三浦綾子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
一気に読みました。氷点がかなり面白かったので、続編こわいな〜と思って二の足を踏んでいましたが、読み始めたらすぐ読んでしまった。おもしろかった。読んでてしんどかったりもどかしかったりする話だけど離さない引力のある話だな〜と氷点同様思った。
上巻、夏枝へのヘイト溜めすぎじゃない!?!?というほど執拗に書かれているような気がした。わたしは氷点のときから、夏枝という女がなんだかんだ嫌いではないというか、彼女はどうしようもなく箱入りのお嬢さんのままで、水と土が良ければ完璧な美しい花で、本当に素敵な女性で本当に素敵な母だったのだと思う。だからどちらかというと啓造のほうに苛立つというか、自分は正しいことしかしていないという風なところがかなり鼻についたような感じ。
そういうと辰子も村井もむかっとくるんだけど。
陽子の産みの母、その家族も登場して話が動いていくと「どうなっちゃうのー!」とハラハラしてしまってややつらかった。
今作は「ゆるし」がテーマとのことで、あらゆる登場人物が自身の罪に向き合い、あるいは他人の罪をいかにゆるしたか、というシーンが出てくる。陽子は自身の罪というより、不義を犯した母が何よりゆるせない。その果てに生まれた自分が祝福されなかった子供であることを憂う。という葛藤がたびたび出てきて、ラストの流氷のシーンがある。なんどもキリスト教のおしえが出てくるんだけど、人と人の間のゆるしてほしいという気持ちとゆるしは永久ではないのだなと思った。なんていうか言い方が難しいのだけど。だから人には神さまが必要なのかもしれない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ人気作の続編なんて、たいてい蛇足的なもので面白みは劣るのではないか。
そう思っていたのですが、間違いでした。
相変わらずイライラすることもありました。
しかし、冒頭、徹が夏枝に(私が)言いたかったことを全部言ってくれたり、終盤、夏枝が陽子に謝罪したりと、スッキリすることもありました。
由香子ちゃんも生きてて良かった。辰子さんがついていてくれるから安心。
それにしても、村井だけはずーっと一貫してクズですね!
また、初めて陽子の生みの親が姿を現しました。
彼女は、潔く過失を認めて、それを誰かのせいにしない。夏枝とは、対照的なところが印象に残りました。
何より、この巻には心に響く名言がありました。
「(前略)幸福が人間の内面の問題だとしたら、どんな事情の中にある人にも、幸福の可能性はあると思うの」(p262)
「真の意味で自分を大事にすることを知らない者は、他の人をも大事にすることを知らない」(p332)
「あくせくして集めた金や財産は、誰の心にも残らない。しかしかくれた施し、真実な忠告、あたたかい励ましの言葉などは、いつまでも残る」(p333)
なるほどなあと深く心に残りました。
今は生みの親を許せない陽子が、今後どうなるのか。気になります。 -
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ネタバレ人気作の続編なんて、たいてい蛇足的なもので面白みは劣るのではないか。
そう思っていたのですが、間違いでした。
相変わらずイライラすることもありました。
しかし、冒頭、徹が夏枝に(私が)言いたかったことを全部言ってくれたり、終盤、夏枝が陽子に謝罪したりと、スッキリすることもありました。
由香子ちゃんも生きてて良かった。辰子さんがついていてくれるから安心。
それにしても、村井だけはずーっと一貫してクズですね!
