることを禁止して
刺激的な娯楽のみを与えることで
幸せを管理する
ただ国は戦争中で
国民はその事についてあまり考えることもなく
空から突然落とされた爆弾で死ぬ
現代とすごく重なってたくさん考えさせられた
ものを知らず
深く考えないことはほんとうに幸せなのか
配慮のいき過ぎで何も話せなくなってしまうことが本当に良いことなのか
前半と後半で炎の意味が奪うだけ、から与えることができる、になるのも印象的
モンターグは普通の人で
正しいことのためだったとしても
そりゃあ人なんか殺したくないよねってかわいそうだった
グレンジャーもフィーバーも言ってた
「正しい種類のあやまち」という言葉は
すごくぴったりで
ああするしかなかったからあやまちではあるけど同時に正しい行いでもあったよね
この後のモンターグ達の人生絶対大変すぎて辛いけど
箱庭で考えることを取り上げられて常に刺激に飢えていた生活よりはましなんだろうか
Posted by ブクログ
再読、2度目です。前回は宇野氏による旧訳の「早川SF全集13」を読みましたが、今回は伊藤氏による新訳版です。新訳の方が圧倒的に読みやすいと聞いていました。全体的にパキッとした気がします。なんせ前回はハヤカワSF全集とかいうぶっといのだったので…。
まず文章が綺麗。余計な説明0。それでいて頭にフッと画が浮かぶような人物描写。冒頭の「火を燃やすのは愉しかった。」は、旧版でも同じだったと思うんですが、圧倒的に美しい表現だと思います。人間の持つジレンマとか、楽なことに流される表現が上手なんです。2部でいきなりブチギレモンターグに変身するのは何度読んでも「もっと冷静じゃなかったかあんた」って思いますが、自我を獲得したいわゆるイヤイヤ期ってやつなんですかね。
第3章からの鮮やかな急展開、ベイティーは多分モンターグを薄気味悪く思っていたんだろうなと思う。にしても、頭に血が昇って(?ちょっと違うかも)火炎放射器で人を焼くという、この描写になんと心の惹かれること。しかしこれはベイティーの教え。「問題とは向き合うな、燃やしてしまえ」、本の本質に気付いても楽な方に流れてるんですよね。
情報の本質、本というものに気付いてからモンターグは独りよがりになっているような気がします。本を読まぬ人間をどこか見下している。自分もつい先刻までそうであったことを忘れて、逃亡後はそこも鳴りを顰めて、思慮深い所謂知識人のような人間性を獲得しているように見えます。これも本による知性の獲得というやつなんですかね?
水面下でいつの間にやら勃発した戦争、これは今回もよく分かりませんでした、完全に背景描写的なものの一種として見ていました…。次はそこに注目して読みます。
モンターグは、情報の本質、「本」という存在によって命を救われたんだと思います。
Posted by ブクログ
比喩が美しい。難しく、全部は理解できていないが文章が美しかった。今の時代にも当てはまる事が多々あり、すごいなと…後半の、焚き火の表現がとても好きです。火が奪うものから与えるものでもあると気付く場面。難しかったが、ものすごいエネルギーのある小説を読ませてもらった!と思った。
Posted by ブクログ
本を焼く。人々に考えることをやめさせるためだ。最近は、コスパ、タイパが悪いため、本は読まないそうだ。ブラッドベリ先生が危惧していた通りの世の中になっていないか?と思った。しかし理想に向かって突き進んだ主人公がラストに感じた寂しさはなんだろう。
焚書の広まったディストピア
米国のSF巨匠レイ・ブラッドベリ氏の作品。
本が禁制品となり、本を焼く職業である"昇火士"のモンターグが主人公。
本を焼く立場である彼だが、とある少女クラリスの出会いからモンターグに心境の変化が生まれる。
単純な情報統制としての焚書だけでなく、人に処理できない量の情報の氾濫など、
現代にも通じるテーマも含まれたディストピア物の傑作の一つ。
Posted by ブクログ
華氏451度、摂氏にすると約233度。紙が自然発火して燃える温度である。
本作で描かれる近未来のアメリカでは、本は自然発火することはないが人為的に燃やされている。なぜ本の所有が禁止され、見つかると燃やされるのか、本を燃やすことを職分とする「昇火士(fireman)」たちもすでに把握していない。けれど、物事に両面があること、人間の野蛮さや孤独さを知らせるようなもの、平和で幸福であるべき世界を乱す不幸や悲しみや恐怖をもたらす情報を排除するべく、スピーディーで刺激的な没入型の娯楽番組を発展させる一方で本が排除されたのだということが、次第に明らかになる。
