三浦綾子のレビュー一覧
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前作「泥流地帯」で、北海道の十勝岳が噴火。拓一と耕作兄弟は一瞬にして祖父母、姉、妹、そして田畑を失う。貧しくとも真実に生きてきた彼らに与えられた結果がこの報い。折れそうな心を懸命に立て直そうとする耕作だが、復興に取り組んだところで、またも裏切られるのではないかという疑問は消えない。
若い頃の苦労が大事なのは今も昔も変わらない。それはわかっているんだけど、誰もがこの兄弟ほど真面目に生きられるのか。苦労は報われないこともあることを理解し、納得できるのか。考えれば考えるほど、人生は理不尽だと思う。
本作品では、復興に取り組む村民の中で悪事に走る者もいれば、宗教にすがる者も登場する。そんな様々な人 -
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感動する小説は世の中に数多あります。
ただ、打ちのめされる小説に出合うことは滅多にありません。
打ちのめされました。
世に言う「北海道綴り方教育連盟事件」を題材にした94年刊行(単行本)の小説です。
と聞けば、こういうご時世です、「反戦平和小説ですか」「サヨクですね」と揶揄する向きもあるでしょう。
それは半可通というものです。
早合点するなかれ、主人公の竜太は紛うかたなき皇国民です。
陛下の大御心を理解し、奉安殿に向かって深々と、それは見事な最敬礼をする青年です。
そういう青年が「アカ」と疑われ、治安維持法違反で過酷な取り調べを受けたのです。
げに恐ろしいのは法律の中身でも政治家でもない、法律 -
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三浦綾子にはまっていたのは2009年。「氷点」&「続氷点」、「道ありき」を読んだ以来8年ぶりに彼女の著書を手に取ってみた。
小林多喜二の母であるセキが一人称の形で綴られている「母」。面白く読みやすく一気に読んでしまった。
「蟹工船」は買ったもののまだ読んでなかったな。マンガバージョンでなら何度か読んだけど。
戦中、言論統制、思想統制が強くなる中、信ずることを表明し広め社会を変えていこうとした多喜二。針を刺されながらも血を吐きながらも世の中が間違っている、これからは人間こう生きていかねばならないと唱え続けることができるその姿を、イエス・キリストと重ねて見た三浦綾子。
三浦綾子だからか -
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三浦綾子にはまっていたのは2009年。「氷点」&「続氷点」、「道ありき」を読んだ以来8年ぶりに彼女の著書を手に取ってみた。
小林多喜二の母であるセキが一人称の形で綴られている「母」。面白く読みやすく一気に読んでしまった。
「蟹工船」は買ったもののまだ読んでなかったな。マンガバージョンでなら何度か読んだけど。
戦中、言論統制、思想統制が強くなる中、信ずることを表明し広め社会を変えていこうとした多喜二。針を刺されながらも血を吐きながらも世の中が間違っている、これからは人間こう生きていかねばならないと唱え続けることができるその姿を、イエス・キリストと重ねて見た三浦綾子。
三浦綾子だからか -
購入済み
これは!
短い中に疑うことを知らない純粋な気持ちだったりドス黒い人間の性だったりの凄いドラマが詰まってました、普通に泣く。原作を是非読もうと思いました。
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(10.09.2016)
三浦綾子氏の強い語調、自分の過去を全てさらけ出す強さ、同じ女性としてカッコいいなと思う。クリスチャンとしても、自分の弱さを認めながらも神様を信じ抜こうと努力する生き方は尊敬に値する。この本の最終章、最終頁の言葉に彼女の読者に対する思いが込められているのではないか、と感じた。心に響く素晴らしい本だった。
「かけがえのない、そして繰り返すことのできない一生を、キリストを信じてあなたも歩んでみませんか。今までの生活が、どんなに疲れきった、あるいは人に言えない恥ずかしい生活であっても、または言いがたいほどに苦しく悲しい毎日であったにしても、今、あなたの前に、まだあなたの足 -
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(09.29.2016)
毎日少しずつ読んでいたのだが、100頁から最後まで一気に読み終えてしまった。自分もクリスチャンだからかもしれないが、完全に感情移入してしまった。三浦綾子氏にとっての前川正氏や三浦光世氏がそうだったように、神様は必ず誰かを通して働かれる。ある人との交わりを通して自分の弱さや罪に気づき、神様に出会うのである。
三浦綾子氏の人間味溢れる文章が好きだ。神様を信じますと言いながらも、情けないことに時に心配や不安から完全に信じ切れない時がある。三浦綾子氏の本を読むと、それが人間の姿だと毎回励まされる。自分の弱さと闘いながら、自分なりの信仰生活を送っていこうとこの本を読みながら -
Posted by ブクログ
普段は一度読んだ本を読み返す事はほとんどしない私です。
読みたい本が、文字の通り山の様に積み上がっているので。
中学生の頃に三浦綾子作品と出会い、強い衝撃を受けました。
今まで読んできたどの本よりも心にズシンときて
それからは三浦綾子作品を読み漁る日々でした。
銃口も確か中学か高校の頃に読んだ記憶があります。
急にもう一度読みたくなり、実家の本棚から拝借してきました。
とても読み易いのです。それこそ中学生が読んでも決して難しく感じる事はないでしょう。
戦前の北海道を舞台に、教師をしている青年の話が筋。
三浦綾子さんも戦前、戦中と学校の先生をしていらした様で、本当はこう子供たちに教えた