李琴峰のレビュー一覧

  • 彼岸花が咲く島

    Posted by ブクログ

    この話は沖縄と台湾の間の島を想定して書かれた話だろうと思いながら、読み進めるも「芥川賞」受賞作品だよな、と難解さに途中で投げ出したくなる。
    ところが、半分を読んだあたりから、俄然面白くなる。
    漂流した少女がたどり着いた島は、現代の有り様をことごとく否定した上に成り立つ理想郷であった。こんな奇想天外な島の行末を見てみたいと思ってしまう。
    性別に関係なく自由に恋愛をし、妊娠したら産むかどうかは自分で選ぶ。子どもが生まれたら学校に預け島全体で育てる、などなど。また、すべてを率いるのはノロになることのできる女性だけである。

    0
    2026年04月17日
  • 生を祝う

    Posted by ブクログ

     今の私だったら生まれてこない方を選択するけれど、生まれる前に同じ選択をしたかと聞かれると自信がない。
     結局は責任の所在?自己責任論に落ち着こうとしてるのか。
     意思決定の権利や自己決定の権利等、目に見えないけれど私たちが作り出したことで存在するもの。それらをどうやって可視化して責任の所在を明確にするか。
     上手くいかないことを自分のせいにしたくないだけ、自分の選択の責任をとれないだけなのかな。でも生まれてくる時点で持ち合わせてるものは人によるから格差はある。平等はありえない。自分のコントロール下にないものは、責任をとらずに済む逃げ場がほしくなる。

    0
    2026年04月14日
  • 生を祝う

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    産むこと・産まれることの本質について深く考えさせられる作品。当然のことながら、太古の昔から現在に至るまで人間が産まれることについて本人の合意は介在してこなかった。産まれるという言葉が受動態であるように、生の始点はあくまで受け身なのだということを誰かの詩で読んだことを思い出す。好むと好まざるとにかかわらず、まず生まれてしまう。そこには不条理という名の実存主義的苦悩が付き纏う。出生にあたって生の自己決定権を行使することで、人生のオーナーシップを得ることができるという主人公の実感も分からなくはない。
    とはいえ、出生への合意とは何なのだろうか。我々が下すあらゆる決断は、それまでの人生で経験したことにより形づくられた価値観がベースとなって、ひとつの答えを出すプロセスである。真の意味でタブラ・ラサといえる胎児が下す、自己の生を受け入れるか或いは放棄するかの決断にどれほどの意味があるのだろうか。
    安楽死とも地続きにもみえる合意出生は、現代の価値観からすると制度化された殺人とも言える。生物としての根幹にある倫理を揺るがすものであると感じる。もちろん、生物としての本能をさまざまな制度や倫理で縛ることにより自然状態を脱してきたのが人間であることにまちがいはないが、出生に自己決定権を持ち込むのは度が過ぎていると感じてしまうのは保守的だろうか。

    0
    2026年04月04日
  • 生を祝う

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    自分が書いてみたいと思っていたテーマとまったく同じ小説だったので、気になって読んでみた。

    私自身、うまくいかないことがあると、勝手に自分を産んだ親を恨んだりしてしまうこともある。
    でも、「もしかしたら、生まれることを自分で選んだのかもしれない。真実はどうであれ、そう信じてみよう」と思えた。

    今後の生き方が、少し楽になるような気がする。

    0
    2026年04月02日
  • 生を祝う

    Posted by ブクログ

    法律とは!戦後にも問題になった矯正。
    価値観が法律の上に成り立つ事による矛盾
    身につまされて胸が痛くなる。
    一人称で捉えると、どの様な行動を取るのか?
    重いだけの話だけで無く、ホッとする展開も。

    0
    2026年03月24日
  • 生を祝う

    Posted by ブクログ

    生まれてくることを選べる子ども達と、産みたいと思う母親たちの話

    とにかく設定と、それに血肉を通わせる描写力に圧倒された。
    今と数年前でも、子育ての考え方がかなり変わっていることに驚くことがよくある。なので今から数十年後、この話のように根本から「常識」が変わっていてもおかしくないと思えた。

    数十年後、もしもこの話の設定が現実になったとしたら、その時の読後と今の読後の感想は全く違うものになるかもしれない。だとしたら私たちの信念や感情はどれだけあやふやなものの上に成り立っているんだろう。
    そんな不安定な世界で、それでも何かを選択する母親達、お腹の中の子ども達に思いを馳せた。

