【感想・ネタバレ】肉を脱ぐのレビュー

あらすじ

売れない新人作家・柳佳夜は自作の感想を求めてエゴサに明け暮れるうち、同姓同名のVTuberを発見する。魔界への帰還を目指す吸血鬼という設定のVTuberはまたたく間に人気配信者となり、むしろ自分になりすまし疑惑がかけられ、柳はVTuberの正体を突き止めようと奔走するが――。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

話がおもしろく、文章も読みやすく、テーマが分かりやすいのであっという間に読めた。
物語は「生きるためには肉体を持たねばならない」という事実に煩わしさを感じている駆け出しの小説家を描いている。
著者自身を投影したかのような人物が2人登場する。主人公と、大学時代の同級生で成功した小説家の友人。まるで著者の人格が二つに分裂したようにも思えた。
ラストシーンは幻か現実か――おそらく幻だと思うが、とにかく凄まじい描写だった。

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2025年09月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

肉体に支配される精神。物事の見方がそうなってしまうと生きづらいだろうなと思いながらページを捲っていた。

主人公は生身の自身を嫌悪し、精神だけの存在である「柳佳夜」というペンネームに縋って生きてきた。小説、会社、自身の性、すべてがままならない状態の中、「柳佳夜」という同姓同名のVTuberの存在を知る。Twitterにおいて、自分の存在を塗りつぶされて消されていく恐怖に襲われた主人公はVTuberの正体を探り始める。

内容をまとめるとこんな感じなのだが、言葉では表せないぐらいの重苦しさと嫌悪感に囚われながら読み終えた。肉体と精神を分離しなければ耐えられないほどの現実を送りながら、人を蔑み高みから見下ろしているかのようなスタイル。昨今の、SNSの影響で自己顕示欲に押しつぶされそうになっている若者を究極形を主人公に見た気がした。

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2024年03月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ラストのどんどん肉を剥ぎ落としていく行為、リアルに表現されていて、ほかの作品も同様の表現だったら犯罪者の心理的描写や異常者の作品があったとしたら気が狂いそう。
内容も自分の身体の全てがいらない、お腹が空くのも排泄も身体のサイクル全てを拒否したい考えを持っているのに同名のYouTubeの存在を執念深く調べあげあり、自分の小説をエゴサして気にしたりと思考は固執している。会社で浮く事なく普通に働いている人間の内面は違うとゾワッとするそれでいて嫌悪感なく拒否反応も出ずに読めてしまったのは不思議。

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2023年12月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ラスト1ページが衝撃的で、文字を追いながらあまりのグロさに無意識に呼吸が止まり身体が硬直していた。身体が邪魔という感覚についてこれまで考えたことがなかったが、主人公は究極まで悩まされていたことが分かる。
キャラクターとしてはパワハラを受けていた新人社員の福島亮太の存在が一番気になった。会社でミスばかり、居場所がなくなり退職を余儀なくされてしまう。しかしそれを逆手に退職までの話をテーマに文学会新人賞をとる。会社でミスばかりしてしまい評価されなくても、個人として脱皮し、逆境を乗り越えて輝ける人は強いと思った。

文章はすごく読みやすく、物語に集中しすぎて電車を数駅乗り過ごしてしまった。

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2025年04月23日

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