三浦綾子のレビュー一覧
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この頃と今。
時代は随分と進んだんだなあと感じる。
今があるのは先人達が世の中を変えようとしてくれたおかげ。食べ物や洋服が最低限得られる事。教育。離婚の自由。信仰の自由。
百年後には、いやそう遠くない未来には同性婚も"当たり前"になっているかもしれないなあ。
けれどもこんなに変わっている事もあれば、DVやアル中とか、今もよく聞くような話も伺えて人間の弱さって変わらないんだなと思った。
矢嶋楫子さんの事は初めて知った。
前半は壮絶で心痛むけれど、素晴らしい人生だな。まるで一緒に生きているかのような錯覚に陥る文。
のめり込んで読みました。
こんな風に生を全うしたい。 -
購入済み
一気読み!
親に聞いた事のある名作、くらいで何となく読み始めたが、面白くて一気に読んでしまいました。恐ろしい程ドロドロしているのに、淡々と読み進めてしまうのは作品の力なのか。全作読みたくなる。
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ネタバレ 購入済み
母心の切なさ
「蟹工船」で知られる小林多喜二の母小林せきの全生涯が印象的。秋田の貧しい小作農の家に生まれ(明治6年)、3,4歳で庄屋の赤ん坊を負ぶって子守をし、小学校にも行けず、その代わりに副業の自宅そば屋を切り盛りし、恐らく口減らしの為に僅か13歳で嫁にやられたと云うのですから。でも周りも皆貧しく、自分は女郎に売られなかっただけ、まだましだったと言うのです。海外での反響が大きかった「おしん」の映画版DVDを先日見たのですが、東北の農家の貧しさが切ない。長女を出産後直ぐに亡くし、中学入りたての長男も亡くし、多喜二が高商を卒業し、働き始めた矢先には連れ合いを亡くしと苦難の人生にも拘わらず、せきの明るさ、強さが
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ネタバレ下巻は、光秀が信長を討ったとの報せが玉子のところに入るところから始まります。
夫の忠興は実家の家族が皆亡くなった玉子を味土野の山奥へ
幽閉します。
その時にキリシタンの清原佳代という侍女が供をしますが、玉子はこの時、佳代の影響を大きく受けます。
そして多摩湖は2年の後にその時天下を取っていた秀吉に許されて帰館します。
すると忠興にはおりょうという側室がすでに居て、玉子は非常にショックを受けます。
玉子は
「男はすべて女を策略や戦の道具に、あるいは子を産む道具にしか考えていないのではあるまいか」と思います。
そして「信仰を得たならば、こうした苦しみが消えるかもしれない」と思い、佳代らの助け -
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今村翔吾作『じんかん』を読み、松永弾正や細川家に興味を持ち、フォロワーさんの方々が、この作品をレビューされていたのを思い出して読みました。
上巻は、玉子(ガラシャ夫人)の少女時代、及び主に玉子の父の明智光秀の人柄がよくわかりました。
明智光秀というと三日天下という悪いイメージしかなかったのですが、人徳者だったということを初めて知りました。
少女時代の玉子は非常に利発で美しい子でした。
戦国の世に生まれた玉子は、
「女はみなこのようにして、好きも嫌いもわからぬ人に嫁ぐのかと思うと、それが口惜しゅうございます」
と言って、細川忠興に16歳で嫁いでいきます。
そして、光秀は平生、茶道、短歌、 -
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ある弁護士がFBで勧めていたことをきっかけに手にした1冊。遠藤周作は何冊も読んだが、三浦綾子は初体験。もしかして最初にして彼女の最高傑作を読んだかもしれない。
特に東日本大震災を体験した今となっては、天災はかくもありきと身をつまされる筆力に脱帽。続泥流地帯とセットで読むべきです。
私がはっとさせられたキリスト教?宗教観は次のとおり。こんないい小説を紹介してくれたある弁護士に感謝!