舞台となっている都市では戦争が間近に迫っているが、市民たちは誰もそれを真剣に受け止めていない。思い悩まず、想像せず、情報を組み立てず、ただスピードと刺激の中で生きている。生きている、単に時間を、日々を、人生を空虚に燃やしている。
昇火士のモンターグは、隣家の不思議な少女と出会ったことで、己の置かれている環境について意識を向けるようになる。少女が語る自然や言い伝え、彼女が口にする「なぜ」の言葉に知らぬ間に目が開かれ、忘れていた、あるいは目を背けていた現実世界の手触りと再び出会い直すモンターグだが、少女が不意に消えたことで、迷いを深くする。その結果、彼自身も思いもよらなかった方向へと人生が変わっていくのだが―――
本とは何か。なぜ我々は、私は、本に惹きつけられるのか。燃やされる本たちの姿を思うと胸が痛み、所有者たちの辛さを他人事でなく受け止めてしまう私だが、本作で描かれるディストピアは、違う形で現実のものとなり始めている気もしてゾッとする。
本作が書かれたのは1950年代始めで、核爆弾をもって戦争を終わらせたアメリカが、冷戦下の緊張の裏で進む経済的繁栄のなかにあった時期である。作品のベースには核による世界滅亡の危機や思想弾圧への危惧があったのだろう。けれど、読書においても「タイパ」が求められ、動画やゲームは楽しんでも本は読まないという人が増えている現代、どんどんスピードが上がる刺激的娯楽、考えない、考えさせない社会の構造は実現しつつあるのではないか。そして、そんな社会を築く原動力となっているのは、独裁政権でもなければ軍事権力でもない、何よりも「幸せな気持ちでいたい、心痛めるものは見たくない」という我々自身の弱さ、インスタントな快楽で時間を埋めて思考することのしんどさから逃げようとしている反射的逃避なのではないか。
本は私の心を癒し、非日常の世界に逃避することでリフレッシュさせてくれる。だがそれだけのために本を開くのでは、インスタントな快楽を追う本作の登場人物たちと同じことだ。本が与えてくれるもの、見せてくれる世界は、癒しやリフレッシュだけではない。本の世界で知る痛みや苦悩をまっすぐに受け止め、この世の汚泥と矛盾、悲哀と敗北を見つめてこそ、本という形ではるか昔から人間たちが積み上げてきた知を人生の糧とすることができるのではないだろうか。非日常の世界で時間を燃やし消費するだけではない、血肉となる読書を続けていきたい。
Posted by ブクログ
ラストのあっけなさを含めてディストピアだ……。
火を燃やすことに愉悦を感じていたはずのモンターグが、クラリスとの出会いをきっかけに昇火することから背を向けるまでの過程にゆっくり首を絞められているような閉塞感があった。
マクレラン一家のような、創造的でいろんなことを気にするひとたちは管理社会にとって都合が悪いんだなあ。
キーマンなのにクラリスの退場が早すぎてびっくりした……。
「ぼくらは、しあわせになるために必要なものはぜんぶ持っているのに、しあわせではない」の言葉が好き。
モンターグが都市から逃げ出した後、放浪者たちのひとりが言っていること(価値があるとわかっていたらどんなに繰り返してもつらくはない)がニーチェっぽいなと思った。
一瞬で都市は壊滅したけど、現実に本気で兵器を持ち出した戦争をしたらこんな感じで本当に一瞬で終わるんだろうなあ……。
Posted by ブクログ
世界観と設定、タイトルも素晴らしい。
自分の仕事に疑問を持っていなかったモンターグが
隣家の少女クラリスとの出会いをきっかけに
変化していく。
書物を燃やされるくらいなら共に命を絶つ女性の事件は
確かに衝撃的。
実際紙の本を読まなくなり
スマホでショート動画を受動的にただ見ている現代は
巻貝をひたすら聞いているこの世界をフィクションと笑い飛ばすことはしにくい。
不朽の名作。
Posted by ブクログ
設定が面白かったが、少々難解だった。
