李琴峰のレビュー一覧

  • 肉を脱ぐ
    凄い...。言葉・身体・存在・行動。それに向けられる悪意。それと葛藤する"人間"を抉る物語でした。ある場面では現実の差別が我が事のように悔しくて涙が出た。ある場面では言葉・身体・存在(例えばSNSアカウントも存在の一つ)・行動への希望を得た。

    自分も身体への違和感や苦痛は子どもの頃から持っているけ...続きを読む
  • 生を祝う
    めっちゃつらい。めっちゃもやもやする。でも、すごく自己の意思決定とはなにか、信じるとはどういうことか、考えた。終わりがスッキリするような後味が悪いような、なんとも言えない読後感。非常に面白かった。
  • 生を祝う
    胎児が生きる決定権を持ち、住みやすい環境だと判断したら生まれてくるが拒否するなら親は中絶をしなくてはいけない。ちょうどこの制度が導入された時期に産まれた人と導入前の人と結婚し
    子どもを授かる。2人ともこの制度に賛成で自分が望んで産まれてきたわけだから困難に直面しても乗り越えていけるという自信にもつな...続きを読む
  • 向日性植物
    描写力、表現力が素晴らしい。
    何度も息を呑むシーンがありました。こんな風景、私も見たことある。でも、こんなに綺麗なシーンに写せるのは、同性愛だから?もしかしたら、そうかもしれない。私たちが見逃していたけど綺麗なシーンが、彼女たちの大事なひとときなのかもしれないなと思いました。
    良作です。本屋さんで見...続きを読む
  • 生を祝う
    自由意志、人権、それは生きていく上で当たり前の事なのかもしれないけれど、生まれてくること自体を自分の意思で決定するのはこの世界ではできないことで。それを自分で選択していたのなら、私は「死にたい」とは思わず生きてこれたんだろうかと考えたりした。
    親はきっと産まれてくる子を「幸せ」にしてやる、と決めて産...続きを読む
  • 肉を脱ぐ
    自分の身体はただの肉体でしかなくて。心が思うように動いてくれるものではなく、栄養を欲して、人間の温もりを欲して、自分の意識を縛る鎖のようなものだと気付かされた。前から人間という生き物の不自由さや面倒くささには気づいていたけれど、それを言語化したうえでさらに、人同士の身体の違いについて考えされられた小...続きを読む
  • 星月夜
    国籍を付与し差別を否定しつつも戸籍上は内地と外地とを区別し、ウルグイ差別の事実を覆い隠す共産党のやり方には悪意しか感じない。

    Intersexionality
    相互理解の限界
    不完全性の肯定
  • 肉を脱ぐ
    身体性をめぐる物語。ひとつひとつの体の動きに対する描写が執着的なほど細やか。登場人物たちのキャラクターもハッキリしていて、ページが進むほどに加速度が増す、脳の快楽物質があふれだす小説体験。
    これまであまり自分の身体性について掘り下げて考えたことがなかったけど、そうか、身体が邪魔という考え方があったの...続きを読む
  • 生を祝う
    とても好きな作品。
    合意出生制度という生まれる前に意志が確認でき、生まれるかを自分で決められる時代…。
    生まれたくないと言って、産んだ人が白い目で見られ、子供に訴訟を起こされ犯罪者になる可能性もあるという。
    子供は神からの授かりもの。でも不幸で生んだ親を恨む、自殺をする。そんなドラマやアニメが色々あ...続きを読む
  • 独り舞
    すごくよかった、好きだった。
    初めて本を読んで泣きそうになった。
    これが、作者の全てを詰め込んで作られたような存在であるデビュー作なことが嬉しい。
  • 向日性植物
    終わり方まで須く好みだった 文章自体もさらりと重すぎず植物のようだ 女子校時代に抱いた感覚を呼び起こさせる 小旻の最後のエピソードが胸に刺さる 彼女が殆どのキャンディをかつての同士たちに渡す気持ちが痛いほどわかる なぜならセクシャリティの変化は以前のコミュニティに属せなくなる可能性を秘めているからだ...続きを読む
  • 生を祝う
     世界設定に惹かれ、誕生日でもあるしということで読んでみました。自分の意思で選択をすることが混沌とした世界で真実に勝るものであるように感じました。
     疫病による大規模な災禍があった近未来世界の日本が舞台。疫病によって死が身近となったことで死生観は安楽死を支持する方向になり、さらには出生前に胎児がこの...続きを読む
  • 向日性植物
    すごく好きな小説だった。
    作者が「レズビアンがレズビアンという理由で死ぬことのない小説が書きたい」てと言って書いていた作品らしく(最高!)、作中にも、病気で亡くなってしまったレズビアンに「やっぱりレズビアンだから…」ていう邪推が入った時、主要キャラが「今どきのレズビアンは性的指向が理由で死なないんだ...続きを読む
  • 向日性植物
    一気に読んだ、読み進めたくなった

    わたしたちの希望になる作品だった

    この作品を書いてくれてありがとう、翻訳してくれてありがとう
    読み終わったあと、その気持ちが伝えたくなった



  • 生を祝う
    とても読みやすい本だった。
    登場人物の考え方がコンファームという合意出生制度を境目に様々な方向へ変わっていく様子が描かれています。
    特に、胎児に出生を拒否された家族の周りでは、拒否された側にしか生まれないであろう思いが生まれます。正しい、正しくないを決めるのはいかに難しいことなのか。この本を読ん改め...続きを読む
  • 彼岸花が咲く島
    なんとも不思議な世界観。
    あらすじでまとめてしまえば多分すごく短いお話なんだけど、真相を知ったらいろいろ考えさせられる。

    でも、島はこのままのほうがいいんじゃないかな…と思ってしまった。
  • 向日性植物
    こんなにも美しく清冽な恋愛が描かれたことがあっただろうかと思う
    「私」「学姐」「小莫」「小旻」「阿青」
    みんなにわたしの分身を見つけることができる
    現代台湾文学の力が感じられる作品
    私が子ネコの世話を始めたとき彼女はもう後輩ではなく学姐と同じ立場から愛するひとになった
    タイトルにこめられた著者の希望...続きを読む
  • 生を祝う
    久しぶりに余韻に浸れる作品に出会った。

    私が胎児だったとしたら、コンファームはどのような答えを出すだろう。
    おそらくリジェクトだと思う。
    でも、私の人生はリジェクトに値するものではあるが、幸せでないわけではない。
    佳織もきっと同じ気持ちだろう。

    次に私が妊娠したとして、胎児がリジェクトと回答した...続きを読む
  • 生を祝う
    科学技術の発達によって、出産前に胎児の意思を確認できるようになった近未来。「社会リスク」と「親の状態(健康や地位や資産など)」、胎児自身の健康状態(障害の有無や病気の可能性)」などを胎児に知らせ、生まれることについて賛成か拒否を判断させる。賛成で生まれた子供は、自分自身で生まれることを選択したのだか...続きを読む
  • 彼岸花が咲く島
    クライマックスめがけての盛り上がり方がすっごい良い!

    美しい文章とこの作品の中にしかない言語、そこに至るまでの人間たちの生き方、どのように動いてきたか。

    深いテーマ性が感じられて、フィクション作品としてももちろんだし、人を学ぶ上で非常に有用な、勉強になる作品。

    こういう作品ひとつ書き上げるパワ...続きを読む