三浦綾子のレビュー一覧
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購入済み
蟹工船は昔読んだことがありましたが、小林多喜二の人生はよく知りませんでした。母親の目線から語られる多喜二は自分の正義に真っ直ぐ向かう強さを持っていて、そして惨い最期を遂げます。なぜ人を助けようと行動することが罪になるのか、母親の苦悩にキリスト教が最終的に支えとなったのは自然の流れかと思います。理不尽がまかり通った時代の子を思う親の気持ちに身につまされる思いでした。
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耕作が悩みながらひとつひとつ乗り越えて成長するさまがいい。兄の拓一は命懸けで大切な人、大切なものを守ろうとする言わば理想の人だ。泥流地帯の不毛な土地を復興させようと、挫けずにポジティブに汗を流し続ける。暴漢に襲われた弟耕作の代わりに大怪我をしても。
正しいことをして報いはなくても、試練と受け止めて生きる拓一。そんな兄を尊敬し、精神的な成長を遂げていく耕作。
この兄弟が泥流地帯を開拓するように、未来を切り拓いていく。
私が好きな場面は、節子の真実を耕作が受け止める場面。姉のために家族のために中学進学を諦めた耕作を思い、人知れず泣いた節子。それが耕作の胸に届いてよかった。
福子の幸せをみんなで祈 -
Posted by ブクログ
耕作が教師になって同じ境遇の子の綴り方に涙ぐむ優しさにふれる。耕作の恩師、菊川先生のようだ。
耕作が尊敬する菊川先生も、論語や聖書に精通する耕作のおじいちゃんも慈愛に満ちた人だ。もの知りなだけではない。人が学ぶうえで、生きるうえで、本当に大切なことを教えてくれる。
徴兵制のある時代、小作人が蔑まれた時代、お金のために子どもが売られた時代、そんな時代の話。読み進めるのが辛い場面、切ない場面もあるが、読むことをやめることができない。
貧しさの中、理不尽な扱いを受けながらも凛として生きていく耕作。そしてその兄、拓一。
そして十勝岳噴火、山津波。
良子は母に会えることを楽しみにしていたのに
それも叶 -
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50年以上前の作品。
それでも現在でも難なく読めた作品。
舞台は戦後四、五年後の若き女子高校生達(女学校から高校生に変わる頃)の、男女間のもつれなお話。
どなたかが感想に“コンパクトな氷点”と表現していたが、確かにそんな感じがしました。
テーマは“愛”と“赦し”。
とは言え、氷点よりドロっとした感じは否めない。登場人物を若めにしているせいか、まだまだ人生経験が足りない者も居れば、駄目の三冠王みたいな男も居る。
良一の扱いが今作のキーとなるだろう。
駄目の三冠王・良一(酒に溺れる、女たらし、妻に手を挙げる)は、初めのうちは見るに耐えないクズ男だが、肺病の初期段階における吐血するところか -
Posted by ブクログ
もう、何と言うか…圧巻でした。
拓一、耕作兄弟こそ在るべき兄弟の姿なのでしょう。
そう育ったのも父母や祖父母の教えや優しさが、きちんと伝わった証。
自分に厳しく、人に優しく。
これができる人間もそうはいないだろう。
何を言われようとも、されようとも、挫けず未来を見据え前進する素晴らしさ、しかも逆境のもとからの再スタート。
それらを耐え抜いたからこそ、翌年には稲が根付き青々としてくれた。
信心深くはないおっちゃんですが、見ている人はちゃんと見ている。日々の頑張りは決して無駄にはならない。これらを両親から聞かされ大きくなりました。
たとえ良い結果にならなくとも、頑張りは人生の糧になるものと信じ -
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ネタバレ304ページ以降の玉子の凛とした佇まいと最期には、思わず私も電車で鳥肌が立ち、ひとりマフラーに顔を埋めながら涙しておりました。
一方でキリスト教や、神を信じることって、こうゆうことなの?と言葉にできない矛盾を感じて、この本を勧めてくれたクリスチャンの友人に聞いてみたら、やはりその時代によって信仰の在り方は様々なのではないかと…玉子の生きた時代はデウス様に頼ることしかできなかったのではないかと……
その為この細川ガラシャ夫人という本を読んで終わりではなく、いろんな角度から宗教や信仰の在り方を見ていきたいと思ったし、信長はなぜあんなにも暴君なのかということも気になる…どういった生い立ちがあって信長 -
Posted by ブクログ
生まれや育ちが貧しく貧困でも、真っ当に生きる姿に惹かれました。
四人兄妹(富、拓一、耕作、良子)育ての祖父母の言葉こそ、脈々と後世に語り継がされていくべきものですね。
愚直にも真っ直ぐ真っ当に、真面目に生きていくことの大切さ、今の世では死語とも言われても刷り込ませるべき内容だと思いました。
天災なのだからやむ無し…
それだけで片付けてはいけないだろう。
自分が生き残れたのが日頃の行いの良し悪し云々と漏らすシーンがあったが、何故あんたがそれを言うのか?他の人にとった態度、言動は問題無かったのか?
昔の設定だからその当時、その土地柄の風習もあろうが、それら度外視しても都合のよいことを言って