焚書にあまり馴染みがなかったが、その歴史的な部分も知ることができた。本好きとしてはとても恐ろしい世界、出来事だと感じる。普段、本が好きでよく読むが、改めて本の価値、魅力を感じられた気がする。問題をないものとすることで解決しようとする…焚書以外にも通じる部分があると感じた。
Posted by ブクログ
★3と悩むが。
まるで今の日本のようだ。
もちろんここまで過激ではないが、思想統制が敷かれ、戦争間際という点は、正にこれからの日本が進む先のようで、心が暗澹とする。
数あるディストピアの中でも比較的救いがあるのは、
プロパガンダに抵抗する人たちがある程度互いに信じ合えており、生き残る術を発見している点だろうか。
モンターグはこれまでの自分の常識に疑問をもち、分かりやすく動揺する。この動揺が、少しもどかしいと言うかやや浅薄で(ファーバーも言っているが)、事の重大さをわかっていないのか、ペイティーが言うように自分は大丈夫と信じていたのか、読んでいる身としてはイライラしてしまう。こういう演出要らないんだよ、とまで思う(すみません)。
主人公の妻ミルドレッドは大衆の象徴で、モンターグの努力空しく最後まで理解をしようとしない。それでもモンターグにとっては最後まで大切な妻だったのが少し意外だったが、それもまた悲しさの象徴だったのかもしれない。
わかりやすい人物が多い中、一人、ペイティーはなんだったんだろうな。多くの本を読んでいるようで、それは一瞬味方かもとモンターグが考えるほどだった。そしてどうやら死にたがっていた。間違っていると知っていながら、流れに抵抗できなかった人なのかもしれない。
そう考えると彼もなかなかに悲しい人だ。
予言的とも思える本書だが、考えると権威主義はいつも同じ方法を取るのだった。
まずは国民の思考を止める。自分たちの頭で考える知識階級の弾圧から始まり、国民にプロパガンダを染み込ませる。
次に刑罰による恐怖を植え付け、互いに監視させ、不信感を植え付ける。ミルドレッドが夫を密告するように。
国は誤った方向に進み得るのだという警告として、本作品は意味があると思う。
Posted by ブクログ
長らく積読してたのだが、読みだしたら一気に読み終えた。物語の駆動力があり映画になりそうな展開が随所にみられる。テーマがテーマだけに、会話の中にも印象的なフレーズが散りばめられている。中には現代の少子化を予見するようなやり取りもあるのだが、当時の倫理観では当然の台詞も現在なら作者側で自粛するだろうなどと考えさせられた。
細部にまで神経が行き渡っていてさすがである。
Posted by ブクログ
70年以上前に書かれたSFなのに、古臭さがない
かつ、ふわふわした抽象的な表現が多いにも関わらず、映像がいとも簡単に脳裏に浮かぶ
それにしても、えっこれまさに今のことでは?というような社会の現状に驚く
下手なホラーよりもこわい(ホラー読まないけれども)
Posted by ブクログ
ブラッドベリは若い頃に手に取った記憶はあるものの、多分挫折したのだろう。
こんなに詩的な文章を書く人だとは知らなかった。
冒頭のクラリスとの対峙シーンは映画のようで、またファンタジーな空気も感じて驚いた。
それだけに、進むにつれて空気がだんだん変わっていき、クライマックスでは突拍子もなく感じて呆然とした。
一度読んだだけでは理解できないので、感想を言える状況ではない。
ただ、確かに色々考えさせられる作品だった。
ブラッドベリはSF作家と呼ばれるのを嫌っていたようだけど、SFではなく別の何かに感じた。
(敢えて例えない)
SF的要素はガジェットや機械犬くらいだろうか。
Posted by ブクログ
本の所有を禁止された世界で、本を燃やす昇火士であるモンターグは、本と共に燃える家に残った老女を見て、本に興味を持ちだす。
社会派SFの傑作。1953年に作られた本だが、現代に片鱗が見えつつあるディストピアを怖いほどに言い当てている。冒頭に登場してすぐに消えてしまったクラリスという少女。この少女がモンターグに投げかける言葉がものすごく大きな意味を持っている。
「昔はファイアマンは火を消す仕事だったんだよ」
「叔父がハイウェイをゆっくり走ったら留置された」
「あなた幸福?」
この世界では、テレビは人々が見たくないものを映さないつるんとしたもの(毛穴がない)になっていて、一方的にテレビから話しかけられるだけのものになっている。これによって、人々は自分で考えたり、昔のことを調べたりといったことをしなくなってしまっている。現代でも、メディアは表現規制が進み、人々はテレビ、動画、ラジオを聴き続ける。まるで未来のディストピアを予見しているような世界。