    0
    2026年03月23日
  • 生を祝う

    Posted by ブクログ

    合意出生制度がある架空の世界を舞台にした小説。ユートピアなのかディストピアなのか…こういう実験的な設定大好きです!
    合意出生制度とは胎児に生まれたいか否かを聞ける技術が出来たことにより、胎児の意志によって産むか産まないかを決定する制度です。
    『人から命を奪う』殺人と同じで、『人に命を押し付ける』出生強制は絶対にしていはいけないこととされていて、刑事罰の対象となります。

    これ実際にあったら親ガチャとかで苦しむ子どもが減るのでは…と最初は思ったのですが、途中からそう簡単な問題でもないよなぁと思うようになってきました。
    妊娠した母親はお腹の中の子供に愛着があって、当然産みたいと思っています。「出生意志確認検査」で生まれたくないという意志を示されても、簡単には納得できないのが当たり前で。
    答えの出ない問題ですが、子供の意思を尊重してくれる社会は羨ましいです。私だったら生まれない選択をするかなぁ、とか色々考えながら読みました。
    とても面白かったです。

    0
    2026年03月22日
  • 生を祝う

    Posted by ブクログ

    難しかった
    簡単に面白いやすごく興味深いと
    言えないほど難しい内容だった。
    合意出生制度という
    胎児が自分生まれるか産まれないかを
    判断する世界の話
    胎児の記憶はないからそれは自由意志なのか
    わからないが
    自分の意思で生まれたという真実が
    大切なのかもしれない

    0
    2026年03月18日
  • 生を祝う

    Posted by ブクログ

    技術の進歩によって胎児との簡単な対話が可能になった結果、「合意出生制度」により“合意なき出産”が禁止された世界のお話。
    当事者になったら意見が変わる人間は語り部になってほしくないと思っていることと、もともと“生”にいろいろな修飾をして価値を上下動させる活動には与したくないと思っているので、作品の内容にはそれほど心は動かなかった。
    ただ、生まれたこと自体を否定するような言動が存在するという現実がある以上、生まれたことを礼賛する作品が誕生する必然性、必要性があるのだろうと思った。

    0
    2026年03月12日
  • 日本語からの祝福、日本語への祝福

    Posted by ブクログ

    「一冊の本」に連載中から読んでいたが、単行本にまとまると重みが増した感じだ.台湾人の著者が日本語をマスターしていく過程が詳しく述べられて、実際に現場で使いながらの苦労も赤裸々に表現されていた.日本人として気が付かない点もたくさんあり、中国語の素地が必ずしも役に立たないことも示されていた.「言語というフィルター」で書かれていた事項は、日本人には考え付かない箇所が数多くあり楽しめた.

    0
    2026年03月09日
  • 彼岸花が咲く島

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    <ニホン>の偉い人たちはもともと「外人」のことを好ましく思わんでね、その流れを利用して、「美しいニッポンを取り戻すための積極的な行動」と称し、「外人」を全て<ニホン>から追い出すことにした。

    ってナチじゃん!って笑い飛ばしたいけど笑えない現在。作家は今の日本をどうみているんだろう。

    その島はユートピアといえる。でもそのユートピアを築き守るためには制限や掟がつくられる。それは結局、誰かの自由を限定することにもつながる。家族は?文化は?
    何が理想郷なのか、正しい答えはないけれど、試しに一回くらい女に任してみてはどうだろうよ。長い人類史の間で一度くらいそんな期間があっても良いでしょう。そこから学ぶこともあるでしょう。

    ちょうどニュースのヘッドラインが。
    「小泉防衛相、沖縄・与那国島へのミサイル配備は2030年度」とのこと。
    この国はどこに向かっていくのだろう。

    0
    2026年02月26日
  • 私の身体を生きる

    Posted by ブクログ

    テーマが性だからか、かなり赤裸々な内容が多く書き手たちの矜持を感じた。私は親しい友人であっても性に関する話をし合うことがないので、こういった本が存在してくれることそれ自体に感謝したい。
    男性からの目線、恋愛性に対する違和感や自分の体験について書いたものが多い印象で、それはその通りという内容なのだけれど、同時に女性の恋愛・結婚・妊娠出産・育児に対する幸せを語ることってもう許されないのだろうかという疑問も湧く。

