【感想・ネタバレ】肉を脱ぐのレビュー

あらすじ

売れない新人作家・柳佳夜は自作の感想を求めてエゴサに明け暮れるうち、同姓同名のVTuberを発見する。魔界への帰還を目指す吸血鬼という設定のVTuberはまたたく間に人気配信者となり、むしろ自分になりすまし疑惑がかけられ、柳はVTuberの正体を突き止めようと奔走するが――。

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Posted by ブクログ

著者がエゴサなさっているのでは?と感じて何だか感想が書きにくい……こんな感想を持った本は初めて。
シュール過ぎるユーモアに笑ってしまうが、最後は神妙な気分になった。想像の斜め上に向かっていく。

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2025年09月09日

Posted by ブクログ

エッセイ読んでから新作楽しみにしてた。自分の身体性を結構楽しんでる私でももちろん、肉体を脱ぎ捨てたくなることは何度もあって、それを突き詰めていった先に小説家とかVtuberとかがいるのかなあ。不可逆でなくなったら私も捨てたいかもね。

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2025年05月05日

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読み始めて1ページ目に出てくる「生きている感じがした。その感じにうんざりする。」という一文に何か、グサッときた。
体を持たされることへの嫌悪感、生まれた瞬間から身体に押し付けられた途方もない重さ、決して釣り合わない快と不快、存在するだけで絶えず様々な奉仕を要求してくる身体の底知れない貪欲さ、という現物の感覚はわかるような気がして…
その感覚が引き起こす、関わりのある人間への普通に表に出す感情と、裏の感情の描写。とても興味深く、あっという間に読めた。(が、その文字面を咀嚼するために、引き返して何度か読み直したりしながら)

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2024年06月03日

Posted by ブクログ

凄い...。言葉・身体・存在・行動。それに向けられる悪意。それと葛藤する"人間"を抉る物語でした。ある場面では現実の差別が我が事のように悔しくて涙が出た。ある場面では言葉・身体・存在(例えばSNSアカウントも存在の一つ)・行動への希望を得た。

自分も身体への違和感や苦痛は子どもの頃から持っているけれど、それとは別に、性暴力に遭って以来後遺症でどんどん身体がままならなくなり、本もゆっくりしか読めなくなってしまった、そんなままならない身体の今ゆっくりでもこの本を読み終えることができて良かった。

ラストに向かう描写の悲哀というか皮肉というか、表現が正しいか解らないが"自分が成仏する"ような感覚を得た。主人公が"言葉の重み"を獲得するに至る場面に震えた。李琴峰さんの小説はどんどん凄い場所に昇っていく(語彙力がなくてすみません)。出会えて良かったし、ぜひ読んでほしい作家さんです。

個人的な身体感覚を一つ話すと、私は心に刺さる小説を読むと生きていることへの確信を得たように身体が内側から震え出して、地面から浮き上がるように魂が軽くなるのを感じる。どんな時も本は光。素敵な小説を読ませてくれてありがとうございます。

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2024年04月18日

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自分の身体はただの肉体でしかなくて。心が思うように動いてくれるものではなく、栄養を欲して、人間の温もりを欲して、自分の意識を縛る鎖のようなものだと気付かされた。前から人間という生き物の不自由さや面倒くささには気づいていたけれど、それを言語化したうえでさらに、人同士の身体の違いについて考えされられた小説だった。
人間が「体をもつ」ことの意味を突きつけられた。
読みやすかったしすごく考えてされられて面白かった。

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2023年12月31日

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身体性をめぐる物語。ひとつひとつの体の動きに対する描写が執着的なほど細やか。登場人物たちのキャラクターもハッキリしていて、ページが進むほどに加速度が増す、脳の快楽物質があふれだす小説体験。
これまであまり自分の身体性について掘り下げて考えたことがなかったけど、そうか、身体が邪魔という考え方があったのねと思わされた。

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2023年12月04日

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肉体を持つことの煩わしさに焦点を当てた話。
寝ることも食べることも、「肉体に奉仕する」という一括りにまとめるのは斬新だと思った。

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2025年10月07日

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「肉を脱ぐ」とは何を指すのか。
主人公の考え方に共感は出来ないものの
こういう考えを持つ人がこの社会にはいることを覚えておきたいと思った

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2025年09月14日

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ネタバレ

話がおもしろく、文章も読みやすく、テーマが分かりやすいのであっという間に読めた。
物語は「生きるためには肉体を持たねばならない」という事実に煩わしさを感じている駆け出しの小説家を描いている。
著者自身を投影したかのような人物が2人登場する。主人公と、大学時代の同級生で成功した小説家の友人。まるで著者の人格が二つに分裂したようにも思えた。
ラストシーンは幻か現実か――おそらく幻だと思うが、とにかく凄まじい描写だった。

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2025年09月05日

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柳佳夜は会社では佐藤慶子と名乗り、勤めの傍ら 小説を書いている.会社には同性愛者の優香、男の社員で福島亮太らがいる.小説家としてのライバルは山下菜摘(川上冬華)でかなり売れている.慶子はエゴサで自分の名前を他人が語っているのを知り、密かにその人物の特定を試みる.その過程が本書の中で最も楽しめた部分だ.中国系の小池嘉美がその張本人だと判明し、二人がやり取りする場面が面白かった.あまり公表されない小説家の実態が描写されているのが良かった.作者は台湾生まれだが、日本語を駆使できる能力は素晴らしいと感じた.

