李琴峰のレビュー一覧
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今の私だったら生まれてこない方を選択するけれど、生まれる前に同じ選択をしたかと聞かれると自信がない。
結局は責任の所在?自己責任論に落ち着こうとしてるのか。
意思決定の権利や自己決定の権利等、目に見えないけれど私たちが作り出したことで存在するもの。それらをどうやって可視化して責任の所在を明確にするか。
上手くいかないことを自分のせいにしたくないだけ、自分の選択の責任をとれないだけなのかな。でも生まれてくる時点で持ち合わせてるものは人によるから格差はある。平等はありえない。自分のコントロール下にないものは、責任をとらずに済む逃げ場がほしくなる。
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Posted by ブクログ
ネタバレ産むこと・産まれることの本質について深く考えさせられる作品。当然のことながら、太古の昔から現在に至るまで人間が産まれることについて本人の合意は介在してこなかった。産まれるという言葉が受動態であるように、生の始点はあくまで受け身なのだということを誰かの詩で読んだことを思い出す。好むと好まざるとにかかわらず、まず生まれてしまう。そこには不条理という名の実存主義的苦悩が付き纏う。出生にあたって生の自己決定権を行使することで、人生のオーナーシップを得ることができるという主人公の実感も分からなくはない。
とはいえ、出生への合意とは何なのだろうか。我々が下すあらゆる決断は、それまでの人生で経験したことにより形づくられた価値観がベースとなって、ひとつの答えを出すプロセスである。真の意味でタブラ・ラサといえる胎児が下す、自己の生を受け入れるか或いは放棄するかの決断にどれほどの意味があるのだろうか。
安楽死とも地続きにもみえる合意出生は、現代の価値観からすると制度化された殺人とも言える。生物としての根幹にある倫理を揺るがすものであると感じる。もちろん、生物としての本能をさまざまな制度や倫理で縛ることにより自然状態を脱してきたのが人間であることにまちがいはないが、出生に自己決定権を持ち込むのは度が過ぎていると感じてしまうのは保守的だろうか。 -
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生まれてくることを選べる子ども達と、産みたいと思う母親たちの話
とにかく設定と、それに血肉を通わせる描写力に圧倒された。
今と数年前でも、子育ての考え方がかなり変わっていることに驚くことがよくある。なので今から数十年後、この話のように根本から「常識」が変わっていてもおかしくないと思えた。
数十年後、もしもこの話の設定が現実になったとしたら、その時の読後と今の読後の感想は全く違うものになるかもしれない。だとしたら私たちの信念や感情はどれだけあやふやなものの上に成り立っているんだろう。
そんな不安定な世界で、それでも何かを選択する母親達、お腹の中の子ども達に思いを馳せた。 -
Posted by ブクログ
合意出生制度がある架空の世界を舞台にした小説。ユートピアなのかディストピアなのか…こういう実験的な設定大好きです!
合意出生制度とは胎児に生まれたいか否かを聞ける技術が出来たことにより、胎児の意志によって産むか産まないかを決定する制度です。
『人から命を奪う』殺人と同じで、『人に命を押し付ける』出生強制は絶対にしていはいけないこととされていて、刑事罰の対象となります。
これ実際にあったら親ガチャとかで苦しむ子どもが減るのでは…と最初は思ったのですが、途中からそう簡単な問題でもないよなぁと思うようになってきました。
妊娠した母親はお腹の中の子供に愛着があって、当然産みたいと思っています。「出生意志確認検査」で生まれたくないという意志を示されても、簡単には納得できないのが当たり前で。
答えの出ない問題ですが、子供の意思を尊重してくれる社会は羨ましいです。私だったら生まれない選択をするかなぁ、とか色々考えながら読みました。
とても面白かったです。 -
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ネタバレ<ニホン>の偉い人たちはもともと「外人」のことを好ましく思わんでね、その流れを利用して、「美しいニッポンを取り戻すための積極的な行動」と称し、「外人」を全て<ニホン>から追い出すことにした。
ってナチじゃん!って笑い飛ばしたいけど笑えない現在。作家は今の日本をどうみているんだろう。
その島はユートピアといえる。でもそのユートピアを築き守るためには制限や掟がつくられる。それは結局、誰かの自由を限定することにもつながる。家族は?文化は?
何が理想郷なのか、正しい答えはないけれど、試しに一回くらい女に任してみてはどうだろうよ。長い人類史の間で一度くらいそんな期間があっても良いでしょう。そこから学ぶこともあるでしょう。
ちょうどニュースのヘッドラインが。
「小泉防衛相、沖縄・与那国島へのミサイル配備は2030年度」とのこと。
この国はどこに向かっていくのだろう。 -
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女性作家の自身の身体にまつわるエッセイ集。特に30,40代の今人気の作家さんたちだけを集めたというのが面白い。自身の身長について書かれている方もいたが、自ずと性にまつわる話が多かった。
個人的に感動したのは村田沙耶香さんと能町みね子さん。こちらの感想で、女性なのに自慰について書かれている方が多くて引いた、という感想が少なくないのは正直ちょっと残念だなと思った。村田沙耶香さんは幼少期から行っていた自慰について、いやらしいものという周囲との認識の差に未だに慣れない、ということを書かれていたのだが、子供の頃の自分の王国という表現でその感覚について本当に美しい描写をされており、涙が出そうなほど感動した。現代の子供向けの性教育本を読むと、自慰は人前でオープンにするものではないがご褒美のようなもの、とあり、本来いやらしく汚らわしいものというより村田さんのような表現が正しいのではないかと思った。
また、能町さんの文章は珍しく彼女が普段あまり公で書かれない自身のトランスジェンダーであることの葛藤が書かれており、普段の彼女の冷笑系の口調ではなく、本当に心の叫びという感じで涙が出た。さすが言語化能力に長けている方だけあって、「ノーマル」な人間への想いなど、初めてトランスジェンダーの心の片鱗のようなものを少し理解できたような気がした。
それにしても、西加奈子さん始め、ほとんどの作家さんが若い頃に性被害を経験しているというのが恐ろしすぎる。言葉にするお仕事の方たちだからこのようにオープンにして下さったが、被害を言葉にできない人間がどれほどいるか(小さいものも含めたらもしかしたらほとんどの方かもしれない)と思い知らされた。