三浦綾子のレビュー一覧
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ネタバレ終戦を機に、教科書を墨塗りにさせられ、それまで教えたことが誤りだったかもしれないことに自責の念を感じた著者は、七年間の教員生活に終止符を打ち、虚無感の中に沈んでいく。そんな中肺病となり、同じく肺病患者でクリスチャンの前川正に導かれて次第にキリスト教の教えに触れ、信仰を得ていく。自殺未遂までした虚無から、さらにはカリエスとなって寝たきりになり、愛する前川正にも先立たれた悲しみをも生き抜いて、同じくクリスチャンの三浦光世と結婚するまでの自伝的小説。
人生に生きる意味はあるのか、自分は生きていても良いのか。子どもたちに偉そうに教えたことが次の日には誤りとして墨塗りにされる、この世で真実とされるもののあやふやさの中に、前川や三浦や、元婚約者の西中の筆者に対する態度は、さらにいえばクリスチャンの人々の態度は、いつも利他的で愛に満ちていて、真実であることを感じさせる。そんな揺るぎない愛と信仰と希望を持って、神の前に真実に生きることの尊さと、難しさを感じる。
でも小学校教師としての筆者は、国定教科書に書かれている以上のことを児童たちに教えていると思うし、受け持ちの子どもたち一人ひとりのその日の出来事をそれぞれの日記に書いていく先生の眼差しや先生の愛はそれこそ真実だと思う。キリスト教に出会う前のことだけど、教師としてのこの筆者の態度の中にも真実の愛があるのではないかと思った。(私は真似できない) -
Posted by ブクログ
この物語における「事件」は前作冒頭に起きた事件のみ。犯人も捕まっていて解決済みのひとつの事件が影響を与えていくという、不思議なミステリーだった。登場人物1人ひとりの細かい心理描写があり、「ゆるし」ということについて考えさせられる。
私のまわりにも軽薄で思考が浅いと感じる人はいてがっかりしたりイライラしたりはする。しかし、そのような人は決して思いやりがないとか優しくないわけでもなく、思考の軸がこちらとは違うだけで、優しい気持ちも思いやりも持っていて、ある意味では、深く読みし過ぎてしまう私たちよりも素直で、気持ちも強い部分があるのだと思う。そしてそれが深読みし、共感し過ぎて疲弊する人間にとっては救いであり、必要な存在であると思った。根本的な考え方の違いということを受け入れる=ゆるすことで生きやすくなるのかもしれないと感じた。 -
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この物語における「事件」は前作冒頭に起きた事件のみ。犯人も捕まっていて解決済みのひとつの事件が影響を与えていくという、不思議なミステリーだった。登場人物1人ひとりの細かい心理描写があり、「ゆるし」ということについて考えさせられる。
私のまわりにも軽薄で思考が浅いと感じる人はいてがっかりしたりイライラしたりはする。しかし、そのような人は決して思いやりがないとか優しくないわけでもなく、思考の軸がこちらとは違うだけで、優しい気持ちも思いやりも持っていて、ある意味では、深く読みし過ぎてしまう私たちよりも素直で、気持ちも強い部分があるのだと思う。そしてそれが深読みし、共感し過ぎて疲弊する人間にとっては救いであり、必要な存在であると思った。根本的な考え方の違いということを受け入れる=ゆるすことで生きやすくなるのかもしれないと感じた。 -
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中学の時に一度読んだきりの「蟹工船」だが、強い印象に残っている。その作者、小林多喜二の母の語りが本書だ。実話を元にしたノンフィクションとのこと。
今の時代では考えられないような貧しさだが、母の心の清らかさと温かさには首を垂れるしかしない。誰から教えられることもなく、ここまで人を清らかに優しく、純粋にさせるものは何なのかと思う。当たり前のように心から子供たちがすることを信じて背中を押す姿もとても印象的だ。母を迎えた多喜二の父も同様だ。多喜二の優しさと清らかさ、賢さ、一途さも、こんな人は今まで知らない。小林多喜二とはこのような人だったのか。
貧しさ故に学校に行くこともできず、子供の頃から働き詰めで、その上子供を殺される経験までして、80過ぎまで生きてきた多喜二の母。戦後の日本には、このような方がたくさんいたのだろう。そのような方々の存在を胸に留めておきたいと、改めて感じた。 -
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中学の時に一度読んだきりの「蟹工船」だが、強い印象に残っている。その作者、小林多喜二の母の語りが本書だ。実話を元にしたノンフィクションとのこと。
今の時代では考えられないような貧しさだが、母の心の清らかさと温かさには首を垂れるしかしない。誰から教えられることもなく、ここまで人を清らかに優しく、純粋にさせるものは何なのかと思う。当たり前のように心から子供たちがすることを信じて背中を押す姿もとても印象的だ。母を迎えた多喜二の父も同様だ。多喜二の優しさと清らかさ、賢さ、一途さも、こんな人は今まで知らない。小林多喜二とはこのような人だったのか。
貧しさ故に学校に行くこともできず、子供の頃から働き詰めで、その上子供を殺される経験までして、80過ぎまで生きてきた多喜二の母。戦後の日本には、このような方がたくさんいたのだろう。そのような方々の存在を胸に留めておきたいと、改めて感じた。 -
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一気に読みました。氷点がかなり面白かったので、続編こわいな〜と思って二の足を踏んでいましたが、読み始めたらすぐ読んでしまった。おもしろかった。読んでてしんどかったりもどかしかったりする話だけど離さない引力のある話だな〜と氷点同様思った。
上巻、夏枝へのヘイト溜めすぎじゃない!?!?というほど執拗に書かれているような気がした。わたしは氷点のときから、夏枝という女がなんだかんだ嫌いではないというか、彼女はどうしようもなく箱入りのお嬢さんのままで、水と土が良ければ完璧な美しい花で、本当に素敵な女性で本当に素敵な母だったのだと思う。だからどちらかというと啓造のほうに苛立つというか、自分は正しいことしかしていないという風なところがかなり鼻についたような感じ。
そういうと辰子も村井もむかっとくるんだけど。
陽子の産みの母、その家族も登場して話が動いていくと「どうなっちゃうのー!」とハラハラしてしまってややつらかった。
今作は「ゆるし」がテーマとのことで、あらゆる登場人物が自身の罪に向き合い、あるいは他人の罪をいかにゆるしたか、というシーンが出てくる。陽子は自身の罪というより、不義を犯した母が何よりゆるせない。その果てに生まれた自分が祝福されなかった子供であることを憂う。という葛藤がたびたび出てきて、ラストの流氷のシーンがある。なんどもキリスト教のおしえが出てくるんだけど、人と人の間のゆるしてほしいという気持ちとゆるしは永久ではないのだなと思った。なんていうか言い方が難しいのだけど。だから人には神さまが必要なのかもしれない。