三浦綾子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ戦中、旭川の質屋の長男として生まれた、主人公。
質屋という商売だったが、人情にあふれる恵まれた環境で育つ。
戦中の理不尽な天皇崇拝の教育で、唯一の小学校の時の担任だった恩師は
納得できる思想・生き方、何が大事か?を教えられ、
主人公は憧れて教師を目指す。
とは言え、主人公は戦時教育に反していたわけではなく、
根本には天皇を崇拝する心は、多くの当時の国民と同じように持っていた。
まっすぐな心そのまま、教師になったが、
思想統制の波にかかり、どん底に落ちていく。
当時の思想統制の怖さと、今の自由さを実感させられ、
本当に今に生まれてよかったと思います。
主人公は当時の数ある事件の一人の話に過ぎず、
同じ境遇の、またそれ以上に不幸な目にあった人が
たくさんいるとなると、本当に暗い時代です。
そんな中でも主人公とその恩師は
差別のない人としての生き方を通していきます。
確かにこんな先生は今の時代でもいないと思います。
人を差別するには理由があり、止むをえないこともあると思います。
しかし、理由のない差別や、理由にならない差別もたくさんあります。
それが横行していた時代。人間の理性とは本当に怖いものです。
後半は軍隊に配属され、その中でもまた、
当時の思想の中でも、たくさんの種類の人間がいたことがわかります。
日本がした酷いこと、された酷いこと。
どっちも鮮明に書かれている部分があります。
とても辛い話なのに、人間はまだ戦争してると思うと、
とても悲しいことです。
思想は制限できない。というのも理解できる内容。
この話は子供と子持ちの親に読んで欲しいと思った。
生き方の本質というか、子供に教えることが、目先のことばかりに
ならないようにしたい、と思えるから。
新年一発目から戦争ものでした。
上下巻で内容もさることながら、ページ数もヘビーです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ何回読んだか分からないくらい何度も読んだ、
私の一番大切な本です。
中学の頃、何カ月もかけてバスの中で読んで以来、
私のバイブル。
「あー、この本にある言葉が私を作ってきたんだなぁ」
と思います。本当にすごく影響を受けた。
中学の頃好きだった話は、
●あの人どうしている。
●大きいミスを許し、小さなミスにはきびしく。
●行けばしゃんとなる。
●そこまでは覚えています。
●どうか一生幸せであるように。
●愛がこわれるから。
「そこまでは覚えています」の話は、
何度読んでも泣いてしまいます(;_;)
なんて温かな心なんだろう。
「行けばしゃんとなる」は、
中学時代いつも唱えていた気がする。
毎朝眠くても、学校に行けば、しゃんとなる。
だから今日も学校に行こうって。
「あの人どうしている」は、
憧れの言葉でした。
自分もそんな風に思ってもらえる人になりたい。って。
「どうか一生幸せであるように」も
泣ける話です。
お母さんはたくさんたくさん苦労をしてきているから、
あんなふうに見ず知らずの人にも祈る。
中高時代はあまり本を読まなかったけど、
その中でこの一冊に出会えたことは
本当に良かったって思います。
もし自分がこういう風に、
自分の聞いた「忘れえぬ言葉」を題材に本を書くとしたら、
何を書くだろうって考えた時に、
こんな風に人に話せるほど濃くて素敵な話を
いくつもはとても書けないなぁって思って、
やっぱり三浦綾子さんすごい、と思ったのでした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ中学生のころ、土曜日の夜に夜更かししていたらテレビ大阪でふるーい映画が放映されていました。その後高校生になって三浦綾子さんの著作をいろいろ読んでいたらあの時観ていた映画の原作を発見!さっそく読みました。そして、最近「氷点」をきっかけに再び読んでみました。
この作品は北海道ではかなり名の売れた実業家、佐々林一家を中心とした親と子、教師と生徒の交流を描いた作品です。
主人公の一人、佐々林一郎はある日、一番上の姉と思っていた奈美恵が実は父の愛人だったということを知り、それ以来、何事にもやる気を無くしてしまい、だんだん反抗的になっていきます。担任教師(これがもう一人の主人公)杉浦悠二は何とか彼を助けようとするが、一郎はどんどん荒んでいき、悠二にまで憎悪を向け、事件を起こしてしまう・・・という話です。
昔は単純にストーリーを楽しみつつ読みましたが、今読んでみると、家庭での教育がいかに重要かを感じました。鍵つきの個室、バラバラでとる食事、なぜか住み着いている父の愛人(そういえば「華麗なる一族」でも父の愛人が同居・・・というのがありましたが)。。。
一番身近な家族を信じることができなければ、真に人を信じる気持ちは育たない。そんなことをこの本を読んで考えてしまいました。
我が家ではできるだけ(多少の秘密は持つことがあるのは仕方ないとしても)オープンでいたいと思います。
そうそう、この作品に関して書きたかったことがひとつ。
作中、悠二が担任を持つ生徒の保護者に、非常に自分勝手で息子のことしか見えていなくて、やたらと担任に難癖をつける親が登場します。
当時に比べてこんな親が増殖している今っていったい・・・・。なんて考えてしまいました。
この作品をもし、現代版にリメイクしたら・・・と時々考えることがあるのですが、おかしな親が多すぎて話にならないかも・・・(笑)