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Posted by ブクログ 2023年06月28日
さすがブラッドベリ……。あらゆる本が昇火士(ファイアマン)により焼き尽くされる世界で、自らも焚書を行ってきた主人公モンターグがその行いに疑問を抱くところから始まる物語。設定だけでも面白いのに、生き生きとした人物描写や作中世界のテクノロジーのディストピア感溢れる魅力は見事というほかない。そして直接的な...続きを読む焚書こそ行われていないものの、今の現実的世界はこの作中世界に限りなく近いと思った。
米国のSF巨匠レイ・ブラッドベリ氏の作品。
本が禁制品となり、本を焼く職業である"昇火士"のモンターグが主人公。
本を焼く立場である彼だが、とある少女クラリスの出会いからモンターグに心境の変化が生まれる。
単純な情報統制としての焚書だけでなく、人に処理できない量の情報の氾濫...続きを読むなど、
現代にも通じるテーマも含まれたディストピア物の傑作の一つ。
Posted by ブクログ 2023年10月16日
YouTubeで海外SFのお勧めの本で紹介されて気になったので読んでみた。
正直、初めは何のことかさっぱり分からなくてなかなか読み進められなかったけれど、諦めずに読んでいたら第一部の終わり頃にやっと内容を理解できるようになってきたので、第一部はもう1回読み直した。
どんどん省略化されてスピード...続きを読むが早くなっていった華氏451度の世界も、なんだか他人事じゃないように感じてびっくりした。動画などを倍速で観る人が増えていたり、映画や本などを要約した動画が流行っていたり、自分で考える前に答えを求めてしまう人が増えたのかなってある出来事で感じてたから、いつか現実でも考えることをやめてしまう時が来るんじゃないかってちょっと思ってしまった。
ところどころ理解しにくい部分もあったけれど、読めてよかった作品。考えること、伝えることって大事だと改めて思い知らされた。
Posted by ブクログ 2023年06月29日
70周年
だいぶ面白かった。
序盤はクセのある情景描写や隠喩が続いて、古い小説特有の読みにくさがあると思った。ベイティーが家に来るシーンあたりで設定の骨格が分かってきた。
ベイティーがとても好き。即座にあれだけの引用が出てくるあたりもともとはすごく読書家だったんだと思う。そんな中仕事を割り切れたベイ...続きを読むティーと割り切れなかったモンターグでかなりはっきりした対比になっていた。
なんのイベントも起こさず、数日間の対話だけでモンターグを心変わりさせたクラリスがすごい。ああいうキャラがあまりハッキリしない形で序盤に死ぬの相当珍しいと思う。
テクノロジーが進化した社会の描写が、かなりストレスフルな感じでよかった。