三浦綾子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
この物語における「事件」は前作冒頭に起きた事件のみ。犯人も捕まっていて解決済みのひとつの事件が影響を与えていくという、不思議なミステリーだった。登場人物1人ひとりの細かい心理描写があり、「ゆるし」ということについて考えさせられる。
私のまわりにも軽薄で思考が浅いと感じる人はいてがっかりしたりイライラしたりはする。しかし、そのような人は決して思いやりがないとか優しくないわけでもなく、思考の軸がこちらとは違うだけで、優しい気持ちも思いやりも持っていて、ある意味では、深く読みし過ぎてしまう私たちよりも素直で、気持ちも強い部分があるのだと思う。そしてそれが深読みし、共感し過ぎて疲弊する人間にとっては救 -
Posted by ブクログ
この物語における「事件」は前作冒頭に起きた事件のみ。犯人も捕まっていて解決済みのひとつの事件が影響を与えていくという、不思議なミステリーだった。登場人物1人ひとりの細かい心理描写があり、「ゆるし」ということについて考えさせられる。
私のまわりにも軽薄で思考が浅いと感じる人はいてがっかりしたりイライラしたりはする。しかし、そのような人は決して思いやりがないとか優しくないわけでもなく、思考の軸がこちらとは違うだけで、優しい気持ちも思いやりも持っていて、ある意味では、深く読みし過ぎてしまう私たちよりも素直で、気持ちも強い部分があるのだと思う。そしてそれが深読みし、共感し過ぎて疲弊する人間にとっては救 -
Posted by ブクログ
再読。ン十年ぶり。カトリック女子大に通っていたころ、三浦綾子さんにはまってよく読んだ。
すっかり日焼けした、小さな文字の文庫本の奥付には平成2年とある。
実話をもとに書かれた小説であるが、まあ、そんなことはどうでもよい。とにかく純粋な主人公永野信夫という人とその人生にひきこまれる。
明治の時代、不治の病と思われていた脊椎カリエスを患っている恋人を長年見舞い、一途に愛し続ける。それだけでもありえないような話なのに、その大切な人たちを置いて、縁のない偶然に客車に乗り合わせた人々のために自らのからだをもってその多くの命を救う。
この人のなしえたことのただひとつも自分はできないであろう。
多くの三浦 -
Posted by ブクログ
再読。ン十年ぶり。カトリック女子大に通っていたころ、三浦綾子さんにはまってよく読んだ。
すっかり日焼けした、小さな文字の文庫本の奥付には平成2年とある。
実話をもとに書かれた小説であるが、まあ、そんなことはどうでもよい。とにかく純粋な主人公永野信夫という人とその人生にひきこまれる。
明治の時代、不治の病と思われていた脊椎カリエスを患っている恋人を長年見舞い、一途に愛し続ける。それだけでもありえないような話なのに、その大切な人たちを置いて、縁のない偶然に客車に乗り合わせた人々のために自らのからだをもってその多くの命を救う。
この人のなしえたことのただひとつも自分はできないであろう。
多くの三浦 -
Posted by ブクログ
ネタバレなんとなく結末は知っていたものの、主人公にモデルがいて、実際の事故を元にしたお話だとは知りませんでした。
『氷点』シリーズを読んだ後だったので、信夫と、海難事故の際の牧師さんの姿が重なりました。
他者のために自己犠牲が出来るかと自分に問うと、無理だと即答してしまいます。
また、宗教心も全く持ち合わせていません。
だからこそ、自分とは異なる信夫を通して、「生き方」「信仰」について考えさせられました。
幸せの絶頂手前で、婚約者を失ったふじ子さんの、ラストの慟哭が涙を誘いました。
が、あのふじ子さんなら、ひとしきり泣いた後は、信夫を誇りに思い、変わらず清廉に生きていくのではないだろうかとも思 -
Posted by ブクログ
ネタバレなんとなく結末は知っていたものの、主人公にモデルがいて、実際の事故を元にしたお話だとは知りませんでした。
『氷点』シリーズを読んだ後だったので、信夫と、海難事故の際の牧師さんの姿が重なりました。
他者のために自己犠牲が出来るかと自分に問うと、無理だと即答してしまいます。
また、宗教心も全く持ち合わせていません。
だからこそ、自分とは異なる信夫を通して、「生き方」「信仰」について考えさせられました。
幸せの絶頂手前で、婚約者を失ったふじ子さんの、ラストの慟哭が涙を誘いました。
が、あのふじ子さんなら、ひとしきり泣いた後は、信夫を誇りに思い、変わらず清廉に生きていくのではないだろうかとも思 -
Posted by ブクログ
中学の時に一度読んだきりの「蟹工船」だが、強い印象に残っている。その作者、小林多喜二の母の語りが本書だ。実話を元にしたノンフィクションとのこと。
今の時代では考えられないような貧しさだが、母の心の清らかさと温かさには首を垂れるしかしない。誰から教えられることもなく、ここまで人を清らかに優しく、純粋にさせるものは何なのかと思う。当たり前のように心から子供たちがすることを信じて背中を押す姿もとても印象的だ。母を迎えた多喜二の父も同様だ。多喜二の優しさと清らかさ、賢さ、一途さも、こんな人は今まで知らない。小林多喜二とはこのような人だったのか。
貧しさ故に学校に行くこともできず、子供の頃から働き詰 -
Posted by ブクログ
中学の時に一度読んだきりの「蟹工船」だが、強い印象に残っている。その作者、小林多喜二の母の語りが本書だ。実話を元にしたノンフィクションとのこと。
今の時代では考えられないような貧しさだが、母の心の清らかさと温かさには首を垂れるしかしない。誰から教えられることもなく、ここまで人を清らかに優しく、純粋にさせるものは何なのかと思う。当たり前のように心から子供たちがすることを信じて背中を押す姿もとても印象的だ。母を迎えた多喜二の父も同様だ。多喜二の優しさと清らかさ、賢さ、一途さも、こんな人は今まで知らない。小林多喜二とはこのような人だったのか。
貧しさ故に学校に行くこともできず、子供の頃から働き詰 -
Posted by ブクログ
一気に読みました。氷点がかなり面白かったので、続編こわいな〜と思って二の足を踏んでいましたが、読み始めたらすぐ読んでしまった。おもしろかった。読んでてしんどかったりもどかしかったりする話だけど離さない引力のある話だな〜と氷点同様思った。
上巻、夏枝へのヘイト溜めすぎじゃない!?!?というほど執拗に書かれているような気がした。わたしは氷点のときから、夏枝という女がなんだかんだ嫌いではないというか、彼女はどうしようもなく箱入りのお嬢さんのままで、水と土が良ければ完璧な美しい花で、本当に素敵な女性で本当に素敵な母だったのだと思う。だからどちらかというと啓造のほうに苛立つというか、自分は正しいことしか -
Posted by ブクログ
一気に読みました。氷点がかなり面白かったので、続編こわいな〜と思って二の足を踏んでいましたが、読み始めたらすぐ読んでしまった。おもしろかった。読んでてしんどかったりもどかしかったりする話だけど離さない引力のある話だな〜と氷点同様思った。
上巻、夏枝へのヘイト溜めすぎじゃない!?!?というほど執拗に書かれているような気がした。わたしは氷点のときから、夏枝という女がなんだかんだ嫌いではないというか、彼女はどうしようもなく箱入りのお嬢さんのままで、水と土が良ければ完璧な美しい花で、本当に素敵な女性で本当に素敵な母だったのだと思う。だからどちらかというと啓造のほうに苛立つというか、自分は正しいことしか