またこの世界では、過去の消防士のことが一般に知られていなさそうだ。おそらく不要な歴史は忘れ去られているが、それが愚かなことであることが不死鳥を例にして述べられている。人類の歴史は繰り返している。もし歴史を知っていればこの不毛なサイクルから抜け出すことができるのに。
最後には戦争に気付かずにテレビを見続けて、爆弾に呑まれる人々と、人類を再スタートさせようとするモンターグたちという構図で終わる。この本を読んで感じたことを胸に今後生きていく読者たちを表しているようだった。
Posted by ブクログ
比喩が抽象的、主語がない、そもそもディストピア世界の話で小さな設定理解難しかったが、話の大筋は至ってシンプル
華氏451で書物が引火し燃え始める
書物は所詮媒体、媒体をいくら燃やそうと、どれだけ世界で多数派の波が大きかろうと、世の中にシラフの人間が存在する限り思想は紡がれる、的な
なんか人間の強さもちゃんと提示されてる読後感スッキリ系のディストピアだった
巻末の訳者解説がありがてえ。時代背景知れるのまじで解像度上がるから良い。
文学系のディストピアSF基本読みづらいんだけど、読み終わると読んで良かったっていつもなるからもっと読みたい
でも大変読みづらくて特に前半、イライラして『訳者xx 意味不明』とかググっちゃった。ヒット件数0。私の読解力の問題説あり
Posted by ブクログ
なんとまあ難しい文章なのに本を捲る手が止まらないものか…。
現代の風刺みたいなのに書かれたの1950年代ですって?????過去なのにSFだぁ…
華氏451度は摂氏に治すと約230度。
紙が自然発火する温度。
自然発火とともに知識も言葉もお焚き上げされちゃうよ…
Posted by ブクログ
本が違法となり見つかり次第焚書にされてしまう世界を舞台に、本を燃やす「昇火士」を主人公にした世界。てっきり活字賛美的な話かと思っていたが、そうではない。別に本ではなくて良いのだ。
世界に触れること、そしてそれを人が覚えていたりいなかったりして、それで救えるものがあれば良いじゃないというセンスオブワンダー的なモチベーションを感じた。
文章も詩人のようで極めて感覚的だった。火炎放射器から火を浴びせられる時、当人にはその火は花にも似て見える。
最終章から花がひらくように、色、におい、感触が満ち満ちていた。
Posted by ブクログ
まだテレビが始まったばかりくらいの時代において、この焚書が行われてるディストピアな世界を描いて、わかりやすく頭を使う必要のないメディアが溢れる日常のもたらす地獄を伝える、これが70年以上前に作られた作品なのか、と衝撃を受けた。
今のレコメンドされるショート動画を消費し続ける世の中にこそ刺さる作品だと思った。
大切なのは本それ自体ではなく、「自分の頭で考えること」なのだろうなと感じた。
ただそれをしやすいインプットソースが、本であるんだろうなと。
Posted by ブクログ
タイトルの「451」がようやく覚えられました。
ずっと「華氏ホニャララ度」と言ってたんです…
今、読書が生活のメインになっていて、昔は読みにくいと思った文体でも、割とさらさら…これもその1冊。さらに、ハヤカワは、今フォントが大きく、加えて字体も見やすい…ヘビーな読書好きにはありがたいです。
そして、話は、SFと言うには現実的な話で、でも、書かれた時期(70年以上前!)を考えると、レイ・ブラッドベリの凄さに感服してしまう。
静脈認証的な表現のシーンもあったり。
冒頭に近い部分での、妻の薬物過剰摂取による救急搬送シーンにも、軽く動揺してしまった。
当時は戦後10年以内ですが、すでに薬物過剰摂取問題は起こっていた。自殺未遂ではない。過剰摂取。
そして、妻とは、もう気もちが離れていた。
クラリスは、印象的だけれども、ベイティーやフェーバーのような強烈さはないまま、消えてしまった。でも、それが役割なんだろう。
価値観が、時代で真逆に振れてしまった時や、その時の国家の体制に賛同できなかった時どうするか…はっきり抗うか、深く潜行するか…難しい。
モンターグも人を殺してしまった…
