李琴峰のレビュー一覧

  • 私の身体を生きる

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    女性の書き手が綴る、「身体」についてのエッセイたち。

    私がこれまでの人生誰にも言わずに、日記にすら書かずに閉じ込めてきた経験や思想や感情に近しいことが書かれていたりして、私だけじゃなかったのか……!という発見がいくつもあった。

    私みたいに、自分の中に閉じ込めている人も沢山いるであろう内容をこうして書いてくださったことに感謝したい。
    生理や身体の変化のこと、妊娠のこと、性自認のこと、性欲や自慰について、ルッキズム、性癖、尊厳などなど……
    女性の体と30年付き合ってきたからこそ、どれも興味深い内容だった。

    金原ひとみさんの「パリの砂漠〜(略)」を読んだ時にも思ったのだけど、
    金原さんの文章だ

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    2025年07月26日
  • 生を祝う

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    話が面白かった、人にお勧めしたい、という意味ではなく「考えさせられた」という意味で⭐︎4です。

    よくこんな面白い世界を考えつくなぁ、とまず思って

    本を読んでて、私自身2つの意見を行ったり来たり。
    赤ちゃんに「産まれてくる」ことへの意思確認をする、それについて、いいかも、と思ったり、それはおかしい、と思ったり。


    私は、そもそも反対意見だったけど、そう思えるのって、産まれてきたことに感謝してるし、今それなりに幸せだし、
    それに、我が子に対してもちゃんと私のできる範囲で幸せになれるように責任を持って子育てしてるつもり(正しい方法かは別として、母親として日々悩んで頑張ってるという意味で)

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    2025年07月15日
  • 私の身体を生きる

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    様々な作家の性に対する(主に女性)事が書かれている。性といっても色々な主観や体験があって、知らない作家さんの事は調べて知りたくなり、好きな作家さんの事は今まで知らなかった部分を知り深く知れた様な気になった。

    生々しい描写や、親しい人であっても普段はあまり聞かない言わない性の事柄にビックリしたし、何だか安心?した。
    日本では性の話しはあまりオープンじゃないからこそ、この本で色んな人の性の事が知れて嬉しかった。次回作も出たらいいな。

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    2025年06月15日
  • 私の身体を生きる

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    性被害に遭ってる人の多さに驚いた。
    それ含め、53年共に過ごしてきた自分の体について書きたくなった。
    いい本に出会ったなー。

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    2025年06月08日
  • 私の身体を生きる

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    この本を読むとだいたいの女性はなんらかの性被害に合ってる、幼い頃から大人になるまでの期間で。
    男性も性被害にあうこともあると思うけど、女性の比ではないだろう。
    そういう危険にさらされながら生きるってどういことだろう。
    そういう話しばかりじゃないけど「私の身体を生きる」というテーマで書くとなったらそこは避けられないことなんだろう。
    特に西加奈子、柴崎友香、金原ひとみ、朝吹真理子、藤野可織、藤原麻里菜のは身につまされた。
    千早茜の「私は小さくない」は共感。(そこまで激しく大きく強くなりたいとは思わなかったけど)
    鈴木涼美の「汚してみたくて仕方なかった」はぶっとんでた。すごいアカデミックな環境だから

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    2025年06月03日
  • 生を祝う

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    妊娠すると親の一存で”出産“するのではなく、胎児である子ども自身に“この世界に生まれますか?”と問う「合意出生制度」が法制化された日本
    よくドラマや小説などで反抗期の子どもが「産んでほしいってたのんでねーよ!」という叫びを親にぶつけたりするシーンがあるけども
    この世界は親が冷静に「いやいや…君が望んでこの世界に産まれたんだよ」と論破してしまえるんだよな〜

    胎児も外の世界を全く知らない状態で産まれるかどうかの判断をしなくてはいけなくて…親にも子どもにもはっとするほど残酷なシステムだと思った
    どんな制度にも必ず欠陥は存在する、という意味の文が出てきて深く頷いた
    産みたいからあなたを産んだ、という