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2024年04月02日

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24.肉を脱ぐ
エゴサの先には何もないどころか、とって変わられた自分がいた

肉体に支配されたくない
見た目やジェンダーでない
ただこの心だけ、精神だけで生きたい
そんな彼女の気持ちが…わかる気もするけれど
それこそが最後の狂気へと向かわせる

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2024年03月20日

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ネタバレ

肉体に支配される精神。物事の見方がそうなってしまうと生きづらいだろうなと思いながらページを捲っていた。

主人公は生身の自身を嫌悪し、精神だけの存在である「柳佳夜」というペンネームに縋って生きてきた。小説、会社、自身の性、すべてがままならない状態の中、「柳佳夜」という同姓同名のVTuberの存在を知る。Twitterにおいて、自分の存在を塗りつぶされて消されていく恐怖に襲われた主人公はVTuberの正体を探り始める。

内容をまとめるとこんな感じなのだが、言葉では表せないぐらいの重苦しさと嫌悪感に囚われながら読み終えた。肉体と精神を分離しなければ耐えられないほどの現実を送りながら、人を蔑み高みから見下ろしているかのようなスタイル。昨今の、SNSの影響で自己顕示欲に押しつぶされそうになっている若者を究極形を主人公に見た気がした。

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2024年03月17日

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肉体から受ける制約と葛藤する主人公。
丁寧な筆致は作者らしいけど、少し息苦しい。ラストは安部公房みたいで迫力あったけど。

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2024年03月03日

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“身体”を疎ましく思う女性が主人公。彼女はツテを頼りに持ち込みでデビューした兼業作家だが、2作目が編集者に認められず苦しんでいる。そんなとき、エゴサーチで自分の筆名と同じYouTuberが注目を集めていることを知り……。
自分の身体に対する疑問、不信を突き詰めるとこうなるだろうという小説だった。精神の容れ物であるとしても、身体を生かすためには様々な要求に応えなければならないという矛盾や、女性であることの不合理がこれでもかと詰め込まれている。会社という組織の中でも彼女は異端だ。
ラストシーンは非現実的だが受け入れられた。

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2024年01月08日

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ネタバレ

ラストのどんどん肉を剥ぎ落としていく行為、リアルに表現されていて、ほかの作品も同様の表現だったら犯罪者の心理的描写や異常者の作品があったとしたら気が狂いそう。
内容も自分の身体の全てがいらない、お腹が空くのも排泄も身体のサイクル全てを拒否したい考えを持っているのに同名のYouTubeの存在を執念深く調べあげあり、自分の小説をエゴサして気にしたりと思考は固執している。会社で浮く事なく普通に働いている人間の内面は違うとゾワッとするそれでいて嫌悪感なく拒否反応も出ずに読めてしまったのは不思議。

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2023年12月22日

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ラストシーンについて誰かと話したくなる作品です。
この作品を読んだ他の方がどう解釈したのか気になります。

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2023年12月19日

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p.65 「急に泣きたくなる時は、本当に少しでも我慢ができない。くしゃみみたいにね、涙が身体の中からとっさに湧いてきて、気がつくとポロポロ落ちている。他の会に行こうとか、誰かに気づいてほしいとか欲しくないとか、そんなこと考える余裕なんてないの」

Twitterでのエゴサーチとか、Vtuberとか、個人情報の特定の方法とか…とてもリアル…李琴美さんの作品は本当に胸を抉られるようなリアルさが売りだよな…がーーーっとよんじゃう!

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2023年11月28日

Posted by ブクログ

肉体の煩わしさが、
繰り返し書かれる。
読む前に想像していた物語と、
少しずつズレていく。

ラストは行きすぎな気がした。
そんなことできるのか、と思いつつ、
とにかく痛い。痛いしか出てこなかった。

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2025年11月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ラスト1ページが衝撃的で、文字を追いながらあまりのグロさに無意識に呼吸が止まり身体が硬直していた。身体が邪魔という感覚についてこれまで考えたことがなかったが、主人公は究極まで悩まされていたことが分かる。
キャラクターとしてはパワハラを受けていた新人社員の福島亮太の存在が一番気になった。会社でミスばかり、居場所がなくなり退職を余儀なくされてしまう。しかしそれを逆手に退職までの話をテーマに文学会新人賞をとる。会社でミスばかりしてしまい評価されなくても、個人として脱皮し、逆境を乗り越えて輝ける人は強いと思った。

文章はすごく読みやすく、物語に集中しすぎて電車を数駅乗り過ごしてしまった。

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2025年04月23日

Posted by ブクログ

我々の生活はカラダに支配されていると言われれば、確かにそうであるなぁと納得。
そう言われて、改めて振り返ってみると、私も自分の肉体に、愛おしさを感じたことは1度もないので、これからはもう少し愛を持って接してやるべきなのかもとも思った。

題材としては、面白いなぁと思う。
これから注目したい作家さんだ

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2024年02月17日

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