でも、モンターグも感じたとおり、ベイティー隊長は、モンターグに自分を殺してほしかったんだと思う。たぶん、本を焼く部署の責任者なのに、焼くことが辛くなってしまい…悲しい。
モンターグの身代わりに選ばれた人も、やり切れない。あの、世間にアピールするだけの大捕物劇も、今もありそうで(というより、あると確信している)、こわい。
そして、集団ヒステリーの恐ろしさも感じました。
イヤホン的なものが、巻貝や銃弾と表現され、ああそのとおり。
そして、たとえ本は焼かれ尽くしても、人々の脳内に言葉がある限り、また本は、復活する。
ちなみに、コミックは焼かれないみたいでしたね。
テレビ礼賛で。
Posted by ブクログ
元々気にはなっていた本だったけれど、最近の日本に対する不安として「華氏451度の世界」という例えがSNSにいくつも流れてきた為、いよいよ読むべき時が来たか!と読むことにしました。
序盤は背景が読み取れずに???となっていましたが、読み進むごとにスピードアップ。
ホントに「今の日本、今の世界」と被る事ばかりで怖い…。
焼いてはいないし禁止では無いけれど、教育の現場や教科書から都合の悪い話や言葉、歴史を消して学ばせない状況。
テレビ等では当たり障りのない話題ばかりで必要な情報を流さず、国民が知らない間に着々と準備は進められ…ある日突然に…
人と一緒に居ても自分向けの情報を手放さず、快楽な映像、中身の薄い情報に溺れる人々。重要な注意を促す人に向けられる冷笑。カメラ付きのヘリコプターなんてドローンだし…
凄いなブラッドベリ!
タイムトラベル出来る方法でも持っていたの?ってくらい今を描いてる!
これは今読んで正解でした。
Posted by ブクログ
本が禁止された世界のお話。
様々な情報を統制され、自分で考えることをしなくなった人間への警鐘が根底に流れている。
ただ、個人的にはあまり話が入ってこずなかなか気持ちが乗らないまま終わってしまった。こういうたいぷのSFはやっぱり苦手かも。
でも、本が私たちに何を教えてくれるかというメッセージはよかった。
Posted by ブクログ
「一九八四年」と合わせて今こそ読んでおくべきかな、と。なかなか難しかった。
本を焼かれ、思想や言葉が奪われてしまう戦時下。人文系ダウンサイジングとか言ってる本邦も他人事ではないよなあ。
Posted by ブクログ
何かしっかりしたSF小説を読もうと思い、本書を手に取りました。随所に出てくる巻貝なるイヤホンやTVがけたたましく放送されているラウンジには現代的な描写として受け取れました。スマホ、AI、がある今のテクノロジーの発展からは少しズレますが、焚書せずとも本に興味がなくなる大衆とは正に今現在の情勢かもしれません。
1950年代当時でも未来には戦争はあるということで爆撃機のシーンもあります。本質的に人間は変われないのか、本があれば不死鳥の如く薪を積み上げ火を放ちその中に飛び込むことはなくなるのか、そんな時がいつかくるのか、そんなことを考えさせられます。
Posted by ブクログ
過去に何度挑戦しても読み切れなかった作品。
現在の社会がこの作品と近しい状況になりつつあると知り、読み切ることを目標に再挑戦しました。
挫折した第1部を終えてからはするすると読め、作品の面白さを感じられたように思います。
表現が難しく、イメージしにくい箇所も多かったのですが、名称は異なるものの、身の回りで見たことのあるものを想像させるものが登場するため、慣れてくると情景が頭に浮かぶようになりました。
また、主人公を取り巻く環境や一般化している思想、政治のこと…所々知っている感覚が恐怖を抱かせ痛いところを着いてくるかのごとく胸に刺さってきます。
しかしその分、先人たちの言葉にはきっと大丈夫だと思わせてくれる力があり、主人公の背中を押しつつ、こちら側にも勇気を与えてくれているように思いました。
私たちの生きる社会がこれ以上作品とリンクする前に、主人公と同じように考える頭を持ち続けなければと感じさせてくれました。
Posted by ブクログ
題名は本が燃える温度。
本を燃やす消化士ならぬ昇火士。
本好きなものにはまさにディストピア。
なかなか登場人物に感情移入しにくかったが、
話はコンパクトで読みやすかった
Posted by ブクログ