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「なぜ正しい者が貧しい苦難に会わねばならないのか?なぜ悪いことをしてお金を設けて世にはばかっている者は、いま被災に巻き込まれず暮らせているのか?」という問いに対し -
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数多くの三浦綾子作品を読んできたが、今回も罪なき人達に襲いかかる多くの試練とそれを耐え忍ぶことを通じて生きるとはなにか、人を愛するとはなにか、といった人生の根源的な部分を問うた作品であった。
孝介と貴乃の純な恋愛が須田原家の完治により引き裂かれることから始まるこのストーリーであるが、想像を遥かに上回る混沌とした愛憎劇で、中盤読んでいるのが辛くなるほどであった。「人を一度も傷つけずに生きてる人間なんて、ありはしない」という孝介の言葉に重みを感じつつ、完治の働いた行為によりここまでも多くの人が悲しみ・苦しみに陥れられている状況、更に完治本人の心の中には何も変化がない、その状況に読んでいる私自身も絶 -
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むかし読んだ本を開いてみた。三浦綾子さんの半生記。
自分が傍線を引いた所に「あれっ」と思う。19歳の自分には未来の自分を見通す力があったのかもしれない。歳を重ねた今も同じ箇所に傍線を引く。ただ成長がないだけなのかもしれないけれど。「雲の上には太陽が輝いている」その言葉だけは新しく傍線を引いた。
忘れていた場所もあった。自殺未遂の高校生のくだり。自らも自殺しようとしたことがある三浦さんだからこそ、彼女の心も和らぎ、開かれたのだろう。婚約者だった西中一郎さんの包容力にもジーンときた。
24歳から37歳までギブスベットの上で青春を過ごした三浦綾子さん。心の人前川正さんを亡くしたときもベッドの上で涙 -
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何気なく手に取って買った本でこんなに感動するなんて・・・。小林多喜二=プロレタリア文学=『蟹工船』と昔暗記したあの小林多喜二の母の物語だ。特高につかまり,拷問を受け,亡くなった多喜二。そんな知識で彼の印象を決めつけていた自分が恥ずかしくなった。三浦綾子さんは多喜二の母になりきって,独特の口調で語りかける。学はないが,寛容で息子の選ぶことはすべて善と信じ切る母。貧乏の中で育った多喜二は,貧乏な人を救うには世の中を変えなくてはいけないと考え,小説を書き続ける。若くして女郎に売られたタミちゃんに恋心を抱いた多喜二は彼女を救おうと自分の財をなげうつ。しかし,彼は彼女に指一本ふれようとしない。自立した学
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何気なく手に取って買った本でこんなに感動するなんて・・・。小林多喜二=プロレタリア文学=『蟹工船』と昔暗記したあの小林多喜二の母の物語だ。特高につかまり,拷問を受け,亡くなった多喜二。そんな知識で彼の印象を決めつけていた自分が恥ずかしくなった。三浦綾子さんは多喜二の母になりきって,独特の口調で語りかける。学はないが,寛容で息子の選ぶことはすべて善と信じ切る母。貧乏の中で育った多喜二は,貧乏な人を救うには世の中を変えなくてはいけないと考え,小説を書き続ける。若くして女郎に売られたタミちゃんに恋心を抱いた多喜二は彼女を救おうと自分の財をなげうつ。しかし,彼は彼女に指一本ふれようとしない。自立した学
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読み終わって一言。しんどい。とにかくしんどい。
読んでいてこれ程までに胸を締め付けられるような小説がこれまであっただろうか? そう自問する。
読めば読む程、(殺されていい人なんていやしないのだけども)この人程、こんな死に方をしてはいけない人はいないだろうに、そう思って苦しくなる。
こんなに優しい人が、こんなに家族想いの人が、どうしてあんなに酷い死に方をしなければいけなかったのか。そればかりが頭の中でぐるぐると回った。
作中でお母さんも口にした疑問。小林多喜二はあんな目に遭わなければいけないような極悪人だったのか。そんなわけがない。元からそう思ってはいたが、この小説を読んでますますその思いが強 -
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読み終わって一言。しんどい。とにかくしんどい。
読んでいてこれ程までに胸を締め付けられるような小説がこれまであっただろうか? そう自問する。
読めば読む程、(殺されていい人なんていやしないのだけども)この人程、こんな死に方をしてはいけない人はいないだろうに、そう思って苦しくなる。
こんなに優しい人が、こんなに家族想いの人が、どうしてあんなに酷い死に方をしなければいけなかったのか。そればかりが頭の中でぐるぐると回った。
作中でお母さんも口にした疑問。小林多喜二はあんな目に遭わなければいけないような極悪人だったのか。そんなわけがない。元からそう思ってはいたが、この小説を読んでますますその思いが強