三浦綾子のレビュー一覧
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何かと忙しなくて苦手な春、現実逃避がしたくてここに戻ってきた。実際の十勝岳噴火による泥流被害を元にしているので 決して明るい気分になれる話ではないし、悲しさと悔しさで涙を流しっぱなしだけれど、自分の正しいと思うことを貫き通す勇気と、誰に認められなくてもひたむきに頑張る活力をもらえる。
耕作や拓一よりも若かった初見の時から20年が経ち、もう佐枝さんの方が歳が近いのも不思議な感覚。読む度に感じるものも変わっているし、また気が向いた時に戻ってきてもっともっと深く味わいたい。
8年程前から紆余曲折あり遂に決定した映画化も本当に応援したいし、今後も古典としてずっと読み継がれていってほしい。
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ネタバレ原罪という難しいテーマだった。あまりに辛い展開で、読んでいて苦しかった。
啓造も夏枝も自分勝手で意地悪い人間に思われるが、嫌悪感を感じながらも、最後まで嫌いになれなかった。第三者として綺麗事を言うのは簡単だ。でも、自分が啓造や夏枝の立場だったら、どうだったろうか。自分はこの2人を馬鹿にできるほど、立派な人間であるだろうか。
この夫婦に対比して描かれる辰子や北原だって、一見よくできた人間のように思われるが、誰かの立場からしたら悪になり得るかもしれない。
何の穢れもなく描かれていたはずの陽子ですら、最後は「ゆるし」を求めて自殺を図ったのだから。
人にはそれぞれ氷点がある。啓造も夏枝も陽子も、その氷 -
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ネタバレ原罪という難しいテーマだった。あまりに辛い展開で、読んでいて苦しかった。
啓造も夏枝も自分勝手で意地悪い人間に思われるが、嫌悪感を感じながらも、最後まで嫌いになれなかった。第三者として綺麗事を言うのは簡単だ。でも、自分が啓造や夏枝の立場だったら、どうだったろうか。自分はこの2人を馬鹿にできるほど、立派な人間であるだろうか。
この夫婦に対比して描かれる辰子や北原だって、一見よくできた人間のように思われるが、誰かの立場からしたら悪になり得るかもしれない。
何の穢れもなく描かれていたはずの陽子ですら、最後は「ゆるし」を求めて自殺を図ったのだから。
人にはそれぞれ氷点がある。啓造も夏枝も陽子も、その氷 -
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上下巻ともに学びの多い本でした。
明智光秀、ガラシャ夫人の気品はさることながら、やっぱり人間の価値は、見目形や社会的地位などで測れるものでないと思いました。そんなものはすぐに崩れ去るつまらないものと思えました。
(ちょうど住まいを探しているタイミングでしたが、この本に影響されて、あばら家でも良いのだ、とさえ思ったりしました笑)
人間、優しさと謙遜なんですね。そのとおりだと思いました。今のわたしに全く欠けているものでした(笑)
(ガラシャ夫人は見目形も美しいのに、)そこにたのまない生き方が、かっこよかったです。辞世の句も潔く、女性らしい品格がありながら、精神的にはある意味、男性よりも男らし -
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1年遅れで北大に入学した陽子。
夏枝と離れて兄の徹や北原さんと穏やかな大学生活を送れると思っていたら、生みの母親の家族との接点が出来てしまう。
不義の子を産んだ母も、不義の子として生まれた自分も許せず思い悩む陽子。罪と許しについて考えさせられました。こんな重い話、私の身には降りかからないけど。
育ての母である夏枝が浅はかで、わがままで、苦手。でも私も似たようなもんなんじゃないかと思ったりして、自分省みるためにもたまに読もう。氷点〈上・下〉、続・氷点〈上・下〉全4巻の中で夏枝が圧倒的にやばいキャラかと思いきや、もっとやばい奴が出てきます。面白かった。 -
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1年遅れで北大に入学した陽子。
夏枝と離れて兄の徹や北原さんと穏やかな大学生活を送れると思っていたら、生みの母親の家族との接点が出来てしまう。
不義の子を産んだ母も、不義の子として生まれた自分も許せず思い悩む陽子。罪と許しについて考えさせられました。こんな重い話、私の身には降りかからないけど。
育ての母である夏枝が浅はかで、わがままで、苦手。でも私も似たようなもんなんじゃないかと思ったりして、自分省みるためにもたまに読もう。氷点〈上・下〉、続・氷点〈上・下〉全4巻の中で夏枝が圧倒的にやばいキャラかと思いきや、もっとやばい奴が出てきます。面白かった。 -
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養女の陽子が服毒自殺を図ったところで終わった前作。どう続くのか気になってましたが、自殺騒動の後から続いてました。いきなり10年後とかじゃなくて良かった。
養女にした経緯や、生みの親の素性など誤解は解けたはずなのに元通りとはいかない辻口家の皆さんですが、少しずつ前に進んでいきます。まずは日常を取り戻すところからなのでゆ〜っくりですが。
啓造に想いを寄せていた女由香子はファザコンなんじゃないかな。早くに親を亡くし、唯一の肉親であるお兄さんが結婚しちゃって寂しくて心細かったのもあるんじゃないかな?