全体的にポエムっぽい文章と引用が多くて少し読みづらかったけど、内容は面白かった。
特に印象に残ったのは、みんながダイジェスト版でしか物事を受け取らなくなった社会の話。要約動画やまとめ記事が当たり前になった今の時代と重なる部分が多く、自分も普段からそうしたものを利用しているだけに考えさせられた。本来は文章を読んで、自分の中で噛み砕いて理解する過程にこそ価値があるのかもしれないと思った。
あと、本を燃やす理由が単なる政府の情報統制ではなく、「平等な社会」を守るためだったのも印象的だった。考え方の差による争いをなくすために、その原因になる知識や教養まで排除しようとした結果、人々は考えることそのものを手放してしまうという怖さを実感できた。不平等な社会は望ましくないけれど、考え方の違いまで消そうとする平等も危ういのかも…?この作品は本が重要というより、考えることが重要だよということを教えてくれる作品だった。
Posted by ブクログ
名作SF。
新訳のほうが読みやすいと聞いたが、それでも自分には比喩表現が多く難しかった。
本が禁止されており、消防士は火事を消すことではなく、本を燃やすのが仕事という世界観。本や知識がないことで人々は考えることを放棄している。
主人公は、世の中に反して色々なことに興味と疑問を持つ少女に会ったことで変わっていき現在の状況に不満をもつようになる。
Posted by ブクログ
個人的にあまり、馴染みのないジャンルSF。
古典の名作という事で手に取ったが案の定、
最初は難解でなかなか理解出来ず。
少しづつ、理解出来て面白さもあったが、終わり方でまたわからず。。。
しかしながら焚書という世界。本を読む事で燃やされる世界。デストピアの世界ではあるが、何か現実の世界に通じる事もある様に見える。
一回では理解出来なかったが少し時間を置いて、再読したい作品だった。
Posted by ブクログ
【あらすじ】
本を法律で禁止された世界。本を燃やす〈昇火士〉のモンターグはある日の仕事終わりにクラリスという少女に出会い、世界のおかしさに気づいていく。
【感想】
冒頭はノリノリで本を燃やしていたモンターグだけど本当はそうじゃなかったんだよね。だから自宅の空調機のグリルに本を隠し持っていたし、後々モンターグの助けとなる老人、フェーバー教授と出会っていたけど報告してなかった。
読んでてハラハラした。モンターグに変わるきっかけを与えたクラリスとのバディで何か始まるかと思いきや、ある日車に轢かれて死んだと妻のミルドレッドからあっさり言われて終わりだし、フェーバー教授と再会して今度こそこのバディでなんとかし始めるかと思いきや色々とモンターグが耐えきれなくて(妻のミルドレッド含め皆が刺激的な娯楽に麻痺して考えることをやめてるのでモンターグがウワーッてなる気持ちはわかる)仕舞いに自宅は燃やされ、〈昇火士〉のベイティー隊長を殺して逃げ回る羽目に。これどう着地するんだ…と思ってたら、都市部でおたずね者となり渡り鳥労働者として漂泊するフェーバー教授の仲間にモンターグが合流したところで話は終わってしまう。
でも現実だって世の中を変えようとしたってすぐには変えられないし、最後、モンターグたちは川を上流に向かって歩き始めるんだけど、これが世界が葬り尽くそうとした〈本〉、先人が蓄積してきた知と記憶を辿り始めたことのメタファーだとしたら。フェーバー教授の仲間の台詞的にも希望をもたせる終わり方のような気がする。
以下、フェーバー教授の仲間の台詞
↓
「昔、キリストより前の時代だが、不死鳥という愚かな鳥がいた。(…)その鳥は、自分を焼くたびに灰のなかから飛びだしてくる。まったくおなじ姿で、ふたたび生まれてくるんだ。われわれも似たようなもので、おなじことを何度も何度もくりかえしているが、われわれにはひとつ、不死鳥が持ちえなかった美点がある。われわれは、自分がいまどんな愚行を演じたか知っているという点だ。われわれは過去一千年のあいだにどんな愚行を重ねてきたか知っているのだから、それをつねに心に留めておけば、いつかは火葬用の積み薪をつくって、そのなかに飛びこむなどという行為を止めることができるはずだ。(…)」
今こうしている間にも戦争や虐殺が世界各地で起きている。ミルドレッドらのように娯楽に目を眩ませ考えることを放棄してしまわぬようにしたい。