李琴峰のレビュー一覧
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これを読んだ多くの人は、『合意出生制度』に賛成の意見を持つんじゃないかなと思う。現代でも既に、「望まずに生まれてきた子」って言葉はよく聞くし、「子は親の所有物じゃない」っていうのも当たり前に使ってるし。私自身も今の段階では、子供の意思確認の精度は横に置いといて、「子供の意思を尊重する」という点においては賛成。
でも実際自分が子供を宿したとき、子供から「リジェクト」を示されたら、絶対制度を恨んじゃう。
物語上でこの制度は30年ぐらいの歴史のもので、それが長いか短いかは分からないけど、世代で考えるとやっぱり一世代分しか入れ替わってないから、反対意見が根強いのは納得。
物語としては、主人公が『合 -
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ネタバレ肉体に支配される精神。物事の見方がそうなってしまうと生きづらいだろうなと思いながらページを捲っていた。
主人公は生身の自身を嫌悪し、精神だけの存在である「柳佳夜」というペンネームに縋って生きてきた。小説、会社、自身の性、すべてがままならない状態の中、「柳佳夜」という同姓同名のVTuberの存在を知る。Twitterにおいて、自分の存在を塗りつぶされて消されていく恐怖に襲われた主人公はVTuberの正体を探り始める。
内容をまとめるとこんな感じなのだが、言葉では表せないぐらいの重苦しさと嫌悪感に囚われながら読み終えた。肉体と精神を分離しなければ耐えられないほどの現実を送りながら、人を蔑み高み -
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ネタバレ人間が完璧じゃない以上、どんな制度にも欠陥が存在する。
親からしたら、子どもがこの世に生まれることを望んでいるのか、産む前に知れたら安心できる。子どもにとっても自分の意思で生まれてきたことは生涯支えになる。私自身、生まれてこなければ…と考えたことがあるが、それは自分で決めたことだと知っていれば納得できるし救われる。
でもまだ生まれていない、世界のことを何も知らない子どもに数字だけで生まれたいですか?って聞くのは…しかもそれは記憶には残らず、1枚の書類の有無でわかる。なんだか、うまくいえないもやもやがある。
この物語の登場人物はなんというか、単純で、よく言えば素直だなと思った。合意出生制度 -
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台湾出身の芥川賞作家のエッセー。
芥川賞受賞作品も、お名前も知りませんでしたが、日本語教師の視点で面白いと思える箇所がいくつもありました。
なかでも、最初に覚えた仮名文字は片仮名で、その理由がポケモンだということ。外国籍児童にも、ポケモンの名前は片仮名学習に効果的でした。
漢字圏の出身者だから日本語習得に有利ということはない、というのは、多くの在住中国人の方を見てきて感じていることで、この方の日本語の自然さは、本人の言うように「不断な努力と格闘によって手に入れたもの」なのでしょう。
努力もせずに、外国語の習得をあきらめている人に読ませたい。 -
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個人と個人を隔てるもの。属性と属性を隔てるもの。綺麗事を並べて無くなったかのように見せても、透明になっただけでそこにあるもの。正しさに立脚するように見えて、その実そうではないもの。
透明な膜を隔てながら、他者を尊敬し理解しようとする試みの記録。
“普遍性を探求しようとする日本文学は、しばしば「個」や「個」を含むコミュニティに作用する大きな力と、決して相対化してはならない「特殊性」「固有性」を見落とすキライがある。”
まさに。
その行き着く先は、政治性や社会性の排除、弱者に対する差別や偏見の無化と不可視化、そして現実に対する批判性の欠如である。 -
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7人の女性のセクマイとしての物語がとあるレズビアンバーで交錯する。
まず風景描写が良かった。
二丁目近辺の描写がびっくりするほど精確になされていてゲイの自分としては感心した(李琴峰さん自身もレズビアンとのこと)し、
台湾のひまわり運動についても雰囲気や温度感、匂いまでも伝わってきて、当時facebookで繋がっていた台湾の友人がたくさん情報発信をしていたが、むしろSNSを見るより伝わったかもしれない。
またセクシャルマイノリティの中でもバイセクシャル・レズビアン・トランスジェンダー、アセクシャル、日本人・台湾人・中国人と多様な恋模様・人間模様が見られていて、このあたりの解像度の高さもLGB