また、初めて陽子の生みの親が姿を現しました。
彼女は、潔く過失を認めて、それを誰かのせいにしない。夏枝とは、対照的なところが印象に残りました。
何より、この巻には心に響く名言がありました。
「(前略)幸福が人間の内面の問題だとしたら、どんな事情の中にある人にも、幸福の可能性はあると思うの」(p262)
「真の意味で自分を大事にすることを知らない者は、他の人をも大事にすることを知らない」(p332)
「あくせくして集めた金や財産は、誰の心にも残らない。しかしかくれた施し、真実な忠告、あたたかい励ましの言葉などは、いつまでも残る」(p333)
なるほどなあと深く心に残りました。
今は生みの親を許せない陽子が、今後どうなるのか。気になります。 -
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ネタバレ佐石の娘、順子がここまで生きてきた理由が辛く悲しい。いい養父母のもとで育ってそれだけは幸せだ。
対して陽子は、裕福な家で育ったが順子の様な愛の中で育ったとは言えない。当たりのきつい夏枝、兄弟の愛情とは違う感情の徹、徹とはまた違う愛情を持つ啓造。さらに感情的すぎる実弟の達哉、穏やかなようでそうでもない北原、どこまで気の毒な…
それなのに陽子は、常に罪と赦しを悩み続けている。何処かで自分を解放してほしいと読みながら思っているのに最後に北原を選ばざるを得なくなるのか。
登場人物の中で辰子が一番人間味あると思うが、ラストを辰子は何というのだろうか。陽子くんが決めたことなら、というのかな。
本の中で垣間見える生活は昭和そのものだけど、手紙を書く、夕刊を手渡す、などいい時代だったんだなと懐かしく思う。もちろん戻れないが、今の若い子が読んだらどう思うのかな。
何度読んでも、美しくいい本だと思う。この先も折に触れ読み返したい。
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ネタバレ佐石の娘、順子がここまで生きてきた理由が辛く悲しい。いい養父母のもとで育ってそれだけは幸せだ。
対して陽子は、裕福な家で育ったが順子の様な愛の中で育ったとは言えない。当たりのきつい夏枝、兄弟の愛情とは違う感情の徹、徹とはまた違う愛情を持つ啓造。さらに感情的すぎる実弟の達哉、穏やかなようでそうでもない北原、どこまで気の毒な…
それなのに陽子は、常に罪と赦しを悩み続けている。何処かで自分を解放してほしいと読みながら思っているのに最後に北原を選ばざるを得なくなるのか。
登場人物の中で辰子が一番人間味あると思うが、ラストを辰子は何というのだろうか。陽子くんが決めたことなら、というのかな。
本の中で垣間見える生活は昭和そのものだけど、手紙を書く、夕刊を手渡す、などいい時代だったんだなと懐かしく思う。もちろん戻れないが、今の若い子が読んだらどう思うのかな。
何度読んでも、美しくいい本だと思う。この先も折に触れ読み返したい。
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ネタバレ二度目の『銃口』。今回は北森竜太が戦場で出会った近藤上等兵に胸が熱くなり、それだけに喪失感が大きかった。山田曹長の人間性と判断力にも揺さぶられた。
読み終えた時、昭和という激流の時代を生き抜いたようなそんな錯覚をおぼえた。
綴り方に熱心な教師が、何の罪もおかしていないのに,逮捕され拷問された時代。多様な考えを持つことが許されなかった時代はまさに狂気の時代だ。戦争に被害者も加害者もない。巻きこまれた人達はみんな被害者だ。その時代を確かに生きてきた父と母から私は生まれた。父は,飛行機の設計をしていた。母は満州に渡って,敗戦とともに日本にひきあげてきた。満州開拓団の集団自決には心に痛みが走った。自分が生まれ、今ここに存在するということは奇跡に近い。
子どもの頃,中国の話を母から聞いた。黄河の広さ,裕福な暮らし,そして敗戦。天国と地獄を味わった母の話は,幼い私の心をとらえてはなさなかった。
私の今の生活はこの『銃口』の時代の延長線上にあるのだろうか。今の私は,拷問されて亡くなった人たちや戦争で命を落とした人々と本当につながっているのだろうか。きっとつなげていかなくてはならないのだ。
この『銃口』にも救いはあった。主人公が,芳子という女性と結ばれたことだ。結納の直前に特高警察に引き裂かれ,結婚の直前には赤紙に引き裂かれた彼らが結ばれたのはうれしかった。
戦争が終わっても,彼らの心は決して晴れやかにはならなかった。失ったものがあまりに大きすぎたのだろう。
三浦綾子さんが残してくれたものをこれからも味わって生きたい。 -
Posted by ブクログ
人間の本質に迫る三浦文学の最高傑作と言われている『銃口』。久方ぶりに再読している。
「どうしたらいいかわからん時は、自分が損になる方を選ぶといい。」
担任の坂部先生は温かい心にふれて、主人公竜太は教師を志す。
日中戦争が始まった昭和12年、竜太は旭川でなく炭鉱の町の小学校へ赴任する。純粋な彼は、先輩の木下先生にも教師としての憧れを抱きつつ、真っ直ぐに教育の道を突き進む。音楽の備品が整わない中行った研究授業は、まさに目から鱗の授業だった。しかし、綴り方教育に力を入れている彼に特高の影がちらつき始める。
戦争が激化し、物資が減り、それとともに思想が統制されていく。表現の自由がせばめられていく環境の中で、教師達が竜太がどう生きていくのか、下巻がすぐに読みたくなる。