三浦綾子のレビュー一覧
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ネタバレ下巻は、光秀が信長を討ったとの報せが玉子のところに入るところから始まります。
夫の忠興は実家の家族が皆亡くなった玉子を味土野の山奥へ
幽閉します。
その時にキリシタンの清原佳代という侍女が供をしますが、玉子はこの時、佳代の影響を大きく受けます。
そして多摩湖は2年の後にその時天下を取っていた秀吉に許されて帰館します。
すると忠興にはおりょうという側室がすでに居て、玉子は非常にショックを受けます。
玉子は
「男はすべて女を策略や戦の道具に、あるいは子を産む道具にしか考えていないのではあるまいか」と思います。
そして「信仰を得たならば、こうした苦しみが消えるかもしれない」と思い、佳代らの助け -
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今村翔吾作『じんかん』を読み、松永弾正や細川家に興味を持ち、フォロワーさんの方々が、この作品をレビューされていたのを思い出して読みました。
上巻は、玉子(ガラシャ夫人)の少女時代、及び主に玉子の父の明智光秀の人柄がよくわかりました。
明智光秀というと三日天下という悪いイメージしかなかったのですが、人徳者だったということを初めて知りました。
少女時代の玉子は非常に利発で美しい子でした。
戦国の世に生まれた玉子は、
「女はみなこのようにして、好きも嫌いもわからぬ人に嫁ぐのかと思うと、それが口惜しゅうございます」
と言って、細川忠興に16歳で嫁いでいきます。
そして、光秀は平生、茶道、短歌、 -
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数多くの三浦綾子作品を読んできたが、今回も罪なき人達に襲いかかる多くの試練とそれを耐え忍ぶことを通じて生きるとはなにか、人を愛するとはなにか、といった人生の根源的な部分を問うた作品であった。
孝介と貴乃の純な恋愛が須田原家の完治により引き裂かれることから始まるこのストーリーであるが、想像を遥かに上回る混沌とした愛憎劇で、中盤読んでいるのが辛くなるほどであった。「人を一度も傷つけずに生きてる人間なんて、ありはしない」という孝介の言葉に重みを感じつつ、完治の働いた行為によりここまでも多くの人が悲しみ・苦しみに陥れられている状況、更に完治本人の心の中には何も変化がない、その状況に読んでいる私自身も絶 -
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むかし読んだ本を開いてみた。三浦綾子さんの半生記。
自分が傍線を引いた所に「あれっ」と思う。19歳の自分には未来の自分を見通す力があったのかもしれない。歳を重ねた今も同じ箇所に傍線を引く。ただ成長がないだけなのかもしれないけれど。「雲の上には太陽が輝いている」その言葉だけは新しく傍線を引いた。
忘れていた場所もあった。自殺未遂の高校生のくだり。自らも自殺しようとしたことがある三浦さんだからこそ、彼女の心も和らぎ、開かれたのだろう。婚約者だった西中一郎さんの包容力にもジーンときた。
24歳から37歳までギブスベットの上で青春を過ごした三浦綾子さん。心の人前川正さんを亡くしたときもベッドの上で涙 -
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何気なく手に取って買った本でこんなに感動するなんて・・・。小林多喜二=プロレタリア文学=『蟹工船』と昔暗記したあの小林多喜二の母の物語だ。特高につかまり,拷問を受け,亡くなった多喜二。そんな知識で彼の印象を決めつけていた自分が恥ずかしくなった。三浦綾子さんは多喜二の母になりきって,独特の口調で語りかける。学はないが,寛容で息子の選ぶことはすべて善と信じ切る母。貧乏の中で育った多喜二は,貧乏な人を救うには世の中を変えなくてはいけないと考え,小説を書き続ける。若くして女郎に売られたタミちゃんに恋心を抱いた多喜二は彼女を救おうと自分の財をなげうつ。しかし,彼は彼女に指一本ふれようとしない。自立した学