    0
    2026年01月11日
  • 私の身体を生きる

    Posted by ブクログ

    面白かった。
    言葉にできなかった違和感が処理されていくようなエッセイたち
    女性として生きるって、嫌なこと理不尽なことあるけど、悪くないよなあと思えました

    痴漢や性被害みたいなことだけでなく
    日常的なコミュニケーションの中で感じる不快さとか違和感とか、そういうのある〜わかる〜みたいなのたくさんあったな
    これは男の人が読んだらどう思うんやろう?

    0
    2025年12月29日
  • 日本語からの祝福、日本語への祝福

    Posted by ブクログ

    こんなにも丁寧に日本語について講義を受けたことはなかった。幼い頃に憧れたことを努力し続けて成し遂げる彼女の生きざまに感動を覚える。

    0
    2025年11月30日
  • 星月夜

    Posted by ブクログ

    外国籍の二人の女性の東京物語。外国人という生きづらさ、宗教やセクシュアリティという葛藤、また他文化に抑圧される故郷への想い、その上に自分の未来への希望や不安を、ひんやりと描く。

    0
    2025年11月13日
  • 私の身体を生きる

    Posted by ブクログ

    いろんな視点、テイストがあって面白かった。『てんでばらばら』がお気に入り。
    しかし性被害者の多さよ。加害者が多すぎるし許されすぎてる。やめてくれマジで。『女であることを喜びながらも、女であることによる気持ちの悪い経験を排除していきたい』。マジそれな。

    0
    2025年10月28日
  • 私の身体を生きる

    Posted by ブクログ

    女性作家の自身の身体にまつわるエッセイ集。特に30,40代の今人気の作家さんたちだけを集めたというのが面白い。自身の身長について書かれている方もいたが、自ずと性にまつわる話が多かった。

    個人的に感動したのは村田沙耶香さんと能町みね子さん。こちらの感想で、女性なのに自慰について書かれている方が多くて引いた、という感想が少なくないのは正直ちょっと残念だなと思った。村田沙耶香さんは幼少期から行っていた自慰について、いやらしいものという周囲との認識の差に未だに慣れない、ということを書かれていたのだが、子供の頃の自分の王国という表現でその感覚について本当に美しい描写をされており、涙が出そうなほど感動した。現代の子供向けの性教育本を読むと、自慰は人前でオープンにするものではないがご褒美のようなもの、とあり、本来いやらしく汚らわしいものというより村田さんのような表現が正しいのではないかと思った。

    また、能町さんの文章は珍しく彼女が普段あまり公で書かれない自身のトランスジェンダーであることの葛藤が書かれており、普段の彼女の冷笑系の口調ではなく、本当に心の叫びという感じで涙が出た。さすが言語化能力に長けている方だけあって、「ノーマル」な人間への想いなど、初めてトランスジェンダーの心の片鱗のようなものを少し理解できたような気がした。

    それにしても、西加奈子さん始め、ほとんどの作家さんが若い頃に性被害を経験しているというのが恐ろしすぎる。言葉にするお仕事の方たちだからこのようにオープンにして下さったが、被害を言葉にできない人間がどれほどいるか(小さいものも含めたらもしかしたらほとんどの方かもしれない)と思い知らされた。 

    0
    2025年10月20日
  • 肉を脱ぐ

    Posted by ブクログ

    肉体を持つことの煩わしさに焦点を当てた話。
    寝ることも食べることも、「肉体に奉仕する」という一括りにまとめるのは斬新だと思った。

    0
    2025年10月07日
  • 私の身体を生きる

    Posted by ブクログ

    ラジオでも話題になっていて手に取る。著者たちの年齢がほぼ年下であるということに気づく。語ることのタブーがいろいろと無くなったけれど、文筆業である以上、読み手を引き付けるプロ意識が見え隠れしていて面白い。

    0
    2025年09月16日
  • 肉を脱ぐ

    Posted by ブクログ

    「肉を脱ぐ」とは何を指すのか。
    主人公の考え方に共感は出来ないものの
    こういう考えを持つ人がこの社会にはいることを覚えておきたいと思った

    0
    2025年09月14日