三浦綾子のレビュー一覧
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これほどまでに激しく、生々しい感情を揺さぶられた小説は、かつてなかったかもしれない。物語を貫くのは、人間が抱える「邪悪さ」だ。
まず、母・夏枝の姿に戦慄する。自分の欲望を優先し、何も知らない養女・陽子を復讐の道具にするその姿。美しく成長する陽子に女として嫉妬し、彼女の想い人を誘惑し、最悪の形で出自を暴露して嘲笑う。何より恐ろしいのは、彼女が常に「自分は被害者だ」と言い聞かせ、自らの醜悪さを一切反省しないことだ。まさに、「吐き気を催す邪悪」がそこにある。
一方、夫・啓造もまた救いようがない。彼は「隣人愛」という高潔な言葉を盾に、陽子を復讐の道具として家庭に招き入れた。理性的に自らの卑怯さを自覚し -
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これほどまでに激しく、生々しい感情を揺さぶられた小説は、かつてなかったかもしれない。物語を貫くのは、人間が抱える「邪悪さ」だ。
まず、母・夏枝の姿に戦慄する。自分の欲望を優先し、何も知らない養女・陽子を復讐の道具にするその姿。美しく成長する陽子に女として嫉妬し、彼女の想い人を誘惑し、最悪の形で出自を暴露して嘲笑う。何より恐ろしいのは、彼女が常に「自分は被害者だ」と言い聞かせ、自らの醜悪さを一切反省しないことだ。まさに、「吐き気を催す邪悪」がそこにある。
一方、夫・啓造もまた救いようがない。彼は「隣人愛」という高潔な言葉を盾に、陽子を復讐の道具として家庭に招き入れた。理性的に自らの卑怯さを自覚し -
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ネタバレとんでもない小説を知ってしまった!
イエスキリストの「汝の敵を愛せよ」という言葉をテーマに登場人物は皆がそれぞれに許してほしい、許したいと思っているような罪を抱えている。妬んだり僻んだりして生きていく中で、人は人を許すことができるのか。
陽子は唯一純粋無垢な人物として育つのだが、原罪として自分の血が汚れていることが自分で許せない。汚れた感情が内にあるのだと。
そんな陽子がどうなっていくのかは続・氷点ではっきりするのかな?
正木の自殺理由は私も全く同じことを考えてしまうな。
この世で何者でもない自分の生きる価値とはなんなんだろうと嫌になるときもあるけど、それでも前を向いて生きていたい。
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ネタバレとんでもない小説を知ってしまった!
イエスキリストの「汝の敵を愛せよ」という言葉をテーマに登場人物は皆がそれぞれに許してほしい、許したいと思っているような罪を抱えている。妬んだり僻んだりして生きていく中で、人は人を許すことができるのか。
陽子は唯一純粋無垢な人物として育つのだが、原罪として自分の血が汚れていることが自分で許せない。汚れた感情が内にあるのだと。
そんな陽子がどうなっていくのかは続・氷点ではっきりするのかな?
正木の自殺理由は私も全く同じことを考えてしまうな。
この世で何者でもない自分の生きる価値とはなんなんだろうと嫌になるときもあるけど、それでも前を向いて生きていたい。
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ネタバレ人がその友のために自分の命を捨てること、これよりも大きな愛はない。
恥ずかしながらこの歳になるまで、キリスト教思想について無知であった。この小説を読んではじめて少しだけキリスト教の教えに触れたようなものである。
自分が無知すぎてまだまだ落とし込めない引用もたくさんあったが、自分もどこかキリスト教とは自分とは遠く離れたものであると思っていたところからは少しだけ近づけたような気はする。
何よりこの小説が実話に基づいているというのが衝撃でした。
友のために命を捨てるということ。果たして自分にできるだろうかと。
ここで言う友とは、決して現代の意味で言う仲の良い友達という範囲に留まるものではなく、「他 -
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ネタバレ人がその友のために自分の命を捨てること、これよりも大きな愛はない。
恥ずかしながらこの歳になるまで、キリスト教思想について無知であった。この小説を読んではじめて少しだけキリスト教の教えに触れたようなものである。
自分が無知すぎてまだまだ落とし込めない引用もたくさんあったが、自分もどこかキリスト教とは自分とは遠く離れたものであると思っていたところからは少しだけ近づけたような気はする。
何よりこの小説が実話に基づいているというのが衝撃でした。
友のために命を捨てるということ。果たして自分にできるだろうかと。
ここで言う友とは、決して現代の意味で言う仲の良い友達という範囲に留まるものではなく、「他 -
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キリストの神様を信じることで
運命に心を乱す事なく愛を持って
生きていける
難病で寝たきりの綾子さんを
見ず知らずでも
信仰で繋がった人が
たくさん見舞う
病人を見舞おうと
キリスト教の教えにあるのか?
前川正さんを始め
元婚約者や三浦光世さん
みんな驚くほど献身的でよい人
あんなに人のために差し出されるか?
綾子さんを愛した前川さんは幸せそうだったな
わたしたちの神様は備えてくださる神さまなんです
わたしたちの目には悪いと思う事も
結局は良かれと思って準備してくださる
必要なことは与えられる
与えられないのは不必要だという証拠
御心のままに
人生に疲れたら読み返したい
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ネタバレ十勝岳の山津波の後、硫黄に汚染された大地を耕し、復興を目指す拓一や村長。それに対し、無駄な努力で負債を増やし、街のものにその損害を負わせていると反対する深城を始めとする反復興派は、村長に無実の言いがかりをつけて反対運動をしている。そんな中耕作を庇って反復興派に殴られて拓一は不具となる。正しい者が不幸に遭い、悪を行う者が蔓延る世界に疑問を持つ耕作だが、母の聖書のヨブ記を読み、また拓一の揺らがぬ姿勢を見て、因果応報は現実ではなくて人の願いに過ぎず、現実は善因善果とは限らないことを悟っていく。それでも最後は拓一の稲が実り、深雪楼に売られていた福子は深城の娘の節子が救い出して汽車に乗せ、きっとこれから
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上巻最後のすぐ続きから始まり、物語は戦争一色へと一気に姿を変えていく。
無慈悲に竜太に襲いかかる悪夢のような現実に、映画「私は貝になりたい」を観ているときのような、逃げ場のない不吉さと息苦しさを思い出した。
けれど、嫌だな、嫌だなと思いながらも、不思議と頁をめくる手は止まらず、むしろ上巻以上に走り抜けるように読み進めた。
散々と言うほどの理不尽に苛まれ、こんなことがあっていいのかと思うような現状があるのに、どういう訳かそこに完全なる絶望がないからかもしれない。
作中、坂部先生が竜太に「竜太、人間が人間として生きるというのは、実に大変なことだなあ」と言うシーンがある。
無実でありながら、正し