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何気なく手に取って買った本でこんなに感動するなんて・・・。小林多喜二=プロレタリア文学=『蟹工船』と昔暗記したあの小林多喜二の母の物語だ。特高につかまり,拷問を受け,亡くなった多喜二。そんな知識で彼の印象を決めつけていた自分が恥ずかしくなった。三浦綾子さんは多喜二の母になりきって,独特の口調で語りかける。学はないが,寛容で息子の選ぶことはすべて善と信じ切る母。貧乏の中で育った多喜二は,貧乏な人を救うには世の中を変えなくてはいけないと考え,小説を書き続ける。若くして女郎に売られたタミちゃんに恋心を抱いた多喜二は彼女を救おうと自分の財をなげうつ。しかし,彼は彼女に指一本ふれようとしない。自立した学
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読み終わって一言。しんどい。とにかくしんどい。
読んでいてこれ程までに胸を締め付けられるような小説がこれまであっただろうか? そう自問する。
読めば読む程、(殺されていい人なんていやしないのだけども)この人程、こんな死に方をしてはいけない人はいないだろうに、そう思って苦しくなる。
こんなに優しい人が、こんなに家族想いの人が、どうしてあんなに酷い死に方をしなければいけなかったのか。そればかりが頭の中でぐるぐると回った。
作中でお母さんも口にした疑問。小林多喜二はあんな目に遭わなければいけないような極悪人だったのか。そんなわけがない。元からそう思ってはいたが、この小説を読んでますますその思いが強 -
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読み終わって一言。しんどい。とにかくしんどい。
読んでいてこれ程までに胸を締め付けられるような小説がこれまであっただろうか? そう自問する。
読めば読む程、(殺されていい人なんていやしないのだけども)この人程、こんな死に方をしてはいけない人はいないだろうに、そう思って苦しくなる。
こんなに優しい人が、こんなに家族想いの人が、どうしてあんなに酷い死に方をしなければいけなかったのか。そればかりが頭の中でぐるぐると回った。
作中でお母さんも口にした疑問。小林多喜二はあんな目に遭わなければいけないような極悪人だったのか。そんなわけがない。元からそう思ってはいたが、この小説を読んでますますその思いが強 -
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前作「泥流地帯」で、北海道の十勝岳が噴火。拓一と耕作兄弟は一瞬にして祖父母、姉、妹、そして田畑を失う。貧しくとも真実に生きてきた彼らに与えられた結果がこの報い。折れそうな心を懸命に立て直そうとする耕作だが、復興に取り組んだところで、またも裏切られるのではないかという疑問は消えない。
若い頃の苦労が大事なのは今も昔も変わらない。それはわかっているんだけど、誰もがこの兄弟ほど真面目に生きられるのか。苦労は報われないこともあることを理解し、納得できるのか。考えれば考えるほど、人生は理不尽だと思う。
本作品では、復興に取り組む村民の中で悪事に走る者もいれば、宗教にすがる者も登場する。そんな様々な人 -
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感動する小説は世の中に数多あります。
ただ、打ちのめされる小説に出合うことは滅多にありません。
打ちのめされました。
世に言う「北海道綴り方教育連盟事件」を題材にした94年刊行(単行本)の小説です。
と聞けば、こういうご時世です、「反戦平和小説ですか」「サヨクですね」と揶揄する向きもあるでしょう。
それは半可通というものです。
早合点するなかれ、主人公の竜太は紛うかたなき皇国民です。
陛下の大御心を理解し、奉安殿に向かって深々と、それは見事な最敬礼をする青年です。
そういう青年が「アカ」と疑われ、治安維持法違反で過酷な取り調べを受けたのです。
げに恐ろしいのは法律の中身でも政治家でもない、法律 -
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三浦綾子にはまっていたのは2009年。「氷点」&「続氷点」、「道ありき」を読んだ以来8年ぶりに彼女の著書を手に取ってみた。
小林多喜二の母であるセキが一人称の形で綴られている「母」。面白く読みやすく一気に読んでしまった。
「蟹工船」は買ったもののまだ読んでなかったな。マンガバージョンでなら何度か読んだけど。
戦中、言論統制、思想統制が強くなる中、信ずることを表明し広め社会を変えていこうとした多喜二。針を刺されながらも血を吐きながらも世の中が間違っている、これからは人間こう生きていかねばならないと唱え続けることができるその姿を、イエス・キリストと重ねて見た三浦綾子。
三浦綾子だからか