あと夫の部下に言い寄られてウキウキしちゃった夏枝さんが嫉妬深い。愛人がいる人ほど配偶者の浮気 -
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養女の陽子が服毒自殺を図ったところで終わった前作。どう続くのか気になってましたが、自殺騒動の後から続いてました。いきなり10年後とかじゃなくて良かった。
養女にした経緯や、生みの親の素性など誤解は解けたはずなのに元通りとはいかない辻口家の皆さんですが、少しずつ前に進んでいきます。まずは日常を取り戻すところからなのでゆ〜っくりですが。
啓造に想いを寄せていた女由香子はファザコンなんじゃないかな。早くに親を亡くし、唯一の肉親であるお兄さんが結婚しちゃって寂しくて心細かったのもあるんじゃないかな?
あと夫の部下に言い寄られてウキウキしちゃった夏枝さんが嫉妬深い。愛人がいる人ほど配偶者の浮気 -
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昭和21年 病院長 辻口啓造は美しい妻 夏枝とかわいい2人の子ども達と旭川で暮らしていた。ある日、幼い娘が何者かに殺された。娘が外出したのは妻が浮気していたからだと思い込んだ啓造は、妻への最大の復讐を思いつく。娘を殺した犯人の子どもを引き取り、事情は明かさず妻に育てさせようと。。。
引き取られた犯人の赤ちゃんがただただかわいそう。でも昭和21年代の北海道や、雪国での暮らしは興味深くて、いつの日か旭川市の三浦綾子記念文学館に行ってみたいな。2年前に青森・北海道旅行に行って旭川も行ったのに、素通りしてしまった、、、。
冬に読むと雰囲気たっぷり。 -
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昭和21年 病院長 辻口啓造は美しい妻 夏枝とかわいい2人の子ども達と旭川で暮らしていた。ある日、幼い娘が何者かに殺された。娘が外出したのは妻が浮気していたからだと思い込んだ啓造は、妻への最大の復讐を思いつく。娘を殺した犯人の子どもを引き取り、事情は明かさず妻に育てさせようと。。。
引き取られた犯人の赤ちゃんがただただかわいそう。でも昭和21年代の北海道や、雪国での暮らしは興味深くて、いつの日か旭川市の三浦綾子記念文学館に行ってみたいな。2年前に青森・北海道旅行に行って旭川も行ったのに、素通りしてしまった、、、。
冬に読むと雰囲気たっぷり。 -
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愛とはゆるすことだよ、相手を生かすことだよ。
まさにその言葉を体現したような内容だった。
この本は約半世紀前に認められたものであって、当時の人々に真の愛とは何かを問いかけるものであったのだろうが、現代ではどうだろうか。私は当時よりも一段と愛というものを誤認して、知った気になっている人が増えているように感ずる。人々は簡単に恋や性の直線上に愛を語るが、それは真に愛することだといえるのだろうか。
また真に愛すること、即ち相手を赦し、生かすことはどれほど傲慢でどうしようもないような相手でさえも愛に包み得るのだろうか。
不完全ながらもここで語られる愛を遂行した、或いはするべきだと説いた主人公の父親が牧師