三浦綾子のレビュー一覧
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三浦綾子の自伝3部作の2作目、結婚編。第一部「道ありき」も三浦綾子氏を囲む人々の心の美しさに感動したが、本篇は病気が治り結婚してから「氷点」が入賞するまでの記録で、夫婦の在り方を考えさせられる。
三浦光世氏の、キリスト教に根差した、綾子氏に対する深い愛情に心が洗われる。人間って(少なくとも自分は)もっと汚いものだと思っていたが、本来ここまで美しいものなのか。支えあい、補い合える人に出会い、努力しながらも幸せいっぱいな姿、日々の健康に感謝する姿勢が感動的である。
個人的に印象に残ったのはこの部分。「子供をもうけることだけが結婚の目的だとは、わたしたちは考えていなかった。二人がお互いの人格を尊敬し -
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実在の大工の棟梁、鈴本新吉(本名鈴木新吉)の一代記。
次々と訪れる不幸と貧困の中に育つ。ヤクザ相手にも引かず、軍隊に入っても自分が正しいと信じるならば上官にも引かず。
決して強いばかりでなく、弱い者への慈悲の心を持つ。強い男が悲しんだのは、自分の誠心誠意が通じない相手がいることを知った時。
過酷な生い立ちは、何かの罰が当たってるんじゃないかと自身も他者も疑うほど。キリスト教と出会い、キリスト教の神は罰を与えない神で、イエスの職業が同じ大工だったことを気に入り洗礼を受ける。
本文前の「身を殺して 霊魂をころし得ぬ者どもを 懼るな」(新約聖書 マタイ伝 第10章 28節)が、新吉の生き様そのもの。 -
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「井戸」、「足」、「羽音」、「奈落の声」、「どす黝き流れの中より」、そしてタイトルとなつてゐる「病めるときも」の六編からなる短編集です。
どの短編も人間の弱さやら傲慢さやらが、サラリと描かれてゐるかと思へば、エゲツなさ全開に描かれてもゐます。ただ、「病めるときも」は他の短編とは異なり、人間のさういふものを超えた奥深きところが描かれてゐます。
いづれにしても共通してゐるのは愛とは何なのか。…でせうかね。
また、どの編もハッピー・エンドとして描かれてはゐないやうであつても、文末の句点以降の書かれてゐない白紙部分をどう読むのか。ソレをどう受け容れるのか、受け容れられぬのかを作者から問はれてゐるや -
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「井戸」、「足」、「羽音」、「奈落の声」、「どす黝き流れの中より」、そしてタイトルとなつてゐる「病めるときも」の六編からなる短編集です。
どの短編も人間の弱さやら傲慢さやらが、サラリと描かれてゐるかと思へば、エゲツなさ全開に描かれてもゐます。ただ、「病めるときも」は他の短編とは異なり、人間のさういふものを超えた奥深きところが描かれてゐます。
いづれにしても共通してゐるのは愛とは何なのか。…でせうかね。
また、どの編もハッピー・エンドとして描かれてはゐないやうであつても、文末の句点以降の書かれてゐない白紙部分をどう読むのか。ソレをどう受け容れるのか、受け容れられぬのかを作者から問はれてゐるや