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    2025年05月29日
  • ポラリスが降り注ぐ夜

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    レズビアンものの小説を読んだことが初めてなので新鮮だった。
    日本国外のレズビアン運動や、新宿二丁目に関する知識がなかったため読んでいて馴染みのない要素が多かった。
    文章としては読みやすく、登場人物の感情の機微も共感できるものだった。

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    2025年05月18日
  • 私の身体を生きる

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    ネタバレ

    自分の身体、この女の身体について色々考えたりすることが最近多くてなんかつらくて手に取った。女性たちが自分たちの身体のことや性のことを話すときなぜだか安心する。わたしもそう思っていると、同じように考えている人がいるというのはそういう安心材料になるんだと思う。どの書き手も性被害を受けている人が多くて本当に社会はクソだ…… 碌でもない人ばかりで、そのせいで自分の体を大切にできない女性がいたりするんだと知った。
    わたしはもうずっと女しか子どもを産めないことが本当に許せないので、藤野可織さんの妊娠についてのエッセイは本当に本当にめちゃくちゃ凄いな〜と思った。妊娠出産の機能を持つのが女性だけである時点で

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    2025年04月30日
  • 独り舞

    購入済み

    苦しい、けど面白い。

    当事者として読みました。比較するのも悪いですが、率直に彼岸花よりは読みやすく面白いと思いました。やっぱり他の作家のナンチャッテ同性愛小説とは一線を画している気がします。インターセクショナリティの問題や、生死の揺さぶりなど、著者の問題意識をありありと感じられる小説です。エンタメに昇華されない同性愛者のあるがままの生き方を、描いてくれているように思います。

    #泣ける #切ない

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    2025年04月04日
  • 日本語からの祝福、日本語への祝福

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    言語学・日本語教育学に興味のある方におすすめです。大学入試の国語の問題や、小論文の課題文に引用されてもおかしくないような内容でした。

    著者が小・中学生の頃に、どのように日本語に触れ、学習していったのかという点は、第二言語学習得において参考になります。

    特に印象に残った章は「小さい魚は催眠術をかける」「日本語お上手ですね」です。

    日本語は当たり前にあるもの過ぎて、形がどうだとかいちいち考えたことがありませんでした。しかし、日本語の「文字の形の美しさ」が「日本語への興味のきっかけ」ということで、そのような捉え方があるのだと気付かされました。

    また、「日本語お上手ですね」という言葉の受け止め

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    2025年03月20日
  • 彼岸花が咲く島

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    重い作品を読んだ後だったのでちょうど良い長さだった。島の自然と、女性が力強く生きている様子があって好感を持った。表現も嫌味を感じない。
    彼女の中にはマイノリティの隔たりという大きなテーマがあって、読者に伝えたい事が明確であると思った。

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    2025年01月26日
  • 彼岸花が咲く島

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    ニホン語、女語、ひのもとことばが入り混じり、はじめは読みにくさも感じるが、次第にスムーズに読めてくる。それこそがこの物語の主題とも繋がるのだろう。
    言語は思想と繋がる。ジェンダー、国、歴史、様々な力の配分が物語世界を築く。
    「小説」の力を思い知らされた。

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    2024年12月18日
  • 彼岸花が咲く島

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    記憶を失い目を覚ますと、微妙に通じるようで通じない言語を操る人が住む、見知らぬ島だった という出だし。自分のルーツを思い出すことを求めながらもそれを知ることで今の生活が脅かされるのでは、とうっすらと恐怖を抱きながらも進んでいく年月。歴史と制度とその理由は全て繋がっていること。何が正解かはどんな長老にも分からないが、真実を知り、よく考え、正しいと思うことをすることで歴史を紡いでいってほしい。家父長制へのアンチテーゼもあり、もろに現代日本の話をしていた。物語の中で拓慈と和解できなかったのが惜しい気がした。

