あらすじ
人にはわかってもらえない苦しみと、人に言えない悩み。人間が背負う孤独に迫る―。
父の秘密などから、家族を、人を信じ続けることに悩む19歳の主人公・三木早苗。早苗を通して迫る人間の孤独感、そして実はそれに続いている「ほんとうの愛」を描く。月刊「セブンティーン」に連載し、特に若い女性に向かって、愛の力といのちの神秘を訴えた佳作。
「三浦綾子電子全集」付録として、北海道遠軽町「オホーツク文学碑公園」内に飾られた「石の森」文学碑の写真を収録!
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Posted by ブクログ
人間の弱さを理解していることが強く優しく生きるためには大事、みたいなテーマ。いつもの三浦綾子さんらしさを感じる。
親しい友達も家族でもお互いの気持ちを完璧に理解することはできないという点で自分以外はみな他人であり、だから人は孤独。自分も他人のことを心から思ったり理解することはなかなかできなくて、親しい人が悲しんだり苦労していることはよくよく知らずに自分が一番不幸であるかのように思い込んでしまう。そういうことに気づく経験をして人(というか自分)の弱さを知ったときに少し優しくなれる。でもどんなに優しい人でも人を傷つけない人はいない、優しいからこそ人を傷つけうる。っていうお話だなと思いました。
三浦綾子さんの本のテーマはいつもこんな感じで、とても純粋で根源的な愛みたいなものについて描かれたものが多いと思う。捉え方によっては乳くさいとか幼いとか説教くさいテーマかもしれないけど、私は好きというか、大事なことだと思う。
妻とか身近な人に対して負の感情を抱きがちになったときに意識して読むようにしている。
自分を省みること、人に感謝することは本当に大切だと思い起こされる。
Posted by ブクログ
石の森を読んで、尾岱沼に行きたくなり行ってきました。大学時代、20代繰り返し読んだ本。尾岱沼の「地の果て」な感じが好きになり、今でも訪れる好きな場所。
Posted by ブクログ
三浦綾子さんには珍しい文章だな、と思ったらセブンティーンで連載されていたものとのこと。
好みの問題は置いといて、連載媒体によって、「三浦綾子の世界観」を残しつつもテイストをたくみに変える、そこがとても見事だと思いました。
恋愛がメインテーマになるかとおもいきや、ストーリーは「男女の性別にとらわれない人と人の結びつき」が愛である、と結論します。
思い込みがや感情の起伏の激しい主人公にやや疲れながら読み進めましたが、この結末にはほっとしました。
その少々疲れ、うんざりさせるような主人公も20歳そこらの女性としては至極自然な姿です。
三浦綾子さんのほかの作品と比べると、キリスト教色も淡く、非常に自然な形で教えが盛り込まれています。
10代の女子には受け入れやすく、心に響く本ではないでしょうか。
個人的には少々軽いと感じる内容でした。中学校の教材には適しているかもしれません。
Posted by ブクログ
読みやすいと思ったらセブンティーンに連載していた小説なのね。
三浦氏にしてはキリスト教色が少ないので、まぁ無難なところだと思う。
しかしまぁ、設定すべてが古すぎて、ちょっと白ける感は否めない。
あと50年したらその古さがセピアに見えて好ましくなるかもしれないけれど、今は一番鬱陶しいところ。