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    2024年11月25日
  • 独り舞

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    内容が好き
    彼女がちょっと不幸すぎる気もするけど、不幸になる前から死に執着していたし、わたしの求めていた主人公な気がする
    台湾人の作者ということでたまに漢字ばっかりのところがあって読みづらかったけど
    好きなフレーズだらけで読み返してしまいそう

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    2024年11月08日
  • シドニーの虹に誘われて

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    LGBTが連帯する時、内部の差異と多様性はしばしば無視される。それでも、LGBTの連帯には歴史的必然性と政治的有効性がある。

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    2024年11月07日
  • 彼岸花が咲く島

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    ⚪︎文化の細かい描写より、「ここはどこ?」「いつの話?」「どんな社会?」など、どんどん疑問が浮かび、想像力が掻き立てたれる。

    ⚪︎主人公の選択を見ながら、自分の未来へ責任をもつには、過去を知り、現状を知る事が大切だという事を学んだ。人生において、どう生きるかは正解や不正解がなく、迷いながら、自分自身が責任をもって選択していく事だと感じた。

    ⚪︎最初は読みにくかったが、想像すればするほど種明かしを期待する自分がいて、読み進めることができた。最後に種明かしをされるので、ミステリー小説のようなスッキリ感が感じられた。

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    2024年10月24日
  • 透明な膜を隔てながら

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    最初のバイリンガルのパート、言語化したらそうなのよ!って激しく同意でした。
    李琴峰さん、臨界期すぎてから日本語学んだの!?それで芥川賞取っちゃうの凄すぎでは!?
    と尊敬が深まった書でした。

    p.16 やがて私は大学や大学院で、日本語・日本文学や日本語教育学を専攻するようになった。いつの間にか日本語で文学賞を取り、作家デビューすら果たした。ここまで来れば日本語はもはや母語のように自由自在に操れる!」と思えば大間違いである。確かに私は、所謂バイリンガルであるー/第二言語習得論では「付加的バイリンガル」(additive bilingualと言うーが、言語習得の臨界期(critical peri

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    2024年10月23日
  • 彼岸花が咲く島

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    近未来デストピアSFの設定だが、琉球の島を舞台にした小説。普段文学とか一般小説を読まないSFの人にも大丈夫だと思う。文庫になって電車読みにも最適。ジェンダーや国籍などの背景はデストピア舞台だが当然今に通じるものがある。

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    2024年08月14日
  • 私の身体を生きる

    購入済み

    読むのに気力のいる本だった

    息子が中学にあがり、性教育を考えると男性視点の情報では難しいと思う事が多々ある
    SNSでこの本のことが流れてきて書評を見た時、長男の女性に対する理解に何かしら寄与するかと思い、つい反射的に購入した。

    男より女性の生き方はある意味で難しいが、性を持ち出すと安易に楽な選択を選ぶこともできる。
    でも、それを選ぶと多くの場合、後でツケがまわる。だから、安売りするな、という言葉を親の世代は言う。
    でも、若い世代が持て余す感情は大人の説教なんて聞き入れない。で、大人になって、同じように若い世代に言う。
    そこに使える武器があってもそれを使わないって難しいこと。男が腕力で相手を従わせる選択をなかなか選べない

    #タメになる

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    2024年08月04日
  • 彼岸花が咲く島

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    ネタバレ

    きっかけ
    芥川賞受賞作。外国籍の作家さんでも受賞できるのね!という驚きと書評家の倉本さおりさんがあとがきを寄せていたのが気になって。

    気付き
    日本の西にある島が舞台なのは読みながら理解したものの、台湾なのか沖縄なのか、最終的には巻末にある参考文献をみるまで理解できなかった。沖縄や与那国には私自身個人的なつながりがなく、史実において、まだまだわからないことだらけだなと、興味深く目を通した。
    自分のスタンスとしては、沖縄から目を背けることなく、何か役に立てることに動いてみたい。

    明日の糧
    若い人には特に、いつの時代も前向きであって欲しい。そっと見守る距離感を大事にしたい。

    というのはある意味

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